【インタビュー】共同で新作ゲーム開発中のセガネットワークスとプレイハートが採用強化! 業務提携の経緯や両社が求める人物像などを訊く


現在セガネットワークスとプレイハートでは、開発体制の強化のために様々な職種で採用に力を入れている。そんな両社は2015年2月19日に資本業務提携契約を締結したことを発表し、現在はスマートデバイス向けの新作ゲームコンテンツの共同開発を行っている。

今回「Social Game Info」では、セガネットワークスの編成局 第2プロダクション 部長 長瀬健裕氏と、プレイハートの代表取締役社長 福里済氏、取締役 福里隆氏の3名にインタビューを実施。両社の取り組みや魅力、開発現場の雰囲気、そして求めている人物像など、様々な視点から話を伺ってきた。

■採用情報
 

プランナー



 

■「他社には無い魅力がある」…業務提携の経緯とは



株式会社セガネットワークス
編成局 第2プロダクション 部長
長瀬 健裕 氏 (写真左)

株式会社プレイハート 代表取締役社長
福里 済 氏 (写真中央)

株式会社プレイハート 取締役
福里 隆 氏 (写真右)


――:本日はよろしくお願いします。はじめに両社の会社概要からお聞きできればと思います。すでに多くの方がご存知かもしれませんが、まず改めてセガネットワークスさんの会社概要と、採用強化の背景を教えてください。

長瀬健裕氏(以下、長瀬):セガネットワークスは、当時から流れが早いと言われてきたモバイル市場において、経営意思決定の迅速化や多様化する顧客ニーズに応えていくため、セガの展開するネットワーク事業を分割・承継する形で2012年7月に設立しました。おもにスマートデバイス向けの事業を中心に行っています。

大きな特徴は多彩なゲームタイトル群からなるポートフォリオで、セガのソフト資産を活用した『ぷよぷよ!!クエスト』や、弊社オリジナルタイトルの『チェインクロニクル』などが代表作です。セガグループ全体(約2000名)の開発部隊を機動的に活用することはもちろん、高い企画・開発・運営力を持つ企業との資本業務提携や協業も積極的に行っています。

そのなかで私が担当しているのは、他社と協業してゲームタイトルを開発・運営していくモデルです。今回のプレイハートさんとの協業も我々の部署が担当になります。採用面では、市場の拡大に伴って開発体制を拡充させており、ほぼ全職種で募集を行っていますが、なかでも運営スタッフの採用に力を入れています

また、2015年4月1日より、セガのコンシューマ部門とセガネットワークスを合併した新会社セガゲームスに社名を変更(関連記事)しますが、それぞれ独自性を持って事業は続けていきます。


――:続いて、プレイハートさんの会社概要を教えてください。思えば、ご兄弟で会社を経営されているのですね。

福里済氏(以下、福里済):はい。もともとプレイハートは、2010年に開催されたクリエイターエンジニア発掘プロジェクト「Future of Apps」(主催:株式会社ベストクリエイト)を契機に設立した、スマートデバイス向けゲームの企画・開発・運営を行う会社です。設立は2011年7月で、現在は第5期目となります。

思い返せば昔から弟の隆(ゆたか)と「いつかふたりでゲーム会社を作ろう」と話をしていたものですが、「Future of Apps」をきっかけに、フジテレビさんから起業のお話をいただいた形になります。

福里隆氏(以下、福里隆):職種としては、兄の済(いつき)がプログラマーで、もともと私がコンシューマ系のゲーム会社でデザイナーをやっていたこともあり、ふたりで一通りゲームが作れる状態ではありましたね。

起業前はお互い別々の会社で働いていましたが、よく休みの日や仕事終わりに、兄と私の同級生の3人でゲームを開発していました。


――:現在の開発体制と採用強化の背景についてはいかがですか。

福里済:現在、スタッフの数は41人です。タイトルは、弊社3作目となる『ゴールドリベリオンR』(公式サイト)の開発・運営をはじめ、セガネットワークスさんとの協業タイトルの2本のラインが走っています。新規スタッフの方には、これら2本の開発に携わるのはもちろん、今後のコンテンツ拡充を見据えて採用を考えています。
 

