【インタビュー】「キャラクターの魅力を引き出すことを一番に」…快進撃中の『ラストピリオド』プロデューサー松田氏に訊くヒットの秘訣


Happy Elementsの『ラストピリオド – 終わりなき螺旋の物語 –』が、快進撃を続けている。5月10日にリリースされたばかりのタイトルではあるが、App Store、Google Playともに売上ランキングTOP30の常連となっており、また、App Store版がリリースされた翌々日の5月13日には、ダウンロード数が100万を突破している。

本作は、簡単操作で白熱バトルが楽しめる本格ファンタジーRPG。絶望とともに死した魂が、《スパイラル》と呼ばれる魔物へと転生する世界で、14歳の少年と少女が絶望の輪廻に《終止符》を打つ物語が展開される。魅力的なキャラクターデザインと、そのキャラクター同士の軽快なやりとり、続きが気になるストーリーなどが多くのユーザーから支持を得ている。

本稿では、『ラストピリオド』のプロデューサーであるHappy Elementsの松田晃佑氏にインタビューを実施し、『ラストピリオド』の魅力や、ヒットの秘密を探る。
   
 

■アニメ・ライトノベルを参考にキャラクターの魅力を最大限に引き出すアプリ作り



Happy Elements株式会社
『ラストピリオド – 終わりなき螺旋の物語 –』プロデューサー
松田晃佑
 
――:本日はよろしくお願いいたします。まずは簡単な自己紹介と『ラストピリオド』を開発するに至った経緯などを教えてください。

松田氏:私はHappy Elements内でプロデューサーという立ち位置で、もともとは『マジョカ†マジョルナ』というタイトルに携わっておりました。そのこともあり『ラストピリオド』は、マジョチームが母体となって開発を担っています。


――:『ラストピリオド』のゲーム内チャットを見ていると『マジョカ†マジョルナ』のユーザーが多くいるように見受けられます。

松田氏:実際『マジョカ†マジョルナ』のキャラクターが『ラストピリオド』で一部登場しているということもあり、もともと『マジョカ†マジョルナ』を楽しんでいただいていたユーザーさん達にも、再び楽しんでいただけるような内容になっています。ただ、完全に”マジョカ†マジョルナ 2”という形ではなく、『マジョカ†マジョルナ』をプレイしていない人でも楽しむことができ、プレイしていた人たちは、懐かしさなどを感じることができるという所を目指しました。


 ――:『マジョカ†マジョルナ』をプレイしたことが無いユーザーでも楽しめる、とのことですが、開発段階ではどのようなユーザー層をターゲットとして想定していたのでしょうか?

松田氏:実際に開発を始めてから2年半ほど経つのですが、当初から『ラストピリオド』のコンセプトとして、気軽に誰でもいつでも遊べるというのを掲げておりました。

ユーザー層のターゲットとしては、ゲームが好きな方々というのももちろんあるのですが、アニメやライトノベルが好きな方々にも遊んでいただきたいという想いがあり、そういった部分を大切にしながら制作してまいりました。



――:アニメやライトノベルが好きな方々に遊んでもらう具体的な仕組みというのはどのようなものでしょうか?

松田氏:ストーリーの部分で、セリフを吹き出しで表現するというのにはこだわりました。コミックを読み進めるように読むことができ、より没入感が深くなるようにしています。

また、デザイン、イラストについても、「単に絵がうまい」などではなく、とっつきやすく万人受けするような「格好よくて可愛い」イラストを心がけています。
 
  
▲キャラクター同士の会話が吹き出しで表示されている。

主人公のハルやちょこ、その他主要キャラクターに関しては、より個性を強くするために、アニメやライトノベルのキャラクターなども参考にさせていただきました。個人的にもアニメやライトノベルが好きなので、自然にそちらに寄ってしまっているというのもあるかもしれませんが…(笑)


――:先ほど実際に開発を始めてから2年半とお話しされていましたが、企画初期段階と現在とでコンセプト等で変わった部分はありましたか?

松田氏:コンセプト等は当初から現在までほとんど変わっていません。丁度『ラストピリオド』をリリースする時、企画初期段階の企画書を見直していたのですが、大切にしたいと当時掲げていたことは今と変わっていませんでした。

まず、気軽にできるというのが一番にあって、片手持ちでプレイできる縦型のアプリにすることを決めました。

2つ目に、シンプルだけどやり込み要素があるアプリというところを心がけました。操作性としてタップするだけの簡単なものではあるのですが、実際戦闘シーンではモンスターのモーションを見てガードをしなければなりませんし、また、チェインをつなげるためにタイミングよくタップしなければなりません。そういったやり込み要素の部分で、先ほど話をしたゲーム好きの方々に楽しんでいただけたらいいなと感じています。

