【インタビュー】チームの垣根を越えて伝わるCygamesのイズムを紐解く…ディレクターが語る「開発に専念できる環境」とは

『グランブルーファンタジー』や『Shadowverse(シャドウバース)』といったスマホ向けゲームの代表作を始め、『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』や『GRANBLUE FANTASY The Animation』などのアニメ、さらには漫画サービス「サイコミ」と、幅広い分野でコンテンツを展開しているCygames。
 
そんなCygamesでは、来る12月6日20時より、プランナー採用セミナー「Cygames代表が語るヒットコンテンツの作り方」を開催する。こちらのセミナーでは、Cygames代表取締役社長の渡邊耕一氏が登壇し、「Cygames代表が語るヒットコンテンツの作り方」と題して講演が行われるほか、シニアディレクター陣も合流し、立食と希望者には個別面談も行う予定とのこと。
 
本稿では、上記のセミナーにも登壇するCygamesディレクターの松浦弘樹氏と中原顕介氏に、Cygamesが貫くゲーム作りの方向性や特徴から、内側から見た社内環境、さらには今、求めている人材についての話などを赤裸々に語っていただいた。


Cygamesシニアディレクター
ディレクターリーダー
松浦弘樹氏(写真左)

Cygamesディレクター
中原顕介氏(写真右)

 
 

■圧倒的スピード感でダイレクトに意見が届くソーシャルゲーム運営

 
――:まずは自己紹介を兼ねて、お二人のこれまでの経歴をお聞かせください。
 
松浦弘樹(以下、松浦):業界に入ったのは25歳の時で、主にニンテンドーDSのゲームを作っていました。5~6年ほど前にPS3向けのロボットアクションゲームの開発に参加していたのですが、スマートフォンのゲームを遊んで「面白いことができそうだ」と感じたことをきっかけにCygamesに入社した、というのが現在までの流れになります。
 
――:スマートフォン向けにゲームを作っている企業も多々あったとは思うのですが、その中でCygamesを選ばれたのはどうしてでしょうか?
 
松浦:新しいことをするなら若い企業の方が良いなと思っていました。その中でもいくつか候補を見ていたのですが、書類を出してすぐに返事をいただけたのがCygamesだったんです。面接に行った翌日にはすぐ「来ませんか」と言っていただけて、このテンポ感が通用する会社はここだけかなと。
 
――:中原さんはいかがでしょうか?
 
中原顕介氏(以下:中原):最初の就職先である大手コンシューマーゲーム会社では、開発ではなくマーケティングプランニング業務を担当していました。2年半ほど務めた後、ゲーム開発会社の立ち上げに参加しました。暫くはマーケティングプランナーを続けていたのですが、もともとゲームを作りたいという気持ちもありましたので、企画職に転向し、プランナーやディレクターを務めました。その後、また新しいデベロッパーの立ち上げに参加し、そこからの出向という形で『ブレイブリーデフォルト』シリーズのディレクターを務めました。そのときに同シリーズのプロデューサーを務めていたのが現Cygames代表の渡邊です。その縁で、Cygamesに入社したという形になります。
 
――:Cygamesに入社されてからは、どういった業務に携わられていたのでしょうか。
 
松浦:自分が最初に携わったのは『マーベル ウォー・オブ・ヒーローズ』という海外向けのタイトルです。その後、いくつかのタイトルのディレクションやヘルプを経て、直近では『LINE ペーパーダッシュワールド』を作り、現在はまた新しい作品に携わっています。まだ発表されていないものなので、詳しくお話できないのが残念ですが…。
 
中原:私も、入社直後から現在まで継続して新規企画の開発を進めていますが、並行して別の業務にも関わっています。これまでコンシューマー以外には関わったことがなかったので『神撃のバハムート』に関わったときは良い勉強になりましたね。『Shadowverse(シャドウバース)​』では、テスト版から正式リリースにかけて、バトルのUIや演出を変更するにあたってのディレクションを行いました。最近は『グランブルーファンタジー』チームでプランナーの業務体制を整理したり、『グランブルーファンタジー スカイコンパス』の手伝いに入ったり、今は近日提供開始予定の『プリンセスコネクト!Re:Dive』チームにプランナーとしてヘルプに入っていたりと、短期間で、本当にたくさんの開発に関わっています。

 

――:これまでコンシューマーとソーシャルの双方に関わられてきたお二人から見て、それぞれの開発はどういった点が異なると感じられますか?
 
