【決算分析】ケイブの決算補足資料より…ネイティブゲームの売上比率が全体の約4分の3に 『ゴシックは魔法乙女』は月商3億円を目標に成長に注力

7月13日に発表されたケイブ<3760>の2016年5月期の連結決算は、売上高23億4400万円(前々期比40.8%増)、営業利益1億500万円(前々期4億5500万円の赤字)、経常利益1億300万円(同4億8500万円の赤字)、当期純利益9500万円(同7億2800万円の赤字)と大幅な黒字転換を達成した。

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今回はケイブが開示した決算補足資料から、その決算内容の詳細を分析してみたい。


■ネイティブゲームの売上比率が全体の73%まで拡大 PCゲームの減少分を完全にカバー


まずは今回も売上構成比率の推移から見てみたい。第4四半期は、ネイティブゲームの売上比率が73%と全体の約4分の3まで拡大した。『真・女神転生IMAGINE』のサービスが5月に終了(3月11日に発表し、新規登録を停止)となったPCオンラインゲームの売上比率は1%となっており、ネイティブゲームの拡大がこれを完全にカバーした格好だ。
 

続いて売上高、営業利益の推移を見ると、売上高は前述の通り、ネイティブゲームの売り上げ拡大がPCオンラインゲームの売り上げ縮小をカバーし、右肩上がりのトレンドをキープした。

一方、営業利益は3四半期連続の黒字をキープしたものの、第3四半期の8800万円から第4四半期は2600万円に縮小した。これはリアルイベント「ケイブ祭り」の開催費用の発生や、東京MXのTVCMなどの広告宣伝費が増加したためとしている。

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ちなみにTVCMは、『ゴシックは魔法乙女』の初の民放テレビCMで、2016年5月13日~5月22日に東京MXで放映された。また、その良好な結果を受けて、足元の2017年5月期の第1四半期も2016年7月1日~7月18日の期間でTVCMを放映している。
 
 

■『ゴシックは魔法乙女』は250万DL突破 「ギルド」機能も順調に参加者が増加


次に業績のけん引約となっている『ゴシックは魔法乙女』の足元の状況を見てみよう。第4四半期のトピックスとしては、3月に新コンテンツ「ギルド」機能を実装し、5月に250万ダウンロードを突破した。

「ギルド」機能は、順調に参加人数が増加しているもようで、足元7月は参加人数が1万人規模となっているようだ。
 

また、ストアでの売上ランキングも安定した推移となってきており、第4四半期はApp Storeゲーム売上デイリーランキングで過去最高の33位を記録した。
 


■『ゴシックは魔法乙女』は月商3億円を目標に収益最大化に注力


通期での業績推移に目を移すと、2016年5月期は5期ぶりの営業黒字転換を達成した。ただし、現時点での営業利益率は4.5%にとどまっており、2017年5月期はさらなる利益率の向上が課題となってくる。
 

その成長への取り組みは、『ゴシックは魔法乙女』の収益最大化、Mobirixとの業務提携による海外展開などが挙げられる。『ゴシックは魔法乙女』の収益最大化については、大型イベントの実施やTVCMなどプロモーション、IPとのコラボなどに取り組むことで、月商で3億円を目標に成長させていくことを目指すとしている。
 

一方、海外展開は、ケイブが開発したゲームをMobirixのグローバルユーザーに配信することを目指して、まずは国内ユーザーを使ったマーケティングを開始する。

同社の得意領域であるシューティングゲームで、第一弾の事業展開としても発表されている『怒首領蜂一面番長』に加え、新たな領域として、キューブを囲んで崩す新感覚3D物理パズルゲーム『キューブドロップ』の展開を目指しており、まずは国内でどのような結果が得られるのか注目されるところだ。
 

なお、海外展開については、2017年5月期の上半期中に3~4本の新規タイトルを配信する予定としている。
 
 

■1Qは引き続き費用の発生が見込まれるが、黒字をキープしつつ成長できるかに注目


あくまで机上の計算になるが、第4四半期の売上高6億4200万円の73%が4億6800万円となり、これをざっくりと3で割ると約1億5000万円くらいが同社の足元のネイティブゲームの月商となるだろうか。これに対し、この売上の大半を占めるであろう『ゴシックは魔法乙女』の売上高を月商3億円にすることを目指すということは、倍増が目標ということで、かなり意欲的な取り組みと言えそうだ。

また、海外展開については、現時点では売り上げが読みづらい部分はあるが、当初の計画では事業開始は2016年夏ごろの予定としていただけに、足元の第1四半期期間で何らかのアクションが見えてくる可能性がありそうだ。

2017年5月期のスタートとなる第1四半期はTVCMなどで引き続き費用が膨らむものと思われるが、黒字体質をキープしつつ、売り上げ規模を拡大していくことができるのか、まずはじっくりと見守りたい。

(編集部:柴田正之)

 
株式会社ケイブ
http://www.cave.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ケイブ
設立
1994年6月
代表者
代表取締役社長 秋田 英好/代表取締役CFO 伊藤 裕章
決算期
5月
直近業績
売上高69億6300万円、営業利益2億4300万円、経常利益2億1300万円、最終利益25億7900万円(2023年5月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3760
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