 
福里隆:弊社も職種問わず全体的に募集していますが、なかでもプランナーの採用を積極的に行っています。というのも、これまで弊社は私と兄がすべての企画を担当しており、今回の協業タイトルも私が企画を担当していますが、今後の開発を考えると細かなデータ作成やレベルデザインなど、とても我々だけでは見切れないというのが現状です。きちんとクオリティの高いゲームを開発するためにも、今回プランナーを急募しているという形になります。


――:分かりました。両社の求める人物像については、後ほど詳しくお聞きしたいと思います。そもそも今回のセガネットワークスさんとプレイハートさんの業務提携ですが、どのような流れで締結したのでしょうか。
 

長瀬:今回の企画はプレイハートさんから持ちかけていただいた形です。ゲームの企画書を拝見する機会も多いのですが、なかでもプレイハートさんが持ってきた企画(プロジェクト)は他社には無い魅力があったのです。加えて、きちんとビジョンがあり、それらを実現するための力・熱意を福里さんおふたりが持っていたことは何よりも大きいですね。そうして、正式に業務提携を結び新作タイトルの開発がスタートしました。


――:プレイハートさんは、今回セガネットワークスさんにお声がけしたのは何か特別な理由があったのでしょうか。

福里済:これまで手掛けられたタイトルで結果を出されていたのはもちろん、開発体制や企画に対する考えかたなど、ゲーム企業として非常に魅力を感じたのが理由ですね。そして、弊社株主のインキュベイトファンドの方よりご紹介いただき、企画をお渡ししたところから始まりました。

福里隆:また、私自身も子供の頃からセガさんのゲームでよく遊んでいたこともあり、その思い入れもひとしおでしたね。我々自身もコアゲーマーなので、よく考える企画も「変わり種」「ニッチ」と呼ばれることがありますが、そこをきちんと分かっていただいて、なおかつ上手くコントロールしていただけるのはセガさんかなと思いました。
 


――:ちなみに、現在共同で開発されている新作タイトルは、どのようなゲームになるのでしょうか……。

福里済:詳しくはお話できませんが、ジャンルとしてはアクションRPGとなります。最初にセガネットワークスさんに企画を見せたときに、色々ご意見いただき芯となる企画が上手く固まったこともあり、スケジュールの遅延も生まれずに開発は順調に進んでいます。


――:なるほど。共同で開発するとなると、様々な障壁があるかと思いましたが、開発はスムーズに進んでいるのですね。

福里隆:はい。そのほか現場では、開発環境の時点で途中経過のゲーム内容をセガネットワークスさんにアウトプットしていることもあり、迅速かつ柔軟性のある進行ができています。都度チェックできるようなトライ&エラーが行いやすい環境が整っているのが特徴です。

長瀬:そうですね。また、毎回プレイハートさんからは細かい報告(進捗)資料をいただいているので、今のところはあまり不安に感じることはありません。もちろん、パブリッシングを行う弊社としては、少し疑って接するほうがちょうどいいかもしれませんが(笑)。


 

■ゲーム熱に溢れた風通しの良い両社の現場


――:社内の開発環境で何か特徴的なことはありますか。

福里隆:ひとつは先ほども申し上げたように、経営者のふたりがそれぞれプログラマー・デザイナーということもあり、現場の開発スタッフたちの気持ちを汲み取ることができるのが特徴だと思います。やはり従来の企業ですと、なかなかトップの人間は現場スタッフが求めることを理解するのが難しいと思います。

福里済:実際に声をかけてもらわなくとも、我々のほうで悩みに気付いてあげることもできますし、スケジュール表に対する工数についても「これ本当にできる?」といったように調整させることもできます。


