【サービス終了、その瞬間】ポケラボとスクエニ『SINoALICE(シノアリス)』…長年遊んでくれたファンに贈った『シノアリスだったナニカ』という最高の終わらせ方

スマートフォンアプリ市場は、日々新しいゲームがリリースされている。その一方で、様々な事情により惜しまれつつサービスが終了してしまうゲームも少なくはない。

gamebizでもサービス終了に関する記事（関連情報）を取り上げている。

それら記事を読み、「あと数ヵ月後に終わるのか…」と思うが、サービス終了発表～サービス終了当日までの期間、そのゲームについて追ってはいなかった。

そこでgamebizでは、それらゲームのサービスが終了するその瞬間に立ち会って、ゲーム内でどのような事が起こったのかを伝える「サービス終了、その瞬間」を展開している。

今回は、2024年1月15日12時をもってiOS/Android版のサービスが終了となった、ポケラボとスクウェア・エニックスの『SINoALICE(シノアリス)』をピックアップする。

◆ポケラボとスクエニ『SINoALICE(シノアリス)』（Since 2017 to 2024）

まずは『SINoALICE(シノアリス)』（以下、シノアリス）の概要について。

本作は、ポケラボとスクウェア・エニックスが共同開発したスマートフォン向け新作バトルファンタジーRPG。『NieR』シリーズや『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズを手掛けたヨコオタロウ氏が原作・クリエイティブディレクターを担当し、同氏の創り出す独特で濃密な世界観とオリジナルのストーリーが描かれた。

『シノアリス』は2017年6月6日にサービス開始となり、それから約6年半でのサービス終了となった。

◆タイトル発表からサービス終了までの歴史を振り返る

続いて、『シノアリス』発表からの歴史を振り返っていこう。

『シノアリス』は2017年2月16日より事前登録を開始するとともに、ティザーサイト、ティザープロモーションビデオを公開。ヨコオタロウ氏が原作・クリエイティブディレクターを担当するとあって、リリース前から大きな話題を呼んだ。

▲当時公開されたティザーPV。

事前登録開始後、「キャラクター紹介編」のPV公開や世界観やキャラクターなどの新規情報の公開や豪華声優サイン色紙のプレゼントキャンペーン（関連記事）、キャラクターデザイナーを務めるジノ氏が制作したアリス、スノウホワイト、赤ずきん、いばら姫のキャラクターデザイン画の公開（関連記事）、さらにアクションRPG『NieR：Automata』（ニーア オートマタ）とのコラボレーション（関連記事）を開催することをなど、リリース前から様々な情報を発信して、その期待感を高めていった。

▲アリスのキャラクターデザイン画。

▲『NieR：Automata』コラボ発表。

『シノアリス』は当初、今春リリース予定だったが、今夏へと変更され、最終的に2017年6月6日にリリースされることが発表となった。ちなみに6月6日はヨコオタロウ氏の誕生日であり、その年の6月6日は仏滅だった。

そして『シノアリス』は、リリース前日に事前登録者数50万人を突破し、最高の形で翌日のリリース日を迎えた…はずだったが、2017年6月6日17時より緊急メンテナンスを実施。その理由を「想定を遥かに上回る未曾有の同時接続数により各種サーバーが臨界点を超え、復旧対応として数倍単位の更なる大規模サーバー増強を緊急実施中のため」とし、翌6月7日の昼前に緊急メンテナンスを完了した。

が、昨日比で数倍規模のサーバー増強を行ったものの、6月7日もゲームに接続しづらい状況が続き、アクセスが集中によるサーバーダウンのリスクが払拭できていないとし、今後2～3日はアクセスが集中する時間帯を避けてプレイしてほしいと呼びかける事態に。具体的にアクセスを避けてほしい時間帯として、12時、17時、20時頃とアナウンスされるなど、リリース前から注目されていた作品だけに、大きな反響を呼ぶ結果となった。

緊急メンテナンスに見舞われながらも、『シノアリス』は2017年6月8日のApp Storeランキングで早くも6位にランクインするなど、ユーザーの期待値も非常に高かった（関連記事）。

この年の東京ゲームショウ2017では、グリー<3632>ブースにて『シノアリス』が出展したほか、『SINoALICE』初となる生放送を実施。そして2017年10月には300万ユーザーを突破（2019年7月には日本国内版が500万ユーザーを突破）、12月13日にはグリーの大人気タイトル『釣り★スタ』とのコラボキャンペーンを開催した。