そして、やはり一番はキャラクターを一番に目立たせるというのも当初のコンセプトとしてありました。先ほどお話しした吹き出しの件もありますし、詳細画面でキャラクターをタップすることで、縦型の大画面でイラストを見ることができるというのも特徴です。

 
  
▲ユニットをタップすることで大きくイラストが表示される。

また、バトルのSDキャラクターモーションについても、何度も試行錯誤を繰り返し決定しました。今の頭身は、着せ替えやバトル画面でも映えることができ、キャラ毎の個性である可愛さを表現できるギリギリのラインと考えています。
 

▲多彩なモーションが魅力的なSDキャラクター。

あとは、「コール」といういわゆるガチャの部分の演出に関してもかなり力を入れたものになっています。


――:「コール」と言えば、「コール」をしてくれるキャラクター「イオナ」は『ラストピリオド』ユーザー内でかなり人気のキャラクターになっていますね。『マジョカ†マジョルナ』のガチャのキャラクターもとても人気があったように記憶しています。

松田氏:そうですね。「イオナ」については気に入っていただけている方が多く、とても嬉しいです。『マジョカ†マジョルナ』の時の「ガチャコ」はかなり無機質なキャラクターだったのですが、今回の「イオナ」に関してはとても明るい性格となっています。「イオナ」のキャラクター付けは初期の頃から決まっておりまして、リリース当初ユーザーの皆様に受け入れてもらえるか心配な部分もありました。それが、ご好評いただいてとても嬉しく思っています。ただ、主要キャラクターよりも人気があるように感じるので少し複雑ですが(笑)
 
  
▲「コール」を行ってくれる大人気キャラクター「イオナ」。

――:「イオナ」を「コール」で呼びたいな、と思うのですが…

松田氏:そういった声は多くいただいており、とても嬉しいのですが…すみません現状では登場する予定はないです…


――:何かのイベント等で登場などは…?

松田氏:どうでしょうか…。まだ現状未定ではあるのですが、どこかの何かのタイミングで登場するかもしれません。


――:エイプリルフールとか。

松田氏:そういったのはありかもしれませんね。


――:では、次に戦闘のシステムの「ガード」や「チェイン」について、こだわりポイント等を教えていただけますか。

松田氏:ガードについては、いろいろな反響がありました。「難しい」という意見が多々ありましたが、「最初はできなくても何度か挑戦することでできるようになる」、プレイスキルが向上していく、という体験をしてもらいたいと考えておりましたし、実際にユーザーさんの声を拝見していると、「最近だんだんガードできるようになってきた」等の声が多く寄せられております。賛否両論あるとは思いますが、モンスターのモーション等を見て楽しんでもらいつつ、ゲームをプレイしてもらいたいなと感じております。
 
 


――:モンスターによってモーションは違いますが、「このタイプのモンスターはこういったモーションをするから、ここでガードをしよう。」といったように、覚えられますよね。

松田氏:そうですね。そういったガードの覚え方もできますし、モンスタータイプによったガードの仕方を解説しているような攻略動画を見つつ研究している方々もいらっしゃいます。イラストが可愛いという声をよく見かける中で、バトルの実況動画などを見つけると、とても嬉しく感じます。あと、私もゲオルギオスなどは解説動画を拝見しガードのタイミングを研究したりしているので、私達にとっても非常に勉強になります(笑

チェインに関しては、仕様をすごく迷った部分でもありました。ただ単にタップするだけでは面白くないなと思い、何かゲーム的な要素を入れようということでああいった形になりました。実際にチェインを繋ぐ際に、ユニットの順番を「WAIT」で後ろに回してチェインを繋ぐ等の工夫をし、そういった部分で楽しんでもらいたいと思います。意外と「WAIT」は使えるんですよ。

 
 


――:戦闘シーンにて、まったく操作をしていなくてもユニットが勝手に攻撃する「Auto」モードがあります。こちらのシステム、そういったコンセプトから少し外れているのではないかと感じます。

松田氏:「Auto」に関しては、時間が無いときや手が放せない時、周回クエストを周るときなど、状況に合わせて使用していただければと思っています。ただし、「Auto」にしていると、チェインもガードもできなくなってしまうので、難易度の高いクエストでは全滅してしまう可能性は高くなります。攻略するときなどはManual操作など、使い分けて貰えればと思います。


――:続いて、実際に『ラストピリオド』を遊んでいるユーザーさんの属性についてお伺いします。現状どのようなユーザーさんが『ラストピリオド』で遊んでいるのでしょうか?

松田氏:実際にデータとして確証があるわけではないのですが、弊社のタイトル『メルクストーリア - 癒術士と鈴のしらべ -』や、『あんさんぶるガールズ!』、『あんさんぶるスターズ!』をプレイしている人たちが『ラストピリオド』も遊んでいただいているかと思います。


――:『あんスタ!』のユーザーさんということは、女性のユーザーも多くいらっしゃるということですか?

