ブラウザゲームの躍進

 いまさらですが、オンラインゲーム市場におけるブラウザゲームの躍進について触れたいと思います。  メディアクリエイト「オンラインゲーム白書」の最新版が6月30日に発売されましたが、それをみて驚いた方は多かったのではないでしょうか。「オンラインゲーム白書」は、毎年調査内容が一定しないため、データ取りのための資料としてはいまいちでしたが、今年に至っては「業界動向」や「タイトル分析」の部分が大幅に削られました。ただ、「ユーザー調査」と個別タイトルの分析が非常に充実してますです。(※1)  わずか5ページに削られてしまった(データ部分を除けば、実質2ページ)タイトル分析を見ると、オンラインゲームの新規タイトルが減少する等、市場の成熟化と同時に、オンラインゲーム市場の主流が、クライアントダウンロード型からブラウザ型に移りつつあることが示されています。さらにゲームのジャンルも、新規タイトルに占めるMMORPGの割合が55.6%に低下し、シミュレーションゲームシューティングゲームが大幅に伸びたとのこと。(※2)  下のグラフは、2005年以降のクライアントダウンロード型オンラインゲームと、ブラウザ型オンラインゲームの新作タイトル数の推移を示したものです。出所は、「2010オンラインゲーム白書」です。これをみていくと、クライアントダウロード型の新作は、2007年にピークを迎えて、それ以後、減少傾向にあることが見て取れます。その一方、ブラウザ型の新作は、昨年、3タイトルから20タイトルに大幅に伸ばしました。  さて、2010年はというと、実感として、ソーシャルアプリを筆頭に、ブラウザゲームの新規タイトルはさらに増えたような気がしています。クライアントダウンロード型の新規タイトルはさらに減っていて、それに拍車をかけたのが今秋に予定されている『ファイナルファンタジー14』や『TERA』などの大型タイトルです。一部オンラインゲーム運営会社は、この2タイトルとの衝突を避け、新規サービスの開始を先延ばしにしているとの情報もあります。 (※1)ゲーム開発者が閲覧する資料であるため、企画・開発に役立つ資料にしたいという考えがあったのかもしれません。集計値としてのタイトル分析よりも、ユーザー動向や、ヒットタイトルの傾向を分析した方が役立つでしょうから。集計した資料は、業界団体が発行していますからね。 (※2)メディアクリエイトの資料の本当に良くないところは、「RPGが半数(55.6%)まで割合を下げた」などと記述しているのにも関わらず、前年の数字を示さないことです。調査資料の作り方のイロハを学び直した方が良いのではないでしょうか。前年の白書を参照したところ、66.7%でした。