25周年を迎えたTGS、規模を縮小しながらオフラインも開催 withコロナ/afterコロナのなか模索続く 求められるのは新しい軸(中山淳雄)

中山淳雄 エンタメ社会学者&Re entertainment社長
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2021年9月30日、TGS2021が始まった。今年のTGSは、まだ緊急事態宣言下の21年3月30日に「オフラインイベントをメディアとインフルエンサーにのみ来場を制限」し、基本的にはオンラインで楽しんでもらうようにという処置を発表した。

実際にイベントがスタートしたまさにその当日、約3か月続いた緊急事態宣言が解除発令され、本来はHall8に5000人が集客することのできるタイミングではあった。残念ながら半年前から準備してきた「ほぼ無観客のオフライン+無料オンライン」の開催を急遽このタイミングで変更することはできず、25周年という記念すべきタイミングでのTGSは数十名~数百名の関係者のみに開かれる結果となった。

  

  • ▲会場前の広場は例年の活気とは打って変わって静かな光景

  

▲8ホールのみを使い、例年の1/6のサイズで33社のブース展示があったオフライン会場

 
各ブースの展示やイベントの光景などはすでに各メディアで報道されているとおりだが、今回は25周年というTGSの歴史そのものを振り返ってみたい。トレンドを振り返るとおおよそ3つの時期に区切られる。最初の5年間であるITバブル崩壊2001年まで(プレイステーション隆盛期)、出展社数は増えずに規模と参加者数も一定水準であった第1期。次に出展社数が急増し、出展小間数も参加者も安定した純増期であったリーマンショック後の2009年まで(プレステ2からWii復興期)の第2期。さらに、モバイル勢の急激な台頭により、出展社数が3倍規模の600社を超えるところまでピークをつけていく2012年から2019年までの繁栄期である第3期(プレステ4からSwitch勃興期)。そして現在は、コロナ時代にオフライン開催が制限され、イベントとしての存在意義を再確認する混迷期である第4期の2年目にあたる。2020年に延べ3160万回視聴がされたオンライン開催に対して、オンライン+限定オフライン開催の2021年はどのような結果が出るだろうか。

 

  

各年度の家庭用のトップ売上本数タイトルを見ていくと、基本的には全てシリーズものである。この25年間は『マリオカート』『ファイナルファンタジー』『ドラゴンクエスト』『ポケモン』『キングダムハーツ』『モンスターハンター』で寡占されており、例外といえるのは2014年『妖怪ウォッチ』305万本と、なにより2020年『あつまれどうぶつの森』638万本である。2020年に映画業界が前年比4割減で過去類例のない壊滅的なダメージを負いながら、『鬼滅の刃~無限列車編~』でこれまた過去類例のない興行収入365億円が生まれたように、ゲーム業界においても“あつ森”の打ち立てた数字は記録的である。

ひとまずまだ模索が続く2年目といったところだが、『モンスターハンター』や『桃太郎電鉄』といったヒット作も生まれ、モバイルアプリでも『ウマ娘』のような大作も生まれてきている2021年は決して悲観的になる状況ではないはずだ。こうした中で、TGSというイベントもまた新しい画期的な軸を打ち立てられるかどうかという状況にある。

(文責:gamebiz記者 中山淳雄)

 

<中山淳雄経歴>
エンタメ社会学者。早稲田・慶應・立命館大に在籍し、教鞭・研究を続けながら、エンタメの再現性を追求する(株)Re entertainmentを創業し、エンタメ産業へのコンサルティングを行っている。これまでDeNA、Deloitte、バンダイナムコスタジオ、ブシロードに所属し、カナダやシンガポールに駐在しながらゲーム・アニメ・玩具の海外展開を推進してきた。著書に『オタク経済圏創世記』『Third Wave of Japanese Game』『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』など。10月に新書『推しエコノミー』発刊予定。
Twitterアカウント:https://twitter.com/atsuonakayama