東映アニメ、24年3月期は売上高3%増、営業益18%減 劇場3先品大ヒットの反動出るも増収を確保 劇場版「聖闘士星矢」の不振が減益要因に

  • 東映アニメーション<4816>は、5月13日、2024年3月期の連結決算を発表、前年同期に公開した大型劇場3作品の大ヒットの反動が大きい中で、主力作品群からの安定的な収益の確保・拡大を図り、特に商品販売事業、海外配信権販売に注力したことで増収を確保した。

    なお、減益となっているのは、第1四半期における「聖闘士星矢 The Beginning」の棚卸資産の評価損計上による影響によるもの。

    売上高671億1700万円(前年同期比3.2%増)
    営業利益177億7200万円(同18.5%減)
    経常利益203億円(同10.9%減)
    最終利益145億9300万円(同11.6%減)

    各セグメントごとの状況は以下のとおり。

    ①映像製作・販売事業 売上高348億2800万円(前々期比6.5%減)、セグメント利益68億3200万円(同36.0%減)
    ・劇場アニメ部門
    4月に「聖闘士星矢 The Beginning」、6月に劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos《前編》」、劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos《後編》」、9月に「映画プリキュアオールスターズF」、10月に「デジモンアドベンチャー 02 THE BEGINNING」、11月に映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」、3月に「映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ」を公開した。前年から継続して公開していた映画「THE FIRST SLAM DUNK」や、この期に公開の「映画プリキュアオールスターズF」、映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」が好調に推移しましたが、前年同期に公開した映画「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」「ONE PIECE FILM RED」、映画「THE FIRST SLAM DUNK」程には至らず、大幅な減収となった。なお、第1四半期に「聖闘士星矢 The Beginning」の棚卸資産の評価損を計上した。

    ・テレビアニメ部門
    「ワンピース」「ひろがるスカイ!プリキュア」(2024年2月より「わんだふるぷりきゅあ!」)、「逃走中 グレートミッション」「キボウノチカラ~オトナプリキュア'23~」「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」「おしりたんてい」「いきものさん」の7作品を放映した。前年同期と比較して放映作品数が減少したことなどから、若干の減収となった。

    ・コンテンツ部門
    映画「THE FIRST SLAM DUNK」のブルーレイ・DVDが好調に推移し、大幅な増収となった。

    ・海外映像部門
    前年同期に好調に稼働した映画「ドラゴンボール超スーパーヒーロー」の海外上映権販売
    の反動があったものの、「ワンピース」の海外配信権販売、映画「THE FIRST SLAM DUNK」の海外上映権販売が好調に推移したことから、若干の増収となった。

    ・その他部門
    『金色のガッシュベル!! 永遠の絆の仲間たち』などの自社企画アプリゲーム事業が好調に稼働したことから、前年同期と比較して大幅な増収となった。

    ②版権事業 売上高396億7100万円(同5.7%減)、セグメント利益189億5600万円(同9.5%減)
    ・国内版権部門
    「ワンピース」の商品化権販売が好調に稼働したものの、「ドラゴンボール」シリーズのゲーム化権販売が前年同期の勢いには至らなかったことなどから、ほぼ横ばいとなった。

    ・海外版権部門
    「ワンピース」の商品化権販売が好調に稼働したものの、「デジモン」シリーズ、「ドラ
    ゴンボール」シリーズの商品化権販売が前年同期の勢いには至らなかったことなどから、減収となった。

    ③商品販売事業 売上高106億8100万円(同73.7%増)、セグメント利益18億2500万円(同181.8%増)
    ・商品販売部門
    映画「THE FIRST SLAM DUNK」の商品販売や、「ワンピース」のショップ事業が好調に稼働したことなどから大幅な増収となった。

    ④その他事業 売上高39億2200万円(同77.0%増)、セグメント利益1億3400万円(同30.8%増)
    その他部門では、催事イベントやキャラクターショーなどを展開した。「プリキュア」シリーズの催事が好調に稼働したことから、大幅な増収となった。

  • ■今期は減収減益を見込む

  • 2025年3月期通期の連結業績予想は、以下のとおりで、減収減益の見込み。

    引き続き好調な事業環境を想定しているが、大型作品の波及効果や、劇場収入などについて前年同期比での減少を見込んでいる。また、複数新作の放映開始、主力作品群の周年イベント、人的資本投資など、将来の収益拡大に繋げる戦略投資に係る製作原価や宣伝費が増加する予定としている。

    売上高820億円(前期比7.5%減)
    営業利益200億円(同14.4%減)
    経常利益205億円(同22.5%減)
    最終利益150億円(同20.2%減)

 

【追記】
業績推移のグラフを追加した。

東映アニメーション株式会社
http://corp.toei-anim.co.jp/

会社情報

会社名
東映アニメーション株式会社
設立
1948年1月
代表者
代表取締役会長 森下 孝三/代表取締役社長 高木 勝裕
決算期
3月
直近業績
売上高874億5700万円、営業利益286億6900万円、経常利益297億9100万円、最終利益209億円(2023年3月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
4816
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