東宝、8月中間決算は営業益21%増の259億円 「コナン」や「キングダム2」「シン・ウルトラマン」などヒット作が貢献

東宝<9602>は、本日(10月12日)、2023年2月期 第2四半期累計(22年3月~22年8月)の連結決算を発表し、営業収入1203億5300万円(前年同期比2%増)、営業利益259億8400万円(同21.1%増)、経常利益302億1300万円(同32.8%増)、最終利益215億5800万円(同43.0%増)だった。

・営業収入:1203億5300万円(同2%増)
・営業利益:259億8400万円(同21.1%増)
・経常利益:302億1300万円(同32.8%増)
・最終利益:215億5800万円(同43.0%増)

同社では、東宝の配給において「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」「キングダム2 遥かなる大地へ」「シン・ウルトラマン」「トップガン マーヴェリック」などのヒット作品が業績に寄与した。新型コロナウイルス感染症の影響に伴う大規模施設に対する協力金等を「助成金収入」として特別利益に計上している。


■映画事業
映画事業全体では、営業収入は781億9900万円(前年同期は777億1300万円)、営業利益は172億4500万円(前年同期は136億2200万円)となった。

【映画営業事業】
東宝において、共同製作や配給した作品のうち「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」「キングダム2 遥かなる大地へ」「シン・ウルトラマン」「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021」のヒットや東宝東和等が配給した「トップガン マーヴェリック」がロングラン大ヒット、「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」「ミニオンズ フィーバー」「SING/シング:ネクストステージ」が高稼働となった。

また、収益認識会計基準等の適用により映画配給のうち一部の洋画配給取引で同社グループの役割が代理人に該当する取引については、収益を総額で認識せず、関連する費用を控除した純額を収益として認識することに変更した。これらの結果、映画営業事業の営業収入は199億6800万円(前年同期は226億4900万円)、営業利益は77億5800万円(前年同期は54億3300万円)となった。なお、上記営業収入の主な内訳として、映画館への配給が142億2200万円、劇場用映画の国内配信が12億4100万円となった。

【映画興行事業】
TOHOシネマズ等において、上記配給作品のヒットや「ONE PIECE FILM RED」等の話題作の上映、また前年同期に比べ劇場の休館等の制約期間が短くなったこともあり、第2四半期累計における映画館入場者数は2100万人と前年同期比43.4%の増加となった。また、収益認識会計基準等の適用により劇場内売店での一部のパンフレット・グッズ販売取引など、同社グループの役割が代理人に該当する取引については、収益を総額で認識せず、関連する費用を控除した純額を収益として認識することに変更した。

これらの結果、映画興行事業の営業収入は383億7800万円(前年同期は289億0200万円)、営業利益は53億3100万円(前年同期は12億0400万円)となった。なお、第2四半期累計中の劇場の異動については、TOHOシネマズが4月25日に福岡市博多区「TOHOシネマズ ららぽーと福岡」(9スクリーン)をオープンした。これにより、当企業集団の経営するスクリーン数は全国で9スクリーン増の721スクリーンとなっている。

【映像事業】
TOHO animation10周年プロジェクトが始動し、「呪術廻戦」「僕のヒーローアカデミア」「SPY×FAMILY」「からかい上手の高木さん」等のバラエティに富んだラインナップでTVアニメや商品化事業等、多様な取り組みを展開した。アニメ製作事業では、上記作品等に製作出資し、各種配分金収入があった。

また、東宝のパッケージ事業において映画「マスカレード・ナイト」「劇場版『きのう何食べた?』」等を提供した。出版・商品事業では、劇場用パンフレット、キャラクターグッズにおいて映画「シン・ウルトラマン」「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」をはじめとする同社配給作品や、洋画「トップガン マーヴェリック」の販売が伸長した。ODS事業では「劇場版『からかい上手の高木さん』」等を提供した。

