【インタビュー】『ジャンプチ』収録タイトル数が100作品を突破! 集英社編集部&LINEプロデューサーがゲームに盛り込んだ“ジャンプらしさ”とは


『週刊少年ジャンプ』50周年の記念作品であるスマートフォン向けゲームアプリ『ジャンプチ ヒーローズ』(以下、『ジャンプチ』)。本作では、『DRAGON BALL』の孫悟空や『ONE PIECE』のルフィといった人気キャラクターたちが年代や作品の垣根を超えて一同に集結。キャラクターたちが繰り広げるクロスオーバーの物語を楽しめるのが魅力となっている。
 
今回はLINEでプロデューサーを務める藤川翔氏と、『週刊少年ジャンプ』編集部のメディア担当編集長の大西恒平氏、Vジャンプ・最強ジャンプ編集部の内田太樹氏にインタビューを実施。『ジャンプチ』で取り扱うタイトルが100作品を迎えたことの経緯や、これまで印象に残っている出来事、今後の展望などを伺った。
 
■インタビュー対象者

・LINE『ジャンプチ ヒーローズ』プロデューサー・藤川翔氏(写真左)
・集英社『週刊少年ジャンプ』編集部 メディア担当編集長・大西恒平氏(写真中央)
・集英社『Vジャンプ・最強ジャンプ』編集部・内田太樹氏(写真右)
 

■収録タイトル100作品突破の『ジャンプチ』は、何故“ジャンプらしさ”が感じられる作品に仕上がったのか

 
──:本日はよろしくお願いいたします。まずは、皆さんがとのような形でゲームに携わっておられるのかお聞かせください。

藤川翔氏(以下、藤川):『ジャンプチ』のプロデューサーを担当している藤川です。『ジャンプチ』には2019年の11月から関わっておりまして、ゲーム内で取り扱う作品や企画、方針の決定を行っております。

※藤川氏がプロデューサーに就任した際に実施したインタビューはこちら

大西恒平氏(以下、大西):『週刊少年ジャンプ』編集部のメディア担当編集長の大西と申します。『週刊少年ジャンプ』50周年記念企画の担当をしていた関係で、本作に関わらせて頂いております。

内田太樹氏(以下、内田):Vジャンプ・最強ジャンプ編集部の内田です。大西と一緒に、『ジャンプチ』の監修や新企画の相談などを行っております。


──:『週刊少年ジャンプ』を題材にしたゲームでも、100を超える作品を取り扱うのは本作が初めてだと思います。100作品突破へ至るまでの取り組みや、経緯などを聞かせてください。

内田:これまでにも『ファミコンジャンプ 英雄列伝』(1989年)や『ジャンプアルティメットスターズ』(2006年)など、『週刊少年ジャンプ』のキャラが大集合するゲームは数多く登場してきました。

『週刊少年ジャンプ』50周年の記念作品としてリリース中の『ジャンプチ』は、運営型のスマホゲームということで、新しい作品のキャラクターがどんどん追加されていきます。作品やキャラクターが日を追うごとに増えていくというのが、今までの『週刊少年ジャンプ』の集合ゲームにはない魅力になっていると思っています。




藤川:『ジャンプチ』で取り扱う作品は、『DRAGON BALL』や『ONE PIECE』といった人気作を始め、アップデートなどでは幅広い世代のプレイヤーの方々に楽しんでいただけるよう追加作品を選定しています。ゲーム内で実施したユーザーアンケートやSNSでのユーザーのメッセージを見て、登場作品を決めることも多いです。

ユーザーからの声といえば、2月1日に『ジャンプチ』で開催した「ジャンプチバレンタイン 2021」で追加した、『武装錬金』と『PSYREN-サイレン-』(以下、サイレン)についてが印象深いです。タイミングがバレンタインということもあり、それぞれの作品のヒロインが新キャラとして登場したのですが、主人公も登場させてほしいという声を多く頂きました。

その点については、まずは今回の100作品突破イベントで『武装錬金』の主人公「武藤カズキ」が登場します。また、『武装錬金』と『サイレン』について、今後は特集祭も行う予定でいますので、ぜひ楽しみにしていてください。


