【エイチーム決算説明会】中間計画対比で利益は想定上回る 「新作が下期にリリース延期でプロモ費用が発生せず」(林社長) 『ヴァルコネ』の中国本土展開迫る


エイチーム<3662>は、12月8日、東京都内で2018年7月期の第1四半期(8~10月)の決算説明会を開催した。同日に発表した2018年7月期の第1四半期の連結決算は、売上高89億400万円(前年同期比24.8%増)、営業利益9億6300万円(同3.2倍)、経常利益9億8000万円(同3.3倍)、四半期純利益6億7800万円(同4.9倍)と大幅増収増益を達成した
 
説明会では、同社の林高生社長が決算概要やセグメント別の事業状況、足元の2018年7月期の第2四半期の進捗などの説明を行った。今回はその会見の様子をまとめてみた。
 
 

■エンタメ事業が減収要因に 福岡オフィスの開所は2月に延期

 
まずは第1四半期の業績を四半期推移(QonQ)で見ると、売上高は前四半期比5.4%減の89億400万円、営業利益は同26.3%減の9億6300万円、経常利益は同25.1%減の9億8000万円、四半期純利益は同8.5%減の6億7800万円と前年同期比較とは異なり、減収減益となっている。
 
エンターテインメント(エンタメ)事業において、主力タイトルの『ヴァルキリーコネクト』が振るわず、減収となったほか、『ヴァルキリーコネクト』の国内向けTVCMを10月に放映するなど広告宣伝費を厚めに投下したことで費用も増加した。ただし利益については、「上期にリリース予定の新作が下期にリリースを延期したことでプロモ費用が発生しなかった」(林社長)ことにより、中間計画対比では予想を上回る進捗となっている。
 
 
続いて広告宣伝費の推移を見てみると、QonQではライフスタイルサポート(ライフ)事業の増加が目立つ。これは、金融メディア新規サービス投下などが影響しているとのこと。一方、エンタメ事業は微減となっている。これは効率運用による影響に加え、前述の新作プロモーション費用の期ずれも影響しているものと思われる。
 
 
人員数の四半期推移は、前四半期比5名の増加と大きな変化はなかった形だ。福岡オフィスの開所に向けて、「採用活動を始めたが、現地の企業が強い」(同)と獲得に苦戦していたもよう。こうした要因もあって、福岡オフィスの開所は2月に延期となっている。
 
 
 
 

■『ヴァルキリーコネクト』のゲーム内イベントが苦戦 エンタメ事業は15%の減収に

 
次にセグメント別の状況に目を移してみよう。エンタメ事業は、『ヴァルキリーコネクト』が「ゲーム内で実施したイベントが振るわなかった」(同)ことで、QonQで15.1%の減収となった。この国内の売り上げの落ち込みに対し、海外向けは微減にとどまっており、結果的に海外売上比率は過去最高の29%に上昇している。なお、『ヴァルキリーコネクト』は、中国本土向けの展開も順調に準備が進んでいるようだ。
 

 
ライフ事業は、QonQで見ても引越し関連事業が季節要因で売り上げが減少するも、そのほかの事業はおおむね売り上げを伸ばしている。特に金融メディア事業は、前述のとおり、「ナビナビクレジットカード」など新サービスを開始しており、予想を上回る推移となっているとのこと。
 
 
EC事業については、まだ先行投資の時期ではあるものの、前年同期比で61.2%の増収となるなど事業として着実に軌道に乗ってきているという。次の第2四半期は閑散期となり、QonQで減収が見込まれるが、次の繁忙期に向けて成長のタネをどれだけ育てられるかが大事になってきそうだ。
 
 
 

■上期リリース予定の新作は下期に延期へ 通期予想は据え置き

 
2018年7月期通期の連結業績予想は、売上高400億円(前期比15.6%増)、営業利益47億円(同15.3%増)、経常利益47億円(同14.1%増)、当期純利益31億円(同20.2%増)と従来予想から変化なく、予想が据え置かれている。
 
エンタメ事業の新作については、今期は1~2本の予定とこれまでの予定に変化はないが、リリース時期が1本上期の予定から下期に遅れることになった。
 
 
 

■まとめ

 
上期にリリース予定のエンタメ事業の新作が下期に延期となったことで、第2四半期のエンタメ事業は既存タイトルでの業績展望という形になる。次の四半期は11~1月といわゆる年末年始の商戦期を含む時期となるが、『ヴァルキリーコネクト』の立て直しなど、どの程度既存タイトルによる挽回が図れるかどうかが注目されるところだろう。一方、ライフ事業とEC事業は、季節要因はあるものの、おおむね順調な推移が見込まれる。
 
また、まだ詳細な情報が出ていない新作の情報が第2四半期中に明らかになるかどうかも気になるところだ。
 
(編集部:柴田正之)

 
株式会社エイチーム
https://www.a-tm.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社エイチーム
設立
2000年2月
代表者
代表取締役社長 林 高生
決算期
7月
直近業績
売上高275億5200万円、営業利益5億4300万円、経常利益7億1100万円、最終利益1億4300万円(2023年7月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3662
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