TOHOスタジオでは、制作及びスタジオ事業の一体運営を図り、順調に稼働した。東宝映像美術及び東宝舞台では、映画やTV・CM等での舞台製作・美術製作やテーマパークにおける展示物の製作業務に関して依然として厳しい状況にあった。

これらの結果、映像事業の営業収入は198億5300万円(前年同期は261億6100万円)、営業利益は41億5500万円(前年同期は69億8400万円)となった。なお、上記営業収入の主な内訳として、アニメコンテンツの利用が67億1100万円、パッケージの販売が18億3400万円、映像作品等に係る美術製作が39億0300万円となった。


■演劇事業
演劇事業の営業収入は83億4800万円(前年同期は65億7600万円)、営業利益は11億0100万円(前年同期は11億4700万円)となった。

東宝創立90周年記念作品として「千と千尋の神隠し」初の舞台化を帝国劇場で実現し全席完売となった。その後、全国各地での公演やライブ配信等、様々な取り組みを展開した。帝国劇場で「Endless SHOCK -Eternal-」「ガイズ&ドールズ」「ミス・サイゴン」を上演し盛況に推移した。シアタークリエでは「ピアフ」「ネクスト・トゥ・ノーマル」「VOICARION XIV ~スプーンの盾~」「CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~」「Only1, NOT No.1」「スラムドッグ$ミリオネア」「ダディ・ロング・レッグズ」等を上演した。日生劇場では「四月は君の嘘」が大入りとなった。しかしながら前年に引き続き一部の作品が公演中止となった。東宝芸能では、所属俳優がCM出演等で好調に推移した。


■不動産事業
不動産事業全体では、営業収入は332億3400万円(前年同期は324億8200万円)、営業利益は95億2100万円(前年同期は86億6700万円)となった。

【不動産賃貸事業】
オフィス市況の変化など引き続き厳しい状況下にあったが、保有物件の有効活用に努めつつ、テナントに対するきめ細かな対応により、賃貸用不動産の空室率は、第2四半期末において1.1%となった。これらの結果、不動産賃貸事業の営業収入は138億9900万円(前年同期は134億7000万円)、営業利益は60億7200万円(前年同期は58億8400万円)となった。

【道路事業】
公共投資が堅調に推移したが、慢性的な人手不足や労務費・資機材価格の上昇傾向が継続する等、依然として予断を許さない状況が続いた。スバル興業と同社の連結子会社は、安全管理の徹底を図り、技術提案等を通じた積極的な営業活動により新規受注や既存工事の追加受注に努めた。その結果、道路事業の営業収入は146億0600万円(前年同期は141億7400万円)、営業利益は30億2500万円(前年同期は23億0700万円)となった。なお、営業収入の主な内訳は、道路の維持管理・清掃等133億6700万円であり、またその他の収益4億0600万円が含まれている。

【不動産保守・管理事業】
東宝ビル管理及び東宝ファシリティーズにおいて、新規受注獲得の取り組みや経費削減に努めた。その結果、営業収入は47億2900万円(前年同期は48億3600万円)、営業利益は4億2400万円(前年同期は4億7500万円)となった。


■その他事業
営業収入は5億7000万円(前年同期は12億7700万円)、営業利益は1億0200万円(前年同期は1億0100万円の営業損失)となった。東宝共榮企業の「東宝調布スポーツパーク」やTOHOリテールの劇場売店等において、様々な営業施策等を展開し、かつ採算性を勘案して営業活動を行った。なお、TOHOリテールは、2021年8月をもって直営飲食事業から撤退した。


なお、2023年2月通期の業績予想を上方修正している(関連記事)。

東宝株式会社
https://www.toho.co.jp/

会社情報

会社名
東宝株式会社
設立
1932年8月
代表者
代表取締役社長 社長執行役員 島谷 能成
決算期
2月
直近業績
売上高2283億6700万円、営業利益399億4800万円、経常利益427億9000万円、最終利益295億6800万円(2022年2月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9602
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