2013年10月12日(土)・13日(日)に、NHN PlayArtが社を構える渋谷ヒカリエの社内で、イベント「PlayArt Game Jam」が開催された。
NHN PlayArtが主催の本イベントは、Unity Japan協力のもと、当日集まったメンバーでチームを組み、わずか2日間で1本のゲームを企画し、開発エンジン「Unity」を使用して作品を手掛ける内容となっている。
応募対象者は、18歳以上でネットワークに接続可能なPCを持参できる方であれば、プロ・アマ問わず誰でも参加可能。そして当日は、年齢や職業も異なる27名の参加者が集まった。
1日目は各種オリエンテーションから始まり、チーム分けが行われた。ちなみにチームの選定は、事前に応募段階で明記できた「得意のポジション」を配慮して、うまく主催者側が振り分けを行った。
続いて、今回参加者が手掛けるゲームのテーマが発表。そのテーマとは「1分」……短時間で気軽に遊べることを主軸にしたゲーム内容になることが伺える。
その後は、会場となるNHN PlayArtの社内・セミナールームにて、それぞれのチームに分かれて企画立案から開発などが進行。会期中は食事が付いていることはもちろん、夜は会場で宿泊するなど、まさに楽しさと苦労が見え隠れするゲーム開発現場そのものの雰囲気を実現した本格的なイベントとなった。
じつは、我々メディア陣は開催2日目の14時頃から取材が行えた。チームごとのゲームの完成発表会……という名の“納期”が16時に迫っていることもあり、会場は忙しい様子であった。とはいえ、それでも笑い声が絶えず、初めて会った参加者同士も2日間という短い期間で、ゲーム開発を通して結束力が深まっていることは、誰の目から見ても伺えた。
そして2日目の16時、ついにチームごとのゲーム完成発表会が始まった。ここからチームごとの完成したゲームについて紹介。全6チームで、手掛けたゲームはPC・スマートフォンアプリなど多種多様な作品が出揃った。
アイドルを主人公にした「早着替えゲーム」。バラバラに散らばっている服のパーツを、それぞれのアイドルの女の子に合う色と組み合わせていく、今回のテーマとなる「1分」から結びついたゲーム内容となっている。
実際にタブレットPCでも動作されており、時間制限(1分)やパーツがはまる瞬間の心地よさなど、シンプルながらもゲームとしての要素がきちんと詰まっていった。
チーム内のデザイナーさんが手掛けたキャラクターは、綺麗な彩りを見せて華やかな世界観も実現。惜しくも時間の都合上、クリアー(ボーナス)画面をゲーム内に入れられなかったのが、心残りであるとメンバーは語った。写真右下のイラストがそれである。
「そばが好きだから…」と、チーム内で合致した奇妙奇天烈な理由により、ゲームの王道とも言うべきキーワード“勇者”に、“そば”を組み合わせた異色作『ノリノリ勇者』を手掛けたチーム2。
トップビューの昔懐かしいドット絵が特徴的な本作は、画面内にある鍵や障害物を壊してゴールドを集め、それらを王様のもとに届けるゲーム内容となっている。PCゲームのため、マウスのクリックで勇者を移動させるのだが、これが意外と“すいすい”動いて妙にテンポが良い。
加えて、画面の右下に現れる“ざるそば”が飛び跳ねたり、ひん曲がったりと、絶大なインパクトを誇るゲーム演出には会場が笑いに包まれた。ちなみに、この“ざるそば”は発表直前に突貫工事で取り入れたものらしい。ここのメンバーによる突発的な発想力には感服である。
主催のNHN PlayArtが展開するPCプラットフォーム「ハンゲーム」のマスコットキャラクター・ぶにゃを主人公にした『Bunya Factory』は、ここ最近巷で流行っているクッキー量産ゲーム『Cookie Clicker』を参考にしたとのこと。
ゲーム内容は、ひたすらボタンを押して制限時間内(1分)に、どれだけぶにゃを増やすことができるかというもの。所持しているぶにゃを使用して、自動で投入してくれるアイテムを活用することで、さらなるスコアを伸ばすことができる。