松田氏:そうですね。女性の方も多くプレイしています。「○○(キャラクター名)がかっこいい」等のお声もいただいております。あとは、イラストが好きな方々も多いです。
 

▲女性に人気のキャラクターの1人「ネロ」

現在は「友達がプレイしているからやってみよう」という形で口コミで広がり、ユーザー層が拡大しています。


――:ユーザー獲得の施策はどのようなことを行っていましたか?

松田氏:リリース初期のタイミングでは『ラストピリオド』に関してプロモーションというのは行っておりません。現在いるユーザーさんは口コミ等で集まった方々になります。ですが、そろそろWEBを中心に広告を展開していく予定となっています 。(※このインタビューは5月20日に実施しました。)


――:昨今、いわゆるIPモノと言われる原作付きのアプリに関してはリリース当初から売上げランキングに登場するのは稀有ではないですが、『ラストピリオド』のようにオリジナルタイトルで、リリース当初からここまでの勢いがあるのは珍しく感じます。『ラストピリオド』のどのような部分が多くのユーザーから好評だと感じていますか?

松田氏:やはり先ほどからお話ししている「キャラクターの魅力」が一番の要因だと思っております。キャラクターの魅力を引き出すという部分はとても力を入れております。機能としても、着せ替えがあったり、イラストが大画面で見ることができるところであったり、ちびキャラの動き等が魅力となっているのではないでしょうか。

また、ゲームをプレイし始めて最初に選ぶ「六大国」も大きな要因ではないかと考えております。この「六大国」については「私はケモ耳が好き」「私は軍人ぽいのが好き」といった自分の好みを選ぶことができます。

 

▲ゲーム開始時に選ぶことができる「六大国」。


――:Happy Elementsさんといえば『あんスタ!』等で行っているメディアミックスの展開が盛んなイメージがありますが、『ラストピリオド』でもそういったメディアミックス展開を考えているのでしょうか?

松田氏:そうですね。実際にいろいろな展開をしていきたいなと思います。すでに小説も発売されていますし、コミカライズやTVCMなども展開していければいいなと思っています。個人的には『ラストピリオド』はキャラクターの個性もだいぶ強いので、アニメ化ができたらと考えていますし、実現したら嬉しいです。


――:では、次にゲーム内施策について今後の展開を教えてください。

松田氏:現在はリリースしたばかりでバタバタした状態になっており、まだまだ不具合等があるのでそこを中心に改善をしています。もちろん、新しいキャラクター追加も今後定期的に行っていきますし、イベント等も行っていく予定です。また、現在できていないギルド同士のバトルを行うようなイベントも実施していきたいと思っています。


――:現状、メインキャラクター以外のキャラクター、戦闘で使うユニットについて、キャラクターボイスが付いていませんが、これら今後付く予定等ありますでしょうか?

松田氏:現状は難しい状態です。ですが、今後大型アップデート等がありましたら付く可能性があるのではないでしょうか。また、今後行っていきたいゲーム内施策として、「六大国」のシステムを強化していきたいというのがあります。


――:最初に選ぶ「六大国」ですが、「コール」で呼び出したユニットが自分の所属の「六大国」と違っていると少し残念です。

松田氏:そうですね。実際は、戦闘時にスキルゲージが半分溜まった状態で始まるという部分だけなので、想像しているよりかはゲーム内での影響は大きくないのではないかと思います。ただ、自分が選んだ「六大国」以外のユニットが出ると残念に思うその感覚はみなさんお持ちなのかなと感じています。

賛否両論あると思いますが、この「六大国」は、一番好きなモノを選んで欲しいという想いがあります。他のユーザーさんと会話する際に「どこの国を選んだの?」といった内容が最初のコミュニケーションのきっかけになり、その人の好きなモノを知ることができて会話が弾んでくれたらいいなと思っています。

また、ホーム画面を見ただけでもその人の好みがわかるというのは新しい試みだと思っており、画面を見ただけで、「〇〇推しなんですね。」といった形で、コミュニケーションが円滑に行えるのも特徴かなと。ですが、所属の「六大国」を変えたい等のご意見も多く頂いておりますので、そこに関しては、開発チーム内で話し合って行きたいと思っております。



――:では最後に、これを読んでいる読者の方々にメッセージをお願いします。
 

松田氏:まだまだ改善しないといけない点も多く、またコンテンツも不足している部分もありますが、できる限り早く快適に遊んでいただけるように改善していき、イベントやユーザーさん同士でコミュニケーションが取れるコンテンツなども増やして行きたいと思っています。より満足していただけるゲームにしていけるよう体制強化も図っており、エンジニアの積極採用も行っておりますので、ご興味のある方はぜひご応募いただければと思います。

また、メディアミックス等もどんどん行っていく予定となっております。

進化していく『ラストピリオド』をみなさん楽しみにしていてください。


――:ありがとうございました。


■『ラストピリオド – 終わりなき螺旋の物語 –』
 

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