【決算レポート】ギークス、4Q(1~3月)はIT人材事業の成長で2四半期連続の最高売上高に ゲーム事業は運営タイトル数増でストック売上高が増加

柴田正之 編集部記者
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ギークス<7060>の2023年3月期の第4四半期(1~3月)の連結決算は、IT人材事業の稼働者数増加と受注単価上昇により、2四半期連続で売上高が過去最高を更新した。

なお、収益認識の見直しにより売上高の数字が大きくなっているが、前年同期も遡及して見直しが行われている。

一方、利益面については、IT人材事業で戦略的な組織強化に向けた人員増、ブランディング向上を目的とした交通系広告などの投資を行い、広告宣伝費率が高まったことで、利益率が低下した。

売上高41億9400万円(前年同期比12.2%増)
営業利益2億200万円(同25.5%減)
経常利益2億700万円(同24.1%減)
最終利益8400万円(同50.7%減)

■QonQでは利益率がやや回復する形に

前回2023年3月期の第3四半期(10~12月)の連結決算を振り返ってみると、IT人材事業の好調により四半期売上高が過去最高を更新していた一方、戦略的広告投資に加え、M&Aに伴う費用の計上もあって大幅な減益となっていた。

今回の第4四半期決算は、戦略的広告投資については継続しているものの、四半期推移(QonQ)では利益率がやや回復する形となっている。

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■IT人材事業は戦略的な広告投資で利益率が低下

IT人材事業は、売上高は前年同期比18.8%増と順調な成長が続いたものの、セグメント利益は同6.5%減となった。これは前述の戦略的な組織強化に向けた人員増、ブランディング向上を目的とした交通系広告などへの投資が大きく影響したものとなる。

一方で、その広告投資の効果もあり、新規取引企業数は第4四半期に49社の増加となった。取引企業数全体の対前年成長率は13.8%となり、 ITフリーランスの累計登録者数も2万人を突破した。

■運営タイトル数増でストック売上高が増加

ゲーム事業は、第3四半期にリリースした2タイトル『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズG』(配信はバンダイナムコエンターテインメント)と『ブラック★ロックシューター FRAGMENT』の2タイトルがリリースとなったこともあり、運営ゲームの運営受託売上・レベニューシェア売上であるストック売上高が増加した。

ただ、新規タイトル納品数が前年同期比で減少したことでフロー売上高は減少し、トータルでは前年同期比10.3%の減収、41.5%のセグメント減益にとどまった。

また、新規開発については、1本を受注し開発がスタートしたが、既存開発タイトル1本が中止となり開発中タイトル本数は3本と前四半期から変化なしとなっている。

■Seed Tech事業は先行投資で赤字計上

その他の事業については、Seed Tech事業は、通期で大幅な増収を達成したものの、戦略的なコンテンツ開発への先行投資でセグメント赤字計上となった。また、DX/IT人材育成サービス「ソダテク」は、法人向けに加え、個人向けのサービスも2月に開始した。

x-Tech事業は、タイアップ案件や開発案件の減少で第4四半期は前年同期比で大幅な減収となった。

■スタンダード市場への移行を選択

直近発表のトピックとしては、スタンダード市場への移行を選択したことが挙げられる。

2023年3月31日基準日時点におけるプライム市場の上場維持基準への適合状況は、「流通株式時価総額」と「流通株式比率」が未達となっており、特に「流通株式時価総額」は35億円とプライム市場上場維持基準値である100億円と隔たりがある状況になっていた。

そうした状況を踏まえ、株主が安心して同社株式を保有・売買できる環境を整えることが重要との考えから既に基準を充足しているスタンダード市場を選択した格好で、企業の信頼性という点ではプラスの評価が得られる判断ではないだろうか。

■IT人材事業の売上成長と豪Launch社の連結で大幅増収見込む

2024年3月期通期の連結業績予想については、IT人材事業の売上成長と2023年1月に買収したオーストラリアのLaunch社の連結寄与により、大幅な増収を見込んでいる。

一方で、各利益項目は大幅な増益ではあるものの、IT人材およびSeed Techの更なる成長を見据えた積極的な投資を継続することで、売上高の伸びからみると増益率が抑えられる予想となっている。

売上高280億円(前期比75.0%増)
営業利益7億円(同18.8%増)
経常利益6億8000万円(同19.7%増)
最終利益3億6000万円(同47.4%増)

ギークス株式会社
http://geechs.com/

会社情報

会社名
ギークス株式会社
設立
2007年8月
代表者
代表取締役CEO 曽根原 稔人
決算期
3月
直近業績
売上高159億9700万円、営業利益5億8900万円、経常利益5億6700万円、最終利益2億4400万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7060
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