日本一ソフトウェアの中期経営ビジョン-「Entertainment for All」

日本一ソフトウェア<3851>は、本日(4月1日)、今後の成長戦略を示す「中期経営ビジョン」を策定したと発表した。3カ年の業績目標を示した中期経営計画ではなく、あくまで経営ビジョンとなっているが、今後、同社の方向性を示すものになっているといえる。 ポイントは、コンシューマーゲームのパッケージソフトの販売だけでなく、様々なデバイスやネットワークに対応するとともに、ゲーム以外のコンテンツや他社コンテンツとのコラボレーション作品を提供する、というものだ。そして、そのためには、企画部門を一元化する一方、開発部門においては少人数のユニットに分け、権限委譲を行うことで自由と責任を明確にし、開発者がより一層の創意工夫が行えるようにする、というもののように思われる。 以下、日本一ソフトウェアの経営ビジョンの概要をまとめてみた(スライド)。    ■経営理念 同社では、スマートフォンの拡大やオンラインゲーム、ソーシャルアプリなど遊び方が多様化するとともに、人口の高齢化と人口減が進行するなか、市場環境が大きな転換期を迎えているとの認識から、従来の「ゲームは作品ではなく商品である」とする経営理念を進化させ、「Entertainment for All」にしたという。   ■中期経営ビジョン 同社は、これまでコンシューマーゲームの熱心なユーザーにメインターゲットとしてきたが、今後は、幅広いメディアやジャンルを通じてコンテンツを提供し、収益の安定化を図っていく。新規ユーザーの開拓と、収益性の高いコアユーザーの定着化を通じて、今後の安定的成長の実現を目指すとしている。   ■戦略について ネットワークビジネス戦略として、コンシューマーゲームでは「魔界戦記ディスガイア4」の追加ダウンロードコンテンツを長期間にわたって有料・無料で配信するほか、スマートフォンではオンラインゲームやソーシャルアプリを提供する。また「魔界戦記ディスガイア」のアイテム界システムに特化したバージョンの配信も予定しているという。 グローバル戦略では、海外市場の動向やニーズに対して柔軟な体制を実現するとしている。販売子会社NIS Americaを中心に国内で販売したタイトルの海外展開を行う。新た日本本社はアジア市場拡大の拠点と位置づける。他方、「魔界戦記ディスガイア4」は、英語、フランス語、中国語、韓国語に対応したバージョンを発売する。 このほか、コミックやアニメ、映画、小説、音楽CD、電子書籍などの様々なメディアにコンテンツの積極展開を図るとともに、チョコレート菓子商品『ビックリマン漢熟覇王』など、他社とのコラボレーション展開も注力する方針。   ■組織体制 戦略を支える組織も変更する。新たに企画部を新設し、アイディアやビジネススキームの構築など戦略的な取り組みを一元化するとともに、開発部では、新たに3~4名の少人数で構成する11のユニットを編成し、リーダーに大幅な権限委譲を行うという。営業部は出版社や販売店との共同イベントの展開を積極的に実施する。   ■子会社設立 「魔界戦記ディスガイア」シリーズのクリエイターを中心に新たに子会社2社も新設する。新設するのは、カウンターストップとノラで、STUDIO ToOeufのように優秀なクリエーターが持つ自由な発想を実現する場を創出することが目的。グループ間での切磋琢磨を通じた相乗効果も期待できるとのこと。グループ会社から年間で最低4本のタイトルを提供できる体制を早期に構築する。