【レビュー】『崩壊:スターレイル』の魅力をgamebiz流に分析! 『原神』とは違った角度で新規層も取り込むSFファンタジーRPGが登場


『崩壊:スターレイル』は、『原神』や『崩壊』シリーズで知られるHoYoverseから4月26日にリリースされた新作スペースファンタジーRPG

本作は『崩壊3rd』の続編となる『崩壊シリーズ』の最新作あたる作品。前作から続投するキャラクターなどで既存は繋がりを楽しめる部分は用意しつつ、新作としてゲーム性や世界観、キャラクターは装い新たに登場した。

リリース翌日にはApp Storeセールスランキングで3位を記録。その後も好調な売上を記録しており、直近にリリースされた作品の中では非常に良いスタートを切っていると言える。

今回はその『崩壊:スターレイル』を実際にプレイした感想をお伝えしつつ、どこにユーザーを引き付ける魅力があるのかを実際に確認していく。

■惑星を旅する王道SFファンタジー



まずは本作の世界観をおさらい。スペースファンタジーと称された本作は、文字通り宇宙を舞台にしている。

人類が宇宙に進出しており、ステーションと呼ばれる生活圏やさまざまな惑星で生活をしている。主人公らは“星穹列車”と呼ばれる宇宙列車で銀河を旅する内容となっており、SF色が強めの世界観だ。

それに加えて、主人公に備わった惑星を揺るがす力“星核”や、人々を襲撃する異形の敵など、ファンタジー色も掛け合わさっている。宇宙の異能が組み合わさることで、プレイヤーの期待感を何倍にも高める世界観を描いている。



もう少し細かい物語を紹介すると、物語冒頭で登場するのは主人公……ではなく、ミステリアスな雰囲気を漂わせる女性のカフカ。彼女は惑星を揺るがす力を持つ星核を探していた。

ステーション内を捜索していたカフカは、そこで眠っていた星核と主人公を発見。カフカは星核を主人公の体内に埋め込むと、意味深な言葉を残して去っていった。



カフカたちが去った後、主人公の元には銀河で活動を行う“星穹列車”のメンバーである三月なのか、丹恒(たんこう)の2人が登場。過去の記憶が曖昧な状態で目を覚ました主人公は、彼女たちと共に行動することに。



ステーションを離脱する際には襲撃者からの攻撃を受けるが、これは主人公が持つ星核の力が発動したことで撃退に成功。しかし、その力は暴走状態で本人の手に負えるものでなかった。




記憶も身寄りもない状態の主人公は、自身に何があったのかを探るためにも星穹列車のメンバーに加わる。その後は銀河の平和を保つために動く彼女たちに同行し、並行して自身の謎の究明のための旅を続けるのだった。



本作は『崩壊シリーズ』の新作という位置づけだが、ストーリーの繋がりはそこまで強くない。同一の名前を持つキャラクターが登場するなど、他の作品を知っていれば楽しめる点もあるが、物語としては別物。特に知識が無くても問題なくプレイできる。

フィールドはステージごとに区切られているものの、ひとつひとつのステージがかなり大きく作られている。オープンワールドとまでは言えないものの、ロードのストレスは少なめな印象だった。『原神』とは異なる構造だが、『崩壊:スターレイル』もまたRPGとしての没入感がある仕上がりになっていた。



キャラクターは最序盤からかなりの数が登場。活発で可愛らしい少女の三月なのか。知的で冷静沈着な丹恒。星穹列車の取りまとめ役である姫子。他にも、星穹列車のメンバーは多数登場する。






キャラクターのデザインは“HoYoverseらしいと言えば伝わるだろう。『崩壊シリーズ』『原神』などに近く、アニメテイスト強めの柔らかい雰囲気のデザインだ。

3Dデザインの細かさで話題を集めた他の作品同様に、本作も髪型、後ろ姿、身に着けている小物に至るまで、キャラクターデザイン面のこだわりに余念はない。キャラクター詳細画面ではキャラクターをぐるりと眺めることもできるので、ぜひキャラクター11人のデザインを注目して見ていただきたい。






他にも、11人持っているスマホケースのデザインが違う点や、操作していない際の仕草のバリエーションなど、注意して見ないとしないと気が付かない部分まで手が加えられている。

キャラクターにレアリティやステータスの高低はあるが、その描かれ方に差は見えない。どのキャラクターも主役を張れるレベルの人物だ。それらのキャラクターが集まることで、人々が生活する銀河という、もはや1つの世界が描かれている。