――:理解してくれているのは現場スタッフとしても嬉しいですし、何より安心しますよね。

福里隆:ええ。それからプレイハートには、私たちも含めてとにかくゲーム好きが多いですね。「昔はよく遊んでいたけど、今は忙しいからやっていない…」というのではなくて、昔も今もゲームに対する熱がある人は多いです。お昼休みや仕事終わりなどに対戦型のゲームで遊んで、みんな和気あいあいと楽しむなど、ゲームを通じて社内全体で密にコミュニケーションがとれています。

福里済:本来なら上司と一緒にゲームで遊ぶと気を使い手加減すると思いますが、もうそういうのはプレイハートには一切なく、むしろ「手加減しなくていい。全力で来い」と言っています。ただお昼休みに複数人で対戦するオンラインゲームでは、何故かよく私が狙われているような……。

一同:(笑)


――:プレイハートさんには若い方が多いのでしょうか。

福里済:そうですね。平均年齢は20代中盤です。若さによるパワーや明るさ、吸収力があるうえに、みんな素直なのが特徴です。上から言われたことをそのまま行う素直さではなく、自分が正しいと思ったことを伝えられるということです。「僕はこう思います」と積極的に発言してくれるのは、私たちも安心しますね。


――:セガネットワークスさんでは、社内の開発環境や雰囲気についていかがですか。

長瀬:もともと弊社はセガのスマートデバイス向け事業を分割・継承する形で立ち上がった会社ですので、老舗ゲーム会社特有のきちんとした人事制度・組織体制に加え、SAP(ソーシャルアプリケーションプロバイダー)ならではの迅速な立ち回りや外部からの文化を吸収する要素を兼ね備えるなど、言わば中間ぐらいの社風となっています

何よりも意見が活発に飛び交い、発言しやすいといった社内全体で風通しがいいですね。プロジェクトでも上の人間が「これをやれ」と押し付けることも一切なく、自らで企画を立てて、なおかつそれが良い内容であれば、実現できる環境でもあります。


――:両社のゲームタイトルは総じてクオリティが高いと思います。何かクオリティ面で意識されていることはあるのでしょうか。

福里済:プレイハートでは、盛り込みすぎないこと、そしてゲームのテンポがサクサク動くことを意識しています。ついつい企画作りでは盛り込み過ぎなところもあるので、それらを上手く削ぎ落とし、いかにユーザーさんにシンプルに伝えられるかは、ゲーム作りにおいて大切なところかもしれませんね。きちんと面白さを持つコンセプトの芯をぶらさず、それらをみんなで共有しながらゲームを開発しています。

長瀬:セガネットワークスでは、いかにユーザーさんの立場になって物事を考えられるのかを重要視しています。開発側が「絶対に面白い」と思ったものを、果たして本当にユーザーさんが面白いと思ってくれるのか、ということを一度俯瞰して考えるのです。何度も何度も見直しすることで問題点も浮き彫りになっていき、訴求するべきポイントも明確に見えてきます。恐らく、そうした行動が自然とクオリティ向上に繋がっているのかもしれません。


――:まだ開発がスタートして間もないですが、改めて両社の魅力・印象はいかがですか。
 

福里隆:セガネットワークスさんは、私たちが作成した企画書に対して隅々まで確認してアドバイスをしてくれる、言わばゲーム制作の先生のようです。この数ヵ月でプレイハート全体の能力も引き上げられ、大きく成長したと実感するほどです。ゲームのクオリティを上げてくれるのはもちろん、何よりもプレイハートという会社のことを、よく理解していただいて、なおかつ親身になって接していただけるのがありがたいですね。

長瀬:パブリッシング事業を主としている私たちの部署では、本当に多くのプロジェクトを見ることになるのですが、だいたい同じようなところで悩み、壁に衝突するものです。概ねそういうときは「じゃあここの部分カットしようか」と諦めてしまうのですが、プレイハートさんの場合は解決策を考えてきてくれるのです。

