【インタビュー】サンシャイン60への移転で業容拡大フェーズの対応体制を構築したオルトプラス 今後の展開を代表取締役CEOの石井武氏に訊く


2010年5月の設立から、ソーシャルゲームの企画や開発、及び運営、さらにITサービスの開発、運営支援などを事業の主体とし、ソーシャルゲーム市場で積極的な動きを見せ続けているオルトプラス<3672>。

同社は8月23日に株式会社フォワードワークスから配信され、ヒットを記録している『アークザラッド R』を開発。他にも集英社キャラクタービジネス室と『シンエンレジスト』を手掛けたり、有名IPコンテンツにも携わるなど、自社開発に止まらず、様々な企業とのパートナーシップによるタイトルを展開している。

また、ゲーム開発・運営のほか、アジアマーケットへの進出や今月リリース予定の社内仮想通貨発行プラットフォーム「コミュニティオ」などの新規事業開発、そして首都圏に限らず、地方拠点のゲーム開発会社との資本業務提携や高知への子会社設立も発表するなど、活発的な姿勢を示している。

9月25日からは、今後の事業拡大に備えるため、本社を東京都渋谷区から東京都豊島区にあるサンシャイン60の39階に移転するなど、設立10周年に向けて大きな転機を迎えている。

そこで今回、オルトプラスの今後の展望にフォーカスし、同社代表取締役CEOの石井武氏にインタビューした。



株式会社オルトプラス
代表取締役CEO
石井 武 氏



――:本日はよろしくお願い致します。まず、御社は前期新作タイトルをリリースし、ヒット作も生まれて収益を出してる印象です。本社も移転されましたが、今後どのようなビジョンを描かれているのでしょうか?

会社を創業した当時は、GREEやMobageを含め、Webベースのソーシャルゲーム全盛期で、そこから数年で業績を伸ばしてきました。当時のゲーム作りは改修スピードが速く、どんどんゲームに手を加えて売上や数値を変えていくという。そうした状況の中で事業をスタートしている立ち位置もあり、現在のオルトプラスは元々その時代からやってきた運営を中心に力を付けてきた会社です。

そこから徐々に開発寄りの仕事も行うようになり、ようやく前期あたりから新規のIPを創造するような所を出版社さんと一緒にスタートさせていただいたり、元々強みであった運営から、より新規開発、新規IPの創造という部分にまで業容を拡大できました。

今後は運営だけでなく開発、新規IP創出で実績を出せるようにしていきたいです。それから創業当時と違って、いまはアプリの開発が重厚長大化し、1社の内製だけで開発から運営まで全てできるという体制では無くなり、3Dや2Dなど、それぞれ得意な分野を持つ会社さんと協業するモデルが普通になっています。その中で、オルトプラスが様々な会社さんと協業していく上での強みをどこに持つべきか考えなければなりません。

また、9月に渋谷から池袋に移転しましたが、場所の問題だけではなく、そもそも東京ですべき仕事と、その他の地域ですべき仕事を分業していく時代になっています。全てを東京の人材、コストで賄うのではなく、大阪や名古屋のような地方都市や、当社が子会社を設立した高知のような地方拠点、ニアショア、さらに当社が持っているベトナムなど海外のオフショアなど、それぞれの良さをうまく組み合わせることでより付加価値の高い、ユーザーに喜ばれるサービスを作らなければなりません。

そういう意味では、東京の本社が池袋に移転した、という話だけではなく、池袋からさらに地方都市圏やオフショア拠点とつながり、ここに居を構えて我々の良さを出していかなければなりませんし、その良さを活かしてパートナー企業さんから「オルトプラスとタッグを組みたい」と思われるような強さを発揮していかなければならないなと感じています。


――:直近では『アークザラッド R』のヒットが記憶に新しいですが、その要因は御社の良さや強さというもの発揮されたのでしょうか?

