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【CEDEC+KYUSHU 2018】『ドラゴンクエストVR』で作る「もうひとつの現実」…”バトル・冒険・協力”を実感するために施された工夫とは

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CEDEC+KYUSHU 2018実行委員会は、12月1日、九州産業大学1号館(福岡市)にて、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC+KYUSHU 2018」を開催した。
 
本稿では、当日に実施されたセッション「ドラゴンクエストVRで実現した、新しい冒険のカタチ!」のレポートをお届けしていく。
 
こちらのセッションには、バンダイナムコアミューズメント プロダクトビジネスカンパニー アシスタントマネージャーで『ドラゴンクエストVR』のプロデューサーでもある浜野孝正氏と、スクウェア・エニックス 第6ビジネス・ディビジョン ドラゴンクエストシリーズ チーフプロデューサーの市村龍太郎氏が登壇。フィールドVRを使った新しい『ドラゴンクエスト』を世の中に送り出した二人のプロデューサーが、VRの可能性を広げた本作の魅力や、競合2社を結んだ情熱と開発秘話について話を展開した。
 

▲バンダイナムコアミューズメントの浜野孝正氏。主にVRアクティビティや体験型コンテンツの開発プロデュースを担当している。
 

▲スクウェア・エニックスの市村龍太郎氏は、『ドラゴンクエストVR』に登場する「ホミリー」が描かれたシャツを着て登場。現在は主に『星のドラゴンクエスト』や『戦え!ドラゴンクエスト スキャンバトラーズ』などを担当している。
 
現在、『ドラゴンクエストVR』が展開されているのは東京・新宿と大阪・梅田の2ヶ所ということに対して、講演は福岡で行われたこともあり、当日の来場者の中にはまだまだ『ドラゴンクエストVR』を体験済みという方は少ない模様。そこでまず浜野氏は、本作の概要を紹介した。



フィールドVRアクティビティと銘打たれる本作では、20m×12mの専用アリーナに多人数全身のモーションキャプチャシステムを構築しており、複数人で広い空間を実際に歩き回りながらVR体験をしていくものとなっている。
 
会場に入るとまずはルール説明や注意事項などのブリーフィングを受けることに。その後、機材を装着したらいざフィールドへ。ここで歩くことになるのだが、この”歩く”という行為が大事になると浜野氏。ゲームリテラシーが高いほど一歩が踏み出せない人が多いが、本作はフィールドVRアクティビティとなっているためゲームを進めるには自らの足で実際に歩く必要があるとのことだ。
 
 
▲本作のコンセプトは「バトル」、「冒険」、「協力」。この3点を実現するため、さまざまな工夫が施されている。
 
1. 「バトル」編
まずは「バトル」について。企画発足時、VR ZONEのコヤ所長が市村氏に話を持ち掛けた際、市村氏は「『ドラゴンクエスト』をVRでやるなら、モンスターを剣で斬っている感覚が味わえないと成立しない」と回答したという。そこで、浜野氏は本格的な「剣戟」とはどのような体験になるのかを考えることに。
 
そうして行き着いたのが「間合い」と「手応え」の実現だったという。また、身体全体を使って斬る動作でなければ本物の体感は得られないと考えたため、手首だけを返して斬るような「手首スナップ斬り」を抑止したと浜野氏は述べた。
 
 
▲こちらは当時、市村氏がテストで体験している模様。反力装置もしっかり付いており、狙い通りの斬り応えを得ることはできたが、機材重量が3kgほどあり、フィールドの中で振り回すのは危ないという問題に直面する。
 
ここで、会場で話を聞いていた堀井雄二氏にも『ドラゴンクエストVR』を初体験したときの感想を聞いてみたいということで、市村氏が堀井氏を壇上に呼び込んだ。

 
▲堀井氏は、機材を元々の重さの2/3ほどまで軽量化することに成功したところで『ドラゴンクエストVR』を初プレイ。しかし、その評価はまだまだ重いというものに。
 
その後、極限まで意匠などを見直してグラム単位で調整を図った結果、当初の1/3ほどの重さまで軽量化を実現する。


▲意匠を削ってしまうとフォルムがカッコ悪くなってしまうため、当時はデザイナーとメカニックが意見をぶつけ合わせたこともあったとか。
 
制作の過程においては、「間合い」を図るために実際にチャンバラをすることもあったという。モンスターの中に運営スタッフが混じっているという案もあったが、これは事故が起こる可能性もあるため採用しなかったとの話だった。この辺りは、未来に安全が確保された際に実現されると、より楽しいコンテンツが生まれそうだという予感を抱かせてくれた。



