【ドリコム決算説明会】新作はIPタイトル中心に変更 外部会社との協業で増産体制構築へ 『フルボッコ』はIPコラボで好調、『崖っぷち』縮小



ドリコム<3793>は、10月29日、2016年3月期第2四半期(4~9月期)の連結決算を発表するとともに、東京都内で決算説明会を開催した。発表した決算は、売上高33億3000万円(前年同期比14.1%増)、営業損益2億9000万円の赤字(前年同期2億8400万円の黒字)、経常損益2億9900万円の赤字(同2億7400万円の赤字)、最終損益2億1700万円の赤字(同1億8500万円の黒字)だった。

また、第2四半期(7~9月期)の業績をみると、売上高16億9500万円(前四半期比QonQ3.7%増)、営業損益8500万円の赤字(前四半期2億0500万円の赤字)、経常損益8900万円の赤字(同2億1000万円の赤字)、最終損益6400万円の赤字(同1億5300万円の赤字)となり、QonQでは増収・赤字幅縮小となった。

 




今回の決算説明会では、ソーシャルゲームに関する戦略の大幅な変更を行うことを明らかにした。これまではオリジナルタイトルをベースに展開するものだったが、今後は、市場の競争環境の変化を鑑み、いわゆるIPタイトルを中心にリリースしていく考えを示した。レポートでは、第2四半期の状況を中心にまとめていく(「」内の発言は、内藤裕紀社長の発言)。

【関連記事】
ドリコム、2Qは売上高14%減、2.9億円の営業赤字を計上…『崖っぷちバスターズ』は運用を縮小へ QonQでは増収、赤字幅も縮小
【速報】ドリコム、強みを活かすため新作ゲームはオリジナルタイトルからIPタイトル中心に変更 開発会社と協力しリリース本数も増やす方針


 
■第2四半期は増収・赤字幅縮小

第2四半期(7~9月期)の売上高は、QonQで3.7%増の16億9500万円だった。主力のソーシャルゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストシューターズ』と『ONE PIECE トレジャークルーズ』といった既存のIPタイトルが安定的に推移した。具体的なタイトル名を出しての言及ではなかったが、海外での運用収益も本格的に寄与する局面に入ってきたという。『ONE PIECE トレジャークルーズ』のこととみられるが、「軒並み上位に入り好調に推移している」とのこと。

さらにサイバーコネクトツーとの『フルボッコヒーローズ』が好調だったことも増収要因となった。「他社IPとのキャンペーンを毎月行い、収益の底上げが行われた」という。いまだに根強い人気を誇る農園ゲーム『ちょこっとファーム』も底堅く推移している。

他方、『崖っぷちバスターズ』は規模を縮小するという判断となった。上期において、月間4000~5000万の赤字を出してきたという。様々な改善・運営により、継続率などの改善はみられたものの、集客の困難さが増しているという。チームのサイズを小さくして、新規タイトルに人員をシフトしたとのこと。

 



また、営業損益は8500万円の赤字となり、前四半期の2億0500万円の赤字から大幅に縮小した。広告宣伝費が増加したものの、増収による限界利益の増加に加え、外注加工費と採用関連費の抑制が奏功した。また、同社で提供するゲームタイトルの償却が進んでおり、償却費が減少したことも一因だ。

 


 
■新作ゲームの戦略を変更…IPタイトル・アプリリースを増やす方針に

今回最も大きなトピックスとなったのは、戦略変更に関わるものだろう。4~6月期の決算説明会でも、内藤社長はIPタイトル中心の新作展開に変更する可能性を示唆していたが(関連記事)、正式に移行する方針であることを明かした。さらに開発体制も変更し、自社開発だけでなく、外部の開発パートナーを活用することで、リリースタイトルも増やしてく考えを示した。

決断の背景には市場環境の変化があげられる。アプリマーケットでは、リワード広告やシリアルコードを用いたキャンペーンなど広告が厳しくなり、集客が難しくなっている。ユーザー側もスマートフォンへの乗り換えが一巡し、以前ほどアプリをダウンロードしなくなり、月に1本程度という人も珍しくない。こうしたなか、著名なIPを活用した新作が伸びている。

ドリコムでは、IPを活用したタイトルでヒットタイトルを生み出すなど実績を残しており、IPホルダーからの信用を得ている。こうした強みを活かすため、「IPタイトルを軸にした形にポートフォリオに見直した」(内藤社長)とのこと。現在、開発中のタイトルをIPタイトルに変更していくだけでなく、リリース本数を増やしいく考えだ。

 


内藤社長は「新作はこれまで年間2~3本だったが、外部の開発パートナーの協力を得て、リリース本数を増やしたい。来期(2017年3月期)から順次出てくる。外部の開発会社とも話しているが、IPタイトルだと話がまとまりやすい」とコメントした。ビジネスのスキームも、現在のように開発のみを担当する形だけでなく、ドリコムが開発とパブリッシングを行うパターンや、マーケティングのみを担うパターンなど、様々な形態を想定しているという。


 
■『フルボッコヒーローズ』はIPとの継続的なコラボで好調

サイバーコネクトツーとの協業タイトル『フルボッコヒーローズ』の好調も大きなトピックスだ。他社IPとのコラボレーションを継続的に行うことで、DAU(日次アクティブユーザー数)が大きく伸びた。第1四半期はコラボは1回のみだったが、毎月行ったという。1回のみのコラボでは、DAUは一時的に大きな山ができるだけで、終了後、すぐに落ちるという。

そのため、ドリコムでは、月1回以上のペースで、『進撃の巨人』や『聖剣伝説RISE OF MANA』、『ゴッドイーター』などとのコラボを連続的に展開した。これによって、「コラボしたときの上下を小さくできる」という。実際、DAUの推移をみると、「山」だけでなく、「谷」となった時期の水準が少しずつ上がっていることが確認できる。

 
 
▲動画広告サービス「poncan」をリニューアルし「DreeVee」に変更した。ポイントサイトなど各メディアが移行をかけており、12月頃に完了する予定だそうだ。ECがメインの顧客だったが、今後は、アプリなどの事業者もターゲットにしていく。

 

▲ソーシャルラーニング「えいぽんたん」は、「少人数で運営しているが順調」。アプリストアの教育カテがゴリーの売上ランキングでもずっと1位をとっている状況だそうだ。1日あたりの学習時間は40分ほどで効果が出ているという。アンケートを行うと、半分くらいのユーザーから帰ってくるなど熱量が高いという。新サービス「きこえ~ご」は年末くらいからプロモーションをかけていく考え。
株式会社ドリコム
http://www.drecom.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ドリコム
設立
2001年11月
代表者
代表取締役社長 内藤 裕紀
決算期
3月
直近業績
売上高108億円、営業利益22億8100万円、経常利益21億9200万円、最終利益11億5900万円(2023年3月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3793
企業データを見る