『アークザラッド R』に関しては、フォワードワークスさんや『アークザラッド』というIPの強さに助けられた部分が非常に大きいので、当然当社の企画や制作力だけでヒットしたとは思っていません。



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私は以前、9年間コンシューマ業界におりました。当時、今のモバイルアプリのようにPS~PS3とコンテンツの重厚長大化が進んでいました。その時、モバイルゲームが立ち上がる時期に入り、より短小軽薄なものを、よりユーザーさんの近くで運営するコンテンツを作ろうと会社を設立しました。結果的に、今モバイルアプリ業界もコンシューマ時代と同じ状況なんです。

モバイルアプリって、最初に数千円出したり、テレビの前に座ってある程度の時間を拘束されるといったコンシューマ業界の大変だった所をカバーする形であったり、モバイルの進化に合わせて隙間時間に人とのつながりで遊べる良さというところで流行ったと思うんです。

当社も創業から8年以上経ちましたが、ソーシャル的な楽しみの提供のしかた自体、大ヒットしているゲームの中である程度はユーザーさんに伝えきっている節もある。これ以上、もっとすごいモバイルアプリの仕組みや文法を新たに提供するというのは、もちろんまだ可能性は残っていると思います。

ただ、ユーザーさんからするとモバイルアプリに対して新規感は薄れているとすると、今回ヒットした『アークザラッド R』は当然コンシューマの人気シリーズの続編という強いIPではありますが、遊び方自体は腰を据えて遊ぶ従来型のコンシューマゲームに近いものをいまどきのスマホで遊べるものとして提供している。ユーザーさんが再びコンシューマゲームライクなものを求め始めてきているタイミングだったことがヒットの要因として考えられます。

そういう意味では、これからまた改めて高性能になった端末に合わせたコンシューマゲームライクで、かつスマホに最適化された作品は、まだまだ新しいヒットを生み出すのではないでしょうか。




――:オルトプラスは自社開発のほか、開発会社に限らず出版社などとのアライアンスによる共同開発に多く取り組まれています。こちらは引き続き進める考えでしょうか。また、企業提携のメリットはどのようなものでしょうか?

新しいことにチャレンジしなければ、会社として大きく飛躍させること自体難しいと思っています。当然、リスクも大きくはなりますが、そこを一緒にリスクテイクしてくれて、組むことによってお互いの良さを発揮できます。単純に、別々の会社がそれぞれ新規のタイトルに取り組むよりも、よりヒットの確率が上がるようなパートナーさんと新しいことにチャレンジしていこうという考えです。

認知度のある国民的IPを利用すれば、スタートダッシュで多くのユーザーさんを取り込めるとは思いますが、一方でそれだけ有名IPですので、既に同IPを使ったタイトルが数多くリリースされているという状況になり、過去最大級の良いゲームを提案するというミッションを抱えなければならない。そこに取り組むこと自体違う難しさやリスクを伴うこともありますし、監修の問題などでなかなか新しいチャレンジができない場合もあり得る。

それならば、一緒にチャレンジできる会社さんと新しいIPの創出、あるいは既存IPであってもゲーム化が初というものであればユーザーさんもそのチャレンジを応援してくれると思います。そういうものをパートナーさんとご一緒して、うまく育てて世に出していくことに取り組んでいくほうが当社としての強みを出せる。

大きなIPはスタートダッシュで多くのユーザーさんがドンとやってくる中での運営になると思いますが、逆にリリース後に運営の力で少しずつユーザーさんを増やしていったり評判を上げていくことも我々の強みの1つ。

スタートダッシュにこだわるのであれば少しでも知名度の高いIPを使うという選択肢はあると思いますが、やはり新しいものを育てていく姿勢の中でうまく我々の強みを活かし、パートナー企業さんにもそれを認めてもらえるような形でやれると、同業他社さんにはない形のオルトプラスの良さ、事業の立ち位置での特徴が出せるのかなと思います。


――:冒頭で高知の地方拠点のお話もありましたが、前期は首都圏に限らず地方拠点のゲーム開発会社との資本業務提携や子会社設立も発表されていました。こちらはどのような狙いがあったのでしょうか? 実際ににどのような取り組みが行われたのか教えてください。

端的にお話すると、東京だけで、非常に高い人件費で運営や開発をしていくこと自体に限界があると感じました。東京は本社である自分たちががんばっていこうと思っていますし、様々なパートナー企業さんもおりますので、色々な企画やビジネスの交渉をしていくという考えがあります。

