アニメ視聴の新たな選択肢になったTVerの魅力に迫る…配信数は4年で280タイトルまで拡大、他にはない独自のラインナップを形成

近年、アニメファンにとって大きなテーマになっているのが「アニメをどこで見るか」という問題だ。特定の配信サービスでしか見られない作品や、テレビ放送よりも遅れて配信される作品、あるいは地域ごとで視聴できる作品が違ったりと、人それぞれ悩みがあるはず。そんな中、大きな選択肢になっているのがTVerだ。

TVerといえば、民放各局が提供する無料の見逃し配信サービスとして知られているが、近年、アニメ作品の取り扱いが急増している。本稿では「TVerとアニメ」という観点でこのサービスを紹介していこうと思う。

そもそもTVerとは? 急成長を続ける日本最大級の見逃し配信サービス

TVer(ティーバー)は、日本の民放テレビ局が共同で出資する無料の見逃し配信サービス。ドラマやバラエティ番組だけでなく、アニメ、スポーツ中継、ニュースなど多彩なジャンルのコンテンツを提供し、近年その影響力を拡大している。

特に2024年12月の月間動画再生数は過去最高の4.96億回を記録。2024年1月に初めて4億回を突破してから1年も経たないうちに、約1億回も増加するという驚異的な成長を見せている。『M-1グランプリ2024』や『第103回全国高校サッカー選手権大会 全国大会』のライブ配信が話題を呼んだほか、TBS系列で放送された『水曜日のダウンタウン』の「名探偵津田 第3話 怪盗vs名探偵～狙われた白鳥の歌～」では、配信開始後8日間で429万回再生を記録するなど、話題性の高い番組が次々とヒットしている。

また、視聴環境の利便性も向上しており、倍速再生機能も搭載。特に若年層において人気が高く、15〜19歳女性(FT層)の利用率は全世代平均と比較して1.3倍と、倍速再生を活用しながら効率的に視聴するスタイルが広がっている。

地域別の利用傾向にも特徴があり、2024年1月1日から10月31日までの集計では、1人あたりの平均再生数が最も多かったのは宮崎県の128回。一方で最も少なかった茨城県は82回と、地域によって大きな差があることが分かっている。

キッズ向けから深夜アニメまで、ランキングから分かるTVerの幅広さ

TVerがアニメ配信に力を入れていることは、デイリーランキングの顔ぶれを見てもよく分かる。ある日のランキングを確認すると、『名探偵コナン』『クレヨンしんちゃん』『ドラえもん』といったキッズ向け作品が上位にランクイン。これらの作品は長年親しまれている定番アニメだが、他の動画配信サービスでは見放題配信されていないケースも多く、無料で視聴できるTVerの独自性が際立っている。

一方で、『薬屋のひとりごと』『アラフォー男の異世界通販』『ギルドの受付嬢が、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思いる』といった深夜アニメの話題作もランクイン。TVerでは、キッズ向けアニメと深夜アニメがバランスよく同居する独自のランキングを形成しており、他の配信サービスには見られない特徴となっている。

数字で見るTVerのアニメ充実度…2025年冬は50作品以上を配信

TVerのアニメ配信が本格化していることは、過去数年間の配信数の推移を見ても明らか。2021年にはわずか28作品だったアニメラインナップは、2022年には126作品、2023年には168作品、そして2024年には283作品へと急増。この4年間でおよそ10倍近くの伸びを見せており、TVerがアニメ分野に本格的に力を入れ始めたことが伺える。

さらに、2025年冬シーズンには50作品以上のアニメが配信予定。この数は他の有料配信サービスとも肩を並べるほどのボリュームだ。中でも、他サービス独占配信の『妃教育から逃げたい私』が無料で見逃し配信で、TV放送直後から1週間無料で楽しめる。さらに、他の配信サービスでは放送から数日遅れる『キミとアイドルプリキュア♪』も、TVerなら最速で視聴可能だ。

TVerはアニメ視聴の新たな選択肢に

近年、TVerはアニメ配信に力を入れ、定番のキッズ向けアニメから話題の深夜アニメまで幅広くカバーする唯一無二のプラットフォームへと成長している。

2025年冬には50作品以上を配信予定で、そのラインナップは年々充実。『名探偵コナン』『ドラえもん』といった定番作品に加え、『薬屋のひとりごと』や『妃教育から逃げたい私』のような話題の深夜アニメ、さらには他サービスでは配信が遅れる『キミとアイドルプリキュア♪』などもTVerなら最速で楽しめるという利点がある。

もちろん、サブスク型の配信サービスにはそれぞれの強みがあり、好きなアニメを存分に楽しむには複数のサービスを使い分けるのが主流になっている。そんな中で、TVerは「無料で気軽に楽しめる選択肢のひとつ」として、アニメファンにとってるる魅力的な存在になっていくだろう。

今後もTVerがどのようにアニメラインナップを拡充していくのか、引き続き注目していきたい。