松浦:何より大きく違うのは運用のスピードです。ソーシャルゲームは、一つの作品の中でも、一ヶ月スパンで完成品を送り出していく必要があります。その中で臨機応変にユーザーの声を反映するとなれば、そう簡単ではありません。入社する前から「(ソーシャルゲームの)開発は大変だけど、運用はもっと大変だ」と周りに言われていたのですが、実際にやってみると、言われている以上に大変でした(笑)。
 
中原:素早くモノを出す必要がある関係上、作ったものが直接ユーザーの手元に届く感覚がコンシューマーよりも強くて、独特の緊張感があります。
 
コンシューマーの場合、かなり長い期間をかけて作るので、その中でバグやミスを修正していきます。それに対してソーシャルゲームの運用は、先程話した通りスピードが重要です。「自分が書いたものがすぐに世に出ていく」という緊張感は、コンシューマー開発では味わったことのない感覚で、新鮮でした。
 
――:そういった変化の中で、自分にとってプラスに働いた部分はありましたか?
 
松浦:リアルタイムに届くユーザーの声を参考にすることができるので、やりがいのある仕事だと思います。キャッチボールができる醍醐味があります。
 
――:戸惑いなどはありませんでしたか?
 
中原:いえ、逆に面白いなと思いました。開発した実感が残っているうちにリリースして、その日のうちにレスポンスがもらえるというのは、学びがあるという点でも有益だと思います。
 
――:ソーシャルゲームへの印象の変化などはありましたか?
 
中原:変わりましたね。最初は「ソーシャルゲームは特殊な世界なのかな」と思っていたのですが、実際はそんなこともなく、感覚としてはPC向けオンラインゲームのサービスに近いと思いました。
 
ただ、どの分野にいても結局一番に考えることは「ユーザーをいかに楽しませるか」ということなので、その点においてはあまり違いがありません。
 
松浦:スペック面でも、今はスマートフォンとコンシューマーの差は縮まってきましたし、スマートフォンはハードウェアの基本機能としてネットワークに常時接続しているので、ゲームの内容を考える上でもいろいろな可能性を加味することができると思います。

 
 

■Cygamesがハイエンドコンシューマー向けタイトルを作る理由

 
――:Cygamesでは、これまでソーシャルゲームを中心に事業を展開していたと思うのですが、昨今ではハイエンドのコンシューマー向けタイトルにも力を入れていると聞きます。
 
松浦:元々スマートフォンだけにこだわっているわけではないので、ユーザーがより喜んでくれる、楽しめるものを作れる場所を探した結果、その答えのひとつとしてハイエンドコンシューマーに行き着いたという流れです。
 

――:開発環境などについてはいかがでしょうか?
 
松浦:Cygamesで採用している開発環境の水準は凄く高いので、スペック不足などに意識を割かれる心配はありません。用いる機材も必要なものはしっかりと用意されています。
 
中原:ハイスペックなPC環境が用意されているおかげで、コンシューマーの開発も、ソーシャルゲームと全く遜色なくできますね。
 
――:チームの中には、これまでコンシューマー開発に携わったことのない方もいると思うのですが、その辺りはいかがでしょうか?
 
松浦:基本的な作り方という点では特に変わりはありませんので、コンシューマー開発が未経験でも大きく戸惑うことはないと思います。ただ、新卒のメンバーなどゲーム制作自体が初めてという人には、基本事項から設計のノウハウまで、経験者がサポートしています。

 

■チームの垣根が取り払われた社内環境の構築

 
――:続いて、社内環境についてもお伺いしていきたいのですが、Cygamesならではだなと感じられた部分はありますか?
 
