【イベント】ファリアー、第33回「駿馬KANSAI邂逅」を大阪で開催! 笑顔が飛び交うアツいイベントの模様をレポート

 
ファリアーは、12月7日、大阪は梅田にて、第33回「駿馬 KANSAI 邂逅(KAIKOU)」を開催した。「駿馬(しゅんめ)」とは、ゲーム業界を目指す学生に向けてファリアーが全国各地で開催しているイベントの総称であり、「KAIKOU」は、3の倍数月に開催され、学生だけでなく企業も参加し、勉強会+会社説明会やトークセッション、個別指導と盛りだくさんの内容で実施されているものである。

告知の段階ですでに報じているが、今回は、
 
・セガグループ
・DeNA
・ツェナワークス
・ハ・ン・ド
・三洋物産
 
と、コンシューマやアーケードのパブリッシャー、スマホパブリッシャー、デベロッパー、遊技機メーカーと、多種多様な顔触れの企業の参加があり、関西圏の学生にとっても貴重な機会となった。また、来年の東京五輪開催にともなう、
 
・本選考の早期化(対象:21年卒学生)
・夏季インターン(対象:22年卒学生)
 
の開催が首都圏で難しいこともあり、企業サイドも例年以上にその対策にむけてどん欲な動き出しをしているということであろう。


 
■「負けない学生になるために」「伝える意識」語られる2つのキーワード
 
毎月行われている駿馬~ゲームクリエイター育成講座~とは異なり、3の倍数月のKAIKOU(邂逅)は、
 

 
という4部構成で行われている。
 
第一部のワークショップの冒頭では、「就活において“負けない学生”になるためには?」という点から馬場が語りだすところから始まった。就活を行うにあたっての臨むべき姿勢や、どのように行動を起こせばよいかについて語られた。
 
▲駿馬ではよく見せらせるスライドではあるが…求められるレベルは?
 
専門学校生であればゲーム制作(個人制作、チーム制作 できればどちらも!)、大学生・大学院生であればゲーム作品はなくとも、自身の興味関心のある分野の研究(そして、それを学会や研究会などで発表!)といったように学校区分によって取り組むべき内容は異なるが、いずれにしても、
 
・全力で臨んでいるか?
・完成や1つの区切りまで「やりきって」いるか?
・第三者の目にふれ、評価をもらっているか?
・そして、振り返って、再度課題に挑んでいるか?
 
というようなPDCAをしっかりまわし、且つ、覚悟もってやりきれているか?のところが凄く重視されるのだ、という話を力強く語っていた。

即戦力を求める「中途採用」とは異なり、「新卒採用」は、企業にとっては、企業の風土カルチャーを醸成していく、未来を担う戦力として、「育成していくこと」も視野にいれての採用をしていくものである。だが、もちろん、開発経験や研究などの実績や集団で1つのことに向かうことに長けていそうな人材が魅力的に目に映ることも事実である。

また、著しい実績を学生時代に全員が全員残すことができるわけでないのも事実ではあるので、なおのこと、「やりきる」「第三者評価」「振り返り」「課題クリアのための再チャレンジ」のサイクルを何回経験しているか? そして、その経験から得られたものを言語化して、他者に「伝える」ことができるかどうか?が大切であるということが語られた。
 
この日のワークをはじめイベント中、馬場氏から何度も繰り返し語られたのが、この「伝えることを意識する」というワードだった。伝わってほしいは送り手の願望でしかないので、受け止める側の人間の気持ちを考え、且つ、自分がどうみられているか?を意識する必要がある、と。

また、今回のイベントのように、学内(=HOME)ではなく、学外(=AWAY)な環境に身をさらすことも大切で、知り合いもいなければ未知の世界に飛びこめば不安もあるだろうし、本来の力の半分も発揮できないかもしれない。でも、就職活動において、いきなりグループ面接や、グループディスカッションが設定されている企業も少なくない昨今、
 
本番(=選考)ではない、AWAYな環境
 
に身を投じて「慣れる」ことをより多く経験しておくことは、非常に大切な経験であるという話もされた。8/10の力を発揮できるようになれば、非常に「負けづらい」就活学生になることは、間違いないだろう…

また、経験だけでなく、外部イベントやインターンに参加することで、「仲間」や「情報」も手に入れることができる。当たり前だが、企業についての情報を詳しく知る事ができ、企業の人と話す事で大人と会話する経験値も上がる。そして、ライバルではありつつも、同年代の仲間である他校の学生と出会うことができるのも大きな意味を持つのだ、と。

