シリコンスタジオ、「YOKOZUNA data」に関する資産をキーワーズグループに約1.6億円で譲渡 販売代理契約を締結して一部営業活動を担当

シリコンスタジオ<3907>は、本日(7月23日)、機械学習エンジンサービス「YOKOZUNA data」に関する資産をアイルランドのKeywords International(以下、キーワーズ社)に譲渡することを発表した。譲渡価額は150万USドル(約1億6700万円)。

同社は、自社ゲームコンテンツ開発事業から派生した新規ビジネスとして、個々のユーザー行動を予測する最先端の機械学習エンジン「YOKOZUNA data」を2年以上の開発フェーズを経て、2017年に評価版の提供を開始した。本サービスは、2017年8月に開催された「IEEE 2017 Conference on Computational Intelligence in Games」において NCSOFT社主催のゲームデータマイニングコンテスト2部門でそれぞれ優勝し、予測精度の高さが証明されている。また、2018年4月に開催された「FICC(Future of Information and Communication Conference)2018」において、本サービス開発チームによる論文が最優秀論文賞を受賞するなど、学術的にも高い評価を得ている。

一方、本サービスの評価において、顧客から様々な意見・要望なども受けており、追加開発による本サービスのブラッシュアップが必要と認識していた。加えて、本サービスの普及拡大のためには、ワールドワイドでのプロモーション活動を強化し、認知度向上に努める必要がある。

このように本サービスの発展のためには、追加投資が必要であると考えられるが、同社の経営リソースを考慮すると、本サービスの成功のためには、単独で継続するより成長スピードを優先し、パートナー企業との協業によって普及拡大を目指すことが望ましいと判断した。当初は本サービスの開発を行う子会社を設立し、その株式の一部をパートナー企業へ売却することを想定していたが、そのスキームでは、本サービスの成長のための意思決定に時間を要することから、成長の阻害要因となりうると判断し、本サービスの発展のため譲渡することが最善という結論に至ったという。

譲渡先のキーワーズ社は、ロンドン証券取引所に上場するKeywords Studios(以下、キーワーズグループ」という)の子会社。キーワーズグループは、世界20カ国4大陸にまたがる42のスタジオを有し、ゲームコンテンツのローカライズ、アートアセット制作、エンジニアリング、音声制作、機能デバッグ、翻訳、言語デバッグ、カスタマーサポートなどを行うテクニカル・サービス・プロバイダーのリーディングカンパニーだ。

キーワーズグループは、ワールドワイドで営業実績があり、国内外のゲーム会社と多数取引があることから、譲渡先として適切であると判断した。今後、「YOKOZUNA data」の開発・運営、およびゲーム業界向けの営業活動はキーワーズグループが担うこととなる。シリコンスタジオは、キーワーズ社と販売代理契約を締結し、既に「YOKOZUNA data」導入済の企業、およびヘルスケア業界をはじめとしたゲーム業界以外向けの営業活動を引き続き担当する。また、ビックデータの活用方法が知りたいという顧客からの要望を多数受けたことから、「YOKOZUNA data」を活用した同社データアナリストによるコンサルティング業務を開始する。

なお、今回の「YOKOZUNA data」に関する資産の譲渡により、同社は特別利益1億3800万円を計上する予定。一方で、コンテンツ事業の会社分割によるクリーク・アンド・リバー社<4763>への譲渡時の費用等調整額も計上することで、同社の2018年11月期予想については、最終損益が従来予想の7億6500万円の赤字から7億700万円の赤字に縮小する形で影響する見通し。
 
シリコンスタジオ株式会社
http://www.siliconstudio.co.jp

会社情報

会社名
シリコンスタジオ株式会社
設立
2000年1月
代表者
代表取締役社長 梶谷 眞一郎
決算期
11月
直近業績
売上高45億5400万円、営業利益2億3800万円、経常利益2億4600万円、最終利益2億円(2023年11月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3907
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