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【DeNA TechCon 2017】「DeNAにおけるデータ分析者の働き~売上予測の事例~」…組織体制の内情や将来予測に欠かせないポイントを明かす

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ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、2月10日、渋谷ヒカリエにて、技術者向けの大規模イベント「DeNA Technology Conference 2017」を開催した。

本イベントは、「多岐にわたるDeNAの技術的チャレンジに焦点を当て、広く世に公開することで、技術進歩・進化に役立つこと」を目的に、2016年より同社が技術者向けに主催している。第2回となる2017年は、ゲームなど既存の事業におけるチャレンジのみならず、人工知能(AI)など今後注力をしていく分野を含め、ゲストスピーカーやDeNAのエンジニアが5つのステージ・31のセッションで公演を行う。

本稿では、その中から「DeNAが切り拓くAI」内で発表された、「DeNAにおけるデータ分析者の働き~売上予測の事例~」の内容を紹介していく。



本講演に登壇したのは、DeNAで、データ分析業務を担当している小東祥(こひがししょう)氏。データ分析者が、どのような業務を行うことでゲーム開発に携わっているのか。また、その中で発生する問題と、その解決法はどのようなものかを小東氏は語っている。



ステージのテーマともなっているAIについては、データ分析における課題解決におけるAIの位置付けを紹介し、今後の展望についても言及している。では、詳しい発表内容を順を追って見ていこう。


▲ちなみに、発表の手始めは登壇者の自己紹介からスタートしている。スライドに、顔写真の代わりに表示されたのは、小東さん自身を模したMiiだ。自分で作っても上手くいかず、母親に相談したところ、そっくりなものが送られてきたとのことで、母は偉大であるという意外な切り口から始まり、会場が和やかなムードに包まれたまま発表は進められた。

データ分析の問題点と解決法を紹介するにあたり、まずはDeNA社内における、データ分析組織の体制の確認から始める。

まず、データ系の人材は「分析インフラエンジニア」、「AI/データエンジニア」、「データアナリスト」、「リサーチャー」に分割されていて、それらが連携しながら動いている。小東氏の業務はデータアナリストに分類され、データの分析結果から事業における課題を発見し、それを解決していくことで、事業の成功確度を上げていくものであると紹介した。



ここで、データアナリストの観点から見た、課題発見の為に注意すべきこと、課題解決に必要なスキルについても解説している。課題発見の列はAIが空欄になっているが、ここは小東氏の発表において重要な部分となっている。しかし、一旦ここは置いておき、組織体制の話を続けていく。



課題の発見及び解決に尽力するデータアナリストを各事業に配置し、エンジニアと連携させる体制を作ることで、社内全体の事業の成功確度が高まっていくとし、データアナリストのエンジニアの密連携が重要であると小東氏は言う。



続けて、より細かい視点にフォーカスし、運営も含めたゲーム事業における分析者の働き方を紹介していくことになるが、ここでも、まずは昨今のゲーム事業の変化から話し始める。

大手コンソールゲーム企業が参入したこともあり、ゲームアプリは以前よりもクオリティを追及していく流れが強くなった。それによってアプリの大型化が進み、1タイトルの開発期間が長期化した為、開発や運営にかかる費用も高騰した。市場全体がハイリスクハイリターンに変化している。



基本無料が一般的となったスマホゲームにおいて、顧客にプレイを継続してもらうための改修は必要不可欠だが、AppStoreやGooglePlayの審査が必要となるため、改善策が反映されるまでの時間がかかる。そこで、ユーザーの動向を踏まえ、将来を見越してアップデートを厳選する必要があるというのだ。

将来予測について、どの現場でも共通するテーマとなるのは、売上の予測となるだろうと小東氏は語り、ゲーム事業における分析者が、売上予測を行うために把握すべき情報例を挙げていく。

ゲーム知識はもちろんのこと、市場の調査に加えて、SNSやアンケートを通したユーザー調査や、分析やAIにまつわる業界の動向のチェックと、必要な情報は多岐に渡っており、これらをいち早く手に入れる為にも、ゲーム事業の分析者は開発チームと業務を共にしていくことが重要だと小東氏は言っている。



こうした情報を把握した上で、課題発見の為の注意点と、課題解決に必要なスキルを活用し、事業の内容に即した課題を抽出、解決していくことが、小東氏の考えるデータアナリストの働き方となる。



これら、データアナリストの業務内容を確認したところで、小東氏が実際に売上予測に取り組んだ実例を紹介に進む。実例を紹介するにあたって、ゲーム運営における売上予測は、精度の高さではなく、予測された売り上げから新たな解釈を得て、改善を繰り返していくことが重要であると前置きする。



そもそも、ゲームの売上はどのように考えるかという基本的なところから、小東氏は解説してくれた。一般的に、ゲームの日々の売上はDAU(Daily Active User)×ARPU(Average Revenue Per User)で導き出されている。つまり、アクティブユーザーに、顧客1人あたりの売上を掛けるというものだ。



この式の予測を行うにあたっては、運用の長いゲームであれば、過去の実績も活用すれば、精度に問題がでることはないそうだが、ARPUはゲーム内での施策による影響が大きく、予測が難しいもののようだ。 これらの予測においては、統計学に基づく線形モデルや、機械学習の活用といった手法が取られるが、これらの手法を選択するための、3つのポイントを提示した。

