【ハイカジ道】タツマキゲームズ代表・畑佐氏の特別連載「全米一位への道」…最終回「2023年のハイカジはどうなる!?」

畑佐雄大 タツマキゲームズ代表取締役
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最終回:2023年のハイカジはどうなる!?

 ハイパーカジュアルゲームを中心に開発やパブリッシングをしている「タツマキゲームズ株式会社」代表の畑佐(はたさ)と申します。新年、明けましておめでとうございます!いよいよ仕事もスタートし、新しい1年が動き出した感じではないでしょうか。私自身も改めて気を引き締め直し、さらにハイカジ道を極めるべく精進していきます!

 さて、全12回でお届けしてきたこの連載企画も、今回がいよいよ最終回となりました(泣)ラストを飾る今回は新年にふさわしく「2023年のハイカジはどうなる!?」と題して、私の独断だらけのハイカジ未来予想について書いて締めたいと思います!

ハイカジはレッドオーシャン?まだブルー?

 企業がハイカジを事業検討する際、よく議題に上るのがこのテーマだと思います。何をもってレッドオーシャンというのか、定義は色々ありますが「ヒットタイトルを生み出して一定の利益を上げる」ことを目指すのであれば、私としてはハイカジでも他のゲーム開発でも、レッドオーシャン具合はそれほど変わらないと考えています。ハイカジだからといって楽に利益が出せるわけでもないですし、ヒットタイトルをつくる打率のようなものはどんなゲームの場合でもそう変わらないのではないかなと。その一方でハイカジは「ダメだったときの撤退が最速でできる」ことが利点なので、事業的なリスクは小さく抑えることができる、というメリットは他より持っていると思います。

 そしてハイカジのレッドオーシャン具合が2023年になって更に増すかというと、それはないと見ています。ハイカジに限った話でいえば参入難度はすでにある程度頭打ちになっているので、ポジティブに考えれば「今からハイカジに挑戦しても遅そうだな…」と悲観する必要もないということです。今から始めても勝てないことは無いはずですよ!

クオリティやボリュームは増しそう

 ここ1〜2年のタイトルを見ていると、各パブリッシャーが「どうすればより長く1つのタイトルをプレイしてもらえるか?」ということにかなり意識を向けているように感じます。低いCPIを出すためのロジックやノウハウはかなり言語化されてきていますが、継続率やプレイ時間を上げるための工夫はゲームによって千差万別なため、まだまだ研究の余地が残されているはずです。その影響もあり、今後はますますゲームのクオリティやボリュームに差がついていくのではないかと思います。

 現に、私自身も今まさに苦心しているところでもあります…。こうすればもっと遊んでもらえるはず!と思ったもののうち半分は実際に効果がありますが、もう半分くらいは効果が上がるどころか下がってしまうこともあります。ハイカジ道はまだまだ険しく、探求のしがいがあることを思い知らされますね…

巷で噂のハイブリッドカジュアル

 ハイパーカジュアルゲームについてある程度調べている方はすでにご存知かと思いますが、昨年頃から「ハイブリッドカジュアルゲーム」という言葉が頻出してきています。すでに海外の記事やフォーラムでも「ハイカジの次はハイブリッドカジュアルの時代」という記述が多くありますし、実際に大手ハイカジパブリッシャーも続々とハイブリッドカジュアルへの取り組みをスタートしています。

 ここで、自分なりに整理しているハイブリッドカジュアルの定義について書いておきたいと思います。この「ハイブリッド」という意味には大きく2つの要素があると思っています。

 1つ目はゲーム性のハイブリッドです。具体的にはハイカジが持つ「ルールの分かりやすさ」「操作の手軽さ」といった入り口の部分と、コアゲームが持つ「スキル性」「やりこみ要素」「ソーシャル性」といった深みの部分を混ぜ合わせハイブリッドしたということです。1つ前の段落でも今後のハイカジは継続率をいかに上げていくかがポイントと書きましたが、ハイブリッドカジュアルの台頭も加味するとこれは自然な流れかなと思います。

