【インタビュー】『テイルズ オブ リンク』運営チームが語る「セーブポイント」の活用法―ディベロッパーを巻き込んでの円滑な作業が可能に


 
MUGENUPが提供する「セーブポイント」が、2015年のサービス開始から2年が経過した現在も順調に普及を進めている。「セーブポイント」は、制作管理のコストを大幅に削減するプロジェクト管理ツール。ゲーム開発では欠かせない大量のイラストや3Dアセットを一手に管理するこの画期的なツールは、ゲーム開発会社を中心に200プロジェクト以上で利用されている。
 
バンダイナムコエンターテインメントが配信する『テイルズ オブ リンク』も「セーブポイント」を開発現場に導入した作品のひとつだ。今回はそんな本作の開発に携わる三輪さやか氏(写真左)、井内要氏(写真右)にインタビューを行い、「セーブポイント」を導入することになった経緯と、その利便性を伺った。
 

◼︎導入の決め手は気軽に作業を確認できるゲスト機能

 
――本日はよろしくお願いします。まずはお二人が『テイルズ オブ リンク』にどのように携わっているのか教えてください。
 
三輪氏(以下、三輪):『テイルズ オブ リンク』プロデューサーのバンダイナムコエンターテインメントの三輪と申します。業務としては『テイルズ オブ リンク』の企画、プロモーションなどをはじめ全般のプロデュースを行っております。
 
井内氏(以下、井内):バンダイナムコスタジオの井内です。『テイルズ オブ リンク』の開発・運営がスタジオとしての主な業務ですね。
 
――今回は『テイルズ オブ リンク』の開発で利用している「セーブポイント」についていろいろとお話を伺いたいのですが、まずはこのツールを導入することになった経緯から教えてもらえますか。
 
三輪:『テイルズ オブ リンク』はゲームの性質上イラストがとても多く、描き下ろしで500点くらい存在します。もちろんイラストは常に増えていき、今でも月に20点ほどのペースで更新されています。イラストはさまざまな制作会社さんにお願いしており、その管理だけでも非常に苦労していた背景があります。
 

井内:それに加えて『テイルズ オブ』シリーズのソーシャルゲームは本作だけでなく、他の作品でも同様にイラストが増え続けているんです。弊社ではゲームだけでなくグッズ展開も積極的に行っていて、イラストの提供をお願いされることも多いですが、データベース化されておらず、スムーズに提供できない過去がありました。なにかデータベース化できるツールはないかと探していたところ「セーブポイント」を知りまして、使うことになりました。
 
三輪:グループ会社のバンダイナムコオンラインもすでに「セーブポイント」を使っていて、データベースとしてだけでなく、日々の運営でも使いやすいという話も聞いていました。スマートフォンにも対応しているので外出先でも更新を確認できたり、とても重宝していますね。

 
――バンダイナムコオンラインさんも『アイドリッシュセブン』で利用していて、グッズ展開もやりやすくなったと話していました。
 
三輪:『テイルズ オブ』シリーズもキャラクターを扱う側面が強く、どんどんデータが増えていきます。これを一括で管理できるので、以前と比べて遥かに効率的になりました。
 
――「セーブポイント」導入以前は、どのような管理方法だったのでしょう?
 
井内:社内にデータを送受信するサーバーがあり、そこに制作物をアップロードしてもらい、それをメールでのやり取りする方法がメインでした。どのタイミングで誰がアップロードしたのか、いちいちメールを遡る必要があり、混乱してしまうケースもありましたね。
 
――「セーブポイント」を導入して、その問題は解決しましたか?
 
井内:テキストとイラストが時系列で表示されるので、迷うことはなくなりましたね。イラストを作るときはまずこちらが発注して、ラフを返信してもらい、さらに線画、塗りといった工程があります。またイラストによっては背景を描いてもらうこともあります。


それらすべての作業を項目ごとで分け、ラフが終了したら次の項目へ行ってもらうという具合に、今どこまで進んでいるかがひと目で分かるようになっているのです。イラスト制作者だけでなく、管理する私たちとしても直感的で、使いやすくなりました。
 
――これはデベロッパーさんも活用しているんですよね。
 
井内:そうですね。イラストなどの制作物は私たちが担当し、出来上がったものをディベロッパーさんに納品しています。「セーブポイント」を導入したばかりのころはいずれか2社間のみでのやり取りしかできませんでしたが、今ではアップデートでゲスト機能が追加され、第三者でもやり取りを確認できるようになりました。この機能は私たちから相談したのですが、本当にすぐに実装されて驚きました(笑)。
 
――機能の追加もあって、円滑な作業も可能になったと。
 
井内:第三者でもすぐに確認できることが、「セーブポイント」を本格導入する決め手となったくらいですから。こちらでイラストをチェックして、OKが出たものから順次ディベロッパーさんがダウンロードする。この一連の流れが本当にスムーズになりました。


▲ゲスト権限用画像
第三者は指定されたデータの閲覧とダウンロードのみが可能。
 
三輪:特定のイラストをプロモーション用として使いたいときには、「セーブポイント」からデータをダウンロードしたり、気軽に利用できるのはうれしいですね。

 
――では、ディベロッパーさん側からの反響はいかがでしたか?
 
井内:やはり制作物をまとめて送るのではなく、できたものからひとつずつ送れるようになったのは評判が良いですね。また、作業工程の中でどちらがタスクを持っているかがひと目で分かるのもありがたいです。イラストを制作中なのか、それともチェック中なのかがフラグを立てることで判別できるため、どんな状況になっているか迷うこともありません。
 
――お二人にとって便利に思う機能はありましたか?
 
