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【連載】ゲーム業界 -活人研 KATSUNINKEN- 第十八回「カード少なく勝負に挑まない」

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ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>の馬場保仁氏が、ゲーム業界の人材・採用に関して語っていく連載記事「ゲーム業界 -活人研 KATSUNINKEN-」。現在同氏は、DeNAのスマホアプリ開発のプロデューサーを担うほか、人事・採用担当も兼任している。開発現場・採用担当、双方の視点からゲーム業界における“人”に対してスポットをあてた連載記事。


 

■第十八回 「カード少なく勝負に挑まない」

 

今回は、学生、社会人いずれにおいても、

「起きがちだけど、そうなってはいけないこと」

について書きたいと思います。やや、表題としては曖昧な表現になっていますが、仕事で話をしていても、学生さんと話をしていても、よく聞くのが、

「一生懸命やってます」
「頑張っています」


という努力アピールワードです。努力することはNGではありませんし、自分のためにも、仲間のためにも全力で頑張ることはとても大事です。ただ、その頑張りは何のためにやっているか? が大事です。

これまでにも何度か話してきましたが、頑張るのが美徳、褒められるのは学生のうちだけです。なぜならば、学生はMUSTではないことを、自分の意思でやっていることが多いからです。なので、強制のない中で、努力し続けられるとうのは、価値のあることだからです。

ですが、社会人にとっては、頑張るのは当たり前のことです。なぜならば、プロフェッショナルとして、それをやることで、給料をもらってるからですね。逆に、プロとして仕事をするうえで、頑張ってない人の方が恐ろしいですし、極論、目標達成や成果を出すのに、頑張らなくてもできているならば、頑張っていて結果出てない人よりも会社にとっては価値があるのです。(頑張らずに結果が出るかはわかりませんが(笑))

つまりは、頑張るのは手段でしかなく、且つ、頑張っているのはしょせん1つの状態でしかない、ということです。そもそも、なんのために、頑張らないといけないのでしょうか?

おそらくどんな仕事においても、達成しなくてはいけない目的、目標が最初に定義、設定されているはずです。ですが、ときおり、この目的・目標が設定されていない、もしくは曖昧な状態で放置されていることがあります。そうなると、何をやりきったら成果になるのか? がわからないので、頑張りようがないですよね。

なので、「頑張りの間違いの法則その1」は、

「目的(=GOAL)を設定しないで、ガムシャラに進むこと」

です。ガムシャラに仕事しているのは、一見すると美しいです。だって、必死にやってますからね。でもそれは、その「瞬間を切り取った情景」でしかありません。もちろん、新卒ではじめて仕事をするとか、転職して新たな環境で働くとかなった時、たいていの人は必死にやると思います。

ただ、ガムシャラに走った先には、なにがあるのかわからない、もしくはGOALがなかったとしたら、頑張っても疲れるだけです。当然、必死にやることで、自分の限界みたいなものに気づくことはできるかもしれません。

ゲーム開発であれば、「どんなゲームをつくるのか?」を最初にきめなくてはいけません。それは、この連載でも口を酢っぱくして言ってきておりますが、

①コンセプトの立案
→ なにが面白いのか? を定義する

②ターゲットの設定
→ 誰の感情を動かすためにつくるのか? の定義

③システムの構築
→ コンセプトの面白さ=感情を、ターゲットに届ける、感じてもらうためのシステム

この3つを最低限設定しなくてはいけません。ただ、ビジネスとして考えるのであるならば、

④先行事例の調査・研究
→ 似たゲームはないか? 陳腐なアイデアになっていないか? を確認。これまでにあるゲームの課題はなにか?

⑤課題の設定
→ ④をしたことで、市場の課題や状況が見えてきているはずです。そこをクリアするために、差別化や新しい遊び、技術はなにか?を検討

⑥如何にして売るか?
→ ④⑤をしたうえで、いかにユーザの認知を得て、購入していただくのか?

この3つをさらに考えないといけません。つまり、単に面白いものをつくるだけ、他者を無視してよければ、①②③だけでいいのですが、仕事としてちゃんとGOALにたどりつく=ビジネスとして成功するためには、④⑤⑥を考えないといけないということです。

そもそも、④をやっていないので、①②③を考えても、「どこかでみたことある」とか「いまさらでワクワクしない」とかいわれてしまうことがあります。これは、既視感の問題もありますが、そもそも研究不足、検討不足によるところが大きく、単純に目的を履き違えていたことになります。つまり、

【目的】
ビジネスとして成立するゲームをつくる(たいていの場合、事業なので、これが前提にあります)

【満たすべき条件】
A:面白いゲームである
→ コンセプトをしっかり設定し、面白さ、感情の動きを設定する

B:Mainターゲットが明確
→ 誰を中心にそのゲームを遊んでいただくのか?を設定する

C:既視感はないか?新規性はあるか?

