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【セミナー】直良有祐氏が自身のアートディレクション法を伝授…「アート」と「グラフィック」の違いなど現場のリアルな声をお届け

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ディライトワークスは、12月7日、同社内にて、キャリアの相談を行えるセミナーイベント「肉会(MEAT MEETUP)Vol.7 秘密の肉会 ~直良のアートディレクション編~」を開催した。
 
本イベントでは、現在デザイナーとして活躍している方を対象に、『ファイナルファンタジーVII、VIII、X、XV、零式』のアートディレクションをはじめ 『サ・ガ』、『FRONT MISSION』シリーズのアート、『戦国IXA』などのイラストを手掛けたディライトワークス クリエイティブオフィサーの直良有祐氏が、これまでの経験から培ってきた秘密のノウハウを伝授する。また、ディライトワークスのアート部とグラフィック部のマネージャーも登壇し、同社でのゲームグラフィックに対する考え方や、「アート」と「グラフィック」の違い、それぞれの仕事のやりがいなど、ディライトワークスでの現場の仕事についてリアルな声を届けた。本稿では、イベント前半に行われたトークセッションについてのレポートをお届けする。
 
【登壇者】

ディライトワークス株式会社
クリエイティブ オフィサー
IZM designworks株式会社
代表取締役
直良有祐氏
 
2016年までスクウェア・エニックスに在籍。その後、故郷である島根県・出雲に戻ってフリーランスとしての活動を始める。現在はフリーランスとしての活動を続けつつ、ディライトワークスで「ディライトアートワークス」と「ディライトグラフィックワークス」の2部門の統括を担当している。
 

ディライトワークス株式会社
グラフィック部マネージャー
グラフィックディレクター
田口博之
 
1992年よりセガでゲーム制作を担当。一時はアート務めていたこともあるが、自身が生粋のゲーム作り職人ゆえゲームの手触りやユーザーとの距離感が忘れられず、2018年4月よりディライトグラフィックワークスでマネージャーを務めることとなった。
 

ディライトワークス株式会社
アート部マネージャー
アートディレクター
角崇康
 
2017年1月よりディライトワークスに入社。前職まではUIや2Dのスライドアニメーションをメインに担当していたが、現在はディライトアートワークスでアートに関する業務を担っている。
 
【会社紹介】

▲2019年1月で設立から5周年を迎えるディライトワークス。「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう。」という開発理念のもと、『Fate/Grand Order』をはじめとした各種プロジェクトに取り組んでいる。
 
ここからは、直良氏が司会進行を務めて各テーマに沿って話を展開した。
 
●イラスト・デザイン画など名前が沢山有り過ぎる件について
まず直良氏は、ひとえにアートとはいえ、その名称には「イラスト」「デザイン画」「コンセプトアート」「イメージボード」「キービジュアル」「設定画」など、様々な呼び名があると言及する。厳正なルールがなく、会社や文化によっても指している範囲が異なるため、時には認識の齟齬によりアートディレクションの妨げになることも少なくないとか。
 
そこで、直良氏は「イラスト」と「デザイン画」の違いについて説明する。あくまでも直良氏の経験に基づいたディライトワークスでの定義となるが、2つの違いを以下のように解説した。
 
イラスト:対象となる人の感情に作用させるモノ
デザイン画:チーム内で関連する人の仕事を決めるモノ
 
例えばデザイン画は、その後ほかのクリエイターの手によって2Dや3Dグラフィックが作成されるなど、基となるものでバトンの役割を果たすと直良氏は話す。前後の工程を意識して仕事に作用するものが「デザイン画」であるとの話だった。一方、「イラスト」は商品そのものや看板になるようなもので、人の感情に訴えられるようなものであるとのことだ。
 
●アートのコンセプトって必要なのか分からない件について
続いてはアートのコンセプトについて。ここでは一例として、ファンタジーをベースにした世界を作る場合を挙げた。しかし、「ファンタジー」という一言だけではまとまりがなく、多種多様なイメージを持たれていることが分かる。また、この件に関して角氏は、ファンタジーに限らず「ドラゴン」や「勇者の剣」など、多くのケースで各々が異なるイメージを持つ可能性があると指摘する。
 


そこで直良氏は、ゴールをより明確にするためにもコンセプトアートは必要になるとの回答を提示する。コンセプトアートが存在することで、作りたいモノが可視化され、チーム内で最終イメージの共有が可能となる。また、商品イメージの可視化にも繋がるため、スポンサーや会社に提示することで開発資金や期間にも直結する要素だと話した。
 
そのほか、作品の特徴作りはアーティストの肝であるという。ヴィジュアルアイデアの提案は、作品の幅やトーン、ウリなど、パッと絵を見た瞬間に「あのゲームだ」と思わせる特徴を作る部分にあたるとのこと。
 

 
さらに、直良氏は「人が見たことないモノには価値がある!」と話を展開する。そして、コンセプトアートとはファイナルヴィジョンを提示することであると考えているとまとめた。
 
