【セミナー】大団円に仲間を導く「プロジェクトマネージャー」のやりがいとは…ディライトワークスのPMのとある一日も公開

 
ディライトワークスは、8月10日、同社内にて、FGO PROJECT総合プロデュースチームでの仕事に興味のある方々を主な対象に、メンバーによるトークセッションと、ざっくばらんな情報交換や参加者同士の交流、キャリアの相談を行えるイベント「肉会(MEAT MEETUP)Vol.3 集まれ!プロジェクトマネージャー」を開催した。
 
第3回となる今回は、ディライトワークス執行役員 クリエイティブオフィサーの塩川洋介氏が司会を務め、現役のプロジェクトマネージャーである芦田氏と戸田氏がディライトワークスにおけるプロジェクトマネージャーの仕事内容や醍醐味についての話を展開。企業によって役割が異なるというその役割から、ディライトワークスが「プロジェクトマネージャー」という専門職を導入した意図や経緯を含め、どのように様々なチームを繋ぎ、クリエイターが集中してモノづくりできる環境を構築しているのかを紹介した。本稿では、イベント前半に行われたトークセッションについてのレポートをお届けしていく。
 
【会社紹介】

▲ディライトワークスは2014年に設立された新進気鋭の企業で、創業約4年半にして現在は約380名の従業員が務めている。人数も着々と増えており、現在も積極採用中とのこと。
 
【登壇者】
●塩川洋介氏
ディライトワークス株式会社
執行役員 クリエイティブオフィサー
FGO PROJECTクリエイティブプロデューサー
(元『Fate/Grand Order』PMセクションリーダー)

▲今回のイベントでファシリテーターを務めた、FGO PROJECT クリエイティブプロデューサーの塩川氏。
 
●戸田圭祐氏
ディライトワークス株式会社
プロジェクトマネージャー
●芦田夏希氏
ディライトワークス株式会社
企画部マネージャー
『Fate/Grand Order』PMセクションリーダー

▲企画部でマネージャーを務めながら、『Fate/Grand Order』(以下、『FGO』)のプロジェクトマネージャーセクションでリーダーを担当している芦田氏(写真左)。戸田氏(写真右)は2016年2月に入社して『FGO』のデザインセクションのプロジェクトマネージャーを務めた後、現在は『Fate/Grand Order Arcade』(以下、『FGO Arcade』)や『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』といったFGO関連プロジェクトのプロジェクトマネージャーを担当している。
 

■複数のプロジェクトを横断して奔走 PMは課題解決のスペシャリスト?

 
まずはディライトワークスの塩川氏、戸田氏、芦田氏の3名が登壇。塩川氏の肩書に記載された「元『Fate/Grand Order』PMセクションリーダー」について、元々『FGO』の開発チームにはPMセクションが存在しなかったため、塩川氏がディレクターを務めていたときに立ち上げてリーダーを務めていたのだとチームの成り立ちを紹介した。
 
ここからは、FGO PROJECTでのPMのある一日」というテーマで戸田氏と芦田氏が実際に社内でどのように働いているかについての詳細が語られた。役割の異なる2人のプロジェクトマネージャーは、同社でそれぞれどのように働いているのだろうか。
 
このテーマに最初に答えたのは戸田氏。「怒涛のMTG! 分刻みの一日」と題して、ある一日の動きが以下の通りに発表された。
 

 
複数のプロジェクトを横断的に担当している戸田氏は、外部企業とのやり取りも多いという。協力会社との定例ミーティングでは議事録を作成したり、課題を確認したりしているとのこと。一方、社内ミーティングではプランナーやエンジニア、デザイナーなど各セクションのリーダー陣と進捗状況の確認をしているとの話だった。また、『FGO Arcade』では筐体がセガ社内にあるため、浮上した課題によっては自らが出向いてチェックを行うこともあるという。その後、社内に戻ってからはデスクワークで自身のタスクを消化していく。具体的には、納品物や監修物の一次チェックや、メール・電話の対応を行っているのだと話した。
 
ただし、例に取り上げた一日は”あえてミーティングをまとめた一日”であり、集中的に自身の作業を行う日もあるとのこと。この理由について戸田氏は、ミーティングの間に1時間の空き時間があっても作業に集中しにくく進捗が良くないため、意図的に「今日はミーティングの日」、「今日は作業の日」などを決めているのだと説明した。
 

 
また、戸田氏の一日に対して、芦田氏から「担当しているプロジェクトが多いことで混乱したりはしないのですか?」との質問が挙がったが「一緒にサポートをしてくれるプロジェクトマネージャーがいるので、自分は解決しなければいけない課題にだけ集中することができています」と戸田氏は答えた。「自分がやらなければいけないこと」と「他の誰かができること」という切り分けを行うことで複数のプロジェクトをスムーズに進行させられているようだ。
 

■「サバ★フェス」実装初日! そのときプロジェクトマネージャーは!?