D:フックはあるか?(売りやすいゲームか?)
などなど

というモデルがあったとします。ですが、このときに、C、Dを無視してゲームをいくら考えても、そしてそれが面白かったとしても、目的としてのビジネスを成立させることは難しいでしょう。しかし、これは目的が「ビジネスとして」となっています。学生さんがコンテストにむけてゲームを開発しているとか、授業でゲーム開発をしているときは、この目的が別のところに設定されていると思います。


 

■目的をはっきりさせていれば…


目的例:「日本ゲーム大賞アマチュア部門にエントリーするためのゲーム開発」

こちら、一見すると目的のように見えます。ですが、こちら、本当に目的でしょうか? 確かに目的因子は持っていると思います。でも、段階、レベル、状況によって異なるものがあると思います。たとえば、

・学校で1年学び2年生になった、初めて外部コンテストにエントリーする
→これは、コンテストというものを体験し、自身の全国の中での位置を、レベルを知るためにもいいことです。でも、まさにこの「自身のレベルの実感」こそが目的になります。やはり、エントリーは手段なのです。

・学校ではこれまで個人製作しかしてなかった。過去にコンテストにエントリー経験もあるが、個人作品のみ。なので、今回は学校の仲間と一緒に開発することに挑戦する。コンテストはその目標の1つ
→これは、まさに「チーム開発の経験」をすることの締め切り目標の1つにコンテストを置いているということですね。集団で進行していくためには、皆の前にわかりやすい目標があるのは合意を形成しやすいですからね。

・来年の就職活動のために、自分の作品をもつために、具体的な目標を設定して開発するため
→就職活動の際に、自身の作品があるのと、ないのとでは活動のしやすさに天と地ほどの差があります。ここは明確に、そのためのツールづくりを目的においてます。

このように、時間的制約を設定して、自分の励みにするためなどの理由で「コンテストにエントリーする」という行為をしますが、真なる目的は、おのおの、異なっているわけです。このように目的をはっきりさせていれば、そのために、必要な手段を講じることができるようになるのです。

ちなみに、

①「全国における自身のレベルの実感」
②「チーム開発の経験とその課題の発見」
③「就職活動用のツール開発、経験」


これを、「外部コンテストにエントリー」という手段を講じることなく達成することは可能でしょうか?

①に関しては、コンテスト以外で全国の中の自分を知る方法は、ゲームジャムや各社のインターンに精力的に参加することで補うことは不可能ではありません。ですが、開催地が、東京、大阪などに限られていることもあり、それ以外の地域の皆さんには決して簡単なことではありません。いやそれどころか、それは、手段としての選択肢から「不可能」である方向に分類されてしまいます。なので、コンテストにエントリーすることは、1つの大事な手段であり、カードなのです。

また、別の観点から言いますと、全国レベルのOPENエントリーのコンテストは少ないです。そういう意味でも、自身のレベル実感のためには、1次を通過できるか? 2次を突破できるか? というあたりにむけて必死に頑張ることで目的を達成できるのです。

ちなみに、企画だけに限られますが、CEDECの際に実施されています「PERACON」も、テーマに沿った企画立案を迫られ、プロアマ問わずで、全国における序列がつけられます。ただ、PERACONはこの順位付けよりも、著名な先人クリエイターたちが大勢自身のペラ1枚の企画に、真剣にコメントをつけてくれること、ここにこそ価値があります。少々PRになりますが、今年も、遠藤雅伸さんを中心に実施されますので、ぜひ、多くの学生の皆さん、プロの皆さん、そして、学校の先生方、エントリーしてください!!!  お待ちしております。
 

②に関しては、コンテストでなくても、できることはあると思います。学校の中でチーム開発をすればいいですからね。ただ、繰り返しますが、コンテストという目標があるからこそ、仕事で縛られていない集団、且つ、同年代で、比較的フラット、つまりは、命令系統のない、強制力のない中で唯一解のないゲームを開発することが可能になることがあると思います。あの山に登るから頑張ろうぜ! という旗印が必要なときもあるのです。

