今こそ、博打の打ち時。アプリカ流「倍返し」。

 

日曜の夜は「半沢直樹」でスカッとしてから床に就き、平日出社前には欠かさず「あまちゃん」でハンカチを濡らし、出社途中にふと見るまとめサイトのゴシップ記事にニヤリとし、昼食時には食事が出てくるまでの数分間でソシャゲの1ステージをクリアする。アプリカの森尾社長は今、そういった日常を送っているとのことだ。エンタメを発信する立場の人間である以上、自分自身もエンタメの最先端に触れていることが重要なのである。ということで、そんな社長のいるアプリカ特集の第3弾。今回は組織のことについていろいろとぶっちゃけていただきました。

 

 

■自分たちが使いたいものをつくる

───:ゲームだけではなくTVにもアンテナを張っていらっしゃるんですね。

ま、流行りものは見ておけってことですね。必ずしも「流行っている=いい」という図式が成り立つわけではありませんが、私は割と「勝てば官軍」的な考えを持っているんです。やっぱりおもしろいものは、何だかんだで売れると思っていて。

───:おもしろいと言えば、御社が実施されている採用手法は独特ですよね。

もちろん、普通の採用も行っているんですよ?(笑)ただ、ゲームを作るだけの会社ではなく、幅広くおもしろいものを発信したいという想いから、採用面においても何か変わった切り口でできないか、というアイデアから、『企画型採用』という採用手法も実施していますね。

―――:最近も「のーぱん採用面接」というのを行っていますよね?

そうですね。あれはタネを明かせば、大抵のIT企業ではやっているAVチャットを使った面接なんですよね。会社としては真面目に、遠隔地からの採用を促進させたいという考えがあるのですが、ただそれをストレートに説明するだけではなく、受け手におもしろく伝えたいなと思い、今回の企画を実施しました。

―――:今後も『企画型採用』というのはやられるんですか?

そうですね。会社としておもしろい企画を発信しているということを伝えるためにも、今後もいろんなおもしろい採用企画を実施したいと思っています。

 

 

───:さて、話は本業の方へと変わりますが、今はどのようなアプリを開発されているのですか?

今はソーシャルゲームをメインでつくっていますが、今もお話したとおり、あらゆるスマホ上での「おもしろい」を世に送り出していきたいんです。単なるゲーム会社という形態は、アプリカの目指すべきところではなく、エンタメ系のアプリやメディアの開発を行っていきたいと思っています。

 

 

───:具体的には?

以前からDLEと鷹の爪団のアプリを作ったり、エンターブレインと妖怪大戦争というゲームをリリースしたり、大手企業とタッグを組んでいます。今はファミ通の攻略本シリーズのアプリ版や、IPモノのゲームタイトルも開発中ですね。

───:大手とタッグを組む際にも、御社の「おもしろい」という部分はブレないのでしょうか?

プロジェクトが走り出す前には「こうしましょう」というある程度のすり合わせを行っていますし、そもそもの前提として、うちっぽいところと組むようにしているので、最近はアプリカらしさを知って声をかけて頂く企業も増えましたね。大手と組んでつくった制作物であっても、アプリカらしいエッジの効いたものでありたいですから。

───:では、自社タイトルに関してはいかがでしょう。

今まではホモォいじりが目立っていましたが、今後はホモォが登場する第2弾アプリや、ちょっとエッジの効いたニュースメディアを開発中です。スマホユーザーとの親和性も高いものだと思いますし、リリースしたら多分私も使うでしょうね。

───:サービスをつくるときには、「自分が使いたい」というのも1つの要素なのでしょうか?

それは大きいですね。やはり作るからには、自分たちが毎日使ったりおもしろいと感じたりするものでないとダメだと思うんです。つくって発信すると同時に、自分たちもターゲットユーザーでありたいと思っていますし。

 

 

───:つくり手であると同時に、ユーザー目線も持ち合わせたいと。

そうですね。私は常に、ミドルユーザーくらいの立ち位置にいることを意識しているんです。ゲームもやりますが、決してやり込み過ぎない。たとえばソーシャルゲームだと、課金にも限度を設けるようにして、感覚を平均値くらいに留めています。そうすることで、マーケットの感覚もブラさない様にしたいと思っています。

 

 

■マルチタレントの集団でありたい

───:やはり、ヒット作は狙っていますか?

そりゃ、もちろん。結構、ヒット作が多いように思われていますが、自分たち的には細かいヒットばかりで、ホームランはまだ打てていないと思うんです。大ヒット作が出して、会社を取り巻く環境を変えていこうと思います。

ただ、切羽詰まっている感は全くなくて、今の状況も楽しんでいますよ。私は業界の変化がおもしろいと捉えているんです。業界のスピード感自体がゲーム的というか。アプリカの事業進捗としては割とベンチャーの教科書通りに進んでいると思っていて、ブラウザゲームとネイティブアプリがそれぞれ折り重なるように発展している中で、どう生き残っていくかを考えています。

───:教科書通りに進んでいくと、今後はどういったフェーズを迎えるのでしょう?