売上に対し、何がどの程度売上に寄与しているのかが見えるのが重要であること。さらに、算出過程をブラックボックス化しない手法で、一定の精度を出すこと。そして、データ分析を自動で算出する仕組みつくるといった工夫をし、運用を容易にすること。これらが、予測の手法を選択する際の条件となる。



以上を踏まえて、いよいよ実例の話となる。まず、とあるタイトルAの内容は、ガチャによってユーザーが強くなっていくというもの。これは、ガチャの売上が、ゲーム全体の売上の大多数を占めている。

このタイトルでは、ユーザーがガチャを回したくなる理由や、アイテムの効果を洗い出していくことで売上予測を試みたそうだが、ゲームの内容が常に大幅に更新されるため、新要素に売上を大きく左右されていた。その結果、予測に必要なデータが揃う前にモデルが陳腐化してしまうため、精度が上がらないという課題が発生していた。



その当時、ユーザーの理解度などを基にしたうえで、開発者やデータ分析者の合議でARPUの予測をしていた。ここには、データ分析やAIによる課題解決の余地があったと語っている。



次に例となるタイトルBは、IPタイトルであった為、売上を構成する要素がキャラクター人気という1点に集約されていた。しかし、それが分かったところで、同じキャラクターを使い続けるわけにもいかない上に、ゲームでキャラクターの人気を覆すことはできず、とても運用が難しかった。



このように、売上予測に問題が無かったとしても、その結果に寄与している要素が1点に集まりすぎてしまうと、運営の改善には繋げにくくいそうだ。

このタイトルA、Bの2タイトルは、まだまだ売上予測が上手くいっていなかった例となる。次の実例となるタイトルCは、原作となるアニメがあるRPGジャンルのゲームとして、A、Bの体験を踏まえた上で予測に取り掛かっている。タイトルCでは、予測の精度を上げる為、運営体制やゲームシステムから分析しやすい形に作り込んでいた。



まずは、データの蓄積を行えるように調整するため、同じようなスキームで商品を提供できるような、運営体制の確立からスタートしている。また、IPタイトルでありながらも、タイトルBのように人気に左右されないよう、ゲーム内のパラメーターやスキルによって、ユーザーのニーズを作るようにした。

こうすることで、売上に寄与する特徴量を増やすことに成功したので、その中から予測しやすい特徴に絞っていくことで、シンプルな一般化線形モデルの採用が可能になり、より容易に運用可能な予測ができるようになったという。



実際に、タイトルCの売上予測のモデルとして、ARPUの算出に至るまでの実例も紹介している。それぞれのアイテムを、レアリティやスキルといったデータを参考に、売上への寄与度を指し示す「アイテム強度」を導き出し、そのアイテム強度からARPUを算出するといった方法となっている。



アイテム強度を決定するための手法もできる限り簡略化されており、アイテムの分類や、スキルの内容を入力することで、売上に寄与する特徴を割り出し、そこからアイテム強度を決定。結果としてARPUが算出されるという仕組みを作っている。

また、この手法においては、それぞれの特徴がどれ程売上に寄与しているかも把握しやすくなる為、ユーザーの需要の変化も読み取りやすくなり、対策もしやすくなったとのこと。



これにより、予測と実績がほぼ一致する結果を出せたものの、この結果に満足して運営中に発生する傾向の変化を随時反映していかないと、いずれ予測にずれが生じてくるようだ。

この様に、予測と実績にずれが生じた際は、予測に誤りがあったのか、ゲーム内の施策効果を思うように高められなかったのか、要因を分析する必要がでてくる。ここでも、仮装通貨の配布をしたタイトルを例にあげ、仮装通貨の流通数を新たに特徴量として追加しつつ、仮装通貨の流通数をコントロールできるような運用体制へと転換すという対策を講じていた。



以上の例を踏まえながら、ゲーム運営において、データアナリストの業務に求められるのは、精度の高さだけではなく、予測された売上から考察し、改善策を繰り返しながら運営をしていくことだとまとめた。

ゲーム業界においては、未来予測の重要性が高まっている。しかし、タイトル毎に事情が多様化しているので、精度以上に運営改善の示唆を示すことが重要となることもある。分析結果からタイトルの状況を見定め、適切な解決策を施していくことこそが、データ分析によって求められるものだとまとめた。



ここまでは、人為的なデータ分析にまつわる内容だったが、最後にAIを課題解決の手法として採用した例についても触れていく。あるタイトルで、ボスのパラメータの作成の工数が多すぎて、クオリティとの兼ね合いが取れなくなるという事案が発生した。



この課題の解決が必要だと判断したデータアナリストが、AIエンジニアと提携して、作成したボスを自動で攻略するAIを作成。これまで人力で確認していたものをAIに任せることによって、工数削減に成功し、その分をクオリティの追及に充てられた。

AIによって課題を解決した例を紹介したところで、プレゼン序盤の空白があったスライドに戻る。このスライドで空白になっていたのが、課題発見におけるAIの欄だった。現在、手法が見つかっていないこの部分に、小東氏は可能性を見出しており、AIによる課題発見を可能にすれば、より多種多様な課題を発見解決できるようになると予測している。



 
(取材・文:ライター 宮居春馬)
 


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企業情報(株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA))

会社名 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
URL http://dena.jp/
設立 1999年3月
代表者 守安 功
決算期 3月
直近業績 売上収益1437億円、営業利益198億円、最終利益113億円(2016年3月期)
上場区分 東証一部
証券コード 2432

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