【決算まとめ】ゲーム関連企業32社の1-3月…CAのゲーム事業売上高が過去最高に KLabは海外で飛躍 ブロックチェーン関連など新たな方向性に動く企業も

2018年の1~3月の決算発表シーズンも終了し、主要モバイルゲーム企業の1~3月期(一部11~1月期と12~2月期)決算が出そろった。そこで今回もゲーム関連企業32社分の決算の状況をチェックしてみたい。

今回も銘柄の増減、入れ替えは行わず、前回と同じ32社分を取り上げている。これまでと同様に決算期の都合で、gumi<3903>とエイチーム<3662>の数字は2ヶ月前の数字となっているほか、gloopsなどを含むネクソン<3659>のモバイル事業の売上高も掲載している。また、サイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げる。
 

今回の決算では、32社中、増収が18社、減収が14社となり、やや増収企業が多かった。本来は営業日数の少ない2月を含むほか、10~12月期のクリスマスと年末の商戦の反動を受けやすい四半期となるのだが、その10~12月期の商戦で苦戦した企業が多かったことも影響しているものと思われる。

また、営業赤字を計上した企業は10社と、ここ数年の中で前四半期の11社に続く数字で高止まりする結果となっている。特に売り上げ規模が小さめの企業は、慢性的な赤字体質に陥っている企業も多く、開発費の高騰が引き続き業界全体の問題となっていることがうかがえる状況だ。

ちなみに、32社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。

増収増益…ミクシィ<2121>、コーエーテクモHD<3635>、エイチーム<3662>、モブキャストHD<3664>、アエリア<3758>、ケイブ<3760>、gumi<3903>、Aiming<3911>、LINE<3938>、サイバーエージェント<4751>、バンダイナムコHD<7832>、マーベラス<7844>、カプコン<9697>
増収減益…ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、オルトプラス<3672>、アカツキ<3932>、エディア<3935>、スクエニHD<9684>
減収増益…ボルテージ<3639>、グリー<3632>、enish<3667>、ガンホー<3765>、シリコンスタジオ<3907>
減収減益…アクセルマーク<3624>、KLab<3656>、コロプラ<3668>、イグニス<3689>、ドリコム<3793>、カヤック<3904>、モバイルファクトリー<3912>、セガサミーHD<6460>、コナミHD<9766>
 

■バンナム、カプコンと大手ゲーム企業の活躍目立つ モブキャストの売上高も大幅に伸長


まずは四半期売上高100億円以上の企業を抽出したグラフを見てみたい。大手ゲーム企業の中でもバンダイナムコHDが売上高1900億円台と群を抜く数字となっているが、その数字はネットワークエンターテインメント事業だけを見ても1200億円台と圧倒的だ。

また、この四半期は、カプコンが躍進しているのも目立つ。カプコンは、全世界750万本出荷の記録的な大ヒットとなった『モンスターハンター:ワールド』が四半期業績をけん引しており、QonQでその売上高は3.3倍に急拡大している。
 

続いて四半期売上高100億円未満の企業では、モブキャストHDが売上高を10億円台半ばまで伸ばしているのが注目されるところか。持株会社体制への移行により、単純比較がしづらい部分はあるが、『キングダム 乱 -天下統一への道-』などネイティブゲームが着実に業績に貢献し始めていることは間違いないところだろう。
 
 

■サイバーエージェントのゲーム事業が過去2番目の利益水準に ミクシィの利益も急回復


営業利益の四半期推移を見てみると、やはりミクシィの利益が急回復しているのが目立つ。『モンスターストライク』の年末年始キャンペーンが奏功したことに加え、「ファイナルファンタジー」コラボや「ドラえもん」コラボなどの施策も貢献し、売上高が伸びたことが最大の要因だが、前四半期に膨らんでいた広告宣伝費が落ち着いたこともプラスに働いている。

また、カプコンが売上高同様に利益面でも大きく伸長しているほか、2月15日に配信開始した『プリンセスコネクト!Re:Dive』が順調に収益に貢献してきているサイバーエージェントのゲーム事業も過去2番目の水準まで営業利益が急回復した。
 

