【連載】Sp!cemartゲームアプリ調査隊Vol.4 〜Riot Games大特集。新作『Team Fight Tactics』の概要から『LoL』の直近プロモ・e-Sports施策まで〜


スマートフォンゲームの日々の運用とその効果をリサーチし、ゲーム関連企業へマーケティングデータを提供するSp!cemart(スパイスマート)。ゲームアプリの運用情報をいつでもウォッチできる「Sp!cemartカレンダー」や、毎月発行しているレポートを提供している。
 
なかでもレポートは、各国ゲームアプリ市場の最新マーケットトレンド情報を毎月提供。レポート内では、売上・ダウンロードランキングや主要タイトルの運用データの総括・分析、注目のプロモーション事例や新規タイトル情報など、 定番情報に加え旬のテーマをピックアップしている。
 
本連載記事ではSp!cemart協力のもと、「グローバルゲームトレンドレポート 2019年9月」の内容を一部抜粋し、海外における人気タイトルの分析、プロモーション事例を紹介していく。


【アプリレポート】
『Team Fight Tactics』

 -人気ゲームの構造と直接プレイしたレポート
 
【イベント&プロモーション事例】
『League of Legends』

 -1カ月間行われた全イベントとプロモーションを調査
 

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(以下、Sp!cemartゲームアプリ調査隊より)

 

■話題の「Auto Chess」ルールを題材とした『Team Fight Tactics』

 
Team Fight Tactics』(以下、『TFT』)は、Riot Gamesが『League of Legends』(以下、『LoL』)のモード「Auto Chess」のルールを参考にして開発されたゲームです。2019年6月にリリース。
 
 
 バトルは、配置の仕方に応じて、チャンピオン(キャラクター)たちが移動や攻撃、スキルの発動を自動で行っていく戦略性が求められます。プレイヤーは、7人の敵(または他プレイヤー)を相手に、自分だけの強力なチームを作り上げ、最後の一人になるまで勝ち抜くことが目的です。
 
元祖にあたる『Auto Chess』と比べて異なる点は、戦場が六角形になっていること。また、特定ラウンド毎にユニットを追加獲得できるシステムがあり、比較的運に左右されていた従来タイトルと比較し、本作は実力を重視するタイプのゲームとなります。
 
 
 開発期間はわずか9週間で、現在はベータテスト中であるため特別な課金要素はまだ実装されていません(2019年9月調査時点)。ちなみに『TFT』が実装されてからは、『LoL』の同時接続者も急増しており、『TFT』のMAUは3,300万人を超えるという。
 
 また、ゲーム実況も大人気で、7月1週目から視聴時間が『LoL』のモード「サモナーズリフト」と大ヒットバトルロイヤルゲーム『フォートナイト』を追い抜きました。
 
 TwitchTVでは『TFT』のフォロワーは66.6万人にも及び、『Auto Chess』のリアルタイム視聴者やフォロワーの約3倍に近い数字を記録しています。一方、『Auto Chess』は『TFT』の登場後、低迷している状況です。
 
 
ここからは、インゲームのUIについて紹介していきます。
 
 
リトルレジェンド
プレイヤーのアバター。プレイヤーが直接操作し、アイテム獲得などの指示を行える。
 
決闘場
戦闘が行われる場所。下の列にチャンピオンを配置することができる。敵は上の方に現れる。
 
待機席
購入したチャンピオンは決闘場に配置されるまで待機席で待つ。
 
ショップ
ショップにある商品は全てのプレイヤーが共有している倉庫からランダムで表示される。同じチャンピオンが複数出る場合もある。同じチャンピオンは3体を合成してより強力なチャンピオンを作成できる。
 
- リロード : ショップではゴールドを消費してチャンピオンの販売リストをリロードできる。
- XP購入 : ゴールドを消費して経験値を獲得することができる。レベルが高いほどより強力で高価のチャンピオンを選べる。
 
特性表示器
チャンピオンの系列や職業の追加効果を確認できる。
 
アイテム保管ボックス
チャンピオンに装着していないアイテムを保管する。アイテムをドラッグして装着できる。
 
ゴールド製造機
保有しているゴールドによってゴールド製造機が現れる。次のターンが始まる時に製造機1個あたり1ゴールドを獲得できる。
 
スコアボード
ゲームに参加した全てのプレイヤーの体力を表示する。プレイヤーをクリックするとそのプレイヤーの決闘場が表示される。
 
ステージ表示機
現在ステージで勝利したラウンドや敗北したラウンド、残りのラウンドを表示する。
 
段階表示機
現在の段階と残りの段階を表示する。
 
敵の区域
戦闘が始まると相手の待機席やアイテム保管ボックス、ゴールド製造機を表示する。相手のリトルレジェンドも確認できる。

 
ゲームを開始する場合は、まず『LoL』のクライアントを起動し、画面上部にあるメニューからTEAMFIGHT TACTICSを選択。ゲームを進めるとポイントが付与され、そのポイントを通じて特別な報酬を獲得することができます。
 
