エイチーム、3Q(8~4月)は売上高12%減、営業益51%減 減損計上で3.8億円の最終赤字に ライフ事業で新型コロナ流行の影響も

エイチーム<3662>は、6月12日、2020年7月期の第3四半期累計(8~4月)の連結決算を発表、売上高244億円(前年同期比12.9%減)、営業利益10億5100万円(同51.7%減)、経常利益10億3300万円(同52.5%減)、最終損益3億8400万円の赤字(前年同期11億円の黒字)と最終赤字に転落した。

ライフスタイルサポート事業が前年同期比で横ばい、EC事業が大幅に増加したものの、エンターテインメント事業が減少し、全体では前年同期比で減収となった。利益面では、EC事業が初めて四半期で営業利益黒字化するなど、収益性が改善したものの、エンターテインメント事業の新規協業ゲームの開発コストの費用計上およびライフスタイルサポート事業の新規事業への先行投資が利益率を押し下げた。

なお、最終損益が赤字となったのは、子会社Incrementsに係るのれん、商標権の減損損失として特別損失12億5500万円を計上していることが影響している。
 

各セグメントごとの状況は以下の通り。

①エンターテインメント事業…売上高60億4400万円(前年同期比40.2%減)、セグメント利益4億1000万円(同67.4%減)
『ヴァルキリーコネクト』Steam版配信を行い、クリプトン・フューチャー・メディアと協業のスマートフォン向けカジュアルゲーム『初音ミク-TAP WONDER-』の制作や大型IPゲームの開発に引き続き注力した。既存ゲームは引き続き減少傾向にあり、前年同期比で減収となった。

セグメント利益も、引き続き新規開発中の大型IPゲームの開発コストを費用計上したため、前年同四半期比で大幅に減少した。なお、新型コロナウイルス感染症によるゲームユーザーの動向変化、新規開発進捗への影響はほぼないとしている。

②ライフスタイルサポート事業…売上高161億3600万円(同1.5%減)、セグメント利益17億8300万円(同24.2%減)
引越し周辺サービスとして展開していたエアコン販売のサービス撤退により、前年同期比で成長率が低下した。新規サービスが立ち上がってきているものの、既存サービスの売上規模に比べ寄与はまだ限定的となっている。

また、新型コロナウイルス感染症による影響は、デジタルマーケティング支援ビジネス及びプラットフォームビジネスともに顕著で、デジタルマーケティング支援ビジネスにおいては、結婚式場情報サイト「ハナユメ」を中心とするブライダル関連サービス、「ナビナビキャッシング」を中心とするキャッシング・カードローン比較サイト、クレジットカード比較・情報サイト「ナビナビクレジットカード」などの金融関連サービスが大きく影響を受けた。

プラットフォームビジネスにおいては、プログラマ向け技術情報共有サービス「Qiita」の広告需要が減少したほか、立ち上げ段階にあるエンジニア向け転職支援サービス「Qiita Jobs」の事業展開に遅延が生じた。

③EC事業…売上高22億1900万円(同44.6%増)、セグメント損益5200万円の赤字(前年同期1億6600万円の赤字)
オペレーション効率の改善及び販売費・配送費の見直しなどが功を奏し、売上高が前年同四半期比で大幅に増加し、セグメント利益も大幅に改善した。第3四半期連結会計期間(2~4月)において、初めて四半期黒字化を実現した。新型コロナウイルスの影響より、中国からの自転車及びパーツ輸入に遅延が生じたものの、主に電動アシスト自転車などユーザーニーズの高い商品の在庫を十分に確保したことにより、繁忙期需要に対応することができた。

■売上高は下ブレ、営業・経常利益は上ブレに
なお、2020年7月期通期の連結業績予想は、売上高はライフスタイルサポート事業が従来予想を下回る見通しとなり、従来予想の350億円から312億円(増減率10.9%減)に下方修正された一方、営業利益は従来予想の10億円から11億7000万円(同17.0%増)、経常利益は同じく10億円から11億5000万円(同15.0%増)に上ブレする見通し。利益上ブレの要因は、エンターテインメント事業のコスト見直しやEC事業の採算改善によるもの。

最終損益については、前述の特別損失の計上もあり、従来予想の5億円の黒字から4億1000万円の赤字の予想に修正されている。
 


 
株式会社エイチーム
https://www.a-tm.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社エイチーム
設立
2000年2月
代表者
代表取締役社長 林 高生
決算期
7月
直近業績
売上高275億5200万円、営業利益5億4300万円、経常利益7億1100万円、最終利益1億4300万円(2023年7月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3662
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