【NDC18】充実した職場環境から作られるネクソンコリアの"働き方改革"とは…社内施設やプログラムについて人事担当者にインタビュー

ネクソン<3659>連結子会社のNEXON Koreaは、4月24日~26日の3日間、韓国最大規模のゲーム開発者向けカンファレンス「Nexon Developers Conference 18(NDC18)」を開催した。
 
本稿では、本イベント期間中、日本メディア向けに「ネクソンコリアの働きやすい職場環境にむけた取り組み」というテーマで、ネクソン 人事担当者の方にインタビューをする機会をいただけたので、その内容をお届けしていく。


▲ネクソン 人事担当。

――:昨今、日本では働き方について考えられることが多いのですが、韓国でも国や政府からワークライフバランスについての政策や法案はあるのでしょうか。
 
ワークライフバランスについては最近、多くの方が言及しています。仕事と休憩、プライベートを重要視するようになっており、働き方についても多くの企業が敏感になっています。また、韓国では2018年7月1日より、法律改正で1週間あたりの勤労時間が最大68時間から52時間に変わる予定です。法律改正だけでなく社会的にも大きな流れを生み出しております。よく休んで、楽しい環境で集中して仕事をした方が生産性も上がりパフォーマンスも良くなるからです。特にゲーム業界のようなクリエイティブが重視される会社では、たくさん休んで、休みの日に新鮮な経験をしていただき、頭をスッキリさせていただいたうえで良いものを作ってもらおうとしていますよ。

――:"働く"ということに関してネクソンの強みを教えてください。
 
ネクソンでは、全世界を合わせて5750人以上の職員が働いています。なので、ネクソンの特徴を一言で表すことは難しいですが、"多様性"や"多様性を認められる環境があること"ではないでしょうか。ゲーム会社を運営するにあったては、こうした各職員が持っている考え方や、各チーム・組織が持っているカラーが非常に重要な要素になります。必ずゲームを成功させる方程式があるわけではありませんので、誰もが挑戦できて様々な職員のニーズを受け入れられる文化というのはネクソンの最大の強みになっていると思います。ただ、多様性がありすぎると組織として自由奔放でコントロールできなくなってしまうので、いきすぎないように大きな観点からガイダンスを与えるようにはしています。個性は潰すことのないようにこの強みを守っていきたいと考えています。

――:他国からネクソンコリアに来られた社員に対して何か特別な取り組みをしていますか?
 
もちろん、仕事を円滑に進めるためのサポートや努力はしていますが、国外の社員を特別扱いすることは特別な制度を設けていることはありません。それは、逆に彼らにとって負担になってしまう場合もあるからです。また、今までの経験から海外から来られた方がスピーディに業務に適応しているのを見ています。要因としては、ネクソンの平均年齢が30年代前半と若く、その中でも海外経験がある方が多いのですぐに馴染めているのではないかと思います。

――:NDCのセッションについて職員はどのように考えているのでしょうか。
 
実際、ネクソンの職員にNDCについて正式に聞いたことはありませんが、職員たちの誇りのひとつになっていると思います。2007年から毎年実施しているのですが、これは公共機関主催の行事ではなく、一般民間企業が産業の発展のために開催しているカンファレンスとなっています。必須ではないことを10年以上も自らの意志で初心を忘れずに実施し続けていることがその根拠となっているのではないでしょうか。
 
また、NDCでは単にセッションを行っているだけでなく、職員が参加する様々なプログラムがあります。ネクソンバンドの公演や、アーティストたちが参加したアート展示会、さらにはネクソン社内のプログラミングコミュニティが主催したAIプログラミング大会なども開催されました。このように、職員が参加するイベントや良質なセッションを維持して広めることができたことが職員にとって結束を固める良いきっかけになっています。


――:NDCを担当されている方の声はいかがでしょうか?
 