▲TGS2017のグリーブース。

コラボ関連では、2018年3月26日にアクションRPG『DRAG-ON DRAGOON3(ドラッグ オン ドラグーン3)』と、同年9月25日には、タイトーが1978年に開発・販売した『スペースインベーダー』、そして2019年2月21日より『NieR Replicant(ニーア レプリカント)』、同年7月26日に「コードギアス 反逆のルルーシュ」、同年9月19日に『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』、同年11月12日には「Re:ゼロから始める異世界生活」、2020年8月25日にTVアニメ「ひぐらしのなく頃に」、2021年2月18日にTVアニメ「転生したらスライムだった件」と、この他にも様々なIPとのコラボを実現させた。

また、ゲーム外でも多彩な動きを見せた。

2018年5月19日～6月29日までの期間、東京（秋葉原）・大阪（梅田）でシノアリス×スクエニカフェのコラボを実施（関連記事）したり、『SINoALICE』の「オリジナル・サウンドトラック」と「COLLECTOR’S EDITION」を2018年9月9日に発売（関連記事）。

2018年11月23日、24日にはコンサート「SINoALICE CoNCERT～ギシンとアンキの愉快な音楽祭～」（関連記事）を行うと、2018年12月29日～31日開催の「コミックマーケット95」にシークレット出展。会場で先行販売商品「クリアポスター」「ポストカードセット(12種)」と既存グッズを販売した（関連記事）。

その他、2020年6月30日に『シノアリス』PC版をDMM GAMESでリリースすると、同年7月1日にはグローバル版を139の国と地域で配信開始した。

コラボやリアルイベント、グッズ販売を展開しつつ、ゲーム内では各キャラの新ジョブが登場するガチャやイベント、新章の解放などの施策を定期的に行うなどし、6周年を迎えた『シノアリス』だったが、2023年10月26日に、DMM版およびブラウザ版のサービス提供を2023年12月26日12時に終了すること、2024年1月15日12時に、iOS/Android版のすべてのサービス提供を終了することが発表となった（関連記事）。

◆1週間前からプレイ…有終の美（サ終）を見届ける

『シノアリス』の発表からサービス終了決定までの流れをお届けしたところで、ここからはサービス終了1週間前の2023年1月9日からログインしたプレイ記録をダイジェストでお届けしよう。

アプリをインストールし、ゲームデータをダウンロードするという、恒例の手順踏んでゲームを開始。最初に引くことのできたガチャで、アラジン/パラディンのジョブを解放できた。

その後、衝動篇のストーリーをプレイ。筆者的に『シノアリス』の登場キャラクターの中では「かぐや姫」のビジュアルがお気に入りだったので、モノガタリのかぐや姫の書を黙々と進めていくことに。

進められる範囲でストーリーを読み進めたが、かぐや姫はなかなかの変態でとてもいいですね。

モノガタリと並行して、オソウジというモードもプレイ。こちらは制限時間内に倒した敵の数に応じて経験値がもらえるミニゲームのようなモードのようだ。ここでも、かぐや姫のコメントがいい感じで変態でオソウジどころではなかった。

また、ほかのプレイヤーさんとの絡みだが、モノガタリで何度か参加中のプレイヤーさんが表示されていたので共闘することができた。

そして、ついにサービス終了当日を迎えた。筆者は終了1時間前の11時にログインし、ゲーム内の様子をチェック。最終日ながらこの日も何人かのプレイヤーさんと共闘し、『シノアリス』最後のひと時を楽しんだ。

共闘で一緒にプレイしたプレイヤーさんを何人かフォローしていたので、皆さんの最終日のログイン状況も確認しておこう。数日前に最終ログインした人もいれば、まさにログイン中で『シノアリス』の最後を見届けようという人もいた。

そして時刻は12時となり、『シノアリス』はメンテナンスに入った。

こうして、『シノアリス』は約6年半の歴史に幕を下ろしたのだった。

▲サービス終了後の公式X（Twitter）。

なお、『シノアリス』はサービス終了後に『シノアリスだったナニカ』というアプリ名に変更され、アプリアイコンもデザインが変更されている。

こちらは言わばオフライン版のようなアプリで、モノガタリを振り返ったり、図鑑でジョブや武器、ナイトメアのデータベースを閲覧することができるようだ。

その中でデータ内の「シノアリスを戦った人達」を項目を見てみると、画面中央にある墓標に『シノアリス』をプレイしてきたプレイヤーさんのコメントが掲載されている。長きにわたりプレイしてきたファンにとって、『シノアリスだったナニカ』、そしてこの粋な演出は、『シノアリス』からの最後にして最高の贈り物になったはずだ。

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