『TFT』のメニューからは、「一般ゲーム」と「ランクゲーム」を選べます。「一般ゲーム」はプレイヤーの戦績によるランクの影響は存在しません。一方「ランクゲーム」はプレイヤーのランク点数に影響を与えるもので、試合の順位によって一定ポイントを獲得、もしくは失います。
 
 
 対戦におけるマッチングのアルゴリズムについては公開されていませんが、同じぐらいのレベルやランクのプレイヤーを優先的にマッチングしてくれるようです。
 
 8人のプレイヤーのマッチングが正常に行われた後は「MATCH ACCEPTED」というお知らせ画面が表示され、「ACCEPT!」ボタンを押すとローディング画面の後ゲームが開始。
 
バトル中は、ラウンドが終わるたびにアイテムや経験値、ゴールド獲得、チャンピオンリロードが行われます。また、チャンピオンの購入とリロードはゲーム中にいつでも行えます。
 

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ステージはいくつかのラウンドで構成されており、主に「準備段階」と「戦闘段階」のふたつに分かれています。
 
●準備段階
開始時に「ゴールド獲得」と「ショップチャンピオンリストリロード」が自動で行われる。準備段階では30秒以内にチャンピオンを購入して、希望する場合ショップをリロードしてチャンピオンを決闘場に配置することができる。
 
●戦闘段階
ランダムで指定された相手と自動で戦うPVPが発生。一部のラウンドはAIモンスターと戦うPVE戦闘で、モンスターを倒すとチャンピオンに装着可能な装備アイテムをランダムで獲得できる。

 
また、ゲームスタート時と特定のラウンドでは「共同選択」が行われます。これが始まると全プレイヤーが中央にある広場に移動し、ランダムで配置されているチャンピオンを無料で選択することができます。
 
リトルレジェンドを操作して希望するチャンピオンの方に移動し、最初に触れたチャンピオンを選択できますが、選択後はキャンセルできません。なお、ゲームの後半で行われる共同選択では、体力の低いプレイヤーの方から先に選択するようになっています。
 
 
さらに同じチャンピオン3体を合成すると、★2のチャンピオン、★2のチャンピオン3体を合成すると★3のチャンピオンを作成可能。同じ個体を3体保有すると自動で合成が行われ、決闘場に配置された場合は、合成した個体が自動で決闘場に配置されます。
 
 
 そのほかレポートでは、ゲーム序盤からその流れにまで言及したプレイログをはじめ、細かいゲームシステムについても紹介しています。
 
 

■『League of Legends』-1カ月間行われた全イベントプロモーションを調査

 
2019年9月、Riot Gamesが手掛ける世界的人気のオンラインゲーム『League of Legends』(以下、『LoL』)がアップデート(Patch 9.18、Patch 9.19)を実施しました。
 
主なアップデート内容は、キャラクターコスチュームの追加とバランス調整でした。また、9月のインゲームイベントでは「Worlds 2019 Event」を実施。これは10月からスタートするワールドチャンピオンシップ大会告知用のプロモーションで、イベントとしてトークンショップとシーズンパス券を提供していました。
 
本イベントはRiot Game主催の「ワールドチャンピオンシップ」でもあり、今回で9回目。10月2日からスタートして11月10日にフランス・パリ市内にある「ベルシーアリーナ」で決勝戦が行われました。
 
そして、9月のプロモーションのなかで最も注目すべきは、「Star Guardian」です。これは「Star Guardian」というコスチュームシリーズを軸に、ゲーム内はもちろん、積極的なマーチャンダイジング施策で賑わいを見せました。主な施策は下記の通りです。
 
●世界観の拡張
●短編小説の公開
●イラストの公開
●アニメーショントレイラーの公開
●チャンピオンコスチュームのリリース
●企画商品の販売
 …など
 
 
Riot Gamesは今後も「Star Guadian」のようにオンライン・オフラインのコンテンツと企画商品を合わせたプロモーションを実施するとのことです。
 
ここからは「Star Guadian」に関するプロモーションについてご紹介。
 
2019年9月5日、コスチュームシリーズ「Star Guardian」のゲーム内の画像やイラストの画像が公開されました。コスチュームリリース前に、ユーザーにお披露目することが目的だったと考えられます。
 
対象キャラクターは「Zoe」「Xayah」「Rakan」「Neeko」「Prestige Neeko」。公式ホームページでは高画質のオリジナル画像やイラストの画像を無料でダウンロードできたほか、ゲーム会社の公式YouTubeチャンネルでは各キャラクターをゲーム内に適用した画面やエフェクト効果、詳細な動きを公開していました。
 
