【セミナー】プロデューサーが持たれるイメージには全て理由があった!?…業務内容から必要な資質まで、未来のプロデューサー必見の内容に

 
ディライトワークスは、3月8日、同社内にて、キャリアの相談や情報交換を行えるイベント「肉会(MEAT MEETUP)Vol.10 集まれ!未来のゲームプロデューサー!」を開催した。
 
「肉会(MEAT MEETUP)」は、ディライトワークスでの仕事に興味を持った人に参加してもらい、情報交換や交流、キャリアの相談を行えるイベント。
 
今回はディライトワークスのプロデューサーや、アシスタントプロデューサーが登壇し、どのような業務に取り組んでいるのかを実例を交えながら紹介した。また、実際に他業種からプロデューサーとして入社した登壇者から他業種との違いについても言及された。本稿では、その内容をお届けしていく。
 
【登壇者】

ディライトワークス株式会社
第4制作部 プロデュースセクション
アシスタントプロデューサー
上野 勲氏

 

ディライトワークス株式会社
ミラクルポジティブスタジオ
アシスタントプロデューサー
齋藤 晃氏

 

進行
ディライトワークス株式会社
第3制作部
部長/プロデューサー
猿渡 晴義氏

 

■プロデューサーに必要なのは「会社からの信頼」と「チャンスを掴む運」

 
まずは猿渡氏より、そもそもプロデューサーの仕事とは何なのかについて説明を行った。
 

▲こちらが世間でのプロデューサーのイメージ。ちなみに、この日の猿渡氏はこのイメージに合わせた衣装で登壇したとのこと。
 
一般的には、制作活動の予算調達や管理、スタッフの人事などを司る全体の統括的な職務とされている。制作物の商業的な成否について責任を持つ立場でもあるが、ここではディライトワークスのプロデューサーとは、プロジェクト(事業)の責任者であると猿渡氏は一言にまとめた。
 
では、ゲームを創って世に出すためには何が必要になるのか……アイデアや人材、お金だけでなく、権利や宣伝、営業など様々なものが必要になってくる。これを全て自分1人でやることは不可能なため、適材適所で人員を配置していくことになる。その中でも、「予算」の設計や「売上」、「収支」に関してはプロデューサーがしっかりと把握し、管理する必要があるため代替えが効かず、ここがプロデューサーとして1番大事な仕事になると猿渡氏は語る。
 

▲計画の最初から最後まで、全てを取りまとめているのがプロデューサーである。
 
また、猿渡氏は「どんなスキルを持っていればプロデューサーになれますか?」と聞かれることも多いという。その答えとして「プロデューサーはスペシャリストではないため、この知識が必須ということはほとんどない。ただし、金銭感覚がしっかりしていて、ちゃんと管理ができることが必要」と話す。自分が求めているものはどれくらいお金をかければ完成させられるのか、という感覚と予算の管理が重要になるとのことだ。
 
そのほか、ゲーム業界は規模も大きくなってきているため、多くの人を導ける「責任感」や、プロジェクトのメンバーが悩んだときにしっかりと相談ができる「人間力」、答えがひとつでない事に対して決断ができる「決断力」が大事になってくるという。
 

▲未経験者でも業界で経験を積みアシスタントプロデューサーから始めることは可能で、それぞれのセクションで学んだことを要所で発揮していくこともできるとの話だった。
 
とはいえ、プロデューサーの定義や業務は、業界や会社によっても異なる。そこで、ここからは、前職はアニメーション制作現場で制作職として、制作進行からアニメーションプロデューサーまで務めていた上野氏より、業界による役割の違いなどが語られた。
 

▲ディライトワークスに入社したのは2018年9月で、ゲーム業界で働くのはこれが初になるとのこと。
 
上野氏はまず、クリエイティブに関しては業種が違えどもやることはあまり変わらないと話す。成果物は異なるが、プロデューサーは基本的に「人」「時間」「お金」を取り扱うことになるためとのこと。「発注する際にどれくらいお金がかかるのか」、「それを作るには誰が向いているのか」、「いつまでに納品しなければならないのか」という工程はゲームやアニメに限らず、音楽や出版の業界でもプロデューサーとしての共通事項になるようだ。
 

 
ここで、猿渡氏より「ディライトワークスに入社してから困ったことはありましたか?」との質問が投げかけられる。これに上野氏は「アートやグラフィックに関しては何を求められているか分かるが、エンジニアに関しては周りに意見を聞いたり、勉強をしながら頑張っています」と答えた。具体的には、プログラムやゲームエンジン、開発ツールに関する知識についてで、何度も人に聞くのは効率的ではないため、1回で自分が噛み砕いて理解できるところまで徹底して聞いたり、自分で調べたりするようにしているとの話だった。
 
続いては、「どうやったらプロデューサーになれるの?」というテーマが挙がる。猿渡氏は、プロデューサーは会社からプロジェクトを預けられる立場となるため、近道がないと話す。そのため、それぞれが与えられた職務で実績を積み会社から信頼を得ることが大事だと続ける。その中で、良いタイミングが来たら「プロデューサーになりたい」という意志を示し、アシスタントプロデューサーとしてプロデューサー業務の理解や知識を身に付け、しっかりとチャンスを掴めた者がプロデューサーになれるのだと説明した。
  