次に営業利益20億円未満の企業については、グラフ上ではこの四半期で一番大きな営業赤字を計上したセガサミーHDを除いたものを採用している。コロプラとDeNAが営業利益20億円を割り込んでこちらのグラフに入っているほか、KLabも好調だった前四半期と比べるとやや利益水準を落としている。

その一方で、アエリアとgumiが利益率を大きく改善させており、ここに続くグループとの差が大きく開く形になっている。
 

なお、前述の通り赤字計上企業は10社と2ケタの状態が続いている。この四半期はモブキャストHDとケイブが黒字転換を達成した半面、ドリコムが営業赤字に転落している。
 
 

■モバイルゲーム大手の利益が低調…コロプラとDeNAの苦戦が響く


モバイルゲーム大手の売上高推移と営業利益推移をまとめたグラフに目を移すと、売上高は過去の1~3月期と比べて同様の水準まで回復したものの、営業利益についてはやや低調な推移が続く格好となっている。過去の1~3月期と比較してみると、コロプラとDeNAの利益率低下がこの四半期は大きく響いている。
 


続いて上場SAPの売上高推移と営業利益推移を見てみたい。こちらは前四半期比で売上高が微減、営業利益は増加という結果になっている。慢性的な赤字体質に陥っている企業も依然として多いものの、10億円前後の営業利益を計上できる企業も増えてきており、全体の数字を押し上げているということだろう。
 

 

■市場全体の閉塞感、停滞感は解消されず ブロックチェーン関連など新たな方向に動き出す企業も


さて、ここまで市場全体の状況を見てきたが、ここ数四半期感じられる市場の閉塞感、停滞感のようなものは依然として解消されていないと言えるだろう。ストアランキングの推移を見ていても、スタートダッシュは好調ながら、その後人気、売り上げを維持できない新作タイトルがやや多くなってきているのも気になるところ。

また、そうした市場の状況を打開するために、ブロックチェーン関連など新たな方向性に動き出している企業が目立ったのもこの四半期の特徴と言えるのではないだろうか。

続いて、各社の個別の状況を見てみたい。なお、大手ゲーム各社については、下記の記事を参照していただきたい。

▼大手ゲーム各社まとめ(参照)
【決算まとめ】ゲーム大手、18年3月期は6社中5社が増益に キーワードは「グローバル」と「IP」
 

■増収増益組


・ミクシィ<2121>
第4四半期期間(1~3月)は、売上高が前四半期比27.2%増、営業利益は同2.2倍とQonQで大きく業績が回復した。主力タイトルである『モンスターストライク』が年末年始キャンペーンに加え、「ファイナルファンタジー」コラボや「映画ドラえもん」コラボなどが奏功し、急回復した。ただ、その『モンスト』に次ぐ柱の育成には苦戦しており、5年目を迎える『モンスト』が新社長の下で、さらに収益を生み出すことができるのかどうかが、2019年3月期の業績を展望する上で大きなポイントとなってきそうだ。

・エイチーム<3662>
第2四半期期間(11~1月)は、ライフスタイルサポート事業が業績のけん引となり、売上高で前四半期比2.9%増の、営業利益で同13.5%増と増収増益を達成した。エンターテインメント事業については、QonQでほぼ横ばいの推移となっており、下期は新作(5月21日に『三国BASSA!!』配信開始)がどう寄与してくるかが注目されるところ。

・モブキャストHD<3664>
持株会社体制への移行で、この第1四半期(1月~3月)は四半期ベースの業績推移を比較しづらい状況ではあるが、単独業績との単純比較で売上高は前四半期比65.4%増、各利益項目はいずれも黒字転換とその業績は大きく改善してきている。でらゲーとの共同タイトル『キングダム乱 -天下統一への道-』が収益にしっかりと貢献してきており、これまで時間がかかっていたネイティブゲームを軸とした体制作りがようやく整ってきたと言えそうだ。

