Mission:“変わった企業”アプリカの秘密を探れ! アプリソムリエの孤軍奮闘日記 Part1

謎の生物を飼育するアプリ、歴史的英雄たちが集結するアプリ、キュートな女子が任侠の世界に生きるアプリ。ポーカーでダンジョンを進むアプリ。これ、実は同じ会社がつくっているんです。いい意味でジャンルがバラバラ。しかも、どれもヒットを飛ばしているというから、気にせずにはいられません。一体どんな会社で、どんな人たちが開発しているのか。その舞台裏を探るべく、潜入のミッションを命じられたのが、アプリソムリエの長谷川麻衣。事前情報と与えられているのは“変わった企業”だということ。彼女にとって初となる単独取材、果たしてうまくいくのでしょうか。

 

■プロフィール

・株式会社アプリカ

2010年6月設立。『バイオハザード アウトブレイクサバイヴ』はユーザー数200万人を突破し、GREE Platform Award 2011を受賞。2012年9月にリリースした『神将麗戦アマテラス』は、App Store無料ランキングゲームカテゴリ1位を獲得。その他、90万ダウンロード『ホモォいじり』や、『ポーカー&ダンジョンズ』など多数リリースしている。

・アプリソムリエ

“スマホライフをハッピーに。”をキャッチフレーズに、ありとあらゆるジャンルのアプリ情報を発信している女性。一人ひとりのソムリエに得意ジャンルがあり、おすすめアプリなどもそれぞれに異なる。Webサイトだけではなく、公式ガイドブックを発行するなど、媒体をまたいで活動中。最近ではテレビで見かける機会も増えている。

 

 

「じゃ、潜入取材よろしくね!」とマネージャーから渡された1枚の名刺。1人で取材に行くのは不安だな…。冷ややかに扱われたらどうしよう。でも、アプリソムリエとしての血も騒ぐ。よし行ってみるぞ!

ということで、オフィスに到着。えーと、担当者の方のお名前は何だっけな。えーと、えーと。

ガチャリ。

「どなた?」

「あ、わたくし、アプリソムリエの者なんですけど」

「アプリソムリエ?」

「は、はい」

あれれ、この方はひょっとすると社長さんじゃ。ホームページの写真と似てるぞ。

「あの、もしかして社長さんですか?」

「そうですけど」

「い、いきなりなんですけど、ちょっとお話させてもらってもいいですか!?」

「今? 大丈夫ですけど」

「本当ですかー? やった!」

えー、社長さんってこんなあっさりしてるものなの。何はともあれ、幸先はよさそう!

 

 

会議室へ移動。

──:社長、いきなりですが、今日はよろしくお願いします。

森尾さん:こちらこそよろしくお願いします。あ、社長って呼ばなくてもいいですよ。森尾さんって呼んでください。

──:えっ? 失礼じゃないですか?

森尾さん:気にしなくて大丈夫。スタッフからもそう呼ばれていますから。社長って呼ばれるのが、何だか堅苦しくて。肩書きで仕事をするのがあまり好きじゃないんです。

──:そうなんですね。でも、さっきもいい意味で社長っていう感じを受けなかったんです。

森尾さん:私はいたって普通の人間だと思っています。親もサラリーマンだし、起業するまでは普通に学校に行って、普通に就職するという一般的なルートを歩んできましたから。

──:意外ですね。アプリカさんはユニークなタイトルをつくっていらっしゃるので、社長さんも…、あ、森尾さんも変わった人なのかと思っていました。

森尾さん:代わりと言っては何ですが、メンバーは変わっている人たちばかりですよ。バンドマン、バンドガール、劇団座長、BL同人誌の作家、元DJ、ここに籍を置きながらニューヨークに留学している人…、挙げていけばキリがないですね。もちろん、みんな仕事では腕利きのエンジニアだったり、キレキレのディレクターやプロデューサーだったり、イケてるデザイナーです。

──:いろいろな人たちがいらっしゃるんですね。

森尾さん:バンドマンのメンバーなんて、有給申請の理由が「ツアーに出ます」ですから。

──:それはすごい(笑)。あえて変わっている人たちを採用しているんですか?

森尾さん:それはあります。会社としてダイバーシティを掲げていて、要するにいろいろな人たちがいた方が変化に適応しやすいんです。多岐にわたるジャンルを手がけているのも、そこに理由があって。たとえば今はカードゲームが主流で、私たちもその流れを汲んでいる部分はありますが、決して乱発はしていません。多様性を持つことが、今後この業界でサバイブしていくためのカギになると思っています。二か月足らずで90万ダウンロードを突破した「ホモォいじり」もその一端ですね。

 

 

──:現場から出てくるアイデアにも、それぞれに個性がありそうです。

森尾さん:「ペラコン」という社内制度があって、これは週に1回、メンバーが企画案を出せる場です。その名の通り、紙1枚に内容を書いてもらっています。通常のラインが忙しいときは出てくる数が減りますが、それでも毎週3から10くらいは上がってきますね。内容は全く自由。それぞれの個性を存分に活かしてほしいし、むしろ多少の悪ふざけや実験的なチャレンジをするくらいでいい。ヒットタイトルって、意外とそういったところから生まれることがありますから。ちなみに、アプリランキングで無料1位に選ばれた企画を出したメンバーには報奨金を支給しています。

──:実際にリリースされることもあるんですか?

森尾さん:しょっちゅうですよ。自分がチャレンジしたものに対して、ユーザーからレスポンスがあるのはうれしいもの。自己完結するのではなく、世の中に出すことで見えてくるものもたくさんありますから。開発スピードも速くて、1日でつくるときもあります。会社の顔となるビッグタイトルを開発することも大切ですが、こういった試みも並行して続けていきたいですね。どんなアプリであっても、情熱を込めてつくったものは等しく尊いと思っていますから。

──誰でも企画を出せるんですか?