──:『ジャンプチ』に『週刊少年ジャンプ』らしさを盛り込むために、大切にしている部分を教えてください。

大西:LINEさんにはこのゲームは、『DRAGON BALL』や『ONE PIECE』といった単一タイトルのゲームではなく、『週刊少年ジャンプ』という雑誌を代表したゲームだという部分をかなり意識してもらっています。そしてキャラクターデザインを統一していただくなどして、『週刊少年ジャンプ』らしさが感じられるようなゲームに仕上がっていると思っています。



大西:ストーリーの部分で言うと、強力な敵キャラクターを仲間たちと協力して倒すというのが、一番『週刊少年ジャンプ』らしいところだと考えています。ですので、その中で一見馴染み難そうなラブコメやスポーツといったジャンルのキャラクターたちに、どういった役割を持たせられるのかが、ひとつのポイントになっている気がしています。

藤川:今、大西さんが述べられた通り、『ジャンプチ』には”作品のオールスター感を大切にする”といったコンセプトがあります。一方で、多くの作品のキャラクターが登場すると、それぞれの作品に対するストーリー性というのがどうしても薄くなってしまうという問題もあり……。

もっと作品を深掘りしたストーリーを楽しみたいというユーザーの声が多かったことから、一つの作品に焦点を当てる「大特集祭」というイベントを始めました。大特集祭はユーザーからも好評で、現在も『ジャンプチ』の主力イベントとして続けています。

内田:『週刊少年ジャンプ』の若い読者の中には、過去に掲載されていた作品を知らない方も多いので、『ジャンプチ』が昔のジャンプ作品を知る良いきっかけになっていると実感しています。創刊50年を記念した作品として、雑誌の歴史や凄さが伝わってくるような、ランドマーク的なゲームにしていただいていると感じていますね。

藤川:例えば『鬼滅の刃』の次に『ボボボーボ・ボーボボ』の特集祭を行うなど、ジャンルや年代が違う作品を扱いつつもバトンを上手く繋げて、ユーザーがより多くの作品の魅力に気付けるように意識しています。

『ジャンプチ』を通して『週刊少年ジャンプ』作品の新たな魅力に気付いてもらえることこそが、チームメンバー一同最も嬉しいと感じているところです。

内田:年齢や性別に関係なく、多くの方々に楽しんで頂けているゲームになっているということに関しては手応えがあります。ここまで長期間いろんな人たちに楽しんでもらっているという点では、今までゲーム化されてきた作品の中でもナンバーワンだと思います。

また、非常にありがたいことに、熱烈なファンがすごく多いという実感があります。ジャンプフェスタなど、リアルイベントを行っていた時に『ジャンプチ』に関する質問をたくさんいただくこともありました(笑)。




──:『ジャンプチ ヒーローズ』の監修について、重視しているポイントを教えてください。

内田:監修において一番気を付けている部分は、キャラクターのチェックです。動きやセリフが原作のキャラクターと乖離しすぎてしまわないよう、特に意識をして確認しています。あとは漫画では再現できないような、ゲームならではの演出を入れてもらうようにお願いしています。

大西:たとえばキャラのデフォルメの方向性で、もっとタッチを柔らかくするとか、線を多くするとかいった細かなやり取りをします。どのキャラを登場させるかなど、作品のストーリー展開と合わせて要望も出しますね。こちらからはゲームの展開が原作の盛り上がりに繋がるような提案をさせて頂いています。

藤川:運営面では陣頭指揮を執るプランナーを扱う作品ごとに変更していることは特徴的かなと思います。例えば『ONE PIECE』であれば、一番その作品に詳しい人が企画を立てるといった流れです。『ジャンプチ』に最も大切なものは作品に対する愛だと思うので、他の運用と比べて特殊なやり方をとっているかもしれません。一方で、愛が強すぎるが上にバランスに問題が出る場合もあるので、そこは他のメンバーでカバーしながら修正をしています。

大西:監修面で大変な部分といえば、『ジャンプチ』は100作品以上扱っているので、つまり監修の担当者も100人いるということになるんですよね。ですので担当者それぞれにゲームの内容を説明した上で、全てのキャラデザインを確認してもらうという作業が必要になります。

藤川:100人の担当者さんそれぞれに監修をして頂く必要がありますので、ほぼ毎日と言っていいほどの頻度で、やり取りをさせて頂いています。また、毎月『ジャンプチ』の近況や今後の方針についてお話しさせていただく、報告会の場を設けさせていただいておりまして、そこで両社間で相違がなければ企画に入り、各担当者に監修を出し、OKが出ればデザイン・キャラ実装に繋がっていくという流れになります。


──:そのほか、『ジャンプチ』を制作する上で、この作品ならではの苦労話などはありましたか?
 