③に関しては、コンテストに出した、という事実が、就職活動のPRに書き込める1行であるということです。外部の権威を活用することで、自身の価値を高めるという手法の1つですね。

このように、いずれも「目的」を設定すれば、そのための手段として、カードとして、「コンテストにエントリーする」というものを採用することができるわけです。つまり、新しいカードを手札に加えたことで、目的にむけて走りやすくなった、頑張りやすくなったということです。

このように、目的達成のためには……
 

 
「今ある手持ちのカードだけで頑張って戦うこと」

に意味があるわけではない、ということなのです。目的達成のためには、今ある手段=手持ちのカード以外に、やれること、つまり、新しいカードをつくることはできないか? を考えることはとても大切なことです。

これをやらない人の多くが、目の前のことだけとらえて、「頑張る」ことで、自身に満足感を得にいくことが多いのです。もちろん、人100倍圧倒的な速さ、質量伴う頑張りができるならば、それもなくはないでしょう。でも、その頑張りも、新たなカードをつくることで、もっと低コストでできるかもしれません。

たとえば、上記①の「全国の中でのレベルを知る」は、地方の学生にとっては、ほかに手段がないことです。少なくとも今は、ですね。新たに、予備校や一部学校で行われているようなTV会議方式の大講義や、参加型のイベントがあれば補えるところがあるかもしれません。いずれにせよ、距離という物理的なハンデを埋める新たなカードが必要とされるということですね。

結論を申しますと…

・目的に向かって頑張りたい
→目的を明確に設定しないと頑張りようがない

・頑張ることが、決して正ではない
・目的をクリアするために、最善手を常に考えなくてはいけない、且つ、これまでの手法では限界があるならば、新しい手段=カードをつくる、手に入れなくてはいけない

→頑張るとするならば、そこを頑張ることも視野にいれなくてはいけない……

ということです。

ゲームというのは、トレンドや技術も、常にすごい速さでうつろいでいきます。ですが、ゲームを開発する手法や考え方、経験に関しては、自分たちで限界を設定して制限をかけてしまっているところがあるように思います。

上記の例では、たかだか、日本ゲーム大賞アマチュア部門のコンテストに参加することや、PERACONにエントリーすることをあげました。エントリーは誰でもできます。これら、業界内の先達が用意している手段を、より有効活用していくことなどを視野にいれて、常に、最善手を検討していきたいものです。ただし、締め切りに見合う時間とスピードでなくてはいけません。そこだけは、ご注意ください。

今回はこれまで!
 


■著者 : 馬場保仁
DeNA プロデューサー 兼 採用担当。過去、セガ(当時 セガ・エンタープライゼス)で『プロ野球チームをつくろう!』『Jリーグプロサッカークラブをつくろう!』など多数のゲーム開発に従事。DeNA入社後は、スマホアプリの開発にプロデューサーとして従事。現在は、プロデューサーとしてゲーム開発を行うと同時に、人事も兼任し、ゲーム業界の人材育成のためにも尽力している。著書に「ゲームの教科書」(ちくまプリマー新書)がある。


■ゲーム業界 -活人研 KATSUNINKEN- バックナンバー

第二回「学校トーク!!」…三者鼎談【後編】(第十七回)

第二回「学校トーク!!」…三者鼎談【前編】(第十七回)

第十六回「新人事始」

第十五回「就職活動にみられる地方格差」

第十四回「【思いやり】の向こう側

第十三回「仕事選び 〜成長・夢・時間〜

第十二回「本当にそれは、ゲームに必要か?」

第十一回「ハッカソンの功罪」

第十回「会社選びと成長(プロ、アマ問わず)」

「学校トーク!」 東京工芸大学 『パックマン』生みの親 岩谷徹氏に訊く【後編】(第九回)

「学校トーク!」 東京工芸大学 『パックマン』生みの親 岩谷徹氏に訊く【前編】(第八回)

第七回「学生さんにやっていただきたいこと~前編~」

第六回「学生さんにやっていただきたいこと~前編~」

「社長トーク!」第1弾 コロプラ 馬場功淳 社長【後編】(第五回)

「社長トーク!」第1弾 コロプラ 馬場功淳 社長【前編】(第四回)

第三回「若手のチャンスとキャリアパス」

第二回「企業×学校×学生」

第一回「ゲーム業界って本当に人手不足なの?」
 
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