海外という新しい要素がこれからさらに折り重なってきて、マーケットはまだまだ広がっていくでしょうね。私たちも台湾や韓国、中国へのローカライズを進めていますよ。しかし、プロジェクトの大規模化や、開発費がどんどん上がっている傾向に関してはどうかなと。予算をかければ売れるというフェーズは、もうとっくに通り過ぎている。早くこのラットレースから抜け出したいと思っています。

 

 

───:そのためにも、1本当てたいと。

そうですね。今は博打の打ち時だと思っていて、大なり小なり、いろいろなアプリを開発していますし、ゲーム以外の分野でも当てたいですね。1本の大ヒット作で見える世界がガラッと変わるのも、この業界のおもしろいところだと思うんです。使ったお金は、必ず取り返す。倍返しですよ。いや、倍返しじゃ利かないな。

───:ただ博打と言えど、バランスは大事にされていますよね。

そうですね。もちろん、ただ博打を打つだけではなく、大手と協業したり、リスクを分散しながら打席に立つ回数を増やしています。その点に関しては営業面でも頑張っています。あとは、人材ですね。

───:採用環境は厳しくなっていますしね。

アプリカの魅力をアピールさせてもらうとすれば、クロスファンクショナルな発想が生まれやすいということです。職種間の垣根を超えて、あらゆる仕事に関われる体制を採っていて、いわゆるT型、Π型人材と言われるような、幅広い専門性を備えたマルチタレントになれる環境だと思っています。

───:実際、マルチタレントは多いのですか?

会社の成長とともに増えていると思いますよ。理想形としては、ディレクター、アートディレクター、上流工程を担当するSEといったメンバーがメインで在籍する、各領域においてのマルチタレントを揃える会社になることですね。就労環境が目まぐるしく移り変わっていく中、生き残っていけるのはマルチタレントな人材だと思うんです。

―――:そういう人が増えると、仕事の幅も広がりそうですね。

そうですね。マルチタレントが増えると外注の方に任せられる範囲も広がると思っています。今も自分たちで作れるようなものは、外注の方に任せているケースはありますね。その分、高いレイヤーの業務に専念できるし、新しいラインも増やせる。 この業界には「炎上」という言葉がありますが、あれは自分たちでつくれないものを外部に任せるから起こると思うんです。その点、アプリカでは炎上しても、リリースができなくなるということはないですからね。

───:マルチタレントになるには何が必要だと思われますか?

たとえば、エンジニアでディレクションができる…というだけではまだ少し足りないかなと。そこにたとえばゲームの知識であったり、マンガを書けたりといった、それぞれの個性を掛け合わせることが欠かせません。アプリカには、そういう人材に成長するために挑戦できる環境があると思っています。

 

 

───:場は提供する。あとはその人次第ということですね。

ですね。誰でも、好きなことだと自ずと体が動くじゃないですか。そこを尖らせていき、マルチスキルと組み合わせて、市場価値の高い人材に育って行ってほしいですね。

―――:それは、ご自身の体験からきているんですか?

私は前職で、携帯コンテンツを制作するベンチャー企業にいたのですが、総合職側をウロウロして、どこに振り切ればいいのか分からなかった。そこでアプリカを立ち上げ、経営側に振り切ることにしたんです。結果、創業社長として資金調達からスタートを切ったことで、経営者としてのマルチスキルを手に入れられました。

───:あえて、自分を追い込んだと。

結果論としてそうなったという側面もありますけどね。やはり必要に迫られないとやりませんから。

───:これまでにも多くの人材を育成されてきたと思いますが、どういったタイプの人が伸びていくのでしょう。

人前にサービスを出したことがある人ですね。ゲームでなくても、音楽や演劇、映画、小説など、ジャンルは何でもいい。そういった人たちは、自分なりの美学を持っていて。「このレベルじゃ恥ずかしいから人前に見せられない」という感覚があるから、自ずとクオリティを追うようになるんです。ただ、ある程度はマーケットを意識することも必要ですけどね。そこが欠ければ、ただのアートになってしまいますから。

 

 

───:あとは、「おもしろいを追求する」という御社のスタンスに共感できる人であれば、まさに理想的ですね。

今後はいろいろなエンタメのアプリをリリースしていきたいと考えているので、新しく入社した人なりの「おもしろい」を形にしてほしいですね。今は創業4年目で、大手とタッグを組んで、自社タイトルも出して、会社としても博打を打とうとしていて…と、成長環境が整っているタイミングとしてはベストだと思っています。なので、転職するなら『今でしょ!』という感じですね。…、これはちょっと古いかな。最終回前ですし倍返しの方を前面に出しておいてください。

───:分かりました(笑)。本日はありがとうございました。

 

 

 

■関連サイト

求人情報サイト(イーキャリア内)

アプリカ求人サイト