一方で、東京よりも若干ローコストで開発ができたり、もしくはその地域で何年も特色を持ってやられている会社さんがあるのが大阪や名古屋、札幌、福岡といった大都市圏の特徴です。今後はそれらの地域でしっかり根を下ろしてがんばっておられる地方の会社さんとパートナーシップを結んで、東京地方の良さを一緒に出せていければと思います。

ただ、そうは言っても東京と比べて、大阪、名古屋、福岡、札幌が極端に安いというわけではありませんので、さらにもう一歩進むという意味で、高知のように新幹線が通っていなくて、国際空港のない場所というところも拠点として考えてました。

高知を例に挙げると、地元には良い子たちがたくさんいます。今回既に採用を進めておりますが、やはりどうしてもその土地で働こう、暮らしていこうと思っても、そこのゲーム会社やIT系の会社がないために、せっかくの才能やスキルがあっても違う職種で働いている子がたくさんいるんです。そこで求人をかけると「待ってました!」とばかりにゲーム会社やIT企業で働きたいという子たちからたくさんの応募がありました。




このような相思相愛の関係を東京で築くのはなかなか難しい部分もありますので、地方拠点では地元の若い子たちとしっかりと取り組んでいきます。彼らはゲームやITの会社で働きたかった、作りたかったという熱量がありますので、その熱量を大切にしたいです。

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――:ベトナムのオフショアのお話もありましたが、こちらはどういう狙いで取り組んでいるのでしょうか?

まだまだWebのソーシャルアプリが全盛だった4年前、東京でエンジニアを募集しても良い人材をたくさん獲ることが非常に難しかった。そんなエンジニア不足の状況の中で、当社はWebのソーシャルアプリの運営を一緒にするために、オフショア拠点をベトナムのハノイに作りました。

その時、ベトナム以外の東アジア、東南アジアの国で拠点を作る可能性も考えましたが、当然ある程度の物価差がありました。我々もローコストを求めている部分もありましたが、物価が安くなるとどうしても治安が悪くなるんです。そんな中、ハノイは物価は安いんですが、ハノイ工科大学のようなIT系の大学卒業生がたくさんいて、しかも東南アジアの中ではものすごく治安も良かった。さらにベトナムは親日で、特にハノイは日系企業で働きたいという人や日本語を勉強している人がたくさんいたので、ベトナムのハノイに決めました。


そして、自分たちの運営をお願いする拠点として4年前にスタートいたしました。そこから2年ほどWebのソーシャルアプリ時代が続く中で、順次ベトナムに運営を移管しながら自分たちのタイトルを一緒にやってきましたが、ご存知のように日本国内の本社の開発を含めて2年間かけてネイティブシフトするという状況に大きく変わりました。

ただ、せっかく一緒に働いてきたのに、Webベースのゲームがなくなったから拠点を閉じよう、ということは考えませんでした。



Webを作るエンジニアがいるのであれば、非ゲーム以外の様々なWebサービスを作れるんじゃないかということで、不動産比較サイトやECサイトの制作を行い、それから3~4年目は親会社の仕事ではなく、普通に営業に行ってゲーム以外のWeb制作や色々なシステムを受注し、それをベトナムで作ってもらうという形で仕事を進めてきました。結果として、いまは8割が外からゲーム以外の仕事を取ってきて開発をするという拠点になっていて、連結した際に親孝行してくれました(笑)

――:今後のスマートフォンゲーム市場成長において、どのような動きを予想されていますか?また、御社ならではの強みをお聞かせください。

iPhoneが出て以降もそうですけど、画面が綺麗になった、高性能になった、通信速度が速くなったという所で提供されるアプリの質はどんどん良くなっていますが、四角い画面にタッチパネルでという根本にある大きな枠組み自体、この8年くらい大きく変化はしていないと思っています。

もし次に、また大きくデバイスが進化するタイミングがあって、アップルウォッチ等にゲームを提供したり、GoogleグラスやARといったヘッドマウントディスプレイにゲームやコンテンツを映すという事になれば、四角い画面をタップするという様式ではなくなるので、少なくともUIは変わり、提供するUXは大幅に変わるはずです。こういったタイミングで、また大きくヒットゲームを作るタイミングが来ると思っています。