サイコロ上に転がるぶにゃには、2種類の色が存在して、その異なる色同士が交わることで、さらに増えていくといったアトランダム性を備えたシステムも採用している。遊んでみると、増えていく度に聞ける「ポンッ」という効果音が、不思議と止め時を見失う要因に。
版権フリーキャラクター「東北ずん子」に対する愛情を存分に注いだ作品、と語るチーム4の面々。前述している通り、当然主人公は「東北ずん子」となるのだが、ゲーム内容はなかなか硬派なものに仕上がっている。
本作は、画面上部に表示されるブロックを、うまく積み上げて高さを競うゲームだ。PCゲームのため、マウス操作でドラッグしながらブロックを移動させて、灰色の平面上に次々と置いていく。
また、タマゴや爆弾など球状が登場したり、ブロックの動作が小気味よかったりと、何回も挑戦したくなる絶妙な難易度に完成していた。そして、失敗すると大爆発が起こる痛快な演出にも笑える。
5秒で終わる単純明快なゲームを50種類詰め込んだ『ゆるくそ!』。ゲーム進行は、「まわせ」「よけろ」など多彩な操作を要求されるミニゲーム(チームいわく“クソゲー”)を、5秒で次々とこなしていくもの。
ユニークなのは、スマートフォン独自の操作方法やジャイロセンサーなどを用いたゲーム内容も仕込ませて、思わず驚かされる一面があったこと。さらに、プレイ中の模様を録画してくれる機能もあり、それらをSNSに投稿できたりと完成度の高さが伺えた。
さらに空いた時間でメンバーの「クレジット」も手掛けるなど、ゲームの本質以外の細かいところまでにも手を加えたチームメンバーによる愛情が詰まった作品だ。
制限時間1分のなかで、3Dマップとなった迷路を縦横無尽に駆け巡りゴールを探す『はしれ!どろいめらいちゃん』。ここのチームには、デザイナーさんがいなかったものの、それぞれがうまく分担・素材を調達してくるなど、うまく完成に持ち込めたようだ。
様々な街並みが表現された広大なマップはもちろんのこと、チームメンバーは主人公の女の子の動作に注力したことを話した。テクテクと歩く姿や仰向けに倒れ込む姿などは、たしかにキュート。
デザイナーさん不在にも関わらず、キャラクターに注目してほしいという想いは、やはり苦労した点でもあり、熱のこもった作業箇所でもあることが伺えた。
それぞれの完成発表が終わると、ゲームの試遊会が行われた。お互い気になるタイトルのチームに行っては、ゲームに興じながら開発メンバーと言葉を交わしていた。
他愛もない話から「これどうやったんですか?」と、開発者による意見交換も行われた。何より開発・発表を終えたばかりということもあり、自由と伸び伸びとゲームを遊べることに、終始和やかなムードが続いた。
わずか2日間という短期間で、本当にゲームを遊べる形にまで仕上げた参加者。気心知れたメンバーではなく、全くの初対面でこれらを実現したことは、それぞれの技術力の勉学にも繋がったことはもちろん、制作進行や業務コミュニケーションの向上にも一役買ったことだろう。
イベントの最後には、司会進行を務めたNHN PlayArtの溝口達洋氏から閉会の挨拶。「ちらほらと“楽しかった”という言葉をいただいて、主催者側としては嬉しい気持ちでいっぱいです。今回手掛けられたタイトルは、もしみなさんのほうでブラッシュアップしていただけることがあれば、どこかにURL付きで掲載させていただくこともあるかと思います。今後も2回目、3回目と開催していくことを考えていますので、ぜひ、次の機会があったら参加してくれれば幸いです」。
NHN PlayArtは、ゲーム業界の人材育成支援を目的として今回のイベント「Game Jam」を開催。参加者にとっては、「Game Jam」が良い刺激となり、アイデアの創出や今後の業務の糧になったことだろう。
さて、次回が開催される際には、どのようなテーマと会場規模、そして日程で設けられるのかが、今から参加者含めて楽しみなところでもある。
■関連サイト
「NHN PlayArt」企業サイト
NHN PlayArtが主催の本イベントは、Unity Japan協力のもと、当日集まったメンバーでチームを組み、わずか2日間で1本のゲームを企画し、開発エンジン「Unity」を使用して作品を手掛ける内容となっている。
