「8時間同じことを言い続ける」「罵声を浴びせる」などの問い合わせへにどう対応するか? KLab、個人投資家対応の電話窓口を廃止

決算発表シーズンが中盤にさしかかったが、一部個人投資家への電話対応をどうするか、頭を悩ませている上場企業IR担当者は少なくないのではないか。電話対応は長時間労働の一因となっているだけでなく、株価や業績の悪化した局面では電話にでるなり罵声を浴びせる人が少なくなく、精神疾患になってしまい、休職や退職を余儀なくされるケースもあると聞く。

こうしたなか、個人投資家や株主からの電話窓口を廃止する企業が増えているようだ。KLabは、昨年8月に実施した「個人投資家向けフォーラム」で、投資家への情報開示方針を明示し、電話対応の廃止を中心とする業務の合理化とともに、より付加価値の高い業務に注力する考えを示した。

ポイントは以下のとおり。

(1) ゲームのリリースや事前登録のスケジュールは事前に告知しないこと、個別の問い合わせにも対応しないこと。
(2) 個別ゲームタイトルの情報に関する問い合わせには回答しないこと。ゲームに関する問い合わせは、IRではなく、ゲームの問い合わせページから対応してほしい。
(3) 個人投資家からの電話対応を廃止し、ウェブサイトからの問い合わせ窓口に集約した。真田哲弥社長は「批判や苦情が多かったポイント」としながら、その真意を説明した。「株価が下がった直後など、同じ人が1日に何度も電話してきて、合計8時間くらい『なぜ株価が下がった』と言い続けた人がいた。ストレスのはけ口と勘違いして、罵声を浴びせる人もいた」とし、「文字で記録が残せるもので理性的に問い合わせていただいた方がいいと判断した」と述べた。
(4) IRサイトのFAQのコーナーの充実。問い合わせの多いものはパターン化しているため、問い合わせる前にチェックしてもらう。また投資家の関心事をチェックして、関連した情報も増やしていく。
(5) 業務の効率化や合理化で生まれた時間については、IR担当が国内外の機関投資家対応など付加価値の高い業務に投じる。


このほか、株主還元のひとつである株主優待については、ゲーム内ポイントや株主限定アイテムのプレゼントは行わない方針も示している。プラットフォーマーの規約に抵触するというだけでなく、「ユーザーファースト」の考え方に基づき、ゲームユーザーが離れてしまうような施策は行わないとのこと。
KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
企業データを見る