そして2019年9月11日には、「Star Guardian」のストーリーに迫ったアニメーションを公開。BGMの制作には日本の作詞・作曲家の「Hiroyuki Sawano」とボーカル「Gemie」が参加。ゲーム会社の公式YouTubeチャンネルに映像を公開して、現在まで700万回以上の再生数を記録しました。
 
 
 2019年9月17日には、「Star Guardian」の短編小説を公開。Riot Gamesは安易なコスチューム販売だけではなく、メディアミックスを通した世界観の補完・拡充や、キャラクターの魅力を積極的に訴求しています。実際に日本版の公式サイトにおいても、各キャラクターの世界観を伝える短編小説を掲載しています。
 
また、グッズ販売も賑わいを見せています。
 
たとえば「Star Guardian」でも絶大な人気を誇る「Soraka」のフィギュア商品「STAR GUARDIAN SORAKA FIGURE」を2019年9月に販売開始。
 
「STAR GUARDIAN」シリーズは魔法少女をコンセプトで制作され、ゲーム内のキャラクターコスチュームの「スキン」の他にも、音源やアニメーションなどのエンタテインメント要素を通じて多くのファンを保有しています。本商品は公式グッズを販売するホームページ「Riot Games Store」で販売。価格はUS$25.0。
 
 
そのほか、ジャケットやTシャツ、マウスパッドなど、「STAR GUARDIAN」に関連したさまざまな商品を販売していました。
 
さて、ここからはe-Sports関連の取り組みもご紹介していきます。
 
まず2019年10月にヨーロッパで開催されたe-Sportsイベント「League of Legends World Championship 2019」(以下、「Worlds 2019」)のオフィシャルBGMを9月に公開。このBGMは、期間中、ゲームのログイン画面にも流されました。
 
 
 2019年9月21日には、「Worlds 2019」関連の詳細を公開。イベントの日程や場所、参加するプロチーム、組み合わせ抽選会の日程及び結果、トーナメントの進行方式など。
 
大会は、北米や中国、韓国、ヨーロッパ、タイ、ブラジル、日本、トルコなどの国のプロリーグで選ばれた合計24チームが参戦しました。また、「Play-In Stage」「Group Stage」「Knockout Stage」に分かれて予選・決勝戦が行われ、大会はドイツのベルリン、スペインのマドリード、フランスのパリで開催されました。また、公式ホームページでは大会の中継が見られるURLも提供。
 
そして2019年9月26日には、インターネットを通じて「Worlds 2019」を観覧する際に利便性の高い機能が追加された有料サービス「Pro View」を紹介。Pro Viewは、10人のプレイヤーそれぞれの主観視点のゲーム映像(POV:ポイント・オブ・ビュー)や、カスタマイズ可能なマルチビュー機能など、たくさんのコンテンツを利用できます。

 
そのほかレポートでは、2019年9月の『LoL』の全イベント・アップデートリストを掲載しているほか、細かいマーケティング施策についても言及しています。
 
アップデートやキャラクター追加のタイミングで、それに関連した多角的なプロモーション施策を展開していた『LoL』。世界で圧倒的なポジションに位置する同作の施策が、業務の参考になれば幸いです。
 

Sp!cemartのレポートでは、売上・ダウンロードランキングや主要タイトルの運用データの総括・分析、注目のプロモーション事例や新規タイトル情報など、 定番情報に加え旬のテーマをピックアップしています。毎月100ページ以上にも及ぶボリュームで、ゲームアプリ事業者における業務の参考、ヒントとして重宝されています。
 
ぜひ、ご興味がある方はお問い合わせページからご連絡ください。
 
■今回ご紹介した「グローバルゲームトレンドレポート 2019年9月」目次
・各地域とプラットフォームのランキング情報
・各地域の新作リリースカレンダー
・韓国の重要ゲームニュースのまとめ
・[特集]スーパーセルラウンジ&LoL PARK 訪問レポート
・[人気ゲームのヒストリー調査]『World of Warcraft Classic』
・[アプリレポート]『Team Fight Tactics』
・[イベント&プロモーション事例]『League of Legends』

 

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■執筆 <株式会社スパイスマート>
スマートフォンゲーム内運用に関する調査・分析を行うリサーチ事業とコンサルティング事業を展開しており、「Sp!cemart」というサービス名称で各種ソリューションを提供。

コーポレートサイト:http://corp.spicemart.jp/
Sp!cemart 商品に関する問合せ:info@spicemart.jp
 

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会社情報

会社名
株式会社スパイスマート
設立
2015年7月
代表者
代表取締役 久保 真澄
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