いまは2D、3Dの違い、Web、ネイティブの違いはあれど、大きくデバイスの形や使われ方は変わっていません。その中での創意工夫になるので、よりコストを落とそうとか、どちらかというとハイテクよりハイタッチ面でノウハウを残していく必要があります。よりピュアな開発プログラムよりは、どちらかと言うと当社は運営側に力を入れてきて、そこはデバイスの形やプログラムが変わっても、"人にサービスをする"という、もてなしの部分が基本にあります。こういうイベントを実施すればユーザーさんはこういう反応をして喜んでくれる、という部分は基本デバイスやプログラムが変わってもハイタッチな部分であってハイテクな部分ではないので。

しかもこれはチーム作り、人作りなので、優秀なプログラマーが1人入社してくれると改善することはたくさんありますが、運営はそこでずっと働き続けている人たちのノウハウの集大成なので、長期にわたり当社で働き続けてくれている人がいる、というのも強みです。1つのサービスを4年も5年も続けて見てきたこと自体が大きなノウハウなんです。

当然、リリース直後は全員がレベル1からスタートするので運営は苦労しません。しかし、それが年数を重ねるごとにレベル数百の長期プレイヤーもいれば、最近始めたばかりの初級プレイヤーもいるので、全員を満足させるということが非常に難しくなってくる。

長く続けることで起こる問題は、長く続けたチームにしか出ない問題であり、培われていくノウハウ。最初からこうしておけばトラブルが少ないというものが、4~5年続けたることでわかっていること部分がとても多いので、その運営力と言う部分を評価していただいて、長く続けていくつもりのIPやサービスで当社をパートナーに選んでくれる会社さんも増えてきました。そこは引き続き当社の強みとしてしっかりと守っていきたいです。




――サンシャイン60への本社移転について、「業容拡大のため」と発表がありました。先程も少し触れられましたが、今回の移転の理由や具体的にはどのような点がこれまでと異なる動きを見せるのかお聞かせください。

渋谷はかなり賃料も高騰してきていますが、それだけでなくまとまった増床スペースの確保が難しくなっています。とくにこの1年、新規の開発に力を入れてきましたが、『シンエンレジスト』や『アークザラッド R』のように、順次開発を終えてリリースされ、運営フェーズに入るということにもなりました。

そして今制作しているタイトルも今後運営フェーズに入ってくるという中では、なるべく柔軟なオフィススペースの確保、増床しようと考えたときに、そのために当然コストの問題もあります。最初から使わないスペースも含めてすごい広く借りて空けておくということはなかなかできませんので、ピッタリなスペースに入りたいんですが、そうするといざ業容が拡大したときにまた移転しなければならないし、すぐ近くに増床できるスペースが確保できないということになると、なかなか企業的な判断が難しいんです。

そういうこともあって、今回池袋のサンシャイン60という大きな商業施設のオフィス棟に入りました。ビル内でやりくりをするためのキャパシティが非常に大きいので、仮に増床することになってもまだまだここで検討していける可能性がある。当然、サンシャイン60であっても自由にたくさん空いているわけではありませんが、他の一般的なオフィスビルに比べれば、発展させられると思いました。




大きな商業施設に隣接したところに入りたかったと思っていた経緯もありました。社員が働くにあたり、オフィススペース以外にもサンシャイン60内にランチのお店やコンビニも充実していますし、レンタル会議室スペースがあるのも大きな理由です。

大会議室って毎日使うわけでないけど、会社のために設けたらそのスペース自体の稼働率、利用率によっては余計な家賃を払い続ける形になりますので、必要な時に必要なスペースを同じビルの中で貸してもらえる場所があるというものポイントでした。

ただ一方で、IT系の企業が渋谷にたくさん進出しているのも事実で、その大きな理由が採用力が大きいこと。街の規模は新宿、池袋も渋谷と同じですが、人材系の採用アドバイスしてくれる会社さんの話を聞くと、やはり渋谷は圧倒的に求人に対する応募数が多いそうです。どうしてもIT系で優秀な人材に応募してもらいたいと考えれば、まず会社を渋谷に置きなさい、と言われる時期もありました。

当社も創業時に渋谷を選んだ理由はそこでした。やはり求人媒体に載せて多くの人に応募してきてほしいし、たくさん面接していい人と働きたいと思ったからです。そのためにオフィススペースを渋谷に確保していました。




