【決算まとめ①】ゲーム関連企業37社の7~9月…『ドッカンバトル』周年でアカツキ好調 ネクソンが四半期最高の売上収益に BOIは費用先行も『メメントモリ』で反転攻勢へ
主要モバイルゲーム企業の2022年7~9月期の決算を振り返りたい。この四半期は新型コロナウイルス感染症の第7波が8月にピークを迎えた時期となるが、これまでよりも経済活動への重心を置いた状況での対応となったこともあり、企業業績への影響は限定的なものにとどまっているようだ。
むしろ、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界的なインフレの流れが経済に与える影響の方が強まっており、こうした状況がこの四半期、そして今後のゲーム関連市場にどのような影響をもたらしていくのかは注視しておく必要がありそうだ。
また、ブロックチェーンやメタバースなどweb3.0の展開が前四半期にも増して色々と浮上してきている一方で、仮想通貨交換業大手であるFTXトレーディングの経営破綻のように急拡大する市場の歪のようなものも生じており、新たなマーケットとそこに取り組む企業の状況をじっくりと見極める目も大切になってきそうだ。
さて、今回も前回までの形と同じく、テーマごとに少し切り分け、この記事では7~9月期の決算シーズンの主要モバイルゲーム企業の決算の概略をまとめてみたい。これまでの記事とデータの連続性も踏まえ、エイチーム<3662>とgumi<3903>、アピリッツ<4174>、coly<4175>の決算は5~7月期の数字を使用している。
なお、これまでと同様にサイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げている。
■『ドッカンバトル』周年でアカツキが好調 BOIは赤字拡大も新作『メメントモリ』で反転攻勢に
四半期推移(QonQ)でその好調さが目立ったのは、アカツキ<3932>だろう。主力の『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』(配信はバンダイナムコENT、以下『ドッカンバトル』)が7周年の周年イベントで盛況となったことが大きく収益を押し上げた。
また、足元で続く円安の影響は、『ドッカンバトル』の海外での売上高が好調だったアカツキにとってはポジティブに働いている部分もあるようだ。
CAのゲーム事業もこの7~9月期は四半期推移(QonQ)で増収増益となった。主力の『ウマ娘 プリティダービー』(以下『ウマ娘』)が「ブームといえるほどヒット」した前年同期と比較すると減収減益ではあるものの、主力タイトルの夏季イベントや『ウマ娘』の1.5周年の効果などもあって、2ケタ超の増収増益に転じる形になった。
この四半期決算では、37社中の21社が増収、16社が減収と増収となった企業が多かった。バンダイナムコHD<7832>など家庭用ゲーム大手に好調な企業が目立つほか、『FIFA ONLINE4』や韓国『メイプルストーリー』の成長に加え、『アラド戦記モバイル』や『HIT2』など新作モバイルゲームが収益に寄与したネクソン<3659>も四半期最高の売上収益を記録した。
一方、営業利益については、14社が増益(赤字幅の縮小を含む)、23社が減益と減益となる企業が多かった。特に新作リリースによる費用先行が大きく響いたワンダープラネット<4199>とバンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>が赤字幅を拡大させていることが印象的だが、BOIはその新作『メメントモリ』の貢献により、次の10~12月期に大きく業績を好転させてくることが予想される。
なお、37社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。
増収増益…ミクシィ<2121>、ネクソン<3659>、コロプラ<3668>、ケイブ<3760>、ガンホー<3765>、アカツキ<3932>、アピリッツ<4174>、サイバーエージェント<4751>、セガサミーHD<6460>、ギークス<7060>、マーベラス<7844>
増収減益…ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、アエリア<3758>、Aiming<3911>、coly<4175>、ワンダープラネット<4199>、バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>、東京通信<7359>、バンダイナムコHD<7832>、スクエニHD<9684>、コナミグループ<9766>
減収増益…KLab<3656>、エイチーム<3662>、gumi<3903>
減収減益…グリー<3632>、コーエーテクモHD<3635>、ボルテージ<3639>、モブキャストHD<3664>、enish<3667>、オルトプラス<3672>、ドリコム<3793>、カヤック<3904>、モバイルファクトリー<3912>、マイネット<3928>、イマジニア<4644>、ブシロード<7803>、カプコン<9697>
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751
会社情報
- 会社名
- 株式会社アカツキ
- 設立
- 2010年6月
- 代表者
- 代表取締役CEO 香田 哲朗
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高239億7200万円、営業利益26億7600万円、経常利益28億3400万円、最終利益12億8800万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3932
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンク・オブ・イノベーション(BOI)
- 設立
- 2006年1月
- 代表者
- 代表取締役社長 樋口 智裕
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高213億3300万円、営業利益49億円、経常利益49億2000万円、最終利益32億9300万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 4393
会社情報
- 会社名
- 株式会社ネクソン
- 設立
- 2002年12月
- 代表者
- 代表取締役社長 イ・ジョンホン(李 政憲)/代表取締役CFO 植村 士朗
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上収益4233億5600万円、営業利益1347億4500万円、最終利益706億0900万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3659