・アエリア<3758>
第1四半期(1~3月)はQonQで売上高が8.9%増、営業利益は同2.6倍となった。子会社リベルの『A3!』が引き続き業績のけん引役となっており、利益率は前四半期に積極的な広告宣伝費の投下を行っていた反動もあって、大きく改善している。積極的なM&A展開や、リベルを始めとしたグループ各社の新作開発などを進めているが、これが今期にどのくらい実ることになるのかが、次の成長ステップに進む上で大きな関心事となってこよう。

・ケイブ<3760>
第3四半期期間(12~2月)は、売上高は前四半期比31.2%増と増収を達成、営業利益も黒字転換を果たした。ただし、『ゴシックは魔法乙女』にかかる依存度が大きく、この解消は引き続き大きな課題となっている。なお、6月1日のリリースが決まった新作『三極ジャスティス』は、同社は5月決算のため、来期以降の寄与となる予定だ。

・gumi<3903>
第3四半期期間(11~1月)は、売上高が前四半期比2.0%増、営業利益は同3.6倍となり、営業利益は四半期ベースで過去2番目の数字を計上した。ただ、けん引役が『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』と『誰ガ為のアルケミスト』『クリスタル オブ リユニオン』など既存タイトルで、その後リリースした新作タイトルは複数タイトルのサービス終了が決定するなどやや苦戦しているのは気になるところ。

・Aiming<3911>
四半期推移では、第1四半期(1~3月)の売上高は6.9%増、各利益項目も赤字幅が縮小したが、これは最新作『キャラバンストーリーズ』が3ヶ月間フル寄与したことによるもの。主力の『剣と魔法のログレス いにしえの女神』は苦戦しており、その立て直しは引き続き大きな課題となっている。なお、新作の開発スケジュールが後ろ倒しになっており、年内リリース予定の新作にかかる期待の比重が高まる状況だ。

・LINE<3938>
広告事業が高い成長を続けており、第4四半期期間(1~3月)は売上高が前四半期比6.1%増と伸長した。なお、営業利益は同2.0倍となっているが、これは前四半期にClova Friendsの前倒し発売による費用が発生したことや、新作を含むゲームのマーケティング費用が増加した反動によるところが大きい。コンテンツは漸減傾向が続いているが、3月28日にリリースした『ジャンプチ ヒーローズ』が足元好調な推移となっており、2019年3月期の第1四半期にどう貢献してくるのか期待される。

・サイバーエージェント<4751>
第2四半期期間(1~3月)は、特にゲーム事業の好調が目立ち、同事業の売上高は前四半期比で19.9%増、営業利益が同51.7%増と大幅な増収増益を達成した。なお、売上高は四半期ベースで過去最高となり、営業利益も2番目の規模になっている。Cygamesの新作『プリンセスコネクト!Re:Dive』が大きく業績をけん引したほか、『グランブルーファンタジー』やと『戦国炎舞』など既存タイトルも周年イベントなどで復調した。

・マーベラス<7844>
コンシューマ事業と音楽映像事業がけん引役となり、第4四半期期間(1~3月)の売上高は前四半期比23.9%増、営業利益は同82.4%増と大幅な増収増益を達成した。オンライン事業については、『シノビマスター 閃乱カグラ NEW LINK』『オーディナルストラータ』『千銃士』と新作の貢献もあり、売上高が同0.4%増、営業利益が同5.9%増とQonQでは第3四半期に続いて改善傾向にあるが、これを2019年3月期はさらに育てていけるかどうかが課題と言えるだろう。
 

■増収減益組


・ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>
第4四半期期間(1~3月、IFRS)は、売上収益が前四半期比で1%増、営業利益で90%減となった。ただ、この営業減益は前四半期に海外子会社の清算手続き完了に伴って計上した一時利益107億円を計上した反動によるもので、ゲーム事業については、売上収益が同1%増、セグメント利益は同6%増となっている。ブラウザゲームが下げどまってきたことに加え、国内向けアプリゲームが伸長した。11月に配信開始した『どうぶつの森 ポケットキャンプ』のフル寄与などが奏功したものと思われる。

・オルトプラス<3672>
第2四半期期間(1~3月)は、四半期ベースで過去最高の売上高を計上するなどゲーム事業が着実な売り上げを計上する体制が整ってきた。その一方で、新作の開発コストとし4億7800万円を計上するなど先行投資が続いている。なお、現在は来期以降のリリース予定のものも含め、7タイトルの開発が進められている。