井内:細かいところですと「見たよ!機能」はとても便利ですね。「見たよ」ボタンを押すことで相手に確認したことを知らせることができるんです。これも以前のメールだったら煩わしい部分でしたが、気軽にやり取りできるようになりましたね。あとはタグもよく使う機能のひとつです。いつのイベント用だったのか、どんなジャンルなのか、誰が担当したのかをタグ付けすることで、管理をより楽にしています。
 
三輪:サムネビューでできているイラストを一覧で確認できるのもよく使う機能です。どれが完成して、どれが未完成なのかがすぐに把握できるので大変便利です。

 

▲新着サムネビュー
進行中のデータの制作状況がひと目で確認できる。

――『テイルズ オブ』シリーズと言えばコンシューマでも長く続くシリーズです。関連作品のすべてのイラストを「セーブポイント」上にまとめる考えはあるのでしょうか。
 
三輪:現状はできていませんが、イラストのアーカイブ化は検討しています。
 
井内:今のところ「セーブポイント」は開発現場で使うものと認識しています。それに無理やり詰め込んでも管理が大変ですからね。


 

◼︎「セーブポイント」の導入によって実現した開発の見える化

 
――「セーブポイント」はどのタイミングで導入したのですか?
 
三輪:2016年の秋ごろですね。当時はまだテスト導入でしたが、その後2017年3月に本格導入となり、そこからは一気に「セーブポイント」へシフトしていきました。
 
――この期間で、具体的に作業が楽になったり、効率的になったと感じる機会はありましたか?
 
井内:開発の見える化はできたと思います。私は全体を見渡す一方、イラストの一枚一枚を細かくチェックするのは他のスタッフに任せることが多いです。そんな私でも「セーブポイント」を使えばすべての状況が分かります。以前はスタッフにいちいち聞く必要があり、そのスタッフが不在のときは電話をかけたりと不便に思うこともありました。それに比べれば格段に楽になりましたね。
 

三輪:こちらとしても「状況はどうですか?」と進捗を聞く手間が省けるようになりましたね。いつ完成するのか心配することもなくなりました。

――お二人だけでなく、スタッフからの評判も良さそうですね。
 
井内:そうですね。昔からいるスタッフはもちろん、最近入ったスタッフもスムーズに導入できている印象です。
 
三輪:他のプロジェクトチームからも「セーブポイント、どうですか?」と聞かれることが多いです。実際社内でも、「セーブポイント」を使うチームは増えてきています。

 
――ということは、操作面で戸惑うこともなく。
 
井内:外注先のスタッフが使いこなせるかはもっとも心配していたことですが、トラブルもなく普通に使えています。
 
三輪:外注先の中にはすでに導入している会社さんもいて、スムーズに話が進んだ印象です。逆に他の会社さんから「セーブポイントを使いたい」と相談されることもあったくらいです(笑)。

 
――お二人としては、操作面やインターフェイスで気になった点はありましたか?
 
三輪:インターフェイスは直感的で、誰でも扱えると思います。ただ機能が本当に幅広く、中には使いこなせてないものもありますね。
 
――「セーブポイント」にはさまざまなビューがありますが、どれを使っていますか?
 
井内:スレッドビューを使うことが多いですね。スレッドビューだと更新履歴も確認できるので、ミスを見つけたときには履歴を遡り、どこから修正すればいいのかすぐに分かるんです。
 
――ちなみに、導入する際のMUGENUPさんの対応はいかがでしたか?
 
三輪:バンダイナムコエンターテインメントとスタジオのスタッフを集めての説明会をしてくださったり、すごく親切でしたね。こちらから機能の要望を出すと、すぐに対応してくれて、しかも先行で使わせてくれたりもしました。
 
――要望を出す機会も多いんですか?
 
三輪:頻繁に言わせてもらっていますね(笑)。MUGENUPさんの対応も早くて、アップデートもハイペースで行われています。それでいて、機能が増えても使い勝手に変化があるわけでもないので安心して使用できます。
 

井内:他社さんが使うかは分からないけど、弊社では確実に使う機能も積極的に実装してくれるので本当に助かります。
 

――今後さらに改善してほしい点や、要望はありますか?
 
井内:スタッフの間では、「掲示板に検索機能が欲しい」という声をよく聞きます。あとはテーブルビューで見たときに更新時間も分かると、管理もさらにしやすくなると思います。
 
――最後に、『テイルズ オブ リンク』の今後の展望についてもお聞かせください。
 
三輪:『テイルズ オブ リンク』は2014年にリリースしてから今年で3周年を迎えまして、メインシナリオにも一区切りがついたところです。現在は新しいシナリオが始まり、10月末には新章を公開いたしました。まずはそこを多くの方に楽しんでもらいたいですね。

――ありがとうございました。

■『テイルズ オブ リンク』

 

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■セーブポイント
 

『セーブポイント』紹介ページ




©いのまたむつみ
©藤島康介
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc. Developed by Akatsuki/BANDAI NAMCO Studios Inc.
 
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
https://www.bandainamcoent.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
設立
1955年6月
代表者
代表取締役社長 宇田川 南欧
決算期
3月
直近業績
売上高2896億5700万円、営業利益442億3600万円、経常利益489億5100万円、最終利益352億5600万円(2023年3月期)
企業データを見る
株式会社MUGENUP
https://mugenup.com/

会社情報

会社名
株式会社MUGENUP
設立
2011年6月
代表者
代表取締役 伊藤 勝悟
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