「キャリアアップは近視眼的に捉えず、俯瞰で見る」…ゲームエンジニアのキャリアアップの道


ギークスは、定期開催している技術イベント「TECH VALLEY(テックバレー)」の第8弾を2016年7月13日(水)に開催した。イベント当日は40名近くのゲームエンジニア、ゲーム業界を志すエンジニアが集まり、満席状態で大盛況となった。

■第一部:蛭田氏による講演
前半は『ゲームクリエイターの仕事~イマドキのゲーム制作現場を大解剖~』の著者である蛭田氏による講演を実施。

■第二部:パネルディスカッション
後半では『ゲームエンジニアのキャリアアップ』をテーマに蛭田氏、株式会社ヒストリア代表の佐々木氏、ギークス株式会社リードエンジニアの斉藤晋介の3名によるパネルディスカッション実施。それぞれ違うバックグラウンドを持つトップクリエイター3名による独自の視点から展開されるディスカッションは、リアルな声が飛び交う注目コンテンツとなった。

■懇親会
イベント本編終了後は懇親会が開催された。今回はゲームエンジニアだけでなく、ゲームエンジニアを目指す他業界のエンジニアや学生の方も参加していたからか、参加者同士でも積極的に情報交換しているようだった。

 

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■第一部:ゲームエンジニアのキャリアアップの道



これまで出向を含め7社での経歴を持ち、事業立ち上げを多く経験しながらキャリアアップしてきたヤフー株式会社蛭田氏。人材開発・欧米ビジネスの領域を強みとする。これまでの幅広い経験から「キャリアアップのコツ」について講演。

蛭田氏が語るポイントは3点ある。
 
「キャリアアップは近視眼的に捉えず、俯瞰で見る」
蛭田氏は自身のキャリア遍歴の紹介から、“俯瞰的視点の重要性”を話した。転職やプロジェクトの終了をきっかけにポジションが下がってしまうことはあるという。またポジションが上がるにつれ、自分ではコントロールが難しいところで責任をとらなくてはならない場面も出てきている。しかし、それは一時的なもの。外部要因に惑わされず、長期的に見て右肩上がりになるようにキャリアを設計することが重要だという。
 
「キャリアアップには、”能力”と”評価”の双方をバランスよく高める」
「能力があるのに評価されない人」「能力はないのに評価されている人」そのどちらも正しい形ではない。「能力があり評価される人」になるには評価に繋がる能力の高め方があり、これがキャリアアップのコツなのだ。具体的には、ただ業務をこなすだけではなく、自分のポジションに求められるスキルを意識して身に付けること。これは普段の業務の中では忘れがちだが、蛭田氏はいつもタスクリストの一番上にこの項目を書き、意識しているようだった。

「転職は、慎重に考え抜いた先の選択肢であるべき」
不満を理由に転職しても、次の環境でまた新たな不満が生まれるかもしれない。蛭田氏が説く理想的な転職のタイミングとは、社外にしか求めるポジションがないとき。まず社内のプロジェクトを完遂させ、成果を挙げて社内評価を高めること。そうすると社内での発言力が高まるという。
 
スライド URL:http://www.slideshare.net/KenjiHiruta/techvalley8

 

■第二部:3名のトップエンジニアによるパネルディスカッション



TECH VALLEYも中盤に差し掛かった第二部は、第一部で講演した蛭田氏に、ヒストリア佐々木氏、ギークス斉藤氏を加えた三人で”キャリア”をテーマにしたパネルディスカッション。ギークスのゲームディレクター木内氏のモデレーションのもと、活躍するエンジニアたちのリアルな声を聞けた。ここでは特に印象的だった点を紹介。

佐々木氏「技術の移り変わりによって活躍するエンジニアのスキルは変わる」
技術を磨くには、「まずは作って作って作りまくるしかない」というのが三者の意見。技術を磨いた先に”スペシャリスト”と”ゼネラリスト”のふたつの道がある。聞くと、3名揃って「自分はゼネラリストタイプのエンジニア」だという。この背景には、技術の移り変わりがあると佐々木氏は述べた。

佐々木氏「最新技術が登場したばかりのときは、スペシャリストの技術力でしか突破できない壁があり、彼らが活躍する時代になります。しかし、技術の普及の過程で、スペシャリストのスキルを肩代わりしてくれるツールが登場するようになります。そうするとそのツールを使いこなして、コンテンツを横展開できるようなゼネラリストのスキルが求められるようになります。今はかつての最新技術が一般化されているフェーズなので、その時代背景があるのではないでしょうか。」
 
蛭田氏「昇進・昇格するには、今のポジションのひとつ上のスキルを身につけること」
給料を上げるためには昇進・昇格することがひとつの手段。評価者であるマネジメント層にいるパネラーの3名から「メンバーがどのようなフェーズになると昇進・昇格させたいと思うか」ぶっちゃけて聞いてみると、やはり自分の業務を全うするだけでは難しいようだ。
 
蛭田氏「それぞれのポジションに求められることを会社から伝えられているはずです。今自分が与えられているところから、一歩上のポジションに必要なスキルを考え、それを満たすようになることが必要です。現状そのポジションにあるメンバーと遜色なく、業務が出来るようになれば昇格の必然性が出てくるでしょう。」

斉藤氏「部下をマネジメントした経験は、人生の仕事以外の部分でも生かすことができる」
エンジニアがつい敬遠してしまいがちな「マネジメント」だが、3者とも必要なスキルだという。蛭田氏の意見としては「マネジメントとは何か具体的に分からないというのも敬遠される理由。まずは興味を持ってみることからはじめるといいのでは。」

佐々木氏からは「個人が集まっただけのチームは、個の力の足し算。しかし、マネジメントの力は掛け算。マネジメントがだめになるとチームの力は半減することもあるが、うまくいけば何倍にもパフォーマンスをあげることが出来る。」など積極的にディスカッションがされる中マネジメントスキルが生きる意外な場面が紹介された。
 
斉藤氏「わたくしごとですが昨年結婚し、もうすぐ子供が生まれます。子育てなんて全然分からないですが、部下をマネジメントした経験は子育てにも生きるのではと思っています。子育て以外にも、マネジメントは人生で生かせる部分があると思いますよ」
 
 

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