コミックマーケット90開催直前 コミケのジャンルコード大幅見直しから見るソーシャルゲームのトレンドを紹介


来週の8月12日から、コミックマーケット90、いわゆる夏コミが東京ビックサイトにて開催される。

Social Game Infoの読者でコミックマーケットを知らない人はあまりいないとは思うが、念のため説明すると、コミックマーケットは、マンガ・アニメ・ゲーム・その他周辺ジャンルにおける自費出版(同人誌)の展示即売会だ。昨今では、約140社にも及ぶ企業のブース出展も行われている。規模としては、3日間でサークル数が3万5千、一般参加者の数は51万人から59万人ほどと発表されており、日本最大級のイベントとなっている。
※コミックマーケットとは何か?http://www.comiket.co.jp/info-a/WhatIsJpn201401.pdfより

さて、そんな巨大なコミックマーケット、先日ジャンルコードの大幅な見直しと振り直しが発表された。こちらのジャンルコードは、マンガ・アニメ・ゲーム・その他の作品や掲載雑誌等別にに分かれて振られている数字で、例えば、ジャンプで連載されている作品はコード400のFC(ジャンプその他)といった形になっている。申し込みサークルが多い作品は、独立コードとして数字を割り当てられており、『艦隊これくしょん-艦これ-』などは1つのジャンルコードを1ジャンルで使っている。

本稿では、今回のジャンルコードの見直しから見る、同人誌におけるソーシャルゲームのトレンドを簡単に紹介する。
 

■『アイマス』『ラブライブ!』アイドルコンテンツが人気で独立コード化





今回のコード変更で目を引いたのは、幾つかのコンテンツの独立コード化だろう。

男性向けのコンテンツでは、211ギャルゲーから、女性アイドルゲームである『アイドルマスター』と『ラブライブ!』が独立コード化した。

『アイドルマスター』は、従来の765プロの面々に加え、『アイドルマスター ミリオンライブ!』や『アイドルマスター シンデレラガールズ』等スマートフォンゲームの人気を鑑みての独立コード化だろう。

また、『ラブライブ!』についても独立コード化。スマートフォンゲームである『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』では先日「Aqours」のメンバーも追加されさらなる盛り上がりを見せているこちらのタイトル。アニメの放送も行っているため、こちらも今後さらなる盛り上がりが期待できるコンテンツだろう。

『艦隊これくしょん-艦これ-』は以前から独立コードとなっていたが、今回も現状維持という形となった。コミックマーケット90での『艦これ』コードのサークル数は2062(※コミックマーケット90カタログより)と、かなりの数になっており人気が衰えていないことがわかる。また、漫画や艦娘のイラストだけでなく、コンテンツと掛け合わせた実際の艦の考察や、広島・呉の旅行記を扱ったものなど、幅広い創作活動がされているのも特徴の一つだ。こちらのコンテンツは今後、スマートフォンでのサービスや、アニメの2期の放送、映画などの展開が控えており、まだまだ目のタイトルのひとつと言える。

 

■『あんさんぶるスターズ!』が独立コード化 『刀剣乱舞-ONLINE-』も引き続き人気


女性向けのコンテンツでは、やはり『あんさんぶるスターズ!』の独立コード化が目を引くだろう。こちらのコンテンツは、スマートフォンの女性向けアイドル育成プロデュースゲームで、リリース以降女性を中心に爆発的な人気を博している。日々のApp StoreおよびGoogle Playの売上ランキングでもTOP30の常連となっているこのタイトル、同人誌での人気も大きいようだ。舞台化に続き、アニメ化も発表されている本作。さらなるファン活動の活発化を見込んでの独立コード化だろう。

また引き続き『刀剣乱舞-ONLINE-』も人気で、コミックマーケット90でのジャンルコード刀剣乱舞でのサークル数は1462(※コミックマーケット90カタログより)と相当な数になっている。『刀剣乱舞-ONLINE-』は、企業ブースでも様々な企業がグッズを販売予定で、原作であるニトロプラスブースでのイラスト集の販売や、13日のみdアニメストアブースで、10月より放送開始のアニメ『刀剣乱舞 花丸』のグッズの配布などが行われる。

女性向けのコンテンツ全般に言えることではあるが、この2つのタイトルでは、コミケ以外でもオンリーイベント(特定のジャンルに限定した即売会)が毎月のように行われており、スペースを取る際に当落があるコミケの数字だけで結論が出る問題ではないが、やはりこの2つのタイトルが同人誌、いわゆるファン活動がもっとも活発なコンテンツなのではないだろうか。

余談ではあるが、女性向けでは今回TVアニメ「おそ松さん」も独立コード化しており、人気の高さがうかがえる。また、夏コミの申し込みは2月に行われる為、今回は反映されてはいないが、昨今の二次創作における「名探偵コナン」の人気も、次回以降注目したい。

 

■まとめ


本稿では、コミケジャンルコードの見直しから見るスマートフォンゲームの人気についてざっと提示したが、もちろんこれだけでコンテンツの人気不人気が計れるものではない。二次創作がしやすいコンテンツ、しにくいコンテンツ、というのも存在しているので、必ずしもコミケでのサークル数が多いコンテンツが人気だとは限らない。また、先述したように女性向けに関しては、毎月、毎週のようにオンリーイベントと呼ばれる即売会も実施されており、春、GW、秋など、コミケが無い時期でも大きな同人誌即売会が実施されているため、当落のあるコミケには出ないサークルも多いだろう。

とはいえ、毎回最大で59万人が集まる規模のイベントでの人気というものはかなり大きいものであり、コンテンツを扱うゲームパブリッシャーにおいても無視できない数字になっているであろう。あくまでもファン活動の一環として行われているものではあるが、「好き」を形にし、時間を使う、熱量の高いファンの動向において、創作物の内容は置いておいても、注目してみるのも新たなるプロモーションの鍵となるかもしれない。