【シリコンスタジオ決算説明会】主力事業の苦戦で17年11月期は大幅な赤字計上に 今期はミドルウェアなど「利益率の高い事業にシフト」(寺田社長)


シリコンスタジオ<3907>は、1月26日、東京都内で2017年11月期の決算説明会を開催した。説明会に先立ち、先日1月15日に発表された同社の2017年11月期連結決算は、売上高61億1500万円(前々期比12.7%減)、営業損益12億5100万円の赤字(前年同期4億1100万円の赤字)、経常損益12億200万円の赤字(同4億2800万円の赤字)、当期純損益11億3700万円の赤字(同4億9900万円の赤字)と赤字幅が大きく拡大した。

決算説明会では、同社の寺田健彦社長がまずは説明を一通り行い、その後に質疑応答が行われた。そうした内容も踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 

■主力の開発推進・支援事業とコンテンツ事業がともに赤字計上に


まずは業績の四半期推移(QonQ)を見てみると、第4四半期期間(9~11月)の売上高は前四半期比16.6%増の15億4200万円となったものの、営業損益は3億7400万円の赤字、経常損益は3億9200万円の赤字、四半期純損益は6億9400万円の赤字と四半期ベースでも8四半期連続の赤字計上となった。

コンテンツ事業において、『逆襲のファンタジカ』『刻のイシュタリア』の2タイトルをS&Mゲームスへ譲渡し、リソースを振り分けた新作タイトルでその減少分を補う計画であったものの、ミストウォーカーとの協業タイトル『テラバトル2』が不具合などにより期初計画を大きく下回る結果となったほか、7月にリリースを予定していたもう1タイトルが開発遅延によって2018年11月期リリースに変更となったことで、計画を大きく下ブレする結果となった。
 

続けて各セグメントごとの状況を見てみたい。セグメント別売上高は以下の通りで、開発推進・支援事業は増収ながら赤字幅拡大、コンテンツ事業は大幅減収かつ大幅な赤字計上、人材事業は増収増益となっている。
 

開発推進・支援事業は大型の受託開発案件が中止となったものの、「自動車向け開発案件が2倍になった」(寺田社長)とするなど、非エンターテインメント業界向けが着実に成長した。なお、4月にリリースしたオープンソースの次世代型ゲームエンジン「Xenko」について、一括償却を行ったことも利益率低下の一因となっているようだ。
 

次にコンテンツ事業は、前述の通り、新作タイトル『テラバトル2』のスタートでのつまづきなどで、2タイトル譲渡による減収分をカバーできず、前年同期比47.6%の大幅減収に落ち込んだ。なお、『テラバトル2』は、「前作と違うシステムを導入したが、バグをつぶし切れてなかった」(同)とのことで、2017年12月期は売り上げ貢献することができていない状況だ。
 

唯一好調だった人材事業は、売上高が前年同期比30.1%増、セグメント利益は同55.0%増と2ケタ超の増収増益を達成した。なお、2018年11月期も引き続き増収増益が見込まれるとしている。
 
 

■コンテンツ事業は今期3タイトルをリリース予定 利益率の高いミドルウェアに注力


2018年11月期は、開発推進・支援事業において、「Enlighten事業部」と「Automobile事業部」を設置し、ミドルウェア「Enlighten」の国内・海外マーケットの販売活動強化と、自動車向け開発案件の開拓強化に取り組んでいく。「利益率の高いミドルウェアの販売を伸ばし、利益率の高い事業にシフトする」(同)ことで利益率の改善を進めていく。
 


また、コンテンツ事業では、期中に『療成敗!ジェットナース』と『パレットパレード』『トリニティセブン』の3タイトルのリリースを予定しているほか、『テラバトル2』についても今春に大規模改修を予定し、今夏には中国語版の配信も予定しているという。
 


 

■今期はコンテンツ事業で63%の増収見込む


なお、2018年11月期通期の予想は、売上高73億8200万円(前期比20.7%増)、営業利益1億400万円、経常利益1億2100万円、当期純利益1億1100万円の見込み。

また、セグメント別の売上高では、開発推進・支援は前期比1.6%減の30億3400万円、コンテンツ事業は同63.9%増の25億5700万円、人材事業は同21.7%増の17億9100万円という計画となっている。
 


■まとめ


会社側計画を見ると、コンテンツ事業の急回復がポイントとなってくるが、新作タイトルのうち『療成敗!ジェットナース』は男性向け、『パレットパレード』は女性向けの同社がこれまで手掛けていなかったコア層向けのタイトルであり、やや未知数の状況であることは否めない。

そうした点も踏まえると、前期リリースしたものの、収益にほぼ貢献できていないという『テラバトル2』の立て直しも重要な課題となってきそうだ。

開発推進・支援事業については、開発中止や一括償却という一過性の減益要因がなくなることに加え、前述の通りに利益率の高い事業にシフトを進めることで、今期はまずはしっかりと黒字転換を果たしたいところ。
 
(編集部:柴田正之)
 
 
シリコンスタジオ株式会社
http://www.siliconstudio.co.jp

会社情報

会社名
シリコンスタジオ株式会社
設立
2000年1月
代表者
代表取締役社長 梶谷 眞一郎
決算期
11月
直近業績
売上高45億5400万円、営業利益2億3800万円、経常利益2億4600万円、最終利益2億円(2023年11月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3907
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