【決算分析】ガンホーの決算説明資料より…1Qの4四半期ぶり増益は広告宣伝費削減が最大要因 MAUの下落トレンドに歯止めをかけられかどうかが課題に

4月28日に発表されたガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>の2016年12月期の第1四半期(1~3月)の連結決算は、売上高316億9900万円(前年同期比29.0%減)、営業利益141億3400万円(同40.3%減)、経常利益139億6500万円(同41.3%減)、四半期純利益91億9700万円(同39.2%減)と大幅減収減益での着地となった。

【関連記事】
ガンホー、1Qは売上高29%減、営業益40%減と大幅減収減益に 前年同期の好調の反動とスマホゲーム市場の飽和の影響で QonQでは4四半期ぶり増益に【追記】

今回はガンホーが開示した決算説明資料から、その決算内容の詳細を分析してみたい。



■4四半期ぶり増益の要因は米国『パズドラ』の広告宣伝費効率化など


まずは、業績の四半期推移を見てみると、売上高は4四半期連続の減収となったものの、営業利益は4四半期ぶりに増益に転じた。営業利益率は前四半期の38.6%から44.6%に改善した形となる。ただし、その中身を見てみると、その最大の要因となっているのは、広告宣伝費の削減によるところが大きい。前四半期は69億円強と突出した高い水準の広告宣伝費を計上していたが、この第1四半期は、米国の『パズドラ』の広告宣伝費を効率化したことなどで。40億円台まで大幅に削減している。
 
 

■MAUの減少傾向が続く 減少に歯止めがかけられるが課題に


続いて、単体の月次売上推移を見てみたい。この四半期(1~3月)は前年同期と比べて2月に大きく売り上げを伸ばすことができなかった。ゲーム内イベントの内容で変動があるとしているため、2015年2月ごろのイベント施策を見てみると、『パズドラ』で「北斗の拳」コラボ、『ディバインゲート』で「Fate」コラボなどを実施しており、今年はそれと比較して施策が効果を発揮できなかったもののと思われる。
 

また、MAU(Monthly Active User、月次アクティブユーザー数)の減少トレンドが続いていることも懸念材料だ。同社は、長期的な利益創出に向けてMAUを重視しており、ここの減少トレンドに歯止めがかけられるかどうかが、第2四半期(4~6月)以降の課題となってきそうだ。
 
 

■今春リリース予定だったスマホ向け新作は配信予定時期を下期に変更


なお、当初2016年春に配信予定としていたスマホ向けの新作タイトルは配信予定を下期に変更、開発が長期化している。そのほか、ゲームロフトから日本国内におけるパブリッシング権を獲得した『ディズニーマジックキングダムズ』のリリースに向けた準備が足元は進められているようだ。


海外展開については、中国向けが引き続きテンセント社と配信時期の調整中となっている。また、期中は台湾・香港・マカオで1月26日から繁体字版『サモンズボード』のサービスを開始している。
 
 

■第2四半期は既存タイトルによる第1四半期の延長線上の業績展望か


新作タイトルのリリース遅れにより、第2四半期期間は既存タイトルによる展開が続くことになる。そのため、同社は業績予想を開示していないが、第1四半期業績の延長線上の数字が出てくる可能性が高そうだ。劇的な変化は期待しづらい中で、MAUや売上高の減少に歯止めをかけられるのかが、次の四半期のポイントとなってこよう。
 
(編集部:柴田正之)

 
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
http://www.gungho.co.jp/

会社情報

会社名
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
設立
1998年7月
代表者
代表取締役社長CEO 森下 一喜
決算期
12月
直近業績
売上高1253億1500万円、営業利益278億8000万円、経常利益293億800万円、最終利益164億3300万円(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3765
企業データを見る