見たことのない世界を作っていくためには、最終ゴールをコンセプト立てて全員で未来を共有することが非常に大事であるという。また、ヴィジョンを提示することはユーザーから想像の機会を奪うことにもあたる。アートを生業にする者は、責任を持って明確にヴィジョンを持つことが重要になるとの話だった。なお、講演後の質疑応答では、人が見たことのないものをイメージ化する方法のひとつとして、自身が好きなNBAを見てカメラワークを参考にするなど、さまざまな情報を外からも「この表現はまだゲームの世界に取り入れられていないだろう」という点を探して刺激を増やしていると答えた。
 

▲コンセプトアートを作る業務は、0から1を作る作業にあたると田口氏は語る。後に1を10に量産していくうえで、根っこにあたる部分になるとのことだ。また、実際に手を動かしている時間より、周囲のメンバーがどのように考えているかを話す時間の方が多いという現場ならではの話も聞けた。
 
では、アートのコンセプトとはどのようなものなのか。直良氏は、「キャラクターを通して世界をどう描くか」であると述べる。ディライトワークスでは、「10年先も心に残るキャラクター」をコンセプトとして、キャラクターを大切にしてゲームを制作しているという。そこで、キャラクターを通して世界を描くことを中心に、どのようにコンセプトを立ててアートの芯にするかを考えている。その理由について直良氏は、自身の経験を振り返って、キャラクターを通して描かれた世界というのは名場面になり得たり、思い出に残りやすいと語る。最終的に思い出すキャラクターや場面は、ユーザーに大切にしてもらえていると話した。
 
そして、世界観とは循環や理、相互作用のことだと述べる。映画「ロード・オブ・ザ・リング」に見られる「指輪を返すと世界を救える」という設定は、キャラクターが世界の循環や理に関わる一例だとして説明した。つまりは、世界がキャラクターに、またはキャラクターが世界にどう影響し合っているのかという点が”世界観”を構築する基盤になっているとのことだ。
 
コンセプトの定義について説明を終えたところで、ここからは、より具体的なコンセプトの考え方について紹介。直良氏は、確信がないのであれば、まずは問題を解決するために手を動かす前に考えることが必要になると述べる。現在、ディライトワークスでは、以下のような「コンセプトシート」というものを活用して部分的に言葉として可視化していると話した。
 

▲トークセッション用に直良氏が埋めたコンセプトシートの使用例。閃き型のタイプの人はシートの上側から、秀才型のタイプの人はシートの下から埋めていくアプローチが良いのではないかとのこと。
 
今の話では、コンセプトシートの項目を埋めてからアートの制作に取り掛かるとの話だったが、ここで角氏は「逆に、閃いてコンセプトアートを描いた後に、正しいかどうかの答え合わせをすることもできる」とコメント。また直良氏は、コンセプトシートの内容を評価する際は、以下の3つの軸を基準にしていると明かした。
 
【3つの評価軸】
・新規性・独自性があるか?
・時代に寄り添っているか?
・描き切れているか?
 
中でも、新規性や独自性については「商品のウリになるかどうか」が軸だと説明した直良氏だったが、ここで田口氏は「この時点で”商品”というワードが出てくるのは珍しいと感じられる方もいるのではないか」と話す。これに直良氏は「お客様に届けるためには会社やクリエイターを相手にしなければならないため、商品であるということは常に頭に入れている」との答えを示した。
 
そして、最も大切なのはキャラクターや世界を描き切ることで、これがなければユーザーの心は動かないし、コストを掛ける価値も下がってしまうと述べて本テーマの締めとした。
 
●アートとグラフィックって別れてる件について
こうしたコンセプトを実現するため、ディライトワークスでは「アート」と「グラフィック」を分けて活動している。この点は同社の特徴的でもあるのだが、理由についても次のように説明してくれた。
 

 
上記はフルプロダクションのケースで発生するデザイナーの業務を全て可視化したもの。図の上部にいくほどアート色が濃く、下にあるものほどグラフィックの色が強くなる。直良氏は、デザイナーの中にも得手不得手があるため、「アート」と「グラフィック」の仕事を分けていると説明した。また、お互いの仕事を理解しながら得意なことをやっていくためにディライトアートワークスとディライトグラフィックワークスを設立したという経緯も明かしてくれた。
 
そのほか、冒頭に紹介したアートの名称である「コンセプトアート」や「イメージボード」、「キービジュアル」、「キーデザイン」についても、それぞれどのような人を対象に何を描いているかという説明も。
 
■コンセプトアート
ゲームのコンセプト、個やキャラクターを表現したもの。
・対象:チームや会社
 
■イメージボード
バトルやレベルデザイン、具体的なイベントシーンなど各シーケンスを表現したもの。
対称:ディレクターや関連セクションなど
 
■キービジュアル
タイトルのゴールやテーマを表現したもの。
対称:チームからユーザーまで幅広く
 
■キーデザイン
メインとなるデザインの指針の分かるもの。
対称:主にディレクターやデザイナー
 
上記の区分けを見た角氏は、各アートによって役割が大きく分かれるとコメント。田口氏は「キービジュアルはデザインの指針を受け取るものとして見ているが、コンセプトアートを見たときは自分が何をやりたいかという方向を考えている」と語った。
 
●アートディレクションって結局何なのか分からない件について
ここまでの点を踏まえて、直良氏はアートディレクションとはどういったものを指しているのかということを説明した。ちなみに、日本のアートディレクターは自身で絵を描く人が多いが、これはハイファンタジーや不思議なものなど、想像上の産物に寄った作品が多いため、言葉より絵で説得した方が早いケースが多いためではないかと直良氏は分析する。
 

▲角氏は元々イラストレーターではなく、映像やデザイン業界から移ってきたため、現在、絵を描かないアートディレクターとしてチームを運用しているという。先ほど紹介があった通り、直良氏はファイナルヴィョンをチームに提示することができればアートディレクターとしての仕事は務まると説明した。
 
そうした環境の中で、直良氏はどのようなアートディレクションを試みているのか。例として、下記のように○の絵が必要だというオーダーがあった際の解を示しながら解説した。
 

▲キチッとしたイメージが要求される左のケースでは、「この場合はこの○でなければいけない」というようにディレクターの作家性が高いことが多いという。一方、「○であればあとは任せる」という用件のみを要求する場合は、各作家の個性が出やすくなる。
 
なお、上記のようなケースで直良氏がアートディレクションを務めるのであれば右を選ぶとのこと。では、その中でどのようにして統制を図っているのか。アートコンセプトやテーマを軸として「ここから外れると作品らしさがなくなる」という幅のみを決め、トーン&マナーなどで抑制していると説明した。そうすることで、中の部分に関しては色々な人たちが次々に新しいものを生み出せるほか、個性の発露が作品の強みになれば良いとメリットを述べた。もちろん、直良氏自身でもファイナルヴィジョンをとことん考えているが、自分の限界がチームや作品の限界になってしまってはいけないので、色んな人たちの個性が必要となるとの考えのようだ。
 

 
田口氏は、グラフィックを制作するうえでは新しいことも思い付いてしまうため、最初から細かいところまで「これをやってください」と言われると、指示された以上のものが生み出せず幅が狭くなると話す。そのため、直良氏のように色々な人のアイデアを吸収してもらえる振り幅があることは凄くありがたいと述べた。
 

▲こちらは直良氏がアートディレクションを行う際に大切にしている点。なお、ディライトアートワークスでは「最高のドラマのあるアートを!」、ディライトグラフィックワークスでは「最高にエキサイティングなグラフィックを!」を理念にしている。
 

●グラフィックもコンセプトが必要か分からない件について
一方、グラフィックコンセプトは、ゲーム全体や画面を通してユーザーへ伝えたいことや、最上位で表現したいことをプロジェクトで共有するためのものであると直良氏は述べる。グラフィックコンセプトを作成して自分たちはどういった表現を目指しているのかを決定することで、多くのデザイナーたちの仕事が決まるため、グラフィックコンセプトは必要なものであると考えていると直良氏は回答した。
 

▲グラフィックは、描いた理想を現実へと落とし込むためのもので、ユーザーのために貢献するものであるとの話だった。
 
●ゲームアートの将来が気になる件について
最後のテーマはゲームアートの将来について。
 
ここまでの話を振り返って直良氏は、絵を通すことで様々なアウトプットがあり、作品ごとに可能性を秘めているとコメント。例えば、『Fate/Grand Order』は舞台やリアル脱出ゲームなど、多彩な展開をしているが、どのメディアであっても描く世界やキャラクターのベースになる部分は同じものであることが大事とのこと。そのうえで、それぞれの世界が拡がると良いと考えているとコメントして講演の締めとした。
 

イベント後半の懇親会では、参加者と登壇者が一緒になり、美味しい肉料理を食べながら、交流や情報交換が活発に行われた。
 

 
▲今回の肉料理は、クリスマスをテーマにターキーやクリスマスハム、鴨のローストが用意されていた。
 
なお、ディライトワークスは12月29日~12月31日に東京ビッグサイトで開催される「コミックマーケット 95」に初出展する(関連記事)。会場には、当日販売予定の「Fate/Grand Order バトルキャラ風アクリルスタンド(全4種)」も飾られていた。
 



 
また、「肉会(MEAT MEETUP) Vol.8」の開催告知も行われた。次回は、ディライトワークスで”新しいこと”に挑戦し続けるために新設された「DELiGHTWORKS SWALLOWTAIL Studios(DSS)」について、スタジオヘッドである塩川洋介氏を中心に、DSSではどのようなプロジェクトを扱っているのか、実例を交えながら仕事の面白さや、やりがいについて話を展開する。
 

イベント:肉会(MEAT MEETUP) Vol.8 DELiGHTWORKS SWALLOWTAIL Studios キャリア相談会
開催日時:2019年1月11日(金)20時~
 

お申し込みはこちら


 
(取材・文 編集部:山岡広樹)
 

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企業情報(ディライトワークス株式会社)

会社名 ディライトワークス株式会社
URL http://delightworks.jp/
設立 2014年1月
代表者 庄司顕仁
決算期
直近業績
上場区分
証券コード

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