続いては「呪文」の実現について。完成した魔法使いは堀井氏のお気に入りにもなったようで「呪文が気持ち良かったよ」と顔をほころばせた。
 

 
では、呪文の選択、発動、強化の部分をどのように表現していったのか。浜野氏は「呪文」の制作過程を振り返った。


▲最初はプレイヤーが実際にルーンを描く形を試してみたが、呪文ごとに定められたルーンを覚えられないという課題が発生して断念することに。


▲続いて、1つの魔法陣の中にいくつかの選択肢があり、触れる場所によって指定の魔法を自由に使える形を実現。しかし、場所によっては手をクロスさせなければならないなど、指しにくい箇所も発生してしまったためこちらの案も却下となった。


▲最終的に落ち着いたのは、呪文ごとに魔法陣を用意してその中から選択するという形に。
 
また、呪文の強化についても最初は手をかざし続けるなど、1アクションを入れるような形で考えられていた。ただし、手をかざす動作が魔法陣を出す動作と似ているなど、認識し辛いという問題もあり実現はされなかったとのこと。
 
そうして、呪文の発動や強化をオートにするなどシンプルな動作に、選択はさせるものの視覚的にも分かりやすい「呪文」へと仕上がった。改めて浜野氏は、「VRの世界に入った状態では2アクションが限界だと感じた」とコメント。それ以上アクションが増えると理解しづらくなる。頭で分かっていても、身体がついてこないことで、違和感が生まれると没入感が薄れてしまうという要因もあるため、VR空間においてはシンプルな動作にすることは大事な要素であると話した。


▲そのほか、MPの概念もなくして体験に集中しやすいようにしている。
 
また、“違和感”についてはもう1点こだわったポイントがあるという。それは、剣でモンスターを斬りつけたときの”「やられ」演出”だ。斬られた際にノックバックすることは当然だが、そのほかにモンスターは斬られた方向に飛んでいくような仕様にしていると明かした。そのため、モンスターが吹き飛ぶ方向はプレイヤーの斬り方次第で変化するようになっている。

 
 
浜野氏はテニスを例に出し、自分でも無意識下のうちに経験として飛ぶ方向を予想してラケットを振っているため、ボールが叩いた方向に飛ばないと本人も気付かぬうちにストレスとなってしまうと述べた。VRにおいては、こうした方向のリッチさがバトルに入り込める要因となり、重要なポイントであることを改めて気付かされたと浜野氏は語る。


 
2. 「冒険」編
ここからは2つ目のテーマである「冒険」について。
 
『ドラゴンクエスト』の冒険においては、「緊張と興奮」や「ワクワク感」、「心躍る気持ち」が欠かせないものとなっているが、ここで浜野氏は、これらの感覚は「危険な体験」に繋がっていると解釈したという。従来のメディアと比べてVRは主観的なメディアであるため、「自身に直接降りかかる体験」と「自身に沸き起こる感情」を楽しむことが大事であるとのこと。


 
例えば、客観視ができるアーケードのレースゲームではブレーキを踏ませることが難しいが、主観となると話は別である。理屈を超えて身体が反射的に反応してしまうところが、こうした主観メディアの特徴であるとのことだ。そのため、浜野氏はVRにおいて「この世界が本物だ」と思わせることは非常に大切であるとし、そう錯覚させるためにも反射的な行動をさせる仕掛けをコンテンツ内に用意ことが大きなポイントとなると語った。
 

 
では、『ドラゴンクエスト』の何を現実のものとしていくか。堀井氏、市村氏からぜひ実現したいと提案のあった呪文「ルーラ」を取り入れることとなった。実際に身体を飛ばすことができない以上、その浮遊感は映像で表現することとなる。そうした演出は酔いに直結することもあり最初は躊躇したという浜野氏だったが、市村氏の後押しもありチャレンジしてみることになったのだとか。結果、ビル4階の高さまで数秒で到達するような仕掛けが組まれたのだが、浮遊感も強く今やコンテンツの目玉にもなっているという。実際にルーラを体験した市村氏は「(自分の身体は)何も動いていないのに、身体が浮かぶ感覚がする。」とコメントした。
 