 2つ目は収益性のハイブリッドです。これもハイカジとコアゲームの掛け合わせで、ハイカジの特徴であるアプリ内広告の運用や最適化による「広告収益」と、コアゲームに存在するシーズンパスやゲーム内通貨、コレクションやスキンといった「アプリ内課金」の2つをハイブリッドするということです。一般的に成功しているハイブリッドカジュアルは、広告(IAA)と課金(IAP)のバランスが6:4〜7:3くらいになっているみたいです。コアゲームに比べるとカジュアルなゲームではあるので、そこまで課金の比率は大きくありませんが手軽な分、世界中の幅広いプレイヤーに遊んでもらえることが最大の強みになります。

 …と、ここまでを読んで頂くと「じゃあもう今さらハイカジじゃなくてハイブリッドカジュアルやったほうが良くない!?」と思いますよね(笑)今後ハイブリッドカジュアルがますます存在感を強めていくのは間違いないですが、記載したとおり、ハイブリッドカジュアルではほとんどの場面で、ハイカジのノウハウやテクニックが必要になってきます。つまり、ハイブリッドカジュアルを目指すのであればいきなりそれにチャレンジするのではなく、一度ハイカジを体験しておいてから取り組むことが必須だと考えています。

 逆に言うと日本には課金ゲームのノウハウが世界でもトップクラスに溜まっているはずなので、そのノウハウを持ったチームが、コアゲームと正反対であるハイカジの知識と経験を得ることで、世界で戦えるハイブリッドカジュアルが日本から生まれてくることは大いに有り得ると思います。

 弊社タツマキゲームズでも、ハイカジだけでなくハイブリッドカジュアルにも今後挑戦していくつもりです。2023年はより一層、日本発のハイパーカジュアル、ハイブリッドカジュアルを世界に放出していきましょう!

今回のまとめ

 いかがでしたでしょうか!ハイカジを事業として検討されている会社さんからよく「ハイカジってもう今始めるのは厳しいですかねぇ…」と聞かれることがあるのですが、厳しさでいえば2年前くらいからあまり変わっていません!(笑)どのジャンルのゲームでもヒットタイトルを生み出すのは容易ではないので、その厳しさはどんなゲームづくりを選んでも大きく変わらないと思いますが、コンパクトに始めてすぐに止められるのがハイカジのメリットです。

 2023年、個人でも企業でも新しい年のチャレンジとしてまずはハイカジ、始めてみるのはいかがでしょうか!とにかくまずはプロトタイプをつくって、CPIテストをやっちゃいましょう!

あとがき

 この連載は、ある日唐突に私からgamebizさんに提案をさせていただき、それにご快諾いただいたことで始まりました。最初は半年間果たして書ききれるのか、しかも文章やブログを書いたこともない人間が…と不安だらけでのスタートでしたが、gamebizさんにサポートいただき、つたない文章ながら何とかここまで走り切ることができました!この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました!

 また、記事の内容も果たして12回も持つのだろうか…という感じでしたがインタビューに応じていただいたGOODROIDさん始め、ご質問をお寄せいただいた方のおかげもあり、ネタ切れすることなく書ききることができました。

 まだまだ日本でのハイパーカジュアルゲームの事例は多くはありませんが、ゲーム大国の日本にはハイカジからコアゲームまでヒットタイトルを生み出せるチームやクリエイターがたくさんいるはずです。弊社もまだヒットタイトルを生み出せてはいませんが、これからもハイカジをベースに世界に挑戦を続けていきます。日本のゲームづくり力で、世界中のランキングを席巻していきましょう!それではまたどこかでお会いしましょう、さようなら〜!

畑佐雄大

ご相談やご質問お待ちしています!

 タツマキゲームズではハイパーカジュアルのあらゆるご相談をお受けしております!ハイカジに興味を持って、始めてみようかなという人。また新規事業として取り組みをスタートする企業をどんどん増やしたいと思っていますので、まずはお気軽にメールやTwitterでご連絡ください。何でも包み隠さずお伝えします(笑)

メール:info@tatsumaki.games 
Twitter:ハタサ@タツマキゲームズ(@noots_87

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