 
一方、『FGO』を担当する芦田氏は「プロジェクトの命運を握る毎日!」という答えで自身の一日を以下の通りに紹介した。
 

 
この日はちょうど、今、『FGO』内で開催されている期間限定イベント「サーヴァント・サマー・フェスティバル!」の開催二日目。イベント実装日に開発内部でどのように動いているかが説明された。
 
出社後は最新の状況を確認した後、チーム全体での朝会が行われる。そこではメンテナンスやイベントに対しての連絡事項を共有しているという。また、イベントのリリース日ではあるものの、先のことも考えなければならないため、半年~1年先に実施予定であるイベントの進捗状況を確認する。芦田氏は「当日のイベントについても考えることはたくさんあるが、その日のことだけでは次のアクションが起こせなくなってしまう」とコメントした。

いざメンテナンスが始まると、メンテナンス明けにお客様がスムーズにゲームを遊べるよう「アプリ配信」や「サーバ更新」、サーバの状況に問題がないかをQA(品質管理)セクションで確認しているという話だった。また、データの確認などは全てメンテナンス中に行っており、メンテナンスが開始されてからでないとできない作業が多いため、分刻みのスケジュールを作成している。そのうえで、問題が発生した際には早急にディレクターと相談したうえで修正・対応を行っているとのこと。こうしてこの日は延長もなく無事にメンテナンスが終了。芦田氏は”ユーザーさんが楽しめる状況”というのを第1に考えながら、リリース後約2時間で大きな問題が発生しなければ退社して様子を伺う形になると説明した。
 
ここで塩川氏から「現在、『FGO』のPMチームは何人で進行しているのですか?」と質問があり、芦田氏から5名で進行を行っていることが明かされた。ただ、チーム全体を管理しているのは5名となるが、各セクションにも進行管理役が配置されているため、チーム全体で見るとかなり大規模なプロジェクトとなっているようだ。
 

▲芦田氏の一日を見た戸田氏は「自分は主にこれからリリースされるものを開発しているが、芦田さんは既にリリースされているものを”運用”しているという部分でスピード感が大きく違うと感じます」と感想を述べた。
 

■PMの魅力は「超・自由度」&「プロジェクトの要」であること

 
ここまでの話で、立場の異なる2人からプロジェクトマネージャーが日々どのような業務にあたっているかが説明されたが、では、そんなプロジェクトマネージャーのやりがいはどこにあるのか。続いては、「FGO PROJECTにおけるPMのやりがいとは?」というテーマで話を展開した。
 
このテーマに「職域にとらわれない超・自由度がある!」と答えたのは戸田氏。プロジェクト全体を横断的に確認できる立場であるという特徴から、各所でクオリティを上げるための裁量を持っていることがやりがいに繋がっていると話す。例えば過去には、監修の際にデザイン面で気になる部分があれば「自分はデザイナーではないから……」と遠慮するのではなく、セクションリーダーと相談したうえで自分からも意見を提出しているという。また、社内のボードゲームカフェを使ったイベント開催(関連記事)に際しても、テーマの企画やイベント運営を行うなど、より良くするために「やりたい!」と思ったことを実現できる部分が「超・自由度」なのだと説明した。
 

 
一方、PMこそがプロジェクトの要!」と答えたのは芦田氏。ゲームの面白さを突き詰めるのはディレクターの役割だが、プロジェクトマネージャーにも、それに匹敵するやりがいがあるという。芦田氏は、「進行管理」という言葉だけが先行して伝わっていない部分もあるかもしれないが、ディレクターが発信した内容をチーム全体に共有するのはプロジェクトマネージャーの役割で、要となって全てを動かしているのだと紹介した。
 

 
また、企業によってはタスクマネジメントや部下の管理がディレクターの業務に含まれることもあるが、ディライトワークスではこの辺りがプロジェクトマネージャーの業務にあたるため、クリエイターが物づくりに専念できるよう権限も含めて切り離されていると塩川氏は説明する。そのため、チームを管理しているのはプロジェクトマネージャーの業務になっているのだと芦田氏は続けた。
 
今回のイベントでは、ディライトワークスにおける“プロジェクトマネージャー”という業務についての詳細を伺うことができたが、形として世に出るものではないため、普段は中々伝わり辛い部分でもあるという。そこで同社では、”PMのためのガイドブック”を作成。イベント終了後、本イベントの来場者に配布された。本ガイドブックの中では、ディライトワークスのプロジェクトマネージャーがどのように働いているかがRPG風に紹介されている。
 



 
トークセッションの最後には塩川氏より、2018年8月にFGO PROJECT PMセクションを新規発足すること、さらにその立ち上げメンバーを募集することが発表された。
 

また、イベント後半の懇親会では、南伊豆産の鹿やイノシシのお肉などをハンバーグにした“夏ジビエ” やケバブが振る舞われた。チキンやビーフも用意されており、業界交流として来場者や登壇者の間で話に花を咲かせた。
 

 
▲ジビエ食材は、獣害対策や森から与えられる「食」に関して取り組んでいる生産者から提供されているという。
 
今回も好評のうちに幕を閉じた本講演だが、9月7日20時より、「肉会(MEAT MEETUP)Vol.4 ゲームプロデューサーの集い」が開催されることが発表された。次回はディライトワークスのプロデューサー陣が登壇し、同社におけるプロデュースワークについての話が伺えるとのこと。既にPeatixにて参加者募集が始まっているので、興味がある方は是非、下記のページをチェックいただきたい。
 

Peatix

 
【バックナンバー】
【セミナー】「ディライトワークスとはレストランである」「1日の業務はまるでMMORPG」という話も飛び出した塩川氏&加藤氏の講演をレポート
【セミナー】FGO PROJECT流のマーケティングとは…『Fate/Grand Order』における人を動かす”3つのマ法”&”コウホウ支援”を紹介
 
 
(取材・文 編集部:山岡広樹)
 
 
 
■『Fate/Grand Order 』

 

auゲーム



(C)TYPE-MOON / FGO PROJECT
 
FGO PROJECT

会社情報

会社名
FGO PROJECT
企業データを見る
ディライトワークス株式会社
https://delightworks.co.jp/

会社情報

会社名
ディライトワークス株式会社
設立
2014年1月
代表者
代表取締役 庄司 顕仁
企業データを見る