ともすれば、学内での人間関係や情報で閉じがちな学生生活だが、優秀な学生でもその中…いうなれば、井戸でどんどん蛙になっていってしまう危険性を秘めているのも事実。外に飛び出すのは確かに不安だが、外に出ることで「学校の中の優秀な学生」から「業界の求める人材レベルにおける自分の現在位置」を知ることができるようになり、さらなる精進をせねばらないことも、自覚できるところがよいところである、と語られた。
 
■第一部 ワークショップ「チーム制作における」企画発想法
 
ワークショップでは、チーム制作の[足元から支える]グループでの企画発想法が実施された。ポイントは、
 
・いきなりチームでディスカッションをしない
・アイデアの断片を個人で量産し、それを持ち寄るところから始める
・他者のアイデアに手を入れることで無責任にアイデアを膨らませられる
など
 
かいつまんでいうと、上記のような内容であった。

馬場氏も言っていたが、会社でゲームの企画を立ち上げる時は、たいていが少人数か、企画職やプロデューサー、ディレクターの一部の人間だけでまずは「企画をまとめる」ところまで実施し、そのあとで、プログラマやデザイナーがアサインされることが多い。

でも、学校での制作においては、全職種が最初にアサインされてしまっている状態で、よーいドン!となることが多いのは事実…で、あるならば、よーいドン!の直後にまずは個別にチームへの貢献責務として、アイデアを量産して持ち寄るところから始めてはどうか?という提言で、それを具体的な手法を用いて実施していた。
 
・まずは、とにかく「量」をだす
・それ自体は、「断片」でしかないので、面白くなくてもよい!
 
これを何度も馬場氏は口にして繰りかえし、学生たちにうながした。たった20分のアイデア断片出しではあったが、少ない学生でも10個は全員が書き出し、多い学生は30個を超える数を書き出していた。

この段階で、1チーム4~5人で組まれていたので、1つのチームに少なくとも、40個以上のアイデアの断片がテーブルの上にのっかったわけである。次にこれらの中から確実が1つをピックアップして、再度、個人の作業で、


 
であるか? まで、「ゲームの概要」を定められたフォーマットで書き出すことを実施。最終的にここで、出てきたものをチームでディスカッションして、肉付けし、チームの企画アイデアとして、まとめあげるワークをした。

KAIKOUでは、これらの作業をしている間はもちろん、代表者が発表している時も常に参加企業の人事の方や開発の現場の方の目が光っている。その緊張感の中で、初めてあうメンバーと短時間で企画を練りこんでいかねばならない、且つ、自身をアピールしなくてはいけないところが大変でありつつも、このKAIKOUに参加する学生の醍醐味ともいえるだろう。



駿馬のワークショップは、毎回学生が楽しそうにディスカッションしている点も印象的だ。自分のアイデアを他人に見せるという事は、プロでも正直恥ずかしいと感じる時もあるであろうから、学生ならばなおのことだと思う。

でも、アイデアをぶつけることで、「否定しない」ルールの中で醸成される空気は、ものづくりに関わる人間として、楽しいひと時であり、これが形になっていき、お客様の手に届きそこでも笑顔が生まれること…それがこの仕事の醍醐味であるので、その一端を体験できることで自然と笑顔が溢れるのであろう。
 
■第二部 ブースでの企業説明会 WEBでは知りえない貴重な“生の声“
 
嵐のような第一部:ワークショップが終った後、第二部の企業説明会が実施された。参加5社は、それぞれにブースを設け、そこで学生に対する熱いメッセージを発していた。
 
【セガグループ/セガホールディングス、セガゲームス、セガ・ インタラクティブ】



 
【ツェナワークス】



 
【DeNA】



 
【ハ・ン・ド】



 
【三洋物産】



 
どのブースでも共通していたのが、学生の質問を受けられる体制を整えておりどんな質問に対しても、真摯に丁寧に答えていた点だ。

開発しているコンテンツに対して、鋭い質問も出ていたが、ごまかす事なく学生の意図を汲み取り、回答をしていた。一流のクリエイター達は、学生だからといって手を抜く事はない。プロフェッショナルとしての姿は、学生が自分の目指すべき姿として心に残ったのではないだろうか。
 
■第三部 KAIKOUトーク! 業界を目指す後輩たちへのアツいエール!

