日経新聞、20年12月期の決算は営業利益が40.6%減の84億円 新聞販売や広告収入減少 イベント中止の影響も

日本経済新聞社の2020年12月期の決算は、売上高が3308億円(前の期比7.3%減)、営業利益が84億8100万円(同40.6%減)、経常利益が126億2100万円(同5.9%減)、税金等調整前最終利益が74億4600万円(同27.1%減)、最終利益が13億8600万円(同61.0%減)となった。新聞販売や広告収入が減少したほか、主催イベントを中止または延期とするなど、コロナ禍の影響を大きく受けたものの、日経電子版は好調だった、としている。テレワークなど働き方の多様化を進めたほか、DXを通じた生産性の底上げに取り組んだという。

セグメントごとの業績は次のとおり。

①メディア・情報事業
売上高は3269億9000万円(同7.2%減)、営業利益は55億6600万円(同51.0%減)となった。

新聞関連では、日経電子版が3月に創刊10年を迎えた。デジタル先行の配信やデータ分析を生かした調査報道などを通じ、幅広い読者に対して質の高い情報を提供してきた。新セクションを開設するなど、コンテンツと機能の更なる進化に努めた。新型コロナ関連報道では、国内外の感染状況や、乱高下する金融マーケットの状況を伝える記事へのアクセスが大幅に増加した。

4月からの朝刊新紙面では、働き方改革の課題を深掘りした新紙面「働き方イノベーション」も好評だった。また、「NTT、ドコモ完全子会社化」の特報は、通信政策の歴史的な転換を報じるものとして社会の高い関心を呼びた。10月には金融エグゼクティブ・プロフェッショナル向けのデジタルメディア「NIKKEI Financial」を創刊した。

日経電子版の有料会員数に、日経産業新聞、日経MJ、日経ヴェリタスの紙面ビューアー契約数、人事ウオッチ、NIKKEI Financialの契約数を合算したデジタル購読数は12月には81万に達し、無料と合わせた登録会員数全体で515万に拡大した。

英文媒体「Nikkei Asia」でも感染拡大にともなって国内外からのアクセスが大幅に増加した。ソーシャルメディアを活用したタイムリーな発信を行うなど、中国・アジア地域の新型コロナ関連報道を拡充して配信した。

イベント関連では、感染拡大防止の観点から「日経メッセ」など多くのイベントを中止とするなどの大きな影響を受けたが、「世界経営者会議」などのイベントや各種シンポジウム・セミナーのネット配信が好評を得たほか、オンライン展示場システムを活用した「SDGs Week Online」の開催など、ニューノーマルに対応した新たな形でのイベントを展開した。また、7回目の開催となった「日経・FT感染症会議」は、日本を代表する感染症リスクに対する議論の場として例年に増して関心を集めた。

販売収入は、電子版が好調に推移したが、紙媒体の部数減少により、全体としては減収となった。12月本紙朝刊販売部数(ABC部数)に電子版有料会員数を加えた購読数は、275万となった。

広告収入は、運輸観光・外国政府をはじめ、多くの業種で前年を下回り、全体として減収となった。

このほか、FTはデジタル有料会員の増加があったものの、紙媒体の広告収入が減少し、全体で減収となった。出版関連では、「日経メディカルオンライン」などのデジタル媒体が好調だったが、イベント中止の影響などにより、全体では減収となった。

デジタル関連では、「日経テレコン」「NEEDS」「日経スマートクリップ」「日経バリューサーチ」などは堅調に推移した。また、オンライントレードサービスや「QUICK FactSet Workstation」なども好調だった。一方で、前年に受注したITソリューション収入の反動減により、全体では微減収となった。

 
②その他の事業
売上高は84億1300万円(同9.6%減)、営業利益は29億1200万円(同0.1%減)となった。コロナ禍の影響を受け、旅行関連が大幅に減収となり、賃貸関連収入もイベントの中止で日経ホールの稼働が落ち込み、全体でも減収となった。