藤川:作品の選定はもちろんのこと、その作品のどの場面を取り上げるかは日々頭を悩ませています。毎週『週刊少年ジャンプ』で原作を追っている方からは最新話のストーリーやキャラがゲームに実装されるのを楽しみにされている一方で、アニメ派のユーザーにはネタバレだと捉えられてしまう恐れもあり……。どちらのユーザーにもしっかりと楽しんでいただける企画を作るのは、なかなか難しいものがあります。



藤川:ただ、その中でも自分なりにひとつの答えが見えてきたことがあります。アニメは様々な都合もありどうしても省略せざるを得ないストーリーが出てきます。例えば、『約束のネバーランド』のゴールディ・ポンド編や『家庭教師ヒットマンREBORN!』の継承式編など。

このあたりのストーリーを『ジャンプチ』で取り扱ったときは、作品ファンの皆さまから好評の声を多くいただけました。こういったストーリーを取り扱うことが、『ジャンプチ』として求められているひとつのポイントなのではないかと思っております。

アニメや劇場版、ゲーム化など、作品それぞれが幅広い展開をされているので、そのあたりも考えないといけないというところは、今まで作ってきたゲームと違うなと意識しているところです。


──:『ジャンプチ』の今後の取り組みや、取り扱う作品についてお聞かせください。

藤川:「100作品」に留まらず今後も新しい作品は追加していきたいと考えており、また、既にジャンプチに追加はされているがまだ特集祭を行っていない作品も積極的に取り上げていきたいと考えております。

特に最近ではありがたいことに作者の方々の中にはSNS上で「私の作品が『ジャンプチ』に出ないかな」と発信してくださる方もおりまして。このあたりも、集英社さんとご相談しながら、実装する作品を決めていきたいと思っています。




──:最後に、ユーザーの皆様へメッセージをお願いします。

藤川:『ジャンプチ』だからこそできた、“100作品突破”というお祝いを迎えることができて、とても嬉しく思います。リリース時からプレイしてくださっている方や新しく始めてくださった方、本当にいろんなユーザーに支えられておりまして、特に今回「作品」という面で新たに感じたのが、作者の方々からも『ジャンプチ』を凄く遊んでくださっているという声を頂いておりまして、作者の方々も「関係者」でもあり1人の「ユーザー」でもあるのだなと改めて実感しました。

こうした全てのユーザーに今後も『ジャンプチ』を楽しんで頂けるよう開発運営チーム一同、これまで以上に気合を入れて頑張っていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

大西:先日『いぬまるだしっ』の作者の大石浩二先生が、「いぬまるくんを『ジャンプチ ヒーローズ』に入れてほしい」といったツイートされていて。個人的に、私も昔『いぬまるだしっ』を担当していたという縁もあるので、いつか是非いぬまるくんを『ジャンプチ』の中に登場させてほしいと思っています(笑)。


●参考ツイート
https://twitter.com/k_marudashi/status/1400761232659910661

大西:これからも『週刊少年ジャンプ』と『ジャンプチ』で協力体制を取りながら、双方向でコンテンツを盛り上げていきたいですね。

内田:3年間『ジャンプチ ヒーローズ』を遊んでくださっているユーザーの方には本当に感謝しかなく、本作をきっかけに『週刊少年ジャンプ』を好きになってくれていることに対してもとても嬉しく思っています。これからも『週刊少年ジャンプ』と『ジャンプチ』両方を楽しんでいただければと思っています。


──:本日はありがとうございました。



 

(取材・文 編集部:山岡広樹)
(編集協力 ライター:島中一郎)



■『ジャンプチ ヒーローズ』
 

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(C)JUMP 50th Anniversary (C)LINE Corporation (C)WonderPlanet Inc.

LINE株式会社
http://linecorp.com/

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会社名
LINE株式会社
設立
2019年12月
代表者
代表取締役社長 出澤 剛/代表取締役 慎 ジュンホ
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