MRヘッドセットずらり OSに機能を標準搭載、全国400店規模の体験コーナーなど、Windows MR普及への期待高まる


日本マイクロソフトは、10月18日、東京・千代田区で「Windows 10 Press Briefing」を開催した。

本ブリーフィングは、10月18日(日本時間)に公開となった「Windows 10 Fall Creator Update」に関してとなる。

同社が現在大きな投資を行っているのが、複合現実と呼ぶWIndows Mixed Reality(以下、Win MR)の分野だ。

マイクロソフトは、以前より「HoloLens」というバイザー型の自己完結型ホログラフィックコンピュータをエンタープライズ向けに販売しているが、いわゆる目を完全に覆うイマーシブ(没入型)の体験とは異なるデバイスだ。

同製品の価格は3000USDと高価であることや、用途としてはエンタープライズ向けが主となっているため、一般のユーザーが手を出しにくかった。

だが、今回は汎用OSであるWindowsのアップデートにおいて、WIndows Mixed Realityを標準の機能として実装している。
 



 
Win MRといっても、その範囲はかなり広い。Microsoftはその領域を、没入型のVR体験といったものから、現実の世界に3Dを投影するARまで含んだ領域を幅広く提供していくのだという。
 
そして今回紹介したのは、VR用途に使うヘッドセットだ。既にデバイスは、DELL、ACER、HP、FUJITSU、LENOVOといった各OEMメーカーより提供を行い、一部のメーカーにおいては出荷も始まっている。
 
▲左からDELL、ACER、HP、FUJITSU、LENOVO

没入型のVRヘッドセットでは、頭の動きを検知して映像に反映する必要があるが、その際には前後左右上下の6軸で検知する必要がある。

スマートフォンを使ったVRは3軸で現実感が足りない。PCやゲーム機を使ったVRは6軸ではあるものの、端末としての単価の高さに加えて、外側のセンサーの設置が必要で手間もかかる。

だがWin MRのにはインサイドアウトのセンサーを装着し、ヘッドセットだけで、6軸の検知に対応することができ、接続はPCにケーブルを繋ぐだけだ。

これによって、友人の家に持っていった際など、出先で簡単に体験できるという利点がある。


 

今回OSに組み込んだことや、最低動作環境を低くしていることもあって、8月末に出荷されているコンシューマーPCの40%が、ハードウェア要求に合致しているのだという。

これは開発者視点から見れば、ターゲット層へのリーチが格段に上がり、月日が過ぎるに連れその対象範囲が広がっていく事を意味している。
 
もちろんハードウェアだけではない。マイクロソフトはユーザーをより増やすには業界一丸となって環境整備する必要と話す。

それにはソフトウェトとしてコンテンツを揃え、店頭で経験をしてもらうことで、その世界に引き込むことが重要だと強調する。
 



先日のアップデートの段階でWindows Storeには既にMRコーナーを立ち上げた。その中には『360チャンネル』、DMMなどの動画コンテンツや、コロプラの『TITAN SLAYER』やジェムドロップの『ヘディング工場』など、他のプラットフォームでも人気の高いコンテンツを取り揃えていくという。
 

この新しいテクノロジーは体験しないと伝わりにくい内容だ。またより製作者の意図したかたちで伝えていくためにも、マイクロソフトはOEMメーカーと協力し、今後全国400店舗の販売店で体験コーナーも展開する。

この400店という店舗数は、アメリカでの展開より多いものになるとのことだ。国内での普及への相当力を入れていると言っていいだろう。

マイクロソフトの複数メーカーからハードウェア出荷、WIndows Storeからのソフトウェア配信、全国規模での体験機会の創出、他社より最低動作スペックを引き下げるなど、市場へ一気に攻勢をかけてきたかたちだ。
 
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