松浦:最初に驚いたのは、社内の自動販売機が無料だったことです(笑)
 
一同:(笑)。
 
松浦:ただ、そういった点を含めて細かなところまで環境整備が行き届いているという点で仕事のしやすさはあります。フロアが綺麗だったり、バックオフィスのメンバーが凄く丁寧に対応してくれたり、全スタッフが最高のパフォーマンスを発揮できる環境が用意されていると感じます。
 
中原:配偶者の誕生日に会社からプレゼントを用意してくれるという制度もあるので、仕事に集中しすぎてプレゼントを買い忘れても大丈夫です(笑)。少しでも開発に専念しやすいよう、様々な面を全力でサポートいただけるという体制になっています。
 
松浦:何事にも「この辺でいいだろう」という止まり方をしないのが、Cygamesという会社の良いところですね。

 
――:社内イベントのようなものも催されているのでしょうか?
 
中原:特徴的なところだと、普段仕事で関わりの少ない別部署のスタッフ同士が集まるシャッフルランチや、「犬好きが集まる食事会」や「『ジョジョ』好きが集まる食事会」など、社内で同じ趣味嗜好を持つ人同士が集まるテーマランチといった企画もあります。気軽に社内の人たちと交流できる機会が用意されています。
 
松浦:忘年会や鏡開きのような季節の節目でも、みんなで集まって色々なイベントをしていますね。また、有志が結成した委員会があり、スタッフ同士が交流を深めるためのさまざまな企画を考えて実行してくれています。中原さんが挙げていたランチ企画も、彼らが企画してくれたものなんです。

 
――:賑やかで楽しそうですね。では、ゲーム開発の環境に関してはいかがでしょう。
 
中原:チームの垣根や派閥意識みたいな感覚が存在しないことに驚きました。分からないことがあれば、所属チームに関係なく誰にでも聞ける環境が作られているんです。例えば、別チームの既存システムを参考にしたい場合も、メッセージを送ればすぐに返事がもらえます。また「このエクセル作業をもっと快適に行いたい」のような内容も、色々な方が答えてくれます。こうした形で技術共有が素早くできると、時間も短縮できますし、すごく助かります。
 

松浦:情報伝達の仕組みも合理的です。プロジェクトごとに活動内容を確認する“朝会”と、プロジェクトマネージャーからの連絡事項をメンバーに共有する“昼会”が毎日実施されているので、連絡事項は必ず全員に伝わります。また、定期的にプランナーやデザイナー、エンジニアといった職種ごとの全体ミーティングも行っています。
 
交流の場が多く設けられているおかげで、担当するタイトルは違っても、一体感を感じられるのではないかと思います。

 
 

■最高のコンテンツを作るための工夫に迫る

 
――:少し話は変わりますが、お二人はゲーム作りという仕事に対してどのような魅力を感じていますか。
 
松浦:まずは、遊んでくれた方から感想をもらえることです。あとはチームに自分の意見を良い感じに伝えて、良いものを作ってくれた時の“上手く連携して制作できた”という感覚は、この仕事ならではの楽しさだと思います。
 
中原:最近はディレクターという立場が長くなってきたこともあり、色々な調整をした結果「チームの戦闘力が上がっている」という状態を見るのが楽しいと感じるようになりました。
 
松浦:(プロジェクトを)上手く回して、良いイラストを上げてくれたとき、良いシナリオを受け取ったときは、やはり嬉しいですよね。良いものを作ることは、そのままモチベーションの向上にも繋がります。

 
――:メンバーの能力を成長させるにあたって、意識していることなどあれば教えてください。
 
中原:なるべく意見を採用して、モチベーションを上げることは意識しています。自分もいちクリエイターなので、人の意見を聞いた際に「自分だったらこうする」という感覚はありますが、仕事を振る立場に立ったときは“絶対に外せないライン”からズレていない限りは、その人の意見を尊重して、最大限採用することにしています。
 
――:先ほど、良いイラストやシナリオを受け取ると嬉しいという話もありましたが、良い作品を作るためには何が必要なのでしょうか。
 
松浦:色々なコンテンツを見ることです。良し悪しというのは比較できて初めて判断できるものなので、そもそも自分の中にキッチリとした基準がないと機能しません。なので、とにかく色々なコンテンツを調べて、体験して、その中で「これは良い、これは悪い、これは普通」という自分の基準を作っていくことが大切になります。
 
もうひとつ大事なのは、作った基準を自分の作ったコンテンツにも当てはめて“良い物”を目指すことです。Cygamesには「最高のコンテンツを目指す会社」というビジョンがあるので、まずは良し悪しの定規を作るための刺激を受けに行くことが大切だと思います。