ところが会社を8年続けてようやく社名の認知度も上がってきました。また、東京と地方の棲み分け、オフショア拠点を作ってそこでも百数十名が働くという体制を作って東京一極から分散してきたということもありますので、大きく採用力というところに注目するよりは、既に働いている社員の人達の働いている環境や満足度を上げて、離職者を少なく、勤務年数を長くし、ノウハウをたくさん社内に残していくというところに重点を置こうと考えました。

採用に関しては、スカウトじゃないですが、良い人に対してはこちらからどんどんオファーレターを出すような、どちらかというと能動的な採用に変わってきたり、自分たちで発信していくことでオーガニックの応募者を増やすことにこの1~2年取り組んできました。人材会社や求人媒体から採用するより、社員の紹介を含めて自社の力で採用できる機会が増えてきたこともあって、それであれば一旦採用という点に注目した渋谷から、このタイミングで池袋に移転しても、それほど大きく事業の進捗が人材難で滞ったり、進まないというネックもなくなってきたのも移転の理由です。


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――:オルトプラスはゲーム開発・運営のほか、アジアマーケットへの進出や今月リリース予定の仮想通貨サービスなど、新規事業開発にも積極的に取り組まれています。ゲーム開発・運営だけでなく、新規事業開発を行う意図や市場背景など教えてください。

まずひとつ、今月「コミュニティオ」という企業向け社内仮想通貨サービスをリリースしました。多くの会社さんでβテストの導入をしていただき、順次テスト導入や本採用してくれる会社さんもいらっしゃいます。

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元々ブロックチェーンの技術等を使い、これだけ世の中的にも世界的にも話題になっている中で、そういう技術を見て見ぬふりをするというのはないので、まずは商業ベースでお金をいただけるビジネスとして自分たちの中に取り込んで、ノウハウを貯めていこうという思いがあります。

かと言って、いま色々なブロックチェーンやサービスを作られている会社さんがありますが、当社は福利厚生を中心とした社内仮想通貨に絞っています。一旦は現実的に法整備がなかなか追いつかないところであったり、まだまだ未成熟なところがある中で、確実に利用シーンを作れるものとして、売上や利益の上がるサービスを提供する。それを考えたときにこのジャンルを選びました。




オルトプラス社内ではこれまで、例えばフリードリンクを始め色々な福利厚生としてのサービスを置き、社員の満足度を上げようと取り組んできています。それは同業他社さんも、給与以外の会社で働く魅力を出すためにいろいろな福利厚生を検討したり、導入しているところは多いと思います。

ただ従来の福利厚生ですと、年に1~2回しか利用しない保養所が使えますよ、等ありますが、そもそもそこに行くための休みをもらえるようにしてください、という話にもなり利用頻度が低いんです。逆に毎日利用するものとなると、極端に安価でカジュアルなものだったりする。そこをもう少ししっかりシステムとして作れないかと考えました。

当然ここで一旦ビジネスとして成り立つものを検討し、このジャンルからスタートしますが、使っている技術自体は今後ゲームや他のサービス含めて、仮想通貨の決済サービスとして使えるようなものや、そこで活かせるような基礎技術のようなものにも取り組んでいますが、まずは利用シーンを具体的に提供できるものに絞ってサービスをしていきます。




このサービスが育っていくことで、いずれ企業内間、地域などもう少し広い利用シーンへの展開、発展は検討できると思います。が、まずは具体的に設定できる小さな職場という単位から使ってもらおうということでスタートしました。

このサービスが非ゲームとしては大きな開発、運営として進めて参りましたが、ゲーム以外で作っているものも含め、直近の新規ゲームタイトルでは使わないプログラムや技術など、そもそもその言語勉強する必要あるの? そんなテクノロジー必要なの? ということは多いです。しかし、いまのスマホの四角い画面のタッチパネルの中だけでゲーム、サービスがずっと続いていくという前提はどこにもないので、ゲームで使わないテクノロジーでもある程度触れて、そのサービスを作るお手伝いをやっていく必要があると思います。

それほど大きな投資が必要な話ではないですし、具体的に10月のリリースで収益寄与もするようになると思うので、商売として成立するんですが、単純な純基礎研究みたいなものとは少し違いますが、ゲームで使わないテクノロジーも積極的に社内で扱っていかないと次の時代に対応できません。