応募対象者は、18歳以上でネットワークに接続可能なPCを持参できる方であれば、プロ・アマ問わず誰でも参加可能。そして当日は、年齢や職業も異なる27名の参加者が集まった。
1日目は各種オリエンテーションから始まり、チーム分けが行われた。ちなみにチームの選定は、事前に応募段階で明記できた「得意のポジション」を配慮して、うまく主催者側が振り分けを行った。
続いて、今回参加者が手掛けるゲームのテーマが発表。そのテーマとは「1分」……短時間で気軽に遊べることを主軸にしたゲーム内容になることが伺える。
その後は、会場となるNHN PlayArtの社内・セミナールームにて、それぞれのチームに分かれて企画立案から開発などが進行。会期中は食事が付いていることはもちろん、夜は会場で宿泊するなど、まさに楽しさと苦労が見え隠れするゲーム開発現場そのものの雰囲気を実現した本格的なイベントとなった。
▲会場は設備が充実しており、参加者は快適にゲーム開発が行えたと話す。
じつは、我々メディア陣は開催2日目の14時頃から取材が行えた。チームごとのゲームの完成発表会……という名の“納期”が16時に迫っていることもあり、会場は忙しい様子であった。とはいえ、それでも笑い声が絶えず、初めて会った参加者同士も2日間という短い期間で、ゲーム開発を通して結束力が深まっていることは、誰の目から見ても伺えた。
そして2日目の16時、ついにチームごとのゲーム完成発表会が始まった。ここからチームごとの完成したゲームについて紹介。全6チームで、手掛けたゲームはPC・スマートフォンアプリなど多種多様な作品が出揃った。
チーム1…『TEAM 1』
アイドルを主人公にした「早着替えゲーム」。バラバラに散らばっている服のパーツを、それぞれのアイドルの女の子に合う色と組み合わせていく、今回のテーマとなる「1分」から結びついたゲーム内容となっている。
実際にタブレットPCでも動作されており、時間制限(1分)やパーツがはまる瞬間の心地よさなど、シンプルながらもゲームとしての要素がきちんと詰まっていった。
チーム内のデザイナーさんが手掛けたキャラクターは、綺麗な彩りを見せて華やかな世界観も実現。惜しくも時間の都合上、クリアー(ボーナス)画面をゲーム内に入れられなかったのが、心残りであるとメンバーは語った。写真右下のイラストがそれである。
チーム2…『ノリノリ勇者』
「そばが好きだから…」と、チーム内で合致した奇妙奇天烈な理由により、ゲームの王道とも言うべきキーワード“勇者”に、“そば”を組み合わせた異色作『ノリノリ勇者』を手掛けたチーム2。
トップビューの昔懐かしいドット絵が特徴的な本作は、画面内にある鍵や障害物を壊してゴールドを集め、それらを王様のもとに届けるゲーム内容となっている。PCゲームのため、マウスのクリックで勇者を移動させるのだが、これが意外と“すいすい”動いて妙にテンポが良い。
加えて、画面の右下に現れる“ざるそば”が飛び跳ねたり、ひん曲がったりと、絶大なインパクトを誇るゲーム演出には会場が笑いに包まれた。ちなみに、この“ざるそば”は発表直前に突貫工事で取り入れたものらしい。ここのメンバーによる突発的な発想力には感服である。
チーム3…『Bunya Factory』
主催のNHN PlayArtが展開するPCプラットフォーム「ハンゲーム」のマスコットキャラクター・ぶにゃを主人公にした『Bunya Factory』は、ここ最近巷で流行っているクッキー量産ゲーム『Cookie Clicker』を参考にしたとのこと。
ゲーム内容は、ひたすらボタンを押して制限時間内(1分)に、どれだけぶにゃを増やすことができるかというもの。所持しているぶにゃを使用して、自動で投入してくれるアイテムを活用することで、さらなるスコアを伸ばすことができる。
サイコロ上に転がるぶにゃには、2種類の色が存在して、その異なる色同士が交わることで、さらに増えていくといったアトランダム性を備えたシステムも採用している。遊んでみると、増えていく度に聞ける「ポンッ」という効果音が、不思議と止め時を見失う要因に。