・アカツキ<3932>
第4四半期期間(1~3月)は、売上高は前四半期比3.3%増ながら営業利益は同8.1%減となった。『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の国内3周年イベントが寄与したものの、期末賞与や広告宣伝費などスポット費用が発生し、利益率は一時的に低下した。なお、期中にリリースした新作については、市場の要求水準を上回るクオリティに達しておらず、大きな収益貢献には至っていないという。

・エディア<3935>
ギークスから『SHOW BY ROCK!!』の運営を引き継ぎ、これが2ヶ月分寄与したことで第4四半期期間(12~2月)の売上高は前四半期比21.5%増となった。ただし、2019年2月期にリリースがずれ込んだ2タイトルを含む新作の開発費など費用が先行しており、営業赤字幅が拡大している。
 

■減収増益組


・ボルテージ<3639>
第3四半期期間(1~3月)は、売上高が前四半期比2.1%減となったものの、赤字幅はやや縮小した。主力の国内女性向けタイトルの売り上げが減少しており、減収に歯止めがかかっていない状況だ。一方で広告宣伝費の効率的な投下が費用の抑制につながった。なお、第3四半期決算と同時に通期予想の下方修正を発表しており、収益の立て直しにはもう少し時間がかかりそうだ。

・グリー<3632>
第3四半期期間(1~3月)は、売上高が前四半期比15.9%減ながら、営業利益は同4.4%増となった。既存タイトルの運営強化に取り組んだものの、売上高は計画対比で未達にとどまった。一方で広告宣伝費が前四半期比で6億円減少したことなどで営業利益率が前四半期比で改善し、営業利益は計画を上回って着地した。続く第4四半期は3月に配信を開始した『NEWSに恋して』がフル寄与することもあり、ゲーム・エンタメ事業は回復することが期待される。

・enish<3667>
第1四半期(1~3月)は、売上高は前四半期比4.8%減ながら営業赤字幅は1億8200万円の赤字から9700万円の赤字に縮小した。売上高は減収となったものの、『欅のキセキ』の貢献により、前四半期に大幅な増加となっており、高い水準維持している状況。また、利益も新作オリジナルタイトルの開発費用を計上しつつ、赤字幅が縮小しており、第2四半期以降もこうした改善傾向が続くのか注目される。

・ガンホー<3765>
第1四半期(1~3月)は、売上高が2.2%減ながら営業利益は4.1%増となった。『パズル&ドラゴンズ』が周年記念イベントの実施で下げ止まりとなっており、QonoQではほぼ横ばい推移という見方ができそうだ。子会社Gravityの『ラグナロクM』が海外で好調な推移を見せているが、現時点では広告宣伝費が先行しているもよう。国内の新作は苦戦が目立つが、第2四半期ではさらに新作の発表を予定しているとのこと。

・シリコンスタジオ<3907>
第1四半期(12~2月)は、売上高が前四半期比28.8%減と大きく落ち込んだものの、赤字幅はやや縮小した。昨年9月配信開始の『テラバトル2』が想定下回る推移となっていることなどが減収の要因となっている。開発推進・支援事業が採算性の改善で黒字転換しており、今後の新作投下でコンテンツ事業の収益改善が図れるかどうかが今後の課題となってこよう。
 

■減収減益組


・アクセルマーク<3624>
第2四半期期間(1~3月)は、売上高が前四半期比7.9%減となり、営業赤字は1億1600万円に拡大した。ゲーム事業の既存タイトルの苦戦が続いており、収益を大きく押し下げている。新作は、『幽☆遊☆白書 100%本気(マジ)バトル』と『終幕彼女(エンドロール)』に加え、初のグローバルローンチを予定するプロジェクト『PP』を開発中で、これらのリリース時期までは当面苦境が続きそうだ。

・KLab<3656>
第1四半期(1~3月)は、前四半期比較では売上高が7.2%減、営業利益は20.2%減と減収減益となったが、これは前四半期が『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』と『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live(シャニライ)』の立ち上がりで非常に好調であった反動もあり、そこまで悲観的にとらえる必要はなさそうだ。2017年12月に『キャプテン翼』、2018年1月に『シャニライ』をグローバル展開しており、海外売上高が四半期ベースで24億円に達したことも評価したい。