▲飛び上がるスピードを調整しなければ酔いにも直結してしまうため、どのように飛ばすのが最適かという研究も行われた。そして、最終的には「じわっと型」に落ち着いたとのこと。
 
そのほか、上から岩が落ちてくるシーンでは実際に後ずさったり、盾を構えるという反射的行動をする人が後を絶たないようだ。


▲市村氏が苦手だという透明の床。先には旅の扉があるため自分の足で歩いて向かわなければならないが、崖からおちてしまうのではないかという不安が煽られる。


▲狙ったわけではないが、丁度良いところに空調があったことからより自分が高所に居るという錯覚が起こり、「視覚」と「触角」が影響を及ぼし合うことでリアリティが増幅する結果となった。これには堀井氏も「頭では分かっていても、本当に落ちちゃうんじゃないかと足がすくんでしまう」と話した。
 
ここまでの話で浜野氏は、VRにおいては、身体を反応させることで頭を信じさせることが大事であると考えながら開発をしていたと話をまとめた。
 
3.「協力」編
最後は「協力」について。浜野氏は「協力」を実感させるためのポイントとして、会話が生まれる仕掛けや状況を作ることをポイントとして挙げた。
 
そこで、「できること」と「できないこと」をはっきりさせることで明確な役割分担を行い、役割があるからこそ自分か何かをしなければいけないか分かる状況を作ったという。各自が役割を理解し、同じ目的に向かうことで、バトルの際には自然とポジションチェンジを行ったりという動きも見られたようだ。また、相互が補完関係にあることで、危機に陥った人を助けるなど、初対面の人と遊んでも自然とコミュニケーションできる環境が作られた。



相互の補完関係については、堀井氏が「バイキルトが面白かった」と話す。魔法使いが戦士を強化することで、威力が上がるだけでなく、見た目にも剣が大きくなるという視覚効果が入っているほか、リーチも伸びるとのこと。
 
4.番外編
先ほど、VRは主観のメディアという話があったが、一方で『ドラゴンクエスト』の魅力を支えている要素のひとつは「物語」であると浜野氏は述べる。この点に関しては市村氏から「王様に始まり王様に終わる」という一連の流れが必要とのアドバイスがあったとのこと。一瞬の体験だけでは感情による没入感が得られないため、しっかりとしたストーリーを組み立てられたことで、主観と客観を交えたメディアが完成したと振り返った。


 
さらに、『ドラゴンクエストVR』は体験型コンテンツであるため、内容のほかに前後の体験も重要なトリガーとなると浜野氏は言及する。


▲名前のほか、身長や性別を選択するエントリーシートから既にロールプレイは始まっているのだ。
 
今回の制作を経て浜野氏は、VRとは仮想現実であると言われることも多い中、「VR≠仮想現実」であると結論づける。現実の体験があるからこそVRの世界に入り込めるということから、VRとは「もうひとつの現実」であると話した。VRコンテンツを制作する際には、そうした認識を持ちながら取り組まなければいけないとのことだ。


▲本作のキャッチコピー「ドラクエに、入ろう。」は堀井氏からの提案によるもの。堀井氏は、体験プレイ時に草原のシーンで1歩目を踏み出すのが怖かったが、いざ踏み出して世界を信じられた瞬間に「入ったな」という感覚があったと話した。
 
最後に市村氏は「エンタメ業界にいるのであれば、是非、一度体験してほしい」とコメントして講演の締めとした。

 
(取材・文 編集部:山岡広樹)



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企業情報(株式会社スクウェア・エニックス)

会社名 株式会社スクウェア・エニックス
URL http://www.square-enix.com/
設立 2008年10月
代表者 松田 洋祐
決算期 3月
直近業績 売上高1922億円、経常利益341億円、最終利益279億円(2018年3月期)
上場区分 東証1部(スクウェア・エニックス・ホールディングス)
証券コード 9684

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