NDCを担当することはとても厳しい仕事です。累計参加者は1万人を超えるほどで、一社で主催するには規模が大きいイベントですので、来場者、メディア、他社の方々に失礼がないようにベストを尽くさなければなりません。実は、NDCでは2年前からキャッチフレーズを決める作業をしていません。我々はただ空間と時間を作るのが役割であって、そこで起きるストーリーを作るのは皆さんだと考えたからです。YouTubeやFacebookのようなプラットフォームをイメージしていただくと分かりやすいのですが、発信するのはその場を使うユーザーであるという感覚です。決してゲーム業界をリードしたり、何かを代弁したりする立場ではなく、ゲーム業界で起きている産業の動きや印象的な出来事に対して意見交換ができる場として産業の発展に繋がればと考えておりますので、プラットフォームとして役割を果たしてければと思います。



――:ネクソンならではの取り組みはありますか?
 
これはゲーム会社に限った話ではないのですが、これだけの福祉プログラムを有している企業は他にないと思います。その代表的な例として「ネクソンフォーラム」と呼ばれるイベントがあります。ここでは、普通の人がお金を出してでも経験したい貴重なプログラムや体験を会社から提供しています。例えば、自分が歌った歌をCD化したり、声優に挑戦したり、短編映画を作ったりという試みがありました。
 
また、NDCが終了した後にはすぐに次のビックイベント「ネクソンファミリーデイ」が控えています。ネクソンファミリーデイには、5月5日に社屋全体をテーマパークのように飾り付け、お子さんを始めとする家族を招いて面白いイベントを開催しています。職員の両親に向けた公演を設けて観覧できるような機会も提供しています。これは、社員の平均年齢が上がっていることもありますし、お子さんが生まれる方、親孝行を大切に考えておられる方など、家族のみなさんにも楽しんでいただける福祉プログラムを用意したいという会社の想いからです。


あとは、社内に保育園があることでしょうか。ゲーム会社の中では最大規模の保育園で、職員の間でも入園競争が激しいです。できるだけ多くの方が子供を預けることでより集中して仕事に専念できるようにとの想いから、保育園の中でもかなり良いプログラムを提供できるようにしています。職員の満足度を数値で表すことは難しいですが、実体験として私の子供2人も預けていました。一般の保育園と比べられないほど最高の食事やプログラムが用意されておりますので、親としては非常に安心できる環境だということを体験しています。社員全員の子供を受け入れるのは施設の限界があり難しいため毎年抽選を行っているのですが、抽選に外れたことで泣いている人もいるくらい熱望されているプログラムです。

――:他にはどういった社内施設があるのでしょうか。
 
ネクソンコリアは2013年末~2014年初頭にかけて、江南に複数あった移設を段階的にこの板橋にまとめて移転し、勤務しやすい環境を作り上げてきました。簡単な薬や治療が受けられるヘルスポイントや、100人ほどが同時に入れるスポーツジム、体調が悪くなった際に休める睡眠室、300~400人規模の社内食堂、屋上にはジョギングができるトラックやバスケットボール場があります。ただ正直、施設が揃っている企業は他にもありますので、個人的にはゲーム会社ならではの面白さを取り入れたインテリアなど、ネクソンらしい施設を作っていきたいと考えています。
 
――:こうした取り組みはどういった面に反映されていると感じますか?
 
効果を検証しようとすることで本質を損なう気がするので数値化はしていないのですが、何より今日まで我々が大きく躓くことなく成長できてきたことが、こうした取り組みの成果に繋がっているのではないかと考えています。
 
――:本日はありがとうございました。
 
なお、Social Game Infoでは2016年にネクソンコリアのオフィスを取材している。下記の関連記事では、今回インタビューに挙がった保育園やジムといった施設を始め、どういった職場環境で業務に取り組んでいるかがより詳しく分かるものとなっているので、是非、参考にしていただきたい。

【関連記事】
【NDC16】韓国最大級のゲーム開発者向けカンファレンスを開催するネクソンコリアってどんなところ? オフィス見学ツアーをレポート


 
 (取材・文 編集部:山岡広樹)



■関連サイト
 

NDC公式サイト(韓国語、英語のみ)

株式会社ネクソン
http://www.nexon.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ネクソン
設立
2002年12月
代表者
代表取締役社長 オーウェン・マホニー/代表取締役CFO 植村 士朗
決算期
12月
直近業績
売上収益4233億5600万円、営業利益1347億4500万円、最終利益706億0900万円(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3659
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