チーム4…『TEAM FOUR』
版権フリーキャラクター「東北ずん子」に対する愛情を存分に注いだ作品、と語るチーム4の面々。前述している通り、当然主人公は「東北ずん子」となるのだが、ゲーム内容はなかなか硬派なものに仕上がっている。
本作は、画面上部に表示されるブロックを、うまく積み上げて高さを競うゲームだ。PCゲームのため、マウス操作でドラッグしながらブロックを移動させて、灰色の平面上に次々と置いていく。
また、タマゴや爆弾など球状が登場したり、ブロックの動作が小気味よかったりと、何回も挑戦したくなる絶妙な難易度に完成していた。そして、失敗すると大爆発が起こる痛快な演出にも笑える。
チーム5…『ゆるくそ!』
5秒で終わる単純明快なゲームを50種類詰め込んだ『ゆるくそ!』。ゲーム進行は、「まわせ」「よけろ」など多彩な操作を要求されるミニゲーム(チームいわく“クソゲー”)を、5秒で次々とこなしていくもの。
ユニークなのは、スマートフォン独自の操作方法やジャイロセンサーなどを用いたゲーム内容も仕込ませて、思わず驚かされる一面があったこと。さらに、プレイ中の模様を録画してくれる機能もあり、それらをSNSに投稿できたりと完成度の高さが伺えた。
さらに空いた時間でメンバーの「クレジット」も手掛けるなど、ゲームの本質以外の細かいところまでにも手を加えたチームメンバーによる愛情が詰まった作品だ。
チーム6…『はしれ!どろいめらいちゃん』
制限時間1分のなかで、3Dマップとなった迷路を縦横無尽に駆け巡りゴールを探す『はしれ!どろいめらいちゃん』。ここのチームには、デザイナーさんがいなかったものの、それぞれがうまく分担・素材を調達してくるなど、うまく完成に持ち込めたようだ。
様々な街並みが表現された広大なマップはもちろんのこと、チームメンバーは主人公の女の子の動作に注力したことを話した。テクテクと歩く姿や仰向けに倒れ込む姿などは、たしかにキュート。
デザイナーさん不在にも関わらず、キャラクターに注目してほしいという想いは、やはり苦労した点でもあり、熱のこもった作業箇所でもあることが伺えた。
開発・発表を終えた参加者によるゲームの試遊会
それぞれの完成発表が終わると、ゲームの試遊会が行われた。お互い気になるタイトルのチームに行っては、ゲームに興じながら開発メンバーと言葉を交わしていた。
他愛もない話から「これどうやったんですか?」と、開発者による意見交換も行われた。何より開発・発表を終えたばかりということもあり、自由と伸び伸びとゲームを遊べることに、終始和やかなムードが続いた。
わずか2日間という短期間で、本当にゲームを遊べる形にまで仕上げた参加者。気心知れたメンバーではなく、全くの初対面でこれらを実現したことは、それぞれの技術力の勉学にも繋がったことはもちろん、制作進行や業務コミュニケーションの向上にも一役買ったことだろう。
イベントの最後には、司会進行を務めたNHN PlayArtの溝口達洋氏から閉会の挨拶。「ちらほらと“楽しかった”という言葉をいただいて、主催者側としては嬉しい気持ちでいっぱいです。今回手掛けられたタイトルは、もしみなさんのほうでブラッシュアップしていただけることがあれば、どこかにURL付きで掲載させていただくこともあるかと思います。今後も2回目、3回目と開催していくことを考えていますので、ぜひ、次の機会があったら参加してくれれば幸いです」。
NHN PlayArtは、ゲーム業界の人材育成支援を目的として今回のイベント「Game Jam」を開催。参加者にとっては、「Game Jam」が良い刺激となり、アイデアの創出や今後の業務の糧になったことだろう。
さて、次回が開催される際には、どのようなテーマと会場規模、そして日程で設けられるのかが、今から参加者含めて楽しみなところでもある。
■関連サイト
「NHN PlayArt」企業サイト
会社情報
- 会社名
- NHN PlayArt株式会社
- 設立
- 2015年10月
- 代表者
- 代表取締役社長 丁 佑鎭
- 決算期
- 12月