■はじめに
「ユーザーにいかにして、ゲームを遊んでもらうか」
リリース時に比例して増加すると考えられる、休眠ユーザーやアンインストールユーザーに対する課題解決の手法のひとつとして注目している「リテンション」について、前回ご紹介しました。
リテンションを「良質なユーザーへの再アプローチ」と定義し、その手法のひとつとして大手ECですでに取り入れ始めている、リマーケティング・リターゲティング広告について紹介しましたが、 ゲームアプリで利用する場合、さまざまなアプローチの手法があります。
後編では「良質なユーザーへの再アプローチ」の手法をゲーム内での施策とテレビCM・広告といった外部の施策を比較し、 その中でもより効果が見えやすいリテンション広告についてご紹介します。
■リテンション施策と、リテンション広告
リテンション施策にどのようなものがあるか。その一例を内部/外部施策と、マクロ/ミクロの軸からまとめました。
この中から効果をみやすい、リテンション広告のひとつ、oogleDisplayNetwork広告をご紹介いたします。
GoogleDisplayNetworkは、Google関連サイトやパートナーサイトに向けて配信される、ADネットワークのひとつ。ユーザーの行動履歴や、指定したコンテンツ内容、キーワードなどの情報にマッチングさせて表示させるリマーケティング配信ができます。例えば、インストールしているものの、アクティブではないユーザー(休眠ユーザー)や、過去インストールしていたユーザーに絞ったアプローチもできます。
■他のADネットワークとはどうちがうのか?①
GoogleDisplayNetworkと他のADネットワークのリテンション広告はどう違うのか比べてみました。(①では配信先・対応OSの比較)
■他のADネットワークとはどうちがうのか?②
GoogleDisplayNetworkと他のADネットワークのリテンション広告はどう違うのか比べてみました。(②では計測できるもの、新規SDKの組み込みの有無)
■他のリテンション広告との違いまとめ
他ADネットワークは、リマーケティングタグを入れた該当ページを、「踏んだ/踏んでいない」での判別になるため、ネイティブアプリは一度Webページに遷移させる必要があります。一方でGoogleDisplayNetworkはその必要がありません。
従来、計測できなかったセグメントをかけて配信したユーザーのLTVなど、可能性を秘めているGoogleDisplayNetworkですが、その一方で実は、課題もあります。
■リテンション広告の課題
リテンション広告を実施する際には、GoogleDisplayNetworkに限らず、4つの課題があります。
①準備
リテンションの施策を行うにあたり、3つの準備が必要です。
②データの蓄積
リマーケティングデータの蓄積には時間が必要です。
③リマーケティングタグ設置前のデータは活用できない
リテンション広告は、リマーケティングデータを取り始めてからのユーザーに対しての配信となります。既にサービスインしているアプリの場合、リマーケティングデータ取得前にインストールしたユーザーに向けた配信ができません。
④配信母数が小さい
セグメントを切って配信した場合、配信されるターゲットの母数は通常の広告配信よりも小さくなります。
■おわりに
後編では、リテンション広告の手法のひとつとして様々なADネットワークを比較しながら紹介しました。
休眠ユーザーや、アンインストールユーザーへ配信ができる点、リマーケティングで再アプローチしたユーザーのLTVの計測ができる魅力がある一方で、事前の準備、データの蓄積、配信母数といった課題もあります。
これらを踏まえると、リテンション広告単体で効果をだすというより、新規ユーザーの獲得を進めていく軸と並行して、「いかにしてユーザーの取りこぼしを少なくしていくか」、「休眠・アンインストールユーザにいかにしてもう一度遊んでもらうか」という面で有効な手法となっていくと考えられます。
現状、特にAndroidにおいては2か月目以降の集客が課題となっていますが、この課題を解決するプロモーション手法のひとつとして注目されると考えています。
■尾崎将史
国内初のネイティブソーシャルゲームに特化した集客スタジオ、株式会社AppBroadCast コンサルティング事業部リテンションストラテジスト。前職では、モバイルキャリアコンテンツのプロモーションに携わる。2014年4月より現職にて「リテンション」という側面からのゲーム集客戦略の支援に携わる。