【コロプラ決算説明会】QonQでの減収減益は季節要因と課金率低下が影響…足元の課金率は回復 エイティングはハイエンド分野のノウハウ、知見に期待


コロプラ<3668>は、4月27日、東京都内で2016年9月期第2四半期(10~3月)の決算説明会を開催した。同日発表した第2四半期の決算(単独)は、売上高454億円(前年同期比37.7%増)、営業利益204億円(同35.3%増)、経常利益202億円(同32.8%増)、四半期純利益122億円(同35.7%増)と増収増益を達成した。

一方、業績を四半期推移(QonQ)で見ると、第2四半期期間(1~3月)の売上高は221億円(前四半期比4.7%減)、営業利益は99億円(同4.5%減)、経常利益は97億円(同7.0%減)、四半期純利益57億円(同10.1%減)と減収減益になっている。

なお、決算説明会では、同社の馬場功淳代表取締役社長(写真)がまずは説明を一通り行い、その後に質疑応答が行われた。その内容も踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 

■QonQ減収減益は季節要因に加え、一時的な課金率低下の影響も


この第2四半期期間がQonQで減収減益となった要因だが、まずは単純に年末需要からの反動という季節要因がある。これは、前回の第1四半期の決算説明会でも言及していたことで、ある意味予想されたことではあるが、この四半期はいわゆる“ガチャ”問題で業界が揺れたことも影響している。この問題の余波で課金率が低下したことが、売り上げの減少につながったことは否めないだろう。

一方、営業利益率は前四半期と比べ0.1ポイント改善した。これは、季節要因などを踏まえて、広告宣伝費を絞り込んだことが寄与している。
 

続いて費用面を見てみたい。費用は前四半期比で減少しているが、これは広告宣伝費が前述の絞り込みにより、前四半期比で6.3億円減少したことが大きく影響している。

一方、増加が目立つのは外注費だ。これは前回の決算説明会でも説明があったが、非連結の子会社への発注を外注費として計上していることに起因する。非連結の子会社への発注額は外注費全体の3割近くに達しているという。
 

次にサービスのリリース年ごとの状況に目を移すと、『白猫プロジェクト』(以下、『白猫』)を含む2014年リリースタイトルの売上比率が64.8%と前四半期比で0.6ポイント上昇した。リリース年別の状況について、同社の取締役CFO兼CSOコーポレート統括本部長の長谷部潤氏は、「FY13(2013年)ものは予想よりも落ち込まず高い水準を維持している。FY14ものも予想よりも高い。FY15ものは未達だった」と、会社側の計画に対する進捗状況を説明していた。
 


下の図は、アプリポートフォリオのバブルチャートとなる。『白猫』と『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』(以下、『黒猫のウィズ』)は、DAUは拡大したものの、課金率が低下した。課金率については、「1月の中旬からドンと落ちた。2月は戻れず、3月に戻り基調。足元の4月は戻っている」(長谷部氏)とのこと。
 

海外展開は、前四半期に引き続き、同社が直接配信を行っている韓国向け『白猫』が好調だった。ただ、韓国でTVCM第2弾を3月25日から放映したこともあり、利益率は低下した。ちなみにこのCMの効果は「3Qから寄与するとみている」(馬場社長)としていた。
 
 

■エイティングはハイエンド分野のノウハウ、知見に期待


新作については、「『激突!! Jリーグプニコンサッカー』はリリース当初は、大きめの不具合が出たが現在のバージョンは安定している」(馬場功淳社長)としていた。今春リリース予定の『ドラゴンプロジェクト』は、若干開発が遅れているもようだ。

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さらに、この第2四半期のトピックスとして、エイティング<3785>の完全子会社化を目的としたTOB(公開買付)が挙げられる。「エイティングの魅力はその歴史や技術力だ。コンシューマなどで培ったハイエンド分野のノウハウ、知見に期待している。今回は先方から話がきた。事業承継に近い形」(同)とのこと。また、同社にとって、初の上場企業へのM&Aとなるが「上場企業は割高だが、今回は二段階買付である程度解消されていると思っている」(長谷部氏)と説明していた。
 

VRについては、「Oculus Rift」向けに2タイトルをリリースした。日本で唯一ローンチタイトルをリリースした形となる。「Oculus Rift」自体の出荷が遅れている状況については、「(VRの普及に向けて)短期的には影響あると思う。今後数年で増えていくという見解は変わらない」(馬場社長)としていた。同社としては「(Oculus Riftだけでなく)主要ヘッドマウントディスプレイすべてで開発を進めている」(同)という。
 
 

■まとめ


なお、会社側の2016年9月期通期の予想は、売上高850億円(前期比17.4%増)、営業利益360億円(同11.4%増)、経常利益360億円(同11.2%増)、当期純利益210億円(同8.0%増)と従来予想からの変更はなく、据え置かれている。一時的な課金率の低下という状況はあったものの、おおむね第2四半期は予想通りの推移と考えてよさそう。

新作の開発状況は「全体的に若干開発が遅れている」(同)としていたが、今後発表される予定のタイトルを含めて、その推移をじっくりと見守りたい。
 
(編集部:柴田正之)

 
株式会社コロプラ
https://colopl.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社コロプラ
設立
2008年10月
代表者
代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
決算期
9月
直近業績
売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3668
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