上場SAPの直近四半期業績…KLab筆頭に6社中5社がQonQで収益拡大

今回の記事は、上場しているソーシャルゲーム関連企業の直近四半期決算をまとめてみた。前回は、KLab、クルーズ、ケイブ、ドリコム、ボルテージだったが、今回より新たにアクセルマークを追加した。アクセルマークは、公式CPであったが、エフルートと合併し、いまやSAPと位置づけても問題はないと思われる。 注意点として、大手ゲーム会社のまとめ記事と異なり、各社の決算期が統一されていないことだ。このため、今回は直近四半期の数字とした。ケイブとKLabが2011年9-11月期、その他の会社は同年10-12月期の決算が対象となっている。また、比較は前年同期ではなく、前四半期(QonQ)となっていることにも留意していただきたい。 まず、総論としては、前回の記事では明暗が分かれたとしたが、1社を除いて業績面で良好だ。KLabを筆頭にドリコム、クルーズ、アクセルマークなど、カード系やバトル系ゲームに注力している会社が引き続き好決算を発表したほか、恋愛ゲームのボルテージも公式サイトや新規タイトルでヒットが相次ぎ収益を伸ばした。     ■アクセルマーク<3624> 前四半期はエフルートとの合併前の数字で、しかも単体だったが、合併効果もあって売り上げだけでなく、前四半期の赤字から黒字転換に成功した。売上高は前四半期比220%増、営業黒字に転換した。ソーシャルゲーム「キングダムクロニクル」と「王様ゲーム」の運営成績が良好で、12月単月の売上高が1億円を突破したとのこと。今後は、2月中に新作をリリースするほか、既存タイトルの売り上げ拡大を図り、第2四半期のソーシャルゲームの売上比率を1Qの28.0%から40.8%似まで引き上げる計画。   ■KLab<3656> 売上高57%増、営業利益68%増と驚異的な伸びで、売上、利益ともに同業他社を圧倒している。しかも売上の大きい年末・年始の数字は含まれていない。「戦国バスター」や「恋してキャバ嬢」などの根強い人気を誇るコンテンツに加え、「キャプテン翼」や「恋してキャバ嬢GP」も急速に売り上げを伸ばした。12月以降も「TALES OF KIZNA」や「戦国バスター改(GREE)」に加え、iPhoneネイティブアプリ版「戦国バスター」もトップセールス上位に入るなど好調に推移しているようだ。第2四半期(12-1月期)は、営業益10億円と横ばい予想だが、かなり控えめな見通しに見える。   ■クルーズ<2138> → 時系列の記事 売上高31%増の27億円、営業利益30%増の6億円と過去最高の売上・利益となった。「Mobage」を中心に展開している「熱血硬派くにおバトル」、「湘南爆走族」、「天地を喰らう」、「戦国バトルくにおくん」に続き、「究極×進化!戦国ブレイク」、「闘将×神化!三国ブレイク」、「チーム×抗争!ギャングキング」などがヒットした。IPを用いたバトル系・カード系ゲームを得意としている同社だが、特に認知度があるものの、いわゆる盲点というか、忘れられていたようなIPを発掘することが得意な会社という印象を受ける。また四半期決算ごとにお楽しみ情報を提供するユニークな会社でもある。   ■ケイブ<3760> 売上高10%減、営業損益も5300万円の赤字と厳しい結果となった。新規アプリの研究開発費の増大やコンシューマー事業における家庭用ゲームソフトの販売低迷が主な要因としている。とはいえ、提携先であるグリー<3632>との関係を強化し、既存コンテンツの立て直しを図るとともに、グリーの予測する新しいトレンドを盛り込んだ新タイトルを投入することで収益の拡大を図る考え(関連記事)。コンテンツの立て直しについてもすでに進められている模様で、今後の復活が期待される。   ■ドリコム<3739> ドリコムの10-12月期決算は、前四半期比で30%増収、16%営業増益となった。「GREE」で運営中の『陰陽師』、『ちょこっとファーム』、『ソード×ソード』、『ビックリマン』が堅調なことに加え、「mixi」で提供中の上記4タイトルの売上が寄与した。いずれのプラットフォームでもランキング上位に入るなど好調だ。今後については、GREE版『陰陽師』のスマートフォン対応だけでなく、「mixi」でアリスマティック「イケない契約結婚」や「社内のケダモノっ!?」、gloopsの「大争奪!!レジェンドカード」のパブリッシングを開始するなど新しい展開を見せている。既存タイトルのスマホ対応も含めて、まだまだ高成長が期待できそうである。   ■ボルテージ<3639> ボルテージは、初めて四半期として売上高20億円に到達した。売上高30%増、営業利益429%増で、利益水準はピーク時には届かないものの、V字回復となった。「王子様のプロポーズ for GREE」が月1億円超を達成したことに加え、スマートフォン向けも伸長。公式サイトは、「誓いのキスは突然に」が大ヒットを記録し、11月投入の「今夜アナタと眠りたい」も好調に推移した、としている。ガチャやアバター要素を盛り込んだ第3世代のアプリがヒットした。公式サイトとソーシャルゲームの売り上げの内訳も公開されている(関連記事)。
KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
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