ふたりともゲームに対する熱が強いのか、当初の企画からほぼぶれずに、きちんと別の提案を持ってくるところはプレイハートさんの強みですね。明確なゴール(ビジョン)があり、それを実現するために何が大切なのかをしっかり考えているからこそ、企画に粘り強さが出てきているのかなと。


―:分かりました。そして現在両社では、新しい人員を募集しているとのことですが、それぞれどのような人物像を求めているのでしょうか。

福里隆:やはりゲームに対して情熱を持っている方ですね。先ほども申し上げましたが、自分の思い入れある古いゲームばかりではなく、最新のゲームも分け隔てなく遊んでいて、かつそれらを「仕事だから」などの義務感ではなく純粋に「ゲームが好きだから」という気持ちを持っていることが大事です。そんなゲームに対する情熱を未だに持ち続けている方と、我々も一緒に働きたいです
 
福里済:あとは仕事以外にも一緒にゲームで遊ぶこともあるので、明るくてコミュニケーションができる方がいいですね。直属の上司や自分の部署の方たちだけと仲良くするのではなくて、部署間をまたいで積極的に交流をはかることも大事だと思っています。
 

長瀬:繰り返しにはなってしまいますが、弊社では独りよがりの考えではなく、物事を客観視できる方は全職種で求められます。我々の事業は、きちんとユーザーさんの手元に届いたあとのことも考えてコンテンツを発信しなければならないため、つねに次何が起こるのかを色々な人の目線に代えて、事前に把握できることが大切です

私も昔PCオンラインゲームのカスタマーサポートをやっていた経験があり、ユーザーさんがサービスをどのように受け止めているのかを勉強する機会がありました。これらを学んでおくと、サービスひとつとっても全く見方も変わっていきますし、流れの早いモバイルゲーム市場の現場では、そうした経験がある人は重宝されます。


――:それでは、最後に両社の今後の展望を教えてください。

福里済:当面は、現在開発中のタイトルが無事リリースして、ヒットさせることが目標です。その後は、複数のラインで開発を進められるよう開発規模も拡充していきます。また、ネイティブゲームのなかでも少しライトのタイトルや、コンシューマ市場でもインディータイトルの人気も上がっているため、そうした分野にも挑戦していきたいと思っています……が、弟は弟で別の考えを持っています(笑)。

福里隆:そうですね。私自身は、これからもネイティブゲーム市場が大きくなることを見据えて、普段からゲームを遊ばない方にも遊んでもらえるために、今後もモバイルで次々と面白いゲームをリリースしていきたいと思っています。展望については兄弟で別れましたが、社会においてゲームというコンテンツを確立させたい思いは一緒です。お互い経営者として衝突することはありますが、逆に何を考えているのが分かるのは兄弟ならではの強みですね(笑)

長瀬:今回のプレイハートさんとのお取り組みは1本目になりますが、今後の結果に応じて2本目、3本目と末永くお付き合いできる関係になっていきたいと思います。セガネットワークスとしては、引き続き国内で大きなシェアをとっていくことはもちろん、全世界にも向けて積極的にゲームタイトルを展開していきたいと考えています。


――:本日はありがとうございました。
 
(取材・文:編集部 原孝則)


■採用情報
 

プランナー

ゲーム運営担当
(ディレクター候補)



(C)フジテレビ/プレイハート
株式会社セガ
https://www.sega.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社セガ
設立
1960年6月
代表者
代表取締役会長CEO 里見 治紀/代表取締役社長執行役員COO 内海 州史/代表取締役副社長執行役員Co-COO 杉野 行雄
決算期
3月
直近業績
売上高1916億7800万円、営業利益175億3900万円、経常利益171億9000万円、最終利益114億8800万円(2023年3月期)
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