・コロプラ<3668>
第2四半期期間(1~3月)は売上高が前四半期比9.6%減、営業利益は同9.8%減と減収減益で着地した。5周年イベントが成功した『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』は好調だったものの、その他の主力タイトルは売り上げが減少した。『ツムツムランド』に続き、『アリス・ギア・アイギス』の貢献も始まった2018年度リリースタイトルは、四半期ベースで売上高14億円台と着実に収益貢献してきている。

・イグニス<3689>
3月にリリースした新作『メガスマッシュ』が当初想定していた売上高を下回って推移しており、7月でのサービス終了が決定するなどネイティブゲームが苦戦しているこうした状況を受けて、2018年9月期通期の連結業績予想の売上高を従来予想の70億円から44億円(増減率37.1%減)に大幅下方修正しており、早期の収益改善は難しいと見ざるを得ないだろう。

・ドリコム<3793>
第4四半期期間(1~3月)は、売上高が前四半期比19.9%減、営業損益は前四半期の1億7400万円の黒字から1億5100万円の赤字に転落した。運用ゲームアプリの増加に伴う費用増と資産の費用化により、収益性が大きく悪化した。ゲームアプリの運用費用については、リリースから半年くらいは高水準となる見通しであり、改善まで少し時間がかかることになりそうだ。一方、資産の費用化については関連資産を精査し、一部IPゲームアプリの資産の費用化を行ったものであり、一過性のものとなる見通し。

・カヤック<3904>
第1四半期(1~3月)は、売上高が前四半期比17.6%減、営業利益は同5.3%減となった。ソーシャルゲームが開発受託収入の減少で前四半期比3億1000万円の減収となったことが大きく影響した。これはおそらく2018年2月リリースされた『機動戦士ガンダム即応戦線』のことと思われる。なお、第1四半期実績の通期予想に対する進捗率は売上高が19.6%、営業利益は9.9%にとどまっており、今後の推移をじっくりと見極める必要がありそうだ。

・モバイルファクトリー<3912>
第1四半期(1~3月)は、売上高で前四半期比16.5%減、営業利益で同29.3%減と2ケタ超の減収減益にとどまった。主力の位置ゲーム『ステーションメモリーズ!』がDAU(日次アクティブユーザー数)で過去最高を更新したものの、課金が伸びず前四半期比で減収となったことがその要因。新作位置情報ゲームの開発中止を決定し、ブロックチェーン関連サービスへと大きくかじを切った同社だが、その成果が見えるのはもう少し時間がかかりそうだ。
 

■まとめ


増収増益となった企業が13社と最も多いのだが、その数字ほどは市場全体の好調さが感じられないのが素直な印象だ。これは、一番好調だったカプコンがコンシューマタイトルとなる『モンスターハンター:ワールド』で大躍進し、Nintendo Switchも引き続き話題を集めるなど、ゲーム市場全体の中におけるスマートフォンゲームの存在感が少し薄らいだこともその背景にあるのかもしれないところ。

コンシューマゲームの好調が、開発人員の確保という課題をスマートフォンゲーム業界に及ぼしていることも費用の高騰という点で見逃せないポイントだ。

そうした中で、前述のようにブロックチェーン関連サービスなど新たな領域に踏み出すことで、状況を打開しようとする企業が増えてきていることはある意味必然とも言えるだろう。

また、任天堂<7974>とCygamesがスマートフォンゲーム事業で業務・資本提携を行い、今夏に新作オリジナルゲーム『ドラガリアロスト』を配信することを4月に入って発表しているが、こうした新たな枠組みでの動きが今後も増えてくるのかどうかも引き続き注目したい。
 
(編集部:柴田正之)


 
株式会社サイバーエージェント
http://www.cyberagent.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社サイバーエージェント
設立
1998年3月
代表者
代表取締役 藤田 晋
決算期
9月
直近業績
売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
4751
企業データを見る
KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
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