VRコンソーシアム(VRC)は、11月11日、東京渋谷区にあるMixiのオフィス内で第三回「VRCカンファレンス2017 ファイナル」の開催を行った。
開会挨拶に登壇したのは、VRコンソーシアム 代表理事でありハコスコの代表でもある藤井 直敬氏だ。
VRコンソーシアムが始まったのが2015年。その当時はVRイベントと言うと、桜花一門の高橋建滋氏の「オキュフェス」だけで集まる場所がなく、「事業としてVRを立ち上げると言うのが重要だ」と考えていたという。(藤井氏)
デジタルハリウッド大学 学長の杉山知之氏に相談したところ「是非やろう」といって設立したのが、VRコンソーシアムとなる。
▲藤井 直敬氏
藤井氏は「設立から3年経ち多くの人がVRに興味を持つようになった。イントロダクションはだいたいできたのではないか」とここ数年の活動を振り返った。
同イベントで集まって知見を共有するのはこれが最後になると話した藤井氏、VRCの活動は今後アワードにフォーカスしていくのだという。
セッションではVRに情熱を持っている国内のトッププレイヤーに集まっているが、知見の共有ではなく雑談をしてもらうのがこの会の狙いだと藤井氏は語った。
「ハイレベルの人がする雑談は普段聞けない、どんなくだらないことを考えているのか。ただそういうところに次のヒントが隠れている」、藤井氏は今回一人のオーディエンスとして楽しみにしていると嬉しそうに話していたのが印象的だった。
▲暦本純一氏
4時間以上もある中で、基調講演を行ったのは東京大学大学院 教授の暦本純一氏だ。暦本氏は「HUMAN ARGUMENTATION」をタイトルに話をしてくれた。情報伝達用途を目的としがちなAR技術において、プライバシー保護のためのプログラマブル窓の話など、非常に興味深い内容の多い講演だった。
話はOculusのDK1に出会って人生が狂った時からの振り返りや、今後発売する新しいHMDに関してなど、現在のVRのブームを牽引してきた4者の見解を聞くことができた。
「VRとこの一世紀(50年前から今、そして50年後)」では、デジタルハリウッド大学 学長の杉山知之氏、デジタルネイチャー研究室主宰、メディアアーティストの落合陽一氏、再びの登壇となった近藤 “GOROman” 義仁氏も。
クローズセッションで特に印象に残った話として、落合陽一氏だ。今のVRは「web2.0」のようだという。それは日本はコミュニティが小さいので成熟してすぐ飽きてしまう。今のVRは良くなく、スマートフォンを超えるのがVRのチャレンジだったにも関わらず超えることができなかったという内容だ。
その原因として、単レンズ光学に限界がありARレンズも「ホロレンズ」のようなダサいものしかなかったとバッサリ。
ただし「このグラスウェアの進化によってここ2、3年で一気に来るのでは?」とも考えているようだ。
SIGGRAPHの論文は、「今がVR」といった論調の論文が出てきたことを挙げた。普段VRに馴染みのある人にとっては「今さらか」と思うけれど、それは僕達のコミュニティは小さくて感覚が麻痺しているだけだという。
光学系の論文も多く出てきており、「今がVRなんです」と強調した。
今後は軽くて小さくてバッテリーが1週間もつようなものが作れるかが重要とし、そのうちスマートフォンを超えるようなデバイスが出てくるとした。
あと5年も経てば何故あんな小さい画面を撫で回していたのか笑い話しになるのではないか。今開発者が力を緩めると「web2.0」のようになってしまうので、あと1年は粘ったほうが良いと語っていた。
なお今回のイベントはYoutubeでも公開中だ。セッションごとにわかれており非常に見やすくなっている。
VRに興味がある人というだけではなく"先端技術やテクノロジーで生活が変わる事のおもしろさ"を信じている人は、是非とも見て欲しい。