仮に今オフショアで非ゲームとして作っているアプリやサービスも、基本は作って終わりというものはほとんどなくて、アップデートを含めてユーザーさんが利用すれば何かしらユーザーさんとのやりとりが発生するというものです。つまり非ゲームであっても運営、運用のないアプリやサービスを作る、クラウドに全くつながっていないものを売り切るというのはむしろ少なくなってきています、どんな開発であっても、どんなサービスであっても、リリース後にサポートや運営はするものなので、仮にゲーム以外のことをしていても、そのサービスを作ってリリースしたり、お手伝いすることでノウハウが貯まっていきます。

ですから、いま別々に動いているように思えるんですが、最終的には国内で作っている新規タイトルがリリースされ、運営されていることや、セキュリティ商品(DxShield)やコミュニティオなど、国内で非ゲームとしてやっているもの、オフショアで作らせていただいているWebサービス等々も、最終的には運営、運用サービスをユーザーさんに届けるためのユーザーさんとの接点として、かならず貯まっていくノウハウがあると思っています。

その強みの集大成が、最終的にもう一回、何かしらのゲームとして提供できるものとして大きく飛躍するかもしれない。ひょっとすると新しいデバイス向けのゲーム、もしくはもっと広くエンタメとして花開くかもしれないので、我々はそこに向かって運営、運用に足場を置いた会社の発展、飛躍を目指していきたいと考えています。


――:最後に、石井代表は今後のオルトプラスをどういう風に成長させていきたいですか?
 

おかげさまで、直近はヒット作に恵まれたこともあって、会社の足元の数字や状況と言うのは非常に良くなっております。当然この1~2年、新規開発できる体制を拡充し、IPを共同で制作できるところまでがんばってきましたが、そこは言うなれば先行投資の期間として過ごしてきました。

当然、先行投資したものが回収できるのか、商売につながるのかという部分について、常にチェックしながら進めてきたつもりではありますが、百発百中というわけにはいかない中で、数タイトル中、必ず一定以上のヒットをきちんと出していこうという目標をもってやってきました。

ただ、早々に足元でヒット作に恵まれたということもあり、ひとつ自分たちが取り組んできたこと、仮説としてやってきたことが実績に変わったことは大きいと思っています。今後、今やっていることに自信を持って、引き続き新作もきちんとリリースしていきます。これまではアクセルの踏み方としてセルフチェックしながら「この仮説はあっているだろうか?」と投資を続けてきたフェーズでしたが、1つ成功の答えが出てきたところもあるので、もう一段階アクセルを踏み込んでいきます。

ここからは、実績に基づいてできることがすごく増えていきますので、当初ヒットしたらやりたこともありつつ、ヒットが出るまではと考えてきたことに対しても、多少準備が整ってきたという風に思います。

それからゲーム、非ゲームと色々やっていますが、やはりヒット作に恵まれるということでパートナーさんにとっても、一緒に働く社員にとっても、非常に大きな支えや誇りになる部分があります。実際にパートナーさんもすごく喜んでくれていますし、それから新しい取引先さんからも、ヒットが出ることで「オルトプラスと付き合いたい、お願いしたい」という話も舞い込んできます。まずは、今までのパートナーさんと一緒に今やっていることを続けていくことと、ヒットに恵まれて体力がつき、いいお話をたくさんいただけるタイミングにもなってきました。

この8年、運営を中心にいろいろ新しいことにチャレンジしてきましたが、やってきたことが最終的に運営のノウハウとしてひとつの塊になるように、そこから新しい競争力、付加価値、そして次のオルトプラスが生まれるように、今回の移転で新しい本社からパートナーさんや協業パートナーさん含めて、みんなで発展して、もう一回り大きくなっていくという所を目指して進んでいきたいと思います。


――:本日はありがとうございました。

 

オルトプラス公式サイト

株式会社オルトプラス
http://www.altplus.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社オルトプラス
設立
2010年5月
代表者
代表取締役CEO 石井 武
決算期
9月
直近業績
売上高43億8700万円、営業損益5億5600万円の赤字、経常損益5億2200万円の赤字、最終損益4億2000万円の赤字(2023年9月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3672
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