続いて、パネルディスカッション(KAIKOUトーク!)が行われた。この時点で4時間ほど経過しているのだが、学生たちは疲れを見せずトークがはじまるのを楽しそうに待っていた…


 
【登壇者】
セガ・インタラクティブ ディレクター/サブマネジャー
前山 芳孝 氏
 
DeNA ディレクター
加藤 沢男 氏
 
ハ・ン・ド 執行役員
鈴木 貴宏 氏
 
ツェナワークス 執行役員/ディレクター
笹平 大介 氏
 
三洋物産 商品制作部 部長
木村 修 氏
 
テーマは3つ…

1、 今日の学生たちの印象
2、 どんな人材がほしいか?(メンタル、スキル他)
3、 どういった育成方針か? もしくは若手の活躍例など…
 
で、各社の特徴を打ち出すトークが繰り広げられた。
 
どんな人材が欲しいか?というテーマにおいて、企業ごとに人物像を説明されていたが「ものづくりにかける思いや意思というものがしっかりあるか」という部分は、各社共通した思いであったように思う。

結局、技術は教えられるが、気持ちはなかなか教えられない…という言葉も出ていた。「プロとして作る楽しさ」に覚悟をもって臨める準備ができているか?ということが、逆に5人の大先輩たちから、会場の後輩たちに投げかけられたエールだったように思えた。




 
トークの最後には学生から質問に答える機会があり、経験や引き出しを膨らませるためには?などの質問から、馬場氏から登壇者の趣味を問う流れもあり、40分の予定が1時間を超える楽しいパネルディスカッションになった。
 
ただ、趣味の話も、さすが一流クリエイターたちは、なにごともないように、多趣味であること、1つのことでもものすごい量を掘っていること(例:年間の読書量300冊超え)など、強いてではなく当たり前のようにまず自分が楽しみそれをどんどん滋養としていっていることが強く感じられた。この日から何か始められた学生が1人でもいたら、このトークセッションの意味は大いにあったことだろう。
 
そして、最後は時間の許す限り、企業の方々に自分の作品をみてもらい講評してもらえる個別作品指導の時間がとられ、会場期限ぎりぎりまで、多くの学生が残り、企業の方もこの一期一会のチャンスをもらすまい、とこの段階で7時間を超えるイベントになっているのも関わらず全力で指導されていたのが印象的だった。
 
■最後に

全国各地を回り3年がたとうとしている駿馬~ゲームクリエイター育成講座。また、3の倍数月に実施されるKAIKOUも、今回で10回目を数える。このイベントで接した企業に入社していった学生も数多くあり、首都圏以外の学生にとっては、「自分たちのところに企業が1日でたくさんきてくれる」大切な機会となっているのは間違いないだろう。

この日の参加学生も半数以上が奨学金を借りての就学をしており、昨今は決して経済的に豊かではない学生も多い。どの地方・地域でも学費にはそれほど差はないため奨学金の借り入れ額もかわらないわけだが、就職活動をする際には、「遠方である=交通費がかかる」ことがネックになっていることは間違いないだろう。

そういった意味でも「企業が地方にきてくれるイベント」=駿馬KAIKOUは、これからも地方学生たちの味方として、また参加企業の皆さんの熱意に支えられて実施していかれることであろう。
 
来月からは、福岡シリーズとなるとのこと。

1月25日 第34回 駿馬 FUKUOKA
2月22日 第35回 駿馬 FUKUOKA
3月22日 第36回 駿馬 FUKUOKA 邂逅
 
3月には、また企業と学生のアツい出会いがあることを期待したい。
 
 
▼2020年1月25日 第34回 駿馬 FUKUOKA▼

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【 講師 】
馬場保仁氏 株式会社ファリアー 代表取締役
 
【 プロフィール 】
1997年 セガ・エンタープライゼス(現セガゲームス)入社
『プロ野球チームをつくろう!』シリーズ
『Jリーグプロサッカークラブをつくろう!』シリーズ
『龍が如く OF THE END』
『スーパーモンキーボール』シリーズのプロデューサー / ディレクターに従事

2012年 ディー・エヌ・エー入社
スマートフォンアプリの開発部長、エグゼクティヴプロデューサー、採用担当を歴任

2016年 ファリアー 創業 現在に至る
 
著書:「ゲームの教科書」(2008年 ちくまプリマー新書・共著)
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株式会社ファリアー
http://farrier.jp/

会社情報

会社名
株式会社ファリアー
設立
2016年7月
代表者
代表取締役社長 馬場 保仁
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