AppsFlyer、2020年のモバイルアプリのアンインストールに関するレポートを発表 世界の50%以上のアプリが30日以内でアンインストールの対象に

AppsFlyerは、2020年におけるモバイルアプリのアンインストールに関するレポートを発表した。

本レポートは、世界シェア72%を誇るAppsFlyerが保有する2,000以上のアプリデータ、 2020年1月~11月における約8億件のアプリインストールデータを基に、世界のモバイルアプリ市場のアンインストールに関する動向をまとめたものとなる。

2020年は、すべての業界においてコロナ禍との結び付けが不可欠な一年となった。そして2021年、一時的なものから“ウィズコロナの定常化”へと世の中の適応の動きが進んでいる。外出自粛やロックダウンの影響を受け、モバイルの利用は一層広がり、近年さらに競争が激しくなっているアプリマーケティングの分野では、ロイヤリティの高いユーザーの維持が至上命題となっている。数えきれないほど多くの競合他社があり、ユーザーの期待値とともに、アプリのアンインストール率は高まっている。

アンインストールとの戦いでは、いつ、どのユーザーが、なぜアプリを削除するのかを理解することが非常に重要だ。アプリ収益化には、継続的な使用を確保することが不可欠となる。

本レポートでは、 “アンインストール”という指標を軸に、最適化を目指すアプリマーケターとまだアンインストールの計測ができていないマーケターの支援を目的として、2020年の動向と対策を公開する。

(以下、プレスリリースより)
 

2020年のアプリアンインストール動向


(1)世界の50%以上のアプリが30日以内にアンインストールされている結果に
AppsFlyerのデータによると、世界でインストールされているアプリの約2分の1が、ダウンロードされてから30日以内にアンインストールされていることがわかっています。

インストール30日以内におけるアンインストール率のグラフを見ると、2020年1月と2020年3月以降でアンインストール率が急上昇しています。1月は新年という点と長期休暇明けという2つの要因によって新しいアクティベーションが起こり、3月以降は新型コロナウイルスの感染拡大による在宅時間の増加、およびモバイル接触時間の増加が起こりました。特に3月以降は、ゲーム業界のマーケターがユーザー獲得キャンペーンを積極的に実行したことで、ユーザーがモバイルアプリを新しく試す期間としてインストールアクティビティが増加。それは、同時にアンインストール数の増加にも直結します。



(2)ユーザーを掴む最も重要なタイミングは、インストール後“24時間”
ユーザーがアンインストールする理由を正確に特定し、最適化を戦略的に行うためには、マーケターは時間の経過に伴うレートにも注意する必要があります。AppsFlyerのデータによると、インストール後“24時間”は、ほとんどのユーザーがアプリをアンインストールするタイミングとなっています。

インストール後30日間においてはすべてのカテゴリーで同様の傾向を示していますが、ソーシャルアプリとファイナンスアプリは他のカテゴリーの平均と比べてインストール後“24時間”のアンインストール率が35%高くなっています。



(3)カテゴリー別では、ゲームアプリが最も高いアンインストール率を記録
アンインストール率をアプリのカテゴリー別で見ると、ゲームアプリが最も高いアンインストール率に悩まされています。30日以内にアンインストールされるゲームアプリの約6割は、ユーザーが常に新しいタイトルを試す探索的な性質が要因です。ユーザーは、ゲームアプリにおいてインストールをお試し感覚で行うため、そのゲームの第一印象がポジティブでない場合、瞬く間にアンインストールされます。

また、世界的なハイパーカジュアルゲームとカジュアルゲームの人気により、ゲームの保管寿命が短くなっています。これらのジャンルでは、アンインストール率が特に高く、ハイパーカジュアルで72%、カジュアルで61%です。一方で、ハードコアゲームにおいても、高度なゲーム攻略にかかる時間やコストに対してユーザーが諦めてしまうパターンもあり、高いアンインストール率となってしまっています。

さらに、スマートフォンのストレージ容量が限界を迎えた時、ユーザーはプライベート写真や他カテゴリーのアプリよりも、ゲームアプリを優先的にアンインストールする傾向にあります。それに比べて、ショッピング、フードデリバリー、その他ライフスタイル関連のアプリは、より長い保管寿命を持ち、より低いアンインストール率となっています。



(4)発展途上国におけるアンインストール率は先進国に比べ33%高い結果に
世界地図におけるアンインストール率を見ると、発展途上市場と先進国市場が明確に区別されていることがわかります。ブラジル(57%)、インド(59%)、インドネシア(59%)といった大規模な発展途上市場では、アンインストール率が最も高い割合を示しています。全体として、発展途上国の平均アンインストール率は56%に達し、先進国(米国、英国、日本、韓国、フランス、ドイツ)の平均より3割程度高くなっています。

一方で、先進国もアンインストールを低く抑えられているわけではなく、平均40%を超える結果となっています。



(5)Androidのアンインストール率はiOSの2倍に
OS別のアンインストール率を見ると、Androidにおけるアンインストール率は、iOSでのアンインストールの2倍もの数値となっています。各プラットフォームの主な違いは、「ストレージの容量」です。Androidの多くは発展途上国で使用されており、平均的なAndroidデバイスのストレージは小さくなっています。その結果、ユーザーは自分のデバイスに本当に必要なアプリのみを保持します。

また、平均的なiOSデバイスの品質は平均的なAndroidデバイスよりも高いため、パフォーマンス関連(特にアプリのクラッシュ)、セルラーネットワーク関連(低速)において、優れたユーザーエクスペリエンスを提供します。その結果、iOSでは高いエンゲージメントを維持でき、アンインストール率低下に寄与しているのです。



(6)アンインストールはマーケティング予算の直接的な損失に
 2020年におけるアプリのマーケティング予算の月間平均損失は約600万円で、2019年に比べ約7割増加と拡大しています。2019年に比べ増加した背景には、アプリあたりの平均アンインストール数が31%増加し、インストールあたりのコストが35%増加したショッピングカテゴリーがあります。ショッピング、フード&ドリンク、ファイナンスのアプリのCPIが高く、リストのトップになりました。

これらの数字は、アンインストールという指標がアプリマーケティングにおいていかに重要かをマーケターに示しています。



消費者のライフスタイルにおいて、今後モバイルアプリの役割は一層中心的なものになっていくことが予想されます。広告主は、「アンインストール」という一つの指標の重要性を再確認し、適切な広告予算の投下および経営資源の配分によって、消費者が求めるものを押さえる必要があります。

アンインストール率に対する対策は、レポートの詳細で記載しています。

▼アンインストールレポート詳細
https://www.appsflyer.com/resources/others/app-uninstall-benchmarks/

▼AppsFlyer Japan カントリーマネージャー 大坪 直哉氏コメント
「新型コロナウイルス に対応した新しいライフスタイルを私たちが受け入れ始めて、もう一年になります。アプリマーケティングの世界もこの”New Normal”と無縁ではなく、特にアンインストール数にも大きな影響が見られます。アンインストールという行為は、LTV(Lifetime Value)の終焉を意味します。アンインストールされたアプリは当然ながらもう価値を生み出すことはありませんし、そのユーザーを獲得するためにかけたコストを回収する機会は失われたままです。一般的に、アプリ事業者はユーザー獲得には多くの注意を払っていますが、アンインストールへの興味関心はそれとは全く対照的です。ぜひこのレポートでアンインストールに関するベンチマークを定め、自社アプリのアンインストール削減にご活用いただければ幸いです」