森尾さん:当社には職種の壁がないんです。たとえば、入社した時点ではエンジニアであっても、そこからプランニングやディレクションに携わるようになっていくケースは珍しくありません。本人の希望を汲み取った上で仕事を任せていくこともありますし、会社側から「こっちの方が向いているんじゃない?」と勧めることもありますね。そういったやり取りは、日常的に行っています。

 

 

■ワークスタイルもユニーク

──:そもそも、アプリカを立ち上げたきっかけは何だったんでしょう?

森尾さん:前職で2009年のmixiアプリモバイルのローンチ時、あるモバイルアプリをつくってリリースしたとき、ユーザー数が4日で100万人を突破したんですよ。さらにそのあともグングンユーザ数が伸びて行った。これはすごいと。これは大きなチャンスが来たんだなと肌で感じたんです。実際に今では、個人がつくったアプリが、世界中でダウンロードされるなんてことも普通に起こっていますし。

──:起業するのって、勇気がいると思います。

森尾さん:前職でもプロジェクトマネージャーのポジションに就いていたので、そのまま同じ会社で好きなタイトルだけをつくろうと思えば、ある程度は思い通りに開発できたでしょうね。ただ、自分でリスクを背負ってみないとつまらないなと思ったんです。これまで、飛び込み営業やデザイン、コーディングといったさまざまな仕事に関わってきましたが、どれも私の中では中途半端に感じていて。このままジェネラリストでそこそこのポジションに居たとしても10年後に生き残れないだろうなと。それであれば、経営者まで振り切った方がいいのではないかと。

──:カプコンさんとかエンターブレインさんなど、大手企業とタッグを組まれることもあるんですね。

森尾さん:私たちは自社タイトルを多数リリースしているように、ワンストップで自社内での開発ができる体制を整えていますので、その辺りの信頼があるんじゃないですか。たくさんのユーザーがアクセスしても、充分にさばけるだろうという安心感があるというか。

 

 

──:沖縄に拠点があるのも特徴ですよね。私、この前はじめて行ったんです。

森尾さん:設立して間もない時期に、「沖縄で事業をやりませんか」という声がたまたまかかって。知り合いもいない中、最初は勢いで行っていたのですが、様々な素敵な出会いがありました。そこから2拠点で開発を続けていて、2012年3月に法人化しました。複数の拠点をマネジメントする経験や、現地の優秀な人材を受け入れられますので、採用競争という面でもメリットがあります。

──:役割分担はあるんですか?

森尾さん:基本的に行っていることは同じです。コミュニケーションツールはフロー型としてはチャットワーク、ストック型としてはredmineと言うものを使用しています。対面でも社内カメラが常時オンラインになっていて、いつでもビデオチャットでのやり取りができるようにしています。オンラインでいつでも同じ環境で仕事ができています。

──:面白いワークスタイルですね。

森尾さん:ワークスタイルに関しては今の時代に合わせた形を創っていきたいと考えています。今は在宅勤務を実施はしていませんが、今後は導入していきたいと思っています。たとえば女性であれば、育児期間中は完全に休暇を取るのではなく、週に1回だけのミーティングに参加できるとか。女性メンバーが多いので、こういった辺りは現場から意見を吸い上げながら、ブラッシュアップしていきたいと思っています。

 

■変化を楽しむ会社

──:森尾さんの夢って何ですか?

森尾さん:世界一のアプリをつくることですね。そこを目指していくにあたって、まずは日本のスマホアプリ業界で存在感を示していきたい。今後は世界市場へのローカライズなども進めていく予定で、すでに世界20か国以上でダウンロードされているタイトルもあります。私たちは社名の通り、ゲームに限らずアプリの力を信じているんです。ですから、ゲーム以外のコンテンツも発信していくでしょうね。

──:これから、どんなアプリをリリースされるのか、楽しみです。

森尾さん:世の中を変えたいんです。スマートフォン1つあれば、アプリをうまく活用することで生活を変えられる。何かを買うときもそうですし、働き方もそう。世の中におけるコミュニケーション自体に変革を起こせると言っても過言ではないと思っています。しかも、今はSNSがコモディティ化の傾向を見せはじめているように、さらなる変革期を迎えるフェーズに来ていると感じているんです。この業界でアクションを起こしていく上で、ちょうどいいタイミングではないかと思っています。

 

 

──:話を聞いていると、変化することを楽しんでいらっしゃる印象を受けます。

森尾さん:なんだか私は渇望感が強いんです。「足りない、変わっていたい」という気持ちは常に自分の中にありますね。「そのままでいいや」というのはつまらなくて。それに、安定していることって、逆に不安定でもあるんです。変わらないことに慣れてしまうと、環境に何かしらの変化が生じたときに、身動きが取りづらくなる可能性もありますから。そう考えると、常に変わっている方が、中長期的に見た場合には安定しているとも捉えられる。私は、変わっていくことを恐れない会社こそが強いと思っています。

──:アプリカさんのこと、かなり理解できた気がします。今日はありがとうございました!

森尾さん:そうだ、せっかく来たのなら、オフィスに入ってみる?

──:えっ? いいんですか?

森尾さん:どうぞどうぞ。遠慮なく。

 

と言うことで、後編のオフィス探訪編に続く!

 

Mission:“変わった企業”アプリカの内部を暴け! アプリソムリエの孤軍奮闘日記 Part2

 

 

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