▲主人公の性別は最初に選択可能。

■ターン制コマンドバトルでゆったり遊べるゲーム性



本作のバトルはターン制のコマンド選択バトルだ。ゲーム作りはかなり『原神』に近いテイストだが、ここが最も大きな違いと言える。

フィールドにいる敵アイコンと接敵するとバトルがスタート。左上部のアイコンの順番に敵味方の攻撃が行われていく。



基本的にキャラクターは通常攻撃、スキル攻撃、必殺技の3つの攻撃方法があり、通常攻撃してSPを貯めるか、SPを消費してスキル攻撃をするか、貯めたゲージを消費して必殺技を打つかの3択を選ぶ。

コマンドバトルだか、行動は基本的に3種類なのでバトルシステムは至ってシンプル。スキルの効果も全体攻撃、味方にバフなど、わかりやすいものが多いので、戦略性はありつつも直感的にプレイできる。





▲必殺技の演出は必見。キャラクターの個性と演出グラフィックの美しさが合わさっている。

何より、こういったターン制コマンドバトルの良いところは自分のスピード感でバトルを進められること。自分ターン中にプレイする手を止めても問題ないので、隙間時間や作業の片手間でプレイするのに適していると言えるだろう。

このゲーム性により、HoYoverseのハイクオリティなゲームにハマったユーザーを取り込みつつ、アクション以外のゆったりしたゲーム性を求める新規層も取り入れているのが人気の要因ではないだろうか。

一点だけバトル中の忙しい部分と言えば、必殺技発動のタイミング。必殺技はターン順番とは別枠の扱いになっており、自分のターン以外でも割り込みで発動できる。敵と敵の攻撃の間に割り込みをしようとすると、その場合はターンが移り変わる前のスピード重視の操作が必要になる。



とはいえ、タイミングを逃したらバトルに負けるかと言えばそんなこともなく、あくまでバトルを有利に運ぶための技術介入要素の1つ。基本的には、自分のターンに何をするかを選ぶので、マイペースで進められると思ってもらって構わない。

■“王道すぎない”内容でプレイヤーにひと味違う面白さを

もう1つのゲームの特徴として、プレイヤーをクスっと笑わせるようなメタなトークも特徴の1つだ。

例えばこのワンシーン。主人公が仮想空間に入って敵と戦うコンテンツのチュートリアルなのだが、これを「メタバースだ!」と解説される。この選択肢に「流行りに乗っかるのはやめた方がいい」と、まるで我々の現実世界の人間が会話しているようなものが用意されている。

 

他にも、そもそもの世界観に言及するような選択肢や、会話をしているキャラクターを毒突くような選択肢もある。選択肢の選び方によっては、主人公をとんでもなく尖った性格に見せることも可能だ。

もちろん選択肢によって物語が大きく変わることはないが、これがゲームを進める上でのちょっとしたスパイスになっており、王道すぎない変化球のある会話劇を楽しめる。

また、ゴミ箱を漁ることでアイテムやアチーブメントを獲得できる機能があるのだが、シュールな“ごみ箱を執拗に漁る主人公”という肩書きが、リリース後からユーザー間でいろいろな意味で注目を集めている。作中でもそれを笑いに昇華させているところがある。




宇宙を舞台にしたSFファンタジーという王道の世界観ではあるが、こうした遊び心が各所に見えるため、お堅いRPGというより、主人公やキャラクターに対して親近感を覚えやすくキャラ愛が生まれやすいのではないだろうか。

もちろん変化球による面白いポイントもあるが、それも世界観が壊れるようなことがないような設計になっており、しっかりとシリアスなシーンではプレイヤーを世界観に引き込む濃厚な物語が展開される。


▲三月なのかの過去の記憶など、主人公の秘密に関する以外にもストーリーで気になるポイントは多い。

クオリティの高いゲーム内容に加えて、緩急の付け方も多くのプレイヤーを魅了する要因の1つではないだろうか。

現在多くのプレイヤーを集めている『原神』に続く形でリリースされた『崩壊:スターレイル』。既存のHoYoverseファンの期待に応えるクオリティに加えて、新たな層もキャッチする魅力を兼ね備えたゲームと感じた。

筆者はRPG好きにもかかわらず『原神』はプレイしていなかったのだが、今回の『崩壊:スターレイル』はリリース直後の最初のタイミングから触れたことに加えて、腰を据えずともプレイしやすいゲーム性に惹かれてプレイするに至った。



一言だけ断言できることは、プレイした人を満足作品であること。世界観、キャラクターデザイン、ゲームシステムなど、あらゆる点で評価できる作品だ。

リリースされたばかりのタイミングなので、始めるにはまだまだ遅くない。RPGファンであればぜひプレイすることをオススメしたい。多くの方がプレイしている理由に納得してもらえるだろう。

(文 ライター:セスタス原川)


■『崩壊:スターレイル』

 


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