NFTが猫の殺処分を救う? ブロックチェーン技術を使ったWEB3時代の動物保護プロジェクト

猫は良い。問答無用のかわいさがある。この感情は筆者のDNAに刻まれているのではないかと思うほどだ。

ただその一方で、環境省が公開している資料によると、2020年4月から2021年3月にかけての猫の殺処分数は19705匹もが対象になっっているという。1日で見れば54匹もの犠牲が出ており、その半数以上が離乳していない幼齢猫だ。よくよく調べれば、2004年(平成16年度)にがその10倍以上がその対象となっていた。相当数が減少したものの、心が痛むことには変わりがない。

"猫を処分"という言葉だけでも辛いのは、この記事に目を止めてくれた読者も同じだろう。


▲環境省、犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況(動物愛護管理行政事務提要より作成)より

そんな状況をすべく多くの人たちが猫を救うためのアプローチを行っている。それは行政や企業、個人の活動のそれぞれがあり、ここ数年ではふるさと納税やクラウドファンディングといった新しい手法による取り組みも行われている。新しい手法という点では昨年から注目を集めているNFTを利用して猫を救う活動が始まっている。

NFTは「デジタルデータであっても、誰がそのデータを所有しているかわかる」という仕組みになっている。データの改ざんも非常に難しい。該当のデータがこれまでの履歴とともにネット上に分散し、それぞれがその差を監視しあっているためだ。

この仕組みでデジタル上のデータ自体は誰でも簡単にコピーができるものの、購入者がわかるようになった。この恩恵によりデジタルデータが資産性を持つようになった。

また履歴もあるため販売後の流通状況も誰から誰に渡ったのか、簡単に可視化できるのも特徴の一つだ。販売時に設定すれば、転売時においてもクリエイターに手数料が得られるというのも、NFT売買の特徴となっている。

これまでは中古の本やゲームの転売時などには製作者には一銭も入らなかった。NFTの場合、売買が行われ続ける限りクリエイターは収益が入る仕組みを設定でき、流通革命として日本では2021年の初夏の頃より大きな話題になった。

またこれまで問題とされてた消費電力の大きさによる環境負荷の問題に関しても、NFTを生成するためのブロックチェーンの仕様変更により99%以上*が削減することで解決してみせた。

*9月中旬に行われたイーサリアム2.0のPoSにおいて

今回紹介するNFTプロジェクトは、これらの特徴を用いて猫を救おうとしている。NFTを使ってどのように取り組みを行っているのか。NFTに加え、DAO、Web3.0といった新たな技術概念を取り込んで運営するプロジェクトを紹介していこう。

コレクタブルNFT「CatRescue」



最初に紹介するのはコレクタブルNFT「CatRescue」だ。目が大きく見つめる猫がコンセプトだという。「あなたの助けを必要として見つめる猫たちをぜひ手に入れて、猫を助けてほしい」といった想いで作られたNFTプロジェクトだ。プロジェクトは殺処分0で猫が幸せに生きる世界を目指している。

NFTは転売時においても製作者にロイヤリティが入る仕組みだ。販売は世界最大手のマーケットである『Opensea』で行っているおり、NFT販売の売上50%を保護猫活動へ寄付する。

一方で購入者側としてもNFTを持つメリットが有る。

1 NFT購入時に、保護猫活動の寄付につながる
2 プロフィール写真に設定することで、保護猫活動に参加している証になる
3 DISCORDに参加をして、保護猫活動に協力ができる (寄付先や支援内容についての議論など)
4 DISCORDでホルダー限定チャンネルにアクセスができる
5 関連プロジェクトのフリーミント権やWL等の優先配布
6 オリジナルグッズのプレゼントや優先購入権
7 リアルイベントへの優先参加権
8 その他運営メンバーからのサプライズプレゼントなど

といったもので、購入費用が寄付金になるだけではなく、自身が望めば継続的に猫を救うための活動をコミュニティの一員として携わることができる。

「CatRescue」を購入したNFTホルダーには、Discordの参加メンバーに相談をして寄付先を選定し、寄付を実行していく。将来的DAO*も視野にあり、ガバナンストークン**での投票で寄付先を決定するといった運用も想定している。

*DAOは最近注目されている組織の形態のこと。Decentralized Autonomous Organization=分散型自律組織の略で、リーダーが不在の状況で自律的に運営されていく。

**ガバナンストークンは組織の運営方針を決定するための投票券。DAOを運営するにあたっての意思決定で利用する。

またカジュアルに係ることもできる。Discordでは、猫自慢や、猫の悩み相談するなど、多岐に渡ったチャンネルがありユーザー同士が交流している。

売上の残りの50%についても、今後展開をするNFTFi*&GameFi**開発資金、プロモーション予算等の運営資金に充てていくそうだ。

*NFTFiはNFTを貸し出すことで暗号資産を得られる仕組み

**GameFiはGameとFinanceを合わせた造語。プレイすると暗号資産が稼げる仕組みだ。ゲーム業界では今大きな注目を集めている。

「CatRescue」プロジェクトでは、猫の殺処分の回避にとどまらず、劣悪な飼育環境の改善、腎臓病のための製薬開発、優良で低価格なキャットフードの開発など、猫が幸せに生きるために、提供サービスの売上の一部を寄付や再投資をし続けられる環境を整えていくという大きな野望も持っている。



*9月21日の段階で1イーサリアムは19万円ほど。












クリプトニャンコ 動物保護プロジェクト



動物保護プロジェクト「クリプトニャンコ」は、保護猫カフェを運営する「ねこのす動物保護施設」が運営を行っている。施設が保護した動物達をベースにNFTアート化している。プロフィールも添えられており、まさに生きた証となっている。

Adam  ByGMOより。実際にどのような経緯で保護したのかといった経緯や、施設で飛び回っている、里親に引き取られたなど現在の状況も綴られている。

販売はGMOインターネットグループ<9449>のGMO Adamが運営する「Adam  ByGMO」という日本のNFTマーケットプレイスで、全111点の販売が行われている。

「Adam  ByGMO」は日本のマーケットプレイスであるため、出品者購入者がそれぞれ日本語で利用できること、また暗号資産イーサリアムのほか、クレジットカード・日本円で購入ができるため、NFTの初心者に取っては非常に購入しやすい環境と言える。

プロジェクトの展開として、NFTアートの販売に加え、アニメ化、メタバース化を目指すほか、最終的には殺処分問題を解決することが目標としている。