 

――:お二人の今後の目標を教えてください。
 
松浦:20代の頃に「30歳までにディレクターになる」という目標を立てて達成しました。30代は自分のオリジナルで、代表作になるような作品を作りたいと思っています。最終的な目標はどうなるか分かりませんが、「どんな形であれ作り続けること」という目標は、常に掲げていたいと思います。
 
中原:Cygamesのビジョンの中には「最強のブランドを目指す」というものがあります。国内では(ブランドが)かなり浸透してきたと思いますが、海外での知名度はまだまだ上げられると感じています。なので、海外でも通用するブランドにしたいというのがひとつあります。
 
あとは、私が小学生の子を持つ父親ということもありますので、子供が「俺のお父さん、Cygamesで働いてるんだ」と言って喜ばれるようなブランドにできると嬉しいですね。

 

■Cygamesが求める未来とは

 
――:今、お二人が現場に必要だと思っていることを教えてください。
 
松浦:やはりプランナーさんでしょうか…。ゲームはひとりでは作れないので、仕事ができる仲間は多いほど嬉しいですし、何より他のメンバーの刺激にもなります。「我こそは」という人は、ぜひ12月のセミナーにご参加いただければ幸いです。
 
――:セミナーでは、どういったことを話されるのでしょうか。
 
松浦:第一部では、代表の渡邊が講演します。実際にどのような内容になるかは当日を楽しみにお待ちいただきたいです。現場でのゲーム開発を経て、Cygamesを立ち上げ、成長を牽引してきた人なので、他ではなかなか聞けないような、経験に基づいた話が聞けると思います。
 
――:どんな人に講演を聞きに来てほしいですか?
 
中原:Cygamesに興味のある方はもちろん、ヒット作の作り方を知りたいという人は是非。先ほど話にもあったハイエンドのコンシューマー向けタイトルを開発する、というように、Cygamesの方針として「作りたいから作る」というのが動機になっていることは間違いないのですが、それに全てを振り切っているわけではありません。
 
例えば、CygamesではVR分野にも早めに取り組んでいて、早々にデバイスを入手し、実際にVR対応コンテンツも公開しました。新しい技術はすぐ取り入れ、面白いものは可能な限り揃えるけど、力を入れる塩梅や方向性は嗅覚みたいなものによって調整されていると思います。そこには、僕らにも分からない“何か”があるのでしょう。渡邊の話を聞けば、その一端が垣間見えるかもしれません。

 
――:ありがとうございます。では最後に、今後プランナーにとって必要になるのはどういったところかというのをお聞きしてインタビューの締めとしたいと思います。
 
松浦:”面白さをちゃんと明文化する能力”でしょうか。自分の嗅覚を持ち、さらにそれをしっかりと語れる人でないと、今後はやっていけないようになると思います。
 
中原:加えて、リーダー資質のある人材ですね。冒頭でもお話した通り、ソーシャルゲーム開発にはスピード感が不可欠なので、運用に必要な情報を全てディレクターが管理していたら、すぐにパンクしてしまいます。自然と、個々のプランナーにある程度完結したディレクション能力が必要になります。ゆくゆくはディレクターになりたいと考えている方も、プランナーを経由するのは良い選択だと思います。興味があれば、セミナーにも是非ご参加いただければと思います。


――:本日はありがとうございました。
 

そんなCygamesでは、12月6日(火)20時より、プランナー採用セミナー「Cygames代表が語るヒットコンテンツの作り方」の開催を予定している。

本セミナーは、Cygamesでの転職を検討している人が対象で、無料で参加可能。また、今回のセミナーでは、Cygames代表取締役社長の渡邊耕一氏が登壇し、「Cygames代表が語るヒットコンテンツの作り方」と題して講演を行う。今回、インタビューさせていただいた松浦氏、中原氏とも立食にてコミュニケーションが可能となっているほか、希望者には個別面談も行う予定だ。

なお、当日は履歴書と職務経歴書(形式自由)を持参してほしいとのこと(事前に提出した場合は不要)。その他の詳細については、下記申込サイトを確認してほしい。
 
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(取材・文:編集部 山岡広樹)
(撮影:SYN.product 吉村)