 
今回の講演では、さらにもうひとつ掘り下げて「アシスタントプロデューサー」についても言及が行われた。このテーマでは、齋藤氏が自身の経験をもとにトークを展開した。
 

▲これまで、他社でプランナーやディレクター、プロデューサーを経験し、2017年よりプロジェクトマネージャーとしてディライトワークスと関わることに。その後、2018年にアシスタントプロデューサーとして入社し、現在はミラクルポジティブスタジオで新規タイトル開発を担当している。
 
アシスタントプロデューサーとしての主な業務は以下の通り。ただし、プロデューサーが「必要なこと」や「得意なこと」に専念できるようアシストする立場になるため、細かな業務は各プロデューサーによっても変わるとのこと。
 

▲例えば、クリエイティブ寄りに集中したいプロデューサーの場合は書類整理などを中心に行うということがあったようだ。
 
これには猿渡氏も、現在、ディライトワークスには6つの制作部が設けられているが、各プロジェクトによって色が異なるためそれぞれのプロデューサーで進め方が異なっていると賛同した。最終的にはアシスタントプロデューサーに全てを任せられるような人に成長してもらえるように仕事をお願いしていき、それが達成されたとき、アシスタントプロデューサーはプロデューサーとして独り立ちできるようになるのだと経緯を話した。
 
ここで、最初に提示された世間が抱くプロデューサーのイメージが再び表示される。猿渡氏は、最初からこのような雰囲気を纏ったプロデューサーはいないと話す。今までに挙げてきた業務をこなすことで、こうしたイメージに沿った印象が身に付いていくため、周りからもそう見られるようになるのだと分析した。
 

▲大きな決断をする責任のある立場のため「偉い人」という印象を持たれる、会社から預かった予算を執行する権限があるため「お金を持っていそう」と思われる、責任者として矢面に立っているため「メディアへの露出」も増えるなど、業務内容に沿ったイメージが身に付いてくるとのことだ。
 
最後に猿渡氏は、ディライトワークスでプロデューサーを務めるには「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう。」という理念を実現できる人である必要があると語る。予算、時間などをしっかりと確保し、収支をあげることで常に面白いゲームを創り続けられるため、その理念に賛同した人に経験を問わずぜひ門を叩いてほしいと話をまとめた。
 
講演後は、来場者からの質問に答えるQ&Aのコーナーも設けられたため、以下で内容の一部をお届けしていく。
 

 
――:ゲーム業界に入る際に、入れておいた方が良い知識やツールはありますか?
 
猿渡氏:様々な業種の方とのコミュニケーションが必要になるので、例え話ができるとコミュニケーションがしやすくなります。開発スタッフの多くはエンタメ業界に長くいますから、ゲームや映画、マンガの1シーンからイメージが共有できるとお互いに想像しやすくなるため、エンターテインメントの知識を入れておくと良いのではないでしょうか。逆に、専門的な知識は入ってから身に付けるというくらいでも良いかもしれません。
 
――:コミュニケーションを取るにあたって気を付けていることはありますか?
 
上野氏:”人”と仕事をするのが基本的な仕事になるため、話すことが大事だと思っています。チャットやメールなど便利なツールはあるが、フロアを跨いででもなるべく直接席まで行って顔を見て話すように心掛けています。相手の表情から読み取れる情報もありますし、その情報は重要なものだと考えているためです。
 
齋藤氏:相手の意図を勝手に考えないように気を付けています。自分が、「相手はこう思っているだろうな」と想像をしてしまうと、そこに照準を合わせた話しかけ方になってしまうからです。また、人によって態度を変えないようにも気を付けています。

 
――:プロデューサーとしての達成感ややりがいを感じる瞬間を教えてください。
 
猿渡氏:個人的な意見になりますが、企画書の段階から実際に画面に映して遊べるようになるまで凄く時間がかかるため、自分たちがが作ったゲームが動かせるようになったり、遊んで楽しいと思えたときに凄く達成感を得られます。また、ゲーム業界ではリリースまでたどり着けないプロジェクトも多数あるため、タイトルをリリースできたときは達成感を感じることができます。また、売り上げが良いことはプロジェクトとして大切ですが、そこと達成感が直結しているわけではないですね。
本イベント後半の懇親会では、春をイメージした肉料理が振る舞われた。参加者たちは「肉寿司」や「ローストホース(馬肉=桜肉)」を楽しみながらスタッフと交流や情報交換を行って有意義な時間を過ごしていた。
 

 
 
また、今後のイベントについても開催告知が行われた。詳細は以下の通り。
 

イベント名:肉会(Meat Meetup)Vol.11 マーケッターキャリア相談会 ~一歩先のマーケティングを目指して~
開催日時:2019年4月19日(金)20:00~

 

Peatix

 
(取材・文 編集部:山岡広樹)
 

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企業サイト

 
 
ディライトワークス株式会社
https://delightworks.co.jp/

会社情報

会社名
ディライトワークス株式会社
設立
2014年1月
代表者
代表取締役 庄司 顕仁
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