SpatialOSの開発で知られるImprobable、Epic Gamesとの連携を強化 「デベロッパーのために協力体制を築く」と共同声明 ユニティを批判


Epic GamesとImprobableは、デベロッパーのために協力体制を築くという声明を発表し、ユニティを批判しつつ、SpatialOSとUnreal Engineとの連携を強化していく考えを示した。

イギリス・ロンドンを拠点とするImprobableは、SpatialOSを開発している。SpatialOSは、ゲームなどで利用する3D空間を設計・構築・実行する、一種のミドルウェアで、無料のオープンベータ版も公開されている。UnrealエンジンやUnityとの組み合わせることで、より豊かな世界のシミュレーションが可能になる、としている。

SpatialOSは、MMOなどのゲーム開発で利用することを想定しているが、仮想空間の構築という点で、交通、水道・ガス・電気・下水、インターネットの接続状況を含んだ都市開発のシミュレーション用途への期待もあるようだ。

こうしたなか、ユニティは、先日、Unityの利用規約を変更し、ストリーミングとクラウドゲームの制限を強化するとともに、UnityからSpatialOSの利用を排除した。SpatialOSの開発継続が困難になったImprobableは、Epic Gamesとともに共同で以下のような声明を発表することになった。

声明の内容は以下の通り。

 
最近、Unity のサービス規約に変更があり、デベロッパーたちの間で不安が持ち上がりました。 ― 今後も、エンジンやミドルウェア SDK、ストア、クラウド サービス プロバイダーを自由に選択することができるのだろうか、という懸念が広がったのです。さらに深刻なことには、開発途上にあるゲームが中断状態に置かれているということが起きています。この件に関する詳細な情報は、このページで読むことができます。

Epic Games と Improbable は共に、ゲーム デベロッパーのために改めて誓います。だれもが使える相互運用可能な規格に裏打ちされたエンジンと他テクノロジーの最高の組み合わせをこれからも提供し続けることを約束します。両社は、デベロッパーがパートナーとソフトウェア コンポーネントを自由に選択できることを尊重します。

最初に、私たちのパートナーシップを再確認しておきたいと思います。Unreal Engine は、C++ の完全なソースコードをあらゆる人々に提供しています。また、Unreal Engine のライセンス (https://www.unrealengine.com/en-US/eula) は、すべてのゲーム デベロッパーとミドルウェア プロバイダーに対して開かれたままであることを保証しています。

同時に、このライセンスは、あらゆる人々が SDK やサービス、ソースコードのフォークを通じてコラボレートすることを可能にしています。同様に Improbable も、オンライン ゲームの開発プラットフォームである SpatialOS が完全に開かれた状態で Unreal との統合を実現できるように開発しています。

Unreal Engine と SpatialOS の結合によって、デベロッパーは、セッションベースでありながら持続的なオンライン世界を迅速に制作かつデプロイできるようになります。しかも、Unreal Engine の機能を搭載しつつ、分散コンピューティングとクラウド サービスの実現性を向上させながら、あらゆるプラットフォーム上でゲームを展開することが可能となります。

Epic Games と Improbable のパートナーシップ、および Improbable によるクラウド ベースの開発プラットフォームである SpatialOS の統合は、共通の価値観、共通の信念に基づいています。お互いのカスタマーを、突然の変更を企てることなく分かりやすい形でサポートするために努力を払うべきである、という信念に基づいているのです。

現代は、さまざまな要素を包括するオンライン ゲームが日々の生活の一部になる未曾有の時代に突入したところです。そして、このような未来を実現するためには、Unreal Engine と Improbable だけでは困難です。格段に成熟した、広範囲に及ぶ業界の連携が必要となるのです。

公平で開かれたビジネス関係、デベロッパーの選択権に対する尊重、プラットフォームやソフトウェア、サービス間における完全な相互運用性といった価値観を共有する企業のコミュニティが欠かせません。私たちは、同じビジョンを抱く他の企業も互いに手を携えてるべきだと考えています。そうすることによって、実現を早める方法も見つかるはずです。 

本日導入された、エンジンとサービスに関する新たな不適合化基準によって、開発の中断を余儀なくされているデベロッパーたちがいます。Epic Games と Improbable は、このようなデベロッパーたちを支援するために、共同で、25,000,000 米ドルの基金を設立しました。

これは、デベロッパーたちがより開かれたエンジン、サービス、エコシステムへ移行できるようにするためのものです。その基金は、Unreal Dev Grants や、Improbable のデベロッパー支援基金、Epic Games ストアからの支援金など、さまざまな部門から拠出されることになります。 

ゲーム業界は急速に進化しています。日々、デベロッパーに優しい世界へと成長しています。私たちを信頼していただいたすべてのデベロッパーに感謝しています。今後どのような作品が生まれるのか、とても楽しみにしています。


なお、Improbableに対してソフトバンクグループはおおよそ570億円規模の投資をしていること、またNetEaseは約55億円程の投資に加え、同OSを用いたVR MMOゲーム「Nostos」の開発を行っている。

1月11日21時9分追記

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