mixiアプリのプロモーション手法では、mixi内でのバナー広告に次ぐ効果的な手法として、他社のmixiアプリに自社アプリの広告を出すという手法がありました。本当に短い間でしたけど、注目されました。2010年2月頃から、一部のアプリで、アフィリエイト広告の一種である「リワード広告」が導入されるようになりましたが、そこに出稿するというものです。
「mixi」内にバナー広告を出せないのならば、他のアプリに広告を載せてしまえ、というもので、いわば、「mixiアプリ広告掲載ガイドライン」の抜け穴をつく方法といえます。しかも成果報酬型で、広告主には一切固定費はかかりません。SAPサイドも、1件あたりのユーザー獲得単価が150-200円程度もらえれば載せても構わないとのことでした。
私も、これは実に効率的なプロモーション手法だと考えましたので、複数の有力なリワード広告の業者と話を進めました。実際、彼らと話を進めていても、「登録会員数が10万件くらいが目標であれば、簡単に集めることはできる。2週間も出し続ければ大丈夫だろう」と自信満々で、その効果に大いに期待したものでした。
しかし出稿直前になって、業者から断りの連絡を受けました。ミクシィ社が「ガイドライン」を改定し、他社のアプリの広告を出稿してはならない、との規定を追加したため、とのことでした。突然でしたが、「mixi」内で、すでにSAPの広告出稿に制限がかかっていましたので、早晩、こちらに規制が入ることが予想されていましたが...。
当時、勤め先を含めて複数のSAPは、ミクシィ社の運営を非常にめちゃくちゃだと感じたものでした。しかし、いま振り返ってみると、ミクシィ社自身も試行錯誤のなかだったでしょうし、mixiアプリについて、ソーシャルグラフの活性化のため、と位置づけていたことを考えると、SAPの「mixi」内での広告出稿の制限は当然といえます。
あくまで推測ですが、ミクシィ社では、SAPには過度の広告出稿に頼るのではなく、ソーシャルグラフを活用した要素をアプリにふんだんに取り入れることで対応してほしい、つまり、バイラルで増やしてほしいとの考えがあったと思われます。そして、そうしたアプリには、ミクシィ社もバックアップを行う、といった感じでしょうか。
私自身、ミクシィ社の一連の「不合理」な意志決定を見ていて、ミクシィ社について、哲学といったら大げさかもしれませんが、しっかりとした理念に基づいた運営をする会社だと感じたものでした。短期的な収益獲得や株主価値を度外視しても、社会に価値のあるサービスを提供し、長期的な事業の成長を追求していると思ったものです。
とはいえ、SAPとしては、短期間でユーザーをかき集めなければならないという事情がありました。信じがたいほどの開発費を注ぎ込み、やたらめったら強気な収益計画を立てていたものですから。その割に、広告費は決して多くはありませんでしたので、私はどうしたものかと思いましたが、私のスキルを考えると取れる